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1. ナインスゲート
《ネタバレ》 ストーリーの筋自体は全く難解ではなく比較的分かりやすいが、なんとなく釈然ともしないし、面白みを感じさせる映画ではない。
まずジョニーデップについては、相変わらず演技自体はしっかりしているが、一体何が目的で動いているのかがピンと来ない。金というわけでもなく、本に隠された謎解きをしたいわけでもなく、自分に嫌疑が掛かっているから真犯人を探すというわけでもない。
ただただ、色々な人の掌の上で駒になって動いているにすぎない。だから、デップを主体としたこのストーリーに入りこめていけない。
その上、バルカンは殺人等の嫌疑を掛けたいがためにデップを雇っていると思われるが、なにもかも全部一人でやっているうえに途中で暴走するため、結局デップ雇って何がしたかったのか、本ストーリーにおけるデップの必要性がますます分からなくなっている。
せっかく「悪魔」「ナインスゲート」というやや面白い素材があるのだから上手く活かすべきではなかったか。実際の事件と9枚の絵を見立てる位のアイディアがあれば、絵にも興味が湧くし、よりストーリーに入りこめるのではないかという気がして勿体ない印象を受けた。
また、どのキャラクターも感情があまりないという気がする。バルカンこそラストにだけ自分の感情を露呈したが、他のキャラクターには「欲望」もなければ「憎悪」もない。たたただ、ストーリーが淡々と進んでいるだけであり、やはりこのストーリーでは関心を引く要素は薄い気がする。[DVD(字幕)] 3点(2005-12-31 03:26:34)《改行有》
2. ナチュラル・ボーン・キラーズ
家庭内の暴力が新たな暴力を生むという暴力の連鎖とメディアによる暴力の垂れ流しが人々の暴力への感覚を麻痺させるという二つの仕組みが暴力の源のように描いていると思う。
このあたりは大体の人が納得できると思う。
しかし、テレビのレポーターが銃を喜んで乱射することを描くことによって人はみな心に悪魔を抱いているとかみな罪を犯しているようなことまでを描いているが、このあたりまで来ると多少分からなくなってくる。
確かに暴力願望というのは誰でも持っているかもしれない、メディアと共に暴力への好奇心を募らせているかもしれない、しかし罪を犯す人と犯さない人は紙一重ではない。
もちろんある環境に置かれれば罪を犯さざるを得ないというケースはあるかもしれないが、やはりこの境界線には決定的な差があるのではないか。
そして、この映画が導く暴力に対しての答えが見えにくいと考えられる。
ストーンのことだからよくは分からないが、暴力を推奨しようという人はまずはいないだろう。
しかし嘘だらけの一生より純粋な一瞬を望むというようなセリフもあり、暴力を実行することこそ「生きている」人生であり、暴力を頭に留めておくことはまやかしのようなことも描いていた気がする。
この映画は「暴力」について考える一助にはなるが、これでは答えがないだろう。
しかも「暴力」に加えて訳の分からん「愛」まで持ち出してくるともうこれはちょっとお手上げ状態に陥る。
しかし中身のテーマ性はともかく、この映画を見てその映像の奇抜さに相当の衝撃を受けたことは事実。
その演出に果たして意味があるかどうかは置いておいて前半1時間はまさに驚きの連続だった。
後半は多少ダレルような気がした。特に暴動から脱獄に至る部分はやや平凡な創りという印象。
レポーター殺しは良かった分、この辺りはもっと何とか出来たような気もする。8点(2005-01-06 01:14:55)(良:1票) 《改行有》
3. ナイトメアー・ビフォア・クリスマス
日比谷にて「ナイトメアービフォアクリスマス」のデジタルリマスター版を鑑賞。
ヴィンセントやフランケンウィニーも上映されて中々の満足感が得られた。
このダークでファンタジックな世界観はやはり凄いと言わざるを得ない。
それに加えて、この設定でミュージカルをやってしまうという発想も凄い。
そして更に、日常の繰り返しにあきて、新しい世界や出会いに憧れるのが、普通の人ではなくてハロウィンのキングであるジャックというのがまたまた面白い。
ジャック達の勘違いクリスマス、化け物達が皆楽しそうに準備しているのがなんとも微笑ましい、一方で本気で怖がる実際の子ども達のギャップが良い。
そして、失敗に終わってもあっけなく、「あ~あ、やっぱりオレはオレなんだよな」と自分自身に素直に向きあうジャックの男らしさにサリーでなくても惹かれる。
市長のクルクル回る顔とかもなんとも言えずいいキャラで、サンディクローズもラストにおいしい所を持っていくのはさすがだな。8点(2004-10-24 23:15:42)《改行有》
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