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21. トットチャンネル
《ネタバレ》 トットは、特に強い希望や憧れがあって、TV出演者になりたかった訳ではない事が、冒頭示される。一緒に入った仲間たちは、それはそれは強い願望と努力の果てに、入社を勝ちとったというのに。そして数々の失敗を重ねながら、自分の進む道であるテレビジョンの世界で、少しずつ巧くやれるようになってくる。
幾つも語られる、生本番ゆえの、どうにも仕様のない失敗も面白いが、ある時トットが、寄りかかったセットの壁が倒れてくる、というトラブルに現場の知恵で対処する。これがおそらくトットの転換点。植木等先生がまた見事な慧眼で、いい事を言う。
「いいえ、重かったはずです。あなたの背負っていたのは、『テレビジョン』という、大きな壁だったのですから」
トットのこの時の笑顔が素晴らしい。自分のしている事、自分の存在、仕事の意味を理解した瞬間。評価された嬉しさ。
その後、新しいことに無理解な人たちとの闘いもありながら、自分の行く末の仕事が、かつての人々の「夢」の実現であることを知ったトットの、暗闇でもそこに向かって歩き始めた後ろ姿のラストシーンは、清々しい感動だった。
この映画は若者の青春映画だが、新人社会人への優れた啓蒙映画としても見ることが出来る。
また、後年、三谷幸喜がそこに見つけた、コメディエンヌとしての斉藤由貴の優れた資質を、すでに見ることが出来るのも嬉しい。[ビデオ(邦画)] 8点(2011-06-24 01:41:00)《改行有》
22. トロン:レガシー
《ネタバレ》 その世界観に、ビックリするくらい違和感があった。世界は、前作と同じ「電脳世界」のはずなのに、こちらは驚くほど、物質的。主人公が最初に世界に到着したときの、「コツコツ」いう足音がそもそも、そぐわない。壁や構造物、フィールドなども、「電子の世界」の意味を表現していたはずのものを、本当に存在する「物」として描かれている。本が存在し、クッションに座り、地面があり、空があり、雲がたなびいて雷が鳴っている。コンピュータの世界なんだろ?しかも突然現れた、完璧な存在(=プログラム?)って、何だよ?「プログラムは書いたとおりにしか動かない」と習った身としては、どうにも理解出来ない世界でした。前作の周り中無機質な感じのほうが、しっくり来るんだがなあ。
で、今度の話は、自分の分身(でも、プログラムなんだよね?)に反逆されて、電脳世界を支配するばかりでなく、物質世界に進出する悪略を阻止し、こちらに戻ってくるという話。世界が実に現実的なおかげで、コンピュータの制約的なものが感じられず、普通のアクション映画みたいになっているのが残念。例のソーラー帆船(この世界のソーラーって?)は、何とか前作のお約束を覚えていた(観たばかりだから)から判ったけど。でも外界とのIOを司っていたプログラムはもう、居なくなってるんだね。
さて、前作同様に、フリンは「創造主」だから最後の最後に、切り札的な「超能力」を発揮する。もともと、プログラマーは、この世界をどうにでも書き換えられるんだろうけど、だったら、もっと早く解決しろよ、と思ってしまった。
[DVD(字幕)] 5点(2011-06-04 04:28:54)(良:1票) 《改行有》
23. トロン
《ネタバレ》 昔、観たけど、かなり忘れていたので、レガシーの為の復習として再び観てみた。
今回はじめて気が付いたが、あの時代の「ユーザー」って、使用者でもあるが、製作者(創造主)でもあったんだな。だから今の「ユーザー」のつもりで観ると、ちょっと感覚が違う。そう見ると、MPC(マルチメディアPCじゃないんだな。マスターコントロールプログラム?OSって呼んじゃえばよかったのに)が、アンチ「ユーザー」を唱え、それに抗うものを問い詰める場面は、文字通り「異端審問」なのだと気付いた。とすると、フリンはさながら、創造主で「父でもあり、子でもある」キリストな訳か。でもこちらのキリストは、苦労して異教徒を悔い改めさせ、昇天する。宗教映画だな、こりゃ。
[DVD(字幕)] 6点(2011-06-04 04:27:38)(良:1票) 《改行有》
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