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プロフィール
コメント数 31
性別 男性
自己紹介 基本的に(よほど確証のある時以外は)「酷評」はしません。
(というより、できません)

多くの方が了解されていると思いますが、単なる誤解や無知に基づく「酷評」には、冷笑や憫笑以外の価値はないからです。
 
自らの無知や無能を棚に上げ、貧困なスキーマ(人生経験によって形成される思考の枠組み)を振り回して「これは駄作だ!」などと得意がるようなミットモナイことだけは決してしないように、自戒しております。

せめて「この作品の良さは、私には理解できないないけれど…」くらいの謙虚さは忘れずにおきたいものです。

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評価順1
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1.  東京物語 《ネタバレ》 主要人物が、喜怒哀楽を強く押し出すことなく奥にぐっと噛みしめようとする様が、逆に感情の奥深さを感じさせます。特に、笠の枯れた佇まい。逆算すると、当時の実年齢は50歳前後のはずなのに、枯淡の境地にあるかのような立ち居振る舞い、台詞。特筆すべきは、ラスト近くで近所の婦人と会話するシーンの、笠の「背中」です。妻を失い、表にこそ出さずに気丈にふるまっているものの、内心にある寂寥感を、見事に背中だけで表現しています。笠の隣にいつも寄り添っていた妻は、もうそこにはいない。わずか数十秒のこのシーンだけで、この点数を計上してもいいくらいです。8点(2004-04-17 16:32:11)

2.  時計じかけのオレンジ 「個人の自由」vs「社会による管理」という図式は、M・フーコーの「パノプティコン」やチャップリンの『モダンタイムス』、オーウェルの『1984』などを列挙するまでもなく、それこそ腐るほど繰り返し論じられてきたこと。もっとさかのぼれば、厳格な戒律が形式化したユダヤ教に対して内面の「愛」を主張したキリスト教や、あるいは、行動規範の形骸化したカトリックに対して信仰を機軸としてこれを批判したプロテスタントのごとく――果たして個人が人間たりうるのは、外部からの規範によるものなのか、はたまた内面の自律なのか、という有史以来の大問題に直結します。犯罪をテーマに考えても、本作で描かれている通り両極に収斂します。すなわち、外部からの「治療」を施してまでも犯罪を根絶すべきという立場と、犯罪を犯すことは個人の自由の範疇であり個々の良心の問題であるという立場と(ちなみに、精神障害者に対する「ロボトミー」は前者の変奏でしょう)。いうまでもなく、近代立憲主義の立場からは、公権力による強制は外面的行為にのみ限定されるべきであり(令状に基づく身体拘束や、刑の執行など)、内面への介入は断じて許されてはならない、という結論に達します。犯罪を取り締まる(=外部的行為への規制)ことはOKだけれども、内面にまで踏み込んで権力の指向する方向へ心を操作することは厳禁だと(矯正刑は最低限度にとどめる)。人間性は、善と悪の間を揺れ動くもの。善は悪の裏返しであり、悪がなければ善もありえない。根っからの悪人などいないし、完全無欠の善人も存在しない。醜い悪を憎悪するからこそ、崇高な善を希求する。しかし、その一方で、あからさまな善に唾しながら、悪の背徳に魅せられる――人間というものの複雑さを改めて考えさせられます。もっとも、成人後の私自身は、万引き程度の悪すらできない小心者ですけど。(笑)9点(2004-03-07 10:22:36)(笑:1票) (良:1票)

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