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1. 中学生円山
「妄想」とか「嘘」ってのは、映画ととても相性がいいものなんだなあ、と改めて思わされました。これを言っちゃあおしまいかもしれないけど、この映画自体がすべてクドカンの妄想であって、現実など1秒たりとも映ってない(笑)。けれど、「なぜオレたちは、わざわざ金を払って嘘八百の映画を見に行くのか」ということに対して、これほど端的に応えてくれた映画も久しぶりのような気がします(勝手にオレ"たち"って言っちゃったけど・・・)。個人的に、メタヒーローものというのは苦手で、最近の「キック・アス」はあまり好きでは無かったし、同じクドカン脚本の「ゼブラーマン」なども苦手でした。どうも、ヒーローもの映画を作り手自身が恥じているように感じられてしまって、「いや、これ、あくまでウソのヒーローものですから」って言い訳のように見えてたんですね。これまでで良いいなあと思ったのはクレヨンしんちゃんの「アクション仮面」くらいです。
「円山」に関して言うと、主人公だけでなく、登場人物のほぼすべてが何かしら「妄想」しているのが面白いですね。そして、「私は妄想に逃げずに現実を生きている」ってな態度の人が、これ以上ないくらいの客観的な「現実」を突きつけられた時に狼狽してしまうのもニヤリとします。それを、映画の終盤でサラッとギャグで表現してるのもオツでした。
団地というシチュエーションを巧く利用して、全く同じ風景なのに違ったレイヤーを重ねて見ることでまた違った現実と妄想が展開されるのも面白いです。
ヒーローものに限らず、つまらない映画って、「どうせ妄想だから」「どうせ嘘だから」と作り手が恥じているのが多いと思います。「現実から逃げるな!」というセリフはよく聞きますが、「現実に負けるな!」というのはあまり聞いたことがなくて新鮮でした。映画も現実に負けてはいけないのだなあ。[映画館(邦画)] 8点(2013-05-27 23:42:37)(良:1票) 《改行有》
2. 小さいおうち
《ネタバレ》 この「小さいおうち」に戦前戦中の日本の空気(当然私は知らないですけども)がギューと詰まってるような話ですね。日本自体が「小さいおうち」だったのかな。「女中を奴隷みたいに見られちゃかなわない」「戦前は今の人が思うような暗い時代じゃなかった」というような話は、戦後生まれの若い監督があまり描かなそうな話で新鮮でした。最後に家が破壊されるシーンを直接的に見せてるのも(ちょっとチープだったけど)「オワッ」となりました。とはいえ、妻夫木演じる健史がヒドい。監督にとって都合がいいだけの人物。歴史にある程度詳しかったり、「誤字なおしてあげるよ」なんて言うもんだから、てっきり出版関係の仕事をしてると思い込んでました。全然違うでやんの。恋人も現代とは思えない人物。チャチャラした奴らじゃこの映画には合わないかもしれないけど、まるで時空の歪みを見てるようでした。[映画館(邦画)] 6点(2014-02-05 10:11:36)
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