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【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. 血のバケツ 《ネタバレ》 “壁の中の黒猫”にはじまって、死体を彫刻の材料にするという『肉の蝋人形』の趣向をひとひねりし、当時の流行だったビートニクの芸術家かぶれを皮肉るという、まさに安直というか、適当にデッチ上げられた感はまぬがれない(実際、使い回しのセットを用いて、しかも撮影期間はたったの5日!)。けれど、芸術家たちのたまり場となっているカフェの、さり気なく飾られた絵画やオブジェはシロウト眼にもそれっぽく、意外にも“良い趣味”をしているのだ。 プロデューサーとしてのロジャー・コーマンはとにかく“ケチ”で有名らしい。が、少なくとも自分の監督作においては、どんなに低予算であろうと美術や小道具だけは周到に作り込まれている。どうやら監督としてのコーマンは、どんなストーリーや演技よりも、その「背景」こそ重要なのだと考えている。後はそこに人物を置くだけで、ストーリーは勝手に動き出す・・・と。実際この映画でも、少し頭の弱い主人公がいかに芸術家にあこがれ、偶然の事故からとはいえ“殺人彫刻(!)”にのめり込んでいったかを、彼が働く前述のカフェと、住まいである貧しいアパートの部屋の2ヵ所のセットだけで、きわめて説得的に浮かび上がらせているのだ。 加えて、殺人現場では直接的な描写を避け、次の場面で“彫刻”という形で「死体」を見せるという絶妙のソフィスティケーション! しかもこれが、ブラックな笑いに結びつくあたりも心憎いじゃないか。主人公の異常さにではなく、むしろ人間らしい“弱さ”に注目するこのスリラー・コメディは、初期作品の頃からロジャー・コーマンが実はいかに優れた「演出家」であるかを雄弁に語るものだと思う。 ・・・しかし、すべての発端となった、あの“ナイフが刺さった猫”の彫刻。何だか妙にカワイイです(笑)[DVD(字幕)] 9点(2010-05-26 17:52:48)(良:1票) 《改行有》 2. 地球の静止する日 ドラえもんさんが上手くこの映画の事をまとめておられ、そこに付け加えることもないのですが…。ただ、当時のマッカーシイズム(”赤狩り”)に対する暗黙の批判が、この映画に1本筋を通していることに敬意を表したい。さすが、映画界を追放された面々の映画で、編集をしながら腕を磨いたロバート・ワイズ監督だけのことはあるな。正直、これも一種のイデオロギー的産物として、映画としてはぼくはそれほどのものじゃないと思うのですが…8点(2003-05-29 10:34:24) 3. 地底探険 いかにもジュール・ヴェルヌ原作らしい大らかさが、ハリウッドの予定調和な展開とマッチして実に楽しく見せてくれる、秘境SF。こういう映画を見ると、いかに昨今のCGとやらが観客のイマジネーションを殺しているか良く分かります。何でもリアルに、ホンモノらしく見せてしまうCG映像には、見る者に有無を言わさない退屈さがあるばかりだから。…でも、あの生きた大トカゲに背びれをつけて合成した「巨大恐竜」はトホホものだけど。7点(2003-05-29 11:01:55) 4. 地球最後の日 1950年代のアメリカSF映画って、どこかに”反共”イデオロギーか”核”の恐怖という一種の「ヒステリー」症例があったりして、今見るとそれはそれで興味深くもある。のだけど、そういった中でこの映画は、ただ単に聖書的終末思想に裏打ちされた大破壊スペクタクルになっていて、逆に新鮮だったりします。地球の最期を描いて、この大らかさはいいなあ。まあ、一方で「宗教映画」としての臭みが拭いきれないんだけどね。6点(2003-05-29 10:25:04)
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