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1. 冷たい熱帯魚
《ネタバレ》 でんでんと黒沢あすか夫妻の壊れっぷりと、吹越満の小市民感(というか至極まっとうな人間感)、凄まじい殺戮の融合。なんだかもう、わけがわからんけど、とにかく園子温らしく、全体的に赤いイメージの、ショッキングながらもパワーがある映画だった。
個人的にはスプラッターやグロいのはあまり得意ではないけれど、シリアスではなくどこかポップでもある(たぶんこれが園作品の特徴なんだと思うが)から、二時間半の長い尺も楽しく観られた。吹越満による「生きるって痛い」という娘へのメッセージ、そして娘のリアクション。ひどいオチだが、だからこそこのメッセージも生きる。ところで、「アウトレイジ」もそうだったが、バイオレンス表現があまりにひどすぎると笑えるというのはどういうメカニズムなんだろう。ダチョウ倶楽部や出川哲郎のリアクション芸を見て笑うのと同じなのか。大量出血も肉片も見慣れてくる頃には観客の倫理観も完全に麻痺していて、現実的に考えれば法的にも心情的にも許されないようなシーンでも構わず爆笑が起こる。そんなサディスティックで不思議な空間にいたことも、体感として忘れられない。「この素晴らしき世界」はまさしく、映画館で体験するべき。
[映画館(邦画)] 8点(2011-02-15 12:15:07)(良:1票) 《改行有》
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