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【製作年 : 1990年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. ツイスター 《ネタバレ》 何とか女から逃げようとする天才科学者と、何がなんでもその男をモノにしようとする女。女は男の人生をシッチャカメッチャカにかき回す。そんなふたりの間を結果的にとりもつことになるのが、かたや「大怪獣」で、こちらは「大竜巻」なのだった、という次第。 ・・・ローランド・エメリッヒ監督のアメリカ版『ゴジラ』は、当初ヤン・デ・ボンが監督にオファーされていたことを知る者にとって、この『ツイスター』という映画は示唆的だ。エメリッヒがどこまでヤン・デ・ボン監督の構想していた『ゴジラ』を踏襲したかは不明だが、この2本の作品、実はほとんど“同じ構造”によって成り立っている。そう、これらは往年のハリウッド映画の十八番だった「スクリューボール・コメディ」を再現したものだ。というか、その体裁[パターン]を「モンスター映画」としてしつらえたものなのである。 監督デビュー作『スピード』の大成功以来、その後どうもパッとしないといわれるヤン・デ・ボン監督の作品。だが、『スピード2』や『ホーンティング』(『トゥームレイダー2』は未見)でも、そこには古き良き「ハリウッド映画」への思い入れと、それをよりスペキュタクラーに“再現”しようとする意志を感じられないか。実際これらの監督作品にある「ソフィスティケーション」(とは、ひとりの男と女を“くっつける”展開の妙、といったくらいの意味だが)に、時代錯誤的な魅力をぼくは感じる者だ。 モンダイはそれが、観客が期待するものとは別の映画で成立させようとしてしまう、そういう意味での「(商業的な)センスのなさ」だろう。・・・たぶんこの監督は、現代的なアクション映画やSF映画なんぞより、アナクロニックなミュージカル映画あたりを撮るべきなのだと思う。 けれどこの『ツイスター』は、ヤン・デ・ボンが撮りたい映画と、観客が見たい映画との“ずれ”が少ないものといえるかもしれない。劇中に『オズの魔法使い』のヒロイン名“ドロシー”を持ち出したり、ハワード・ホークスの名作コメディ『赤ちゃん教育』あたりへの強烈な愛着を感じさせつつ、大災害スペクタクル映画としても成立している。まあ、このあたりは、確かに「スピルバーグ製作」の功績だという気がしないでもないけれど。[映画館(字幕)] 8点(2011-04-26 18:04:23)《改行有》 2. 月とキャベツ ヒロインの下手クソなダンスを冒頭近くに見せられた時にはどうなることかと思ったものの、中盤以降どんどん見せてくれる。山崎まさよし、雰囲気あるじゃん。でもって、篠原カントク、技巧を感じさせない技巧派ぶりで、ピュアな情感を醸し出していて、やっぱりやるじゃん。ヒロインの”正体”がわかった後、ラスト「Onemore Time Onemore Chance」の熱唱までの展開は、素直に泣かされました。まさやんのプロモ・フィルムだとしても、これくらいきちんと作ってくれていたなら、ぼく的には全然オッケーですね。6点(2003-08-23 18:41:57) 3. 月はどっちに出ている 日本社会に生きているものの、どこか見えにくい人々にスポットをあててくれた、面白うてやがて哀しきひゅうまん・すけっちぶっく。この監督がこんなに「巧い」映画を撮ってどうするとも思ったが、いやぁ、実に良く出来ている。脚本の構成力の勝利でしょうかね、やっぱり。絵沢萌子と、ルビー・モレノの存在感が効いてます。8点(2003-08-12 18:33:27) 4. 釣りバカ日誌10 釣りバカシリーズは、明らかに前作の『9』から変わった。それまでの他愛ないコント調から、往年の松竹小市民映画へとシフトして、それはそれで大いに期待したものだったのに…。あきらかに前作の路線を継承しながら、この『10』は、むしろ寅さんシリーズの匂いが強いかな。ただ、ラスト近くのあの高木ブー(!)登場は、山田洋次の抑圧に抗する監督の自己主張がハッキリ出ていて、思わず拍手!6点(2003-05-29 13:53:21)
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