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【製作年 : 1990年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12
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1.  逃亡者(1990) M・ロークが何のいいところもないイヤーな悪人で(ひたすら恋人の到着を待ってるあたりに人間味を感じるべきだったのかな)ただのわがままというか、自分勝手。このイヤーな男が、イヤーな感じになってる一家に飛び込んでくる。この監督は女より男ね。女の描写は刑事も含めてつまらない。男は、ただカッカするだけの脇の役と思ってたのが、途中で異様に膨らんできたりする。リーダーと別れて自由になった途端に、バラバラと分解していっちゃう感じがある。狭いところから広すぎるところへ出て拡散しちゃうような。血だらけになってガソリンスタンドをうろつく。でも女子大生を人質にとって立て籠もろうとはしない。流れのあるところへ誘い出されていくの。もう停滞するのはこりごり。そこらへんに不思議な哀感が漂った。西部劇の時代ならもっとかっこよく死ねたのに、とか。コロラドの風景や、“保安官”というあたりに、開拓時代への・失われたものへの気分があるような。[映画館(字幕)] 8点(2013-12-02 09:52:45)

2.  トゥルー・ロマンス 《ネタバレ》 感情のおもむくままに走っていくシナリオ。とてもホット。それでいて部分的にはネットリしているのがおかしい。正義と悪の対決というより、ホットな二人とクールな世間の対決。G・オールドマンが電灯を揺らしながらC・スレーターをからかうとことか、それからもちろん、C・ウォーケンとD・ホッパーの向かい合いとか(それにしても豪華なキャスティングだ。D・ホッパーをいいお父さんにするなんて憎いね)。エルビスの啓示を受けて揉め事に入り、エルビスの啓示で救われる。お得意の三すくみはあるが、でもシナリオが書かれたのは『レザボア・ドッグス』よりこっちが先だったらしい。問題はラストのファミリーシーンだ。もしかするとこれ、平穏な若夫婦の・しがないコミックブック店員夫婦の、こうありたかった妄想なのかとも思えてくる。「トゥルー・ロマンス」って、何かそんな皮肉みたいな題じゃん。この二人以外は、世間はみんな死んでしまって。ひたすら夢としての冒険、ホットでありたいいう気持ちがここまで妄想を暴走させたのだとしたら、つまりそれだけクールに浸されてしまった時代だってことなんだろう。[映画館(字幕)] 8点(2011-03-20 09:56:17)

3.  トゥルーマン・ショー 《ネタバレ》 現実のリアリティの喪失という社会的な気分から、世界は実在するかってな大きな哲学的なテーマまでカバーできる設定で、こういう豊かな寓話を生み出せるのはハリウッドの強みだ。そしてハリウッドの伝統である自由への脱出ものにもなっている。実際現代社会のあれこれって何かセットみたいに薄っぺらになってるし。途中に入るCMがおかしい。待機しているエキストラたち。急に作られ解消される渋滞。群衆シーンのおかしさ。かなり笑えた。エレベーターのセットぐらいちゃんと作っておいてもらいたい。月が大きかったのはイメージじゃなかったのね。妻のローラ・リニーに変に不気味な味が出ていた、追い詰められつつココアのCMをしたり。この設定が怖いのは、有名になりたい、という我々の潜在願望も突つかれてるところがあるからで、あるいは、自分が主役であることを知り晴れがましさを感じて島にとどまり続ける、というさらにグロテスクなエンディングも有り得たな。[映画館(字幕)] 8点(2009-01-18 12:13:28)

4.  トト・ザ・ヒーロー 社会学的に見ると、アイデンティティの不安とか何とか、人生論的に見ると、他人への妬みや呪いを支えにして生きることの不幸とか何とか、心理学的に見ると、ユングの影とか何とか、いろいろ出そう。面白いのよ、一応面白いんだけど、なんちゅうか、作者の設計図が見えすぎちゃってるというか、醒めすぎてるところがあって、酔わせてくれない。ちょっと窮屈。若い監督なんだから(当時)、もっと破綻ぎりぎりの冒険もあってほしいところ。ラストの笑いはなんだったんだろう。他人を呪うことで支えられていた自分の人生の空しさを知ってしまった絶望に裏打ちされた笑い? 人生ってものを哄笑するような、ドロッとしたような、他人に対する呪いがもう社会を超えて神にまで向かったような。自分の人生を他人に奪われたと思い込む人間ってのにピンと来るか来ないかが、本作を楽しめるか否かの分かれ目のよう。[映画館(字幕)] 7点(2012-12-02 09:42:03)

5.  透明人間(1992) 《ネタバレ》 透明人間には「見るだけの人間の孤独」って形而上学的なテーマもあるんだけど、そんなことにはこだわらない。本作は、透明人間というものをいかに具体的に想像できるかってのが本筋。食事をすると消化がすむまでは胃袋が見えてしまうとか、タバコを吸うと煙が肺に満ちるのが見えてしまう、なんてとこね(いささか尾籠な話で恐縮だが、子どものころ、透明人間の大便はどういう状況になったとこで可視になるのかってのに悩んだことがある。人間の内部と外部との境が曖昧だ、という事実にそこで突き当たった)。ガム噛んで膨らませるってのもあった。道を行くと人とぶつかりそうになる、なんて単純なとこにリアリティ感じた。引ったくりのバッグをサッと返すギャグなんか好きだな。一番好きだったのは酔っ払いをダミーにしてタクシーに乗るとこ。しゃべらせるのが傑作。じっと悪者の部屋の隅にうずくまってて伸びをしたときの足首のポキポキいう音で感づかれちゃうの。で悪者も誘うようにあくびをすると、つられちゃうとか。建物の部分が透明になってしまってるのも面白い。主人公の主観で見えるシーンと見えないシーンとがあるのも、映画として正しい。化粧するってアイデアもいいな。真っ白な歯。[映画館(字幕)] 7点(2012-03-28 09:49:12)(良:1票)

6.  トイズ アメリカ映画が子どもっぽくなってきたのはこれ以前からだったが、その柔らかさや無垢さをどんどん追っていった果てに、とうとうこういうヒヨワな場所にたどり着いてしまった、という意味で興味深かった作品。子どもが半面持っている生々しいものは消されて、映画そのものがテレビゲームの中に入ってしまったような感じ。地に足が着いていない、と言っても仕方なく、その「地」が現在はなくなってしまっている、という前提で語られている映画だ。現実感を一瞬たりとも感じさせないようになっていて、童夢が覚めるのを恐れているかのような、アワアワとした光景で世間を隔離していく。ここではゲロでさえ清潔。一級の美術で「手応えのなさ」を懸命に作り上げたフィルムで、好きな映画ではないがその異様な懸命さが記憶に残り続けている。[映画館(字幕)] 7点(2011-06-29 12:34:02)

7.  トリコロール/赤の愛 これは三部作の中ではまだ分かりやすいほう。趣向がはっきりしているので。時代を超えた触れ合いというか、ちょっと怪異譚めいた世界。若きトランティニャンである青年とヒロインが出会うまで、ということか。老いたトランティニャンは夢の中で50代のイレーヌ・ジャコブを見る。犬も老若の橋渡しをする。国際電話の距離と隣人の盗聴の距離の対比、などなど。室内の照明はいつもながら美しい。一番思ったのは、キエシロフスキ、イレーヌ・ジャコブが好きなんだなあ、ってこと。クールにクールに作ってるけど、年若い娘を恋してしまった初老男のいびつな恋情が脈々と感じられる。偉大な男性監督は常に女優に恋していなくてはならないのかも知れない。思えばかつて『ある党員の履歴書』なんて非常に公的な硬い手触りの秀作を作っていた人が、最後にこうグッと私的な世界に凝縮していったのも、東欧開放の一つの流れなんだろう。でも「裁判所=裁くこと」が、よく出てくるのは体制の新旧で変わらない。[映画館(字幕)] 7点(2010-09-06 09:59:36)(良:1票)

8.  多桑/父さん 《ネタバレ》 おそらくこの16歳まで日本人だった「父さん」にとって「日本」とは、自分の不遇・不運の対極として天上にキラキラと輝く天国だったのだろう。戦後の経済成長、それに取り残されていく鉱山で働く父さんの、置き去りにされていく感覚。それを彼は、ここが日本でなくなった、ということで受け入れようとする。昔の「平等に貧しかった」日本統治時代のほうが、世界のありようとして受け入れやすいのだ。哀切なのはバスケットボールのシーン、日本が台湾に負けてしまうこの場でさえ、彼は日本の側に立とうとする。自分の不遇の代償のように、台湾は日本にコテンパンに敗れ去ってほしかったのだ。自分だけを残して繁栄し力を付けていく台湾、そんな父さんの頭上で「日本」は、より純粋なイメージになっていく。日本が「美智子さんの旦那さん」の時代になって、しかし初雪の皇居の画面も見せずに映画は閉じる。もうそれは現実の日本からははるかに離れた無垢のものになり過ぎてしまい、画面にはならないのだろう。画づくりは師の侯孝賢の影響大で、ロングの多用、電灯の下の人々、など。[映画館(字幕)] 7点(2010-02-28 12:02:38)

9.  東京兄妹 《ネタバレ》 鬼子母神の古い家を受け継いでしまった兄妹は、家に見合うようにしっかりしなければならないと、戸主らしい夫婦のようなたたずまいを見せざるを得ず、古風なスタイルに傾斜していく。ここらへん、いじらしいのだ。兄妹でじゃれあいをしない。自転車で兄を追い越すときも「おにいちゃん」などとじゃれない。だから終わりのほう、都電の中で兄妹が兄妹らしく脚の上げっこをするシーンが光る。墓参りの帰りで、家を守る“夫婦”の役割りを離れ、子ども時代の兄妹に戻れたのだろう。兄が座椅子を買ってくるが、妹はどうも使いたがらない、というエピソードもあった。コタツに前屈みになりたいんだな。二人のこの“夫婦”の関係が危うくなると時計が止まる。ゼンマイを巻く妹を、見上げる兄の目には女が映っているような。妹がいなくなって初めて、テレビを見るシーンが出た。天気予報という外部が映っている。帰ってきた妹に「風呂にはいれよ」と言う。で、いいのはラストだ。楽園に戻ったところで終わってはいけない。自分から退去していくとこで終わるのがいい。チリと鳴りかける鈴、ふと家事の手を止める妹、静かに門を閉め直し、振り向く兄でストップモーション、にくいね。[映画館(邦画)] 7点(2009-07-11 12:00:23)(良:1票)

10.  動物、動物たち 博物館の建て替えの記録。剥製が補修され、新たに陳列し直される。それだけのドキュメントなんだけど、あらためて剥製というものを理科の学習とは違った視点で眺められるのが面白い。剥製の“動かなさ”を描くには、写真じゃ駄目で映画でなければ捉えられないんだな。写真だとそれが生きてる動物なのか剥製なのかが分からない、動く映像で初めてその動かなさが分かるという逆説。生き物たちのその停止させられた表情の不自然さが、もの悲しいようなユーモラスなような味を出す。剥製師の趣味によってか、変に擬人化された表情を持たされてるものもあったりして。剥製師にきちんと折り畳まれる皮も不気味。補修という化粧を施され、ビニールに包まれ、新しい展示場に並べられてるシーンが壮観。別々に生き、別々の場所で死んでいった彼らが、集合し隊列を組まされ行進をさせられる。動物園で死んだり、交通事故で死んだりと、たぶん動物としては不自然な死を死んだものたち。カンガルーの子どももおそらくその親ではない腹に納められているのだろう。ちょっぴりグロテスクな味が添う。博物館好きにとっては、舞台裏が見られるという意味でも楽しい映画。[DVD(字幕)] 7点(2009-04-17 12:03:37)

11.  どこまでもいこう 《ネタバレ》 画面ではまだ何も起こっていないが、何かを待っている時間の緊張がしばしば描かれる。たとえば冒頭のヤクルト奪取のとことか、公園での逃走。悪い報告をする前の先生のためらいも含めていい。こういう待機の時間の緊張がいい映画だ。これがあって走るシーンが生きてくる。花火も似たようなものだな、点火からしゅるしゅるまでの間。爆弾紙飛行機も。女の子たちがときどき一輪車で軽やかに通過するのが、緊張して待機したり走ったりしている男の子たちといい対照。拾った金を川岸で山分けしている写真が、マスコミによって「ミズスマシがいた」というホノボノ記事になるのがおかしかった。[映画館(邦画)] 7点(2008-10-04 12:15:52)(良:2票)

12.  ドン・サバティーニ たしかにどうってことないけど、怒って引退するっていうほどでもないんじゃない? 『スーパーマン』のとき引退しなかったんだから。良くも悪くもマーロン・ブランドの映画だ。M・Bがコメディをやる、『ゴッド・ファーザー』のパロディをやる、ってのが唯一の見どころ。けっきょくこの映画心から笑えないってのも、M・Bが出てるために、こちらがややビビッてしまってるところがあるわけで、とにかく偉大な役者ですわな。アップのシーンよりか、スケートをするロングのシーンで凄味を感じたけど、あのふてぶてしい男が滑っていく、ってのがおかしい。息子としたい男クラークをケントと呼び間違えるギャグ。途中ちらっと『42番街』。[映画館(字幕)] 6点(2014-02-28 10:00:27)(良:1票)

13.  トータル・リコール(1990) 直訳すると「全面想起」だそうな。邦画とアメリカ映画とで題名の付け方の違いについて考えようかと思ったが、悲しいのでよす。それにこの映画、題名ほどいいわけではない。せっかくの面白い設定なのに、生かしきってないんじゃないの。火星にいったクエイド君のところにリコール社の男が出てきて、これは君の夢なんだよ、というあたりで、本題に入ってきたなと身を乗り出したが、あそこで打ち止め。あそこで薬を吐き出したことによって、クエイド君がリコール社の夢から抜け出せなくなったって、もう一つの可能性が出てきたわけでしょ。その不安を主人公は抱き続けるべきだったんじゃないの。まるで仕組まれているような諜報部員の活躍で、うまくいけばいくほど「怪しいぞ」と不安になっていく展開か、と思ってたらそういうのはナシなのね。そういう複雑な役柄は得意でない俳優なのだった。観客のほうで勝手にこれは全部夢かもしれないという余地は残されてはいたけど。星の植民地のガラスがあんなに弱いのは、そもそも全部夢だってことなのか。ミュータントメイクも再考の余地あり。酸素を独占している独裁者って発想はいい。空気の流入に独裁消滅の爽やかさが素直に重なる。テレビのニュースでトウキョウのサムライがどうのこうの言ってたのが気になったが。[映画館(字幕)] 6点(2014-02-20 09:24:41)

14.  ドアーズ ヒッピーにサイケの60年代後半。ドアーズってよく知らなくて、“タッチ・ミー”は知ってる、あと“ジ・エンド”を『地獄の黙示録』で知ってるぐらい。あんまりピンと来ないんですが、群衆としての聴衆ってのをポイントに観てた。冒頭、映画学校でのナチの群衆が提示され、当時ベトナム戦争への興奮と、それの裏返しのようなラブ&ピース運動への興奮とがきれいに吊りあってしまっている「興奮する群衆」の気味悪さみたいのがあった。少年時代に目撃したインディアンの交通事故がトラウマになってる。土着の原住民がよそから来た文明に殺されるアメリカの原罪みたいなものが、同じ東洋人顔のベトナム人に通じていく。世界は傷ましさで満ちていて、その傷ましさを拒絶しきろうとして生きていかねばならない現代の傷ましさ、みたいなものがあった。メグ・ライアンは付属品だった。コンサートシーンに気合いがあり、それも駄目になっていくほどいい。[映画館(字幕)] 6点(2013-07-02 09:17:53)

15.  トイ・ソルジャー だいたい立て籠もる話はその設定だけで好きになっちゃうんで、『わらの犬』あり『狼たちの午後』あり『ダイハード』ありと、永の年月見てきたもんだが、これはあんまり立て籠もった甲斐がなかった方。ワルモノがコロンビアから逃げ出して来るんだけど、ずっと追跡されててヒョッコリ学園にやってこられるもんかな。あるいはラスト、軍の突入となれば犯人側はまず人質を固めると思うんだけど、外を走り回って死んでっちゃうのがトンマ。そういうのはいいとしても、不純な要素が死んでいって、アメリカの純潔な部分が残るように見え、古めかしいヒロイズム讃歌が聞こえてくる。ま、黒人が残っただけでもヨシとするか。こういうので多いのが、有色人種がしばしば尊い犠牲になってみんなに哀悼されつつ消えていくパターン。それはなかった。内部情報を伝えに外に出た主人公が、軍隊にとどめられるあたりちょっとハラハラした。ああいう仕掛けをもっと欲しかった。[映画館(字幕)] 6点(2013-05-24 10:37:55)

16.  永遠に美しく・・・ 《ネタバレ》 デブデブに太ったG・ホーンがM・ストリープが殺されるシーンをビデオで繰り返し見ているあたりまではテンポ快調。現代に入ってからモタついてくるのはなぜか。ホーンの殺意とI・ロッセリーニの秘薬と絡み具合が不安定なままで、殺意のほうが中途半端になってしまうからか。本題はやっぱ階段を落ちたストリープがピクピクと動き始めてからでしょうね。ドラマよりSFXで見せる映画とはっきりして、観てるこっちも姿勢がはっきりする。たしかにおなかの穴なんかよく出来ていて、ソファに突き刺さったシャベル(?)の柄を穴に突き立てて座ったりする。おなかの穴越しに向こうが見える。ふたりの和解がいささか唐突、でもこの唐突に共同戦線を張ってくるみたいなところが、男にとっての女の気味悪さなんだろうな。死体化粧屋ってのがミソで、昔トニー・リチャードソンに『ラブド・ワン』てブラック・コメディの傑作があったなあ。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-27 10:33:55)

17.  ドラキュラ(1992) 影の使い方とか、ラブシーンを孔雀の羽根で隠してその眼がトンネルになっていくとか、首の傷跡が狼の目になっていくとか、意識的に一昔前のタッチを多用してある種の古典的雰囲気を醸そうとはしているみたいなんだけど、あんまりそういった趣向に切実さが感じられない。とりあえずサインしてるって感じで。いいのは、ルーシーが庭に導かれるところとか、コッポラお得意の惨劇と儀式が交互に現われるあたり。邪悪な結婚と聖なる結婚の対比ということか。ドラキュラ伝説ってのは、愛が宗教によって聖なるものと淫らなものに引き裂かれた結果生まれたんでしょうな。引き裂かれた両者がドラキュラを介して捻じれてまたつながっているような感じが面白い。ドラキュラの想いってのは、死者への想いだから高度な純愛であって、永遠に満たされることなく、永遠に渇いたまま生き続ける、ってところがポイントなんだろうなあ。[映画館(字幕)] 6点(2011-11-30 10:24:43)

18.  トライアル/審判 プラハでロケしたってのは、どうなんだろう。たしかに美しいが、話を文学史のなかに追い込んではいなかったか。もっと匿名の街の物語であるべき。K・マクラクランも違うんだよなあ。O・ウェルズがA・パーキンスを起用したのと同じ間違い。カフカは『サイコ』や『ツインピークス』の不気味とは異質のもので、もっと平均的な人物を起用すべきだったろう、もちろん「平均的人物」ってのを作り上げるのも難しいが。窓からこちらを興味津々で見ている隣人たち、あの手の味わいが後半消えてしまう。彼のために調査官が鞭打ちの刑を受けるあたりの「いやな感じ」はいいところを突いてる。疚しさを強制される地獄。[映画館(字幕)] 6点(2011-11-06 12:24:56)

19.  飛べないアヒル 『スラップ・ショット』の少年版ということか。男の世界の味わいから教育問題の世界になる。少年時に受けた誤った教育が、健全なスポーツ精神によって矯正されていく、ってな話。弁護士は心がいびつで、マイナーのホッケー選手はマットウいう構図。進むべき道から一歩も踏み外さない段取り通りの展開に、安心してもいいし物足りなく感じてもいい。テーマが「教育」だから、フェアプレー精神が基本。悪いチームのユニフォームが黒っての、マルコムXが見たら怒るだろうなあ。頑張れば栄光があるって精神は大事かも知れないけど、そう簡単にはいかないぞ、って気を観客に起こさせないようにするのが芸の見せどころなんだけどなあ。インチキを断わった少年に謝るところがアメリカの良さ。[映画館(字幕)] 6点(2011-08-14 09:44:18)

20.  逃亡者(1993) 《ネタバレ》 逃げながら追いかける。追う者と追われる者との親近感がミソ。トミー・リー・ジョーンズはエイハブ船長をやれるな、と思った。追跡が単純である前半はなかなかの水準と見た。トンネルで挟まれるあたり。シカゴに戻ってきてからは、どうしても謎解きのほうに話が奪われて、ややもたれる。ちょっと街中をうろうろし続けていられ過ぎる。病院でつい子どもを診断してしまったりして、ジェラードが彼の有罪に疑問を感じてくってあたりは分かるけど。真犯人は、もう少し真犯人らしからぬ顔の人間はいなかったのか。[映画館(字幕)] 6点(2011-05-06 10:25:34)

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