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21. ただいま
街の音が沁みる。住宅から漏れてくるテレビの声など、彼女が牢屋にいる17年間耳にしなかった音だし、たぶんそれ以前にも聞いたことのない街の音。中国におけるここ17年の変化は大きい。やがてここに入っていかなければならない世間に対して身構え、耳を澄ましている緊張が伝わってくる。天津の街の、息の白くなる寒さも伝わる。主任のほうにもちょっと帰りにくい家があり、帰還するということの緊張が本作のテーマ。浦島太郎を基本形にして、「帰還もの」という物語のジャンルを考えてもいいかもしれない。帰還するって、けっこう大きなドラマなんだ。[映画館(字幕)] 6点(2008-08-22 10:03:44)
22. ダンス・オブ・ダスト
煉瓦の粉を含んだ風がずっと吹いている。どこか怯えを秘め、老成した少年の顔。顔がいい映画だ。雪印の缶や日本語の古新聞(煉瓦がくっつかないように、焼くときに貼りつける)などが出てきて、経済流通の裏を垣間見られる。説明が排除されていて、意味になる前の映像が剥き出しで提示されている感じ。母が背中に煉瓦を乗せているのは、民間療法か呪法の何かなのか。しばしば天に突き上げられた手、雨乞いかと思っていたら、どうもそうではないらしい。ここでは雨はせっかく作った煉瓦をまた泥に戻してしまう忌むべきもののよう。詩として鑑賞すべき映画なのでしょう。[映画館(字幕)] 6点(2008-08-01 12:11:04)
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