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プロフィール
コメント数 3885
性別 男性
年齢 53歳

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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  日本のいちばん長い日(1967) よくこれだけのキャストを集めたなあ、という大作ですが、影の主人公は「時計」でもあります。玉音放送までの24時間、作中では何度も時計が映し出され、時刻が言及されます。着々と進めれらる、「敗戦」への準備。前半だけでも十分にスリリングで面白いのですが、後半は一部の軍人の暴走が描かれ物語はますます加速の一途、これほど手に汗握る緊張が漲った作品も、なかなかありません。もう、誰が正しいとか間違ってるとか、そんな事言ってられる事態を通り越して(もはや取返しがつかないにも程がある、という事態なのだから)、登場人物たちの必死さや焦りに、息を飲み圧倒されます。今の目からみたら狂気としかいいようのない暴走軍人たちも必死なら、NHKの加山雄三だって必死だし、加東大介ですらも(あの顔で一応)必死。鈴木貫太郎首相だって、笠智衆が演じるからノホホンといい味だしてるけど、やっぱり命がけには違いない。そんな中で、最も貫録を誇っている阿南陸軍大臣、演じるは三船敏郎、さんざん貫録を見せつけ、最後も壮絶な切腹を遂げるのだけど、この緊急事態を収めうる唯一の人物と思われた彼が、およそ何もせず、自殺というトンチンカンな行為に逃避してしまうその様は、何とも皮肉です。それにしても、何と多くの人たち、想像するのも困難な数の人たちが、死に追いやられたことか。これだけの犠牲を払った末に、かろうじて成し遂げられた終戦は、まさに一歩間違えば実現されなかったかも知れなかった、というのもまた、大きな皮肉。[CS・衛星(邦画)] 10点(2015-10-06 22:35:43)

2.  日本大侠客 《ネタバレ》 石炭積み出しに沸く明治の北九州・若松を舞台に、侠客・吉田磯吉の半生を描く。とは言っても、とても実話とは思えない点が多々あるのですが、フィクションで誇張された漢気が漲った、これぞ痛快娯楽作、という作品になってます。ユーモアもあれば悲壮感もあり、ホントに面白いんだ、これが。 磯吉オヤブンを演じるは、鶴田浩二。気が良くって無鉄砲、愛される存在ではあるけれど、身内からすれば頼りないことこの上ない。そんな彼の成長譚みたいなところもあって、いや、まあ、最後までずっと頼りないっちゃあ頼りないけれど、でも人間、こうやって周りから徐々に頼られるようになって、ジワっと成長していくもんだよね、というのが、よく出ています。 方言によるセリフがまた、何とも言えぬ人間味を感じさせるし、さまざまな人間が集まってくる港町らしく、さまざまな方言が入り混じる(関西訛りの役者たち)のも面白いところ。エキストラの動員により、町の雑多な感じや、殺伐とした争い、といったものも、映画によく表れています。 商売人としてはサッパリだけれど、舎弟たちに愛され、仲仕たちに愛され、大物オヤブンにも愛され、しかし藤純子演じるお竜との切ない関係があったりもして。その他、病弱なヒットマンとか、人が好さそうに見えて実は剣の達人のオッチャンとか、脇を固めるキャラクターも多彩で、それぞれが忘れ難い存在感を示しています。 そして、若松を牛耳ろうと企むハゲ親父・岩万こと内田朝雄との、深まる因縁。ラストはもう、殴り込みならぬ、討ち入り状態で、準備のために集結した主人公たちの姿が、どえらくカッコいい。激しい死闘、そして最後に鳴り響く銃声。シビレます。[CS・衛星(邦画)] 9点(2020-12-29 04:14:24)《改行有》

3.  肉弾(1968) たぶん、軍国主義というもの自体が悪なのではなくって、人間の愚かさが、歴史のある場面では軍国主義と結びついて大きな悲劇を引き起こした、ということなんでしょう。人間の愚かさというものは消えることなく、今この瞬間にだって、大企業病なり、地方自治の腐敗なり、あらゆるところにあらゆる形で結びついて存在し続けている訳で。ただあの大戦では、それがどれだけ大きな喪失と悲劇をもたらしたことか。その大きさが、「平均寿命」という簡単な数字で示せてしまう皮肉。 軍国主義のせいと単純に割り切って、過去に封印してしまい、あえて忘れ去ってしまう、それもまた人間の愚かさ。何も変わっちゃいない。ドラム缶に閉じ込められたまま、人知れず波間を漂い続ける、やり場のない無念と怒り。 一方ではまた、人間の生のひたむきさというものがあり、ほんのちょっとした幸せというものがある。我慢した後の放尿のような、ちょっとした幸せ。 ちょっとシュールで(しかしそのシュールな世界は、人間の愚かさが実際に過去に生み出し、今後もいつ出現してもおかしくない世界でもある)、ひたむきな生を、寺田農がまさに身体の極限をつくして表現しきっており、圧倒されます。[CS・衛星(邦画)] 9点(2016-09-18 08:23:41)(良:1票) 《改行有》

4.  日本侠客伝 チャンバラ映画ではない、任侠映画。健さんを始めとする登場人物たちは、敵をバッサバッサと斬り倒しまくるスーパーマンじゃなくって、命がけで相手に立ち向かっていく、生身の人間なんですね。で、任侠映画であると同時に、いやそれ以上に、この作品は青春映画でもあります。片思いも含めた、幾組かの男女の物語。それぞれに、相手への想いがあり、テレみたいなものがあり、その一方で信念を貫くと言えば聞こえはいいけど要するに破滅の美学みたいなものがあって。こういうのこそ、ロマンチック、というのです。[CS・衛星(邦画)] 9点(2015-10-06 21:38:58)

5.  忍者狩り(1964) 浪人と忍者との戦い、どちらかというと私闘に近い物語ではあるけれどもこのオドロオドロしい雰囲気、まさしく東映の集団抗争モノの一本ということができます。とにかく暗いのです。そして壮絶。近衛十四郎父ちゃんが、城を失い帰属を失った浪人、他藩のためにいわば傭兵として宿敵に挑む浪人の凄まじいばかりの執念を見事に演じてます、顔のクドさにも負けぬくらい濃い役どころで、ハマリ役と言えるのではないでしょうか。他の雇われ浪人とともに、お墨付き書を狙う甲賀忍者の殲滅に挑む、という物語、タイトルは『忍者狩り』だけれども、狩られるのはどちらなのか。忍者の首領は、闇のクランドとかいう、滅法強いメチャクチャ強い謎の人物。“魔人”と言ってよいでしょう。主人公は外様の浪人の立場、味方の理解も協力も乏しい状態で敵と戦わねばならないのだけど、相手はこの恐るべき“魔人”、しかも主人公にとっては個人的な恨みを持つ宿敵でもあるもんだから、主人公の姿勢にも鬼気迫るものがみなぎってくる。そしてついに二人が相まみえるクライマックスの死闘!! 虚無感あふれるラストまで目が離せない、とにかく凄まじい作品です。[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-04-12 00:17:25)

6.  日本侠客伝 浪花篇 《ネタバレ》 第2作は大阪が舞台。そこにふらりと現れた東京ことばの健さんが混じる。他の俳優陣の関西弁はなかなか巧みで、違和感がありません。一方でムラタ英雄は九州ことばだったりして、ローカル色にも微妙な色合いを付けています。 健さんがやや唐突に暴れ始めるのでちょっと驚かされますが、この乱闘は遠距離から舞台を広くとっての長回し撮影。これにも意表を突かれます。 ライバル組の妨害で人手が確保出来ない中、果たして無事に荷出しを終えることが出来るのか?という場面で、救いの手である労働者の一群が駆けつける。エキストラ動員による群衆シーンが盛り上げる。と同時に、そこから一気に宴会シーンに飛んで、プロジェクトの成功までをテンポよく一気に見せる。別のシーンでは誰も文字が判らずに手紙を読めずマゴつく場面があったりするなど、まさに緩急自在の演出です。 宴会の直後(というか被せる形で)ムラタが襲撃され、あとは健さんが殴り込みするだけか、アレ、ちょっと映画短くないかい?と思ってたら、殴り込みではなく、ここで鶴田浩二の登場が描かれる。いわば二段構成です。 ここからまたドラマは拡がって、結局、ハデな討ち入りっぽい展開にはならないけれど、ラストシーンの主役二人の後ろ姿は、降り積もった雪景色の中に描かれて、やっぱり、イイなあ、と。[インターネット(邦画)] 8点(2021-05-15 20:47:21)《改行有》

7.  日本暴力団 組長 もはやタイトルを見ても、ヤクザ映画であること以外は何もわかりませんけれども。関東進出を狙う関西の巨大組織と、関東連合会とが対立する中、横浜を舞台に、しがない弱小組織たちが代理戦争を繰り広げるオハナシ。 刑期を終え出所した主人公・鶴田浩二、彼が所属する浜中組は、件の関西大手組織・淡野組と手を組んでいたが、代理戦争が激化する中で組長が襲われ、組長は淡野組と手を切るように主人公に遺言を残す。この辺りのゴタゴタの中、準主役かと思われた菅原文太が早々に死んじゃうんですが、その代わり、淡野組が次のパートナーに選んだ狂犬のごときゴロツキ軍団、あるいは関東連合会が送り込んだヒットマンが、物語に絡んできて、なかなか巧みなストーリー構成となっています。代理戦争を演じざるを得ない、吹けば飛ぶような存在の彼ら。特にヒットマンとその妻のエピソードが、印象的です。もちろんゴロツキの首領・若山富三郎も存在感を見せつけてくれますけれども。 まだ60年代の作品で、鶴田浩二の品の良さ、ってのは確かにあるんですが、そういう任侠テイストの一方で、後の実録路線を彷彿とさせるドキュメンタリタッチの部分もあって。だから、一種の「滅びの美学」ではあるのですが、キレイな「滅び」じゃなくって、もはや「破滅」の美学ですね。そういう、痛みを伴って心にしみてくるような泥臭さが、ここにはすでに兆しています。[CS・衛星(邦画)] 8点(2019-09-01 21:04:45)《改行有》

8.  日本侠客伝 雷門の血斗 舞台は浅草、演劇の世界。健さん演じる主人公も演劇一座の興行主。え~ヤクザ映画じゃなかったの~というところですけれども、一座の前身はヤクザであったりして、はたまたそこに別のヤクザ一味の嫌がらせがあったりして、ちゃんとヤクザ映画路線になっていきます。これがアリなら「健さん演じる自治会長」とか「健さん演じる校長先生」とかでも日本侠客伝になりそうですが、いやいやいや。やっぱり演劇の世界を描いてこそ、本作の魅力があるのですね。少なくとも、本作の魅力は、主演の健さんよりも(実際、少し影が薄い気も)、脇を固める役者さんたちにこそありそうな。妙にツヤツヤした顔で朗々と浪曲を披露する村田英雄、まさにこれこそが「芸」だぜ、と言わんばかりのツヤツヤ顔。ほんとツヤツヤ(笑)。藤山寛美が意外にも重要な役で登場し、まあこの出演は寛美さんの破産と松竹解雇によるものかも知れませんが、いずれにしても、(多くの場面では目立ち過ぎないように控えつつ)ここぞという場面では寛美節をさく裂させて、ああ新喜劇ならここで拍手が起こるところだなあ、と。そしてそして、一番いいところを持って行ったのは、やっぱり元ヤクザとしての凄みをチラリと垣間見せる島田正吾でしょうか。こうなるともはや健さんも出る幕無しか、というところですが、最後のたち回りではダイナミックにしっかりと魅せてくれる。実際、本作で割を食ってしまったのは、女優陣ではないでしょうか(あと、長門裕之ね)。男の色気、芸の色気。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-11-22 16:19:36)

9.  日本侠客伝 花と龍 「花と竜」を日本侠客伝の世界に取り込み、一介のゴンゾウだった主人公がやがてオヤブンになっていく、大河風の内容で、このジャンルの作品としては2時間弱とちょい長め。特に下積み時代の主人公を描く前半は、コミカルで明るい雰囲気です。主人公のタマキンがやたらと出来過ぎクンなんですけれども、健さんが演じれば、何となくイヤミが無いんですね。彼を招いたゴンゾウ仲間が二谷英明っても、一見違和感があるけれど、その後の展開を見れば、なかなかうまい配役。最初は主人公をやさしく見守るような立場で、後半主人公へそっと想いをよせる藤純子、ここが演技の見せ所とばかりムズカシイ表情を見せる場面もあれど、最後は晴れやかな表情なのが、イイんですね。モテる男とモテる女の組み合わせ、ちきしょー憎いね、と。[CS・衛星(邦画)] 8点(2015-10-25 09:53:55)

10.  日本侠客伝 斬り込み 《ネタバレ》 一介のしがないやくざ者が、テキ屋を束ねて一家を構えるまで、みたいなオハナシなので、なかなか壮大と言えば壮大ですが、概ねいつも通り、でしょうかね。 ただ、健さんが子連れの男やもめ、ってのが、ちょっとした意外性。で、持ち前の生一本な性分から、最初は結構、無茶ばかり言ってるところがあるのですが、会うヒトにも恵まれて、運命の歯車が回り出す。 金子信雄までがイイ人だなんで、ちょっとショック(笑)で、これで渡辺文雄までイイ人だったらどうしよう、というところですが、一応ワルい人だったので安心しました。 長門裕之は、なんとも「らしい」役どころ、関西出身ということもあって、関西弁のセリフ回しも完璧ですが、早口なのでちょっと聴き取りづらいかも。 「斬り込み」というサブタイトル。冒頭にも殴り込みシーンがあるけれど、もちろんクライマックスにも。 とは言え、この映画の主題は、家族愛。ファミリー映画ですねー。[インターネット(邦画)] 7点(2022-06-11 10:26:37)《改行有》

11.  にっぽん泥棒物語 松川事件を基にした、半分社会派、半分喜劇、といった感じの作品。 主眼は、泥棒(というか、元泥棒)である主人公が裁判で証言する場面、ということになるのでしょうが、あくまでその描写は終盤に絞り、主人公の半生のあれやこれやが描かれてます。 なので、このオハナシは一体何処に向かうんだ?という感、無きにしもあらずですが、そこまでで描かれてきた主人公の人柄、あるいは人となりが、最後の裁判シーンで絶妙に活きてきます。裁判を取り上げた映画はいくつもあるでしょうけど、こんな楽しい裁判は、貴重です。 方言を駆使したセリフ回し、正直、ここまで訛がキツいと聴き取れない部分もあるのですが、それでもやはり、方言の強さ、というものを感じます。[インターネット(邦画)] 7点(2021-12-19 13:29:01)《改行有》

12.  日本女侠伝 侠客芸者 《ネタバレ》 藤純子演じる芸者さん、威勢よく啖呵を切って見せたりもするけれど、さすがに「侠客」ってなことはなくって、それはどちらかというと健さんの役どころ。侠客&芸者、です。 無論、芸者さんなので、男性客をもてなしてナンボ、のところはあるのですが、一方で理不尽にははっきりノーと言い、それも常人離れした格闘能力がある訳でもなく、皆で力を合わせて相手の横暴に立ち向かう。かつてのウーマンリブ運動を見るようでもあります。 その一方、健さんはというと、こちらは弱小企業が悪徳大企業に押しつぶされようとするのに必死で立ち向かう、その先頭に立っていて。 いやがらせの数々を何とか耐え忍ぶも、ついに一線を越えて犠牲者が出たことから、健さんの怒りが爆発。このテの映画の定番、殴り込みとなる訳ですが、ここでもやっぱり、死地に赴くのは男であって、女の姿はそこには無い。男は気前よく死んでみせ、女はただ、芸者の身のままで悲しみに耐えるしかない、という、今見りゃ、ちょっと古風過ぎるオハナシで、フェミニストの皆さんからはブーブー言われそうな内容なんですけれども、でもラストで、悲しみに耐えつつも強く生きていこうとする、いや強く生きていかねばならないからこそ悲しい、そんな表情を湛えた藤純子が、イイんですねえ。鮮烈な印象を残します。[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-11-25 21:46:53)《改行有》

13.  日本海大海戦 日露戦争の開戦から、旅順港封鎖作戦、黄海開戦、旅順攻略を経て、東郷大将率いる連合艦隊とロシア第二・第三太平洋艦隊(いわゆるバルチック艦隊)とが激突した日本海海戦までを、まあ言って見れば再現ドラマを交えたドキュメンタリー番組みたいに語っていきます。日本海海戦を描いた記録文学としては吉村昭「海の史劇」などが圧倒的な描写でその戦況を描き切ってますけれども、この小説が書かれたのよりも、本作の製作の方が先。精巧なミニチュア撮影を駆使しての迫力ある映像に、矢島正明さんの説得力ありまくりのナレーション、そりゃ盛り上がろうってもんです。表向きは、明るく勇ましくいささか素朴な音楽にも見られるように「我らが日本海軍!」というイケイケムードですが、一方で、未曾有の大航海を成し遂げた末に敗れ去ったロジェストベンスキー中将の悲劇なども描いていたり。とまあ、ドキュメンタリー番組を観る気持ちで見たら、確かに面白いのですけれども、経緯を語る、ということに力点を置いている分、焦点が定まらないというか、淡々と先へ進め過ぎるというか。例えば「船が沈んでいくこと」そのものの持つドラマを、もうちょっと描けなかったものか、とも思います。あと、海戦はミニチュアを交えてダイナミックに描く半面、陸戦はどうも迫力が出しにくい。ある程度エキストラを集めて撮影してるんですけれども、広大な荒野を舞台にしては、どうしても、こじんまりした印象になってしまいますが、極力、遠方にも人を配置して撮影しているのは、限られた人数でスケール感を出す工夫なのでしょう。でももう少し頭数が欲しい…。[CS・衛星(邦画)] 7点(2014-07-17 23:02:54)

14.  ニッポン無責任時代 一言で言えば、「元気な映画」ですよね。「現金な」でも結構ですが(笑)。歌って踊る植木等の活きの良さ、調子良さには観ててつい頬が緩むし、大胆でちょっと雑なカット割りなども、むしろ楽しかったりします。元気で、動きに満ちた映画。この主人公、やってることは“周囲と比較すると”メチャクチャだけど、自分ではうまくいくと信じて、最後まで投げ出すこともなくすべてをやり切ってしまうんだから、別に主人公自身が「無責任」って訳じゃなく、むしろ、こんなヒトが大成功しちゃうこの映画のノリこそが、確信犯的「無責任」という訳なんでしょう。堅苦しい世の中において、「無責任」の楽しさよ。ところがところが、裁量労働・成果主義の現在から見れば、むしろこの主人公ほど優秀な人材はいない、ってなことになりかねない。世の中全員がこんなヒトばかりでは、困るんですが。ホントは、閉塞状況の中にあえぐ現在の我々が、この映画を観て感じ取るべきなのは、「多様性」ということの価値、なのかも知れません……。[CS・衛星(邦画)] 7点(2012-09-23 09:05:07)

15.  ニュールンベルグ裁判 長い映画ですが、惹きつけるものがあり、長さを感じさせずさすがと思いました。しかし内容的にはちょっと気になるものが。熱血弁護士を演じたマクシミリアン・シェルはオスカーを獲得しましたが、彼の熱弁は、映画の見どころの一つであるとともに、戦争のもつ矛盾や皮肉へと繋がっていく重要な指摘だと思って聴いてました。なのに映画は、この点を深く掘り下げることなく、「知らなかったじゃあ、済まないんだよ」ってなまとめ方しちゃって、単純化も甚だしいところ。他人事じゃないんだよ、明日は我が身だよ、わかってんの?と言いたくなります。さらにあんな後日談がついたんじゃ、映画のまとめ方としちゃ悪くないけど、戦争の何がこのオチで描けたんだろうか。「国家意識」と「個人の良心」だけで語ろうとしても、戦争の本性は決して暴けないんじゃないでしょうか。ま、しかし、昔の映画です。時代背景も考慮に入れて観るべき映画なんでしょう。ケチつけちゃいましたが、基本的にはいい映画だと思います。7点(2003-05-25 14:22:34)

16.  日本侠客伝 絶縁状 古風なタイトルですが、意外にこれが、現代劇。頂上作戦の頃でしょうかね。 主演はもちろん高倉健ですが、出演者クレジットのトメが藤山寛美。まあ、要するに、アレです、寛美さんが松竹新喜劇をクビになった不遇の時代・・・いや、復帰後にあたるのかな? 小島慶四郎も参戦して、東映でミニ新喜劇を繰り広げてます。 冒頭、主人公が刑務所で親分に面会する会話シーンからいきなり、マキノ監督らしいというか、カットを割りまくってますが、寛美さんの屋台前でのやりとりのシーンなどでもカットを割りまくると、ちょっとギクシャクしてくる。寛美さんが箸を持ったまましゃべってるのですが、カットが切り替わると明らかに箸の持ち方が変わってたりして、やっぱり映画俳優の方がこういうのは慣れてるのかな、とか。 内容が近代的になると、悪役も人相の悪い極悪オヤジではなく、いかにもクールで狡猾なイメージとなり、やっぱりここは渡辺文雄の出番です。このズル賢さを連想ゲームでも活かせていたら・・・。 いかにも好漢の主人公に、陰湿な悪役、一方ではユーモアも振りまいて、悪くない陣営だと思うのですが、今ひとつノレないというのが正直なところ。寛美さんはどうしても映画では浮いてしまうし、いくら健さんが好漢とは言え、正業を始めるやいきなり好調らしいのも、ちょっと安直に感じたり。 ラストの殴り込みまで、一通りは楽しめるものの、変化球的な作品の割に、全体的な印象としてはやや薄いように思います。[インターネット(邦画)] 6点(2023-06-24 09:19:26)《改行有》

17.  日本暗黒街 鶴田浩二演じる主人公、今ではカタギになってステーキハウスのオーナーやってるけれど、ある日、速水機関とやらのボス・藤田進に呼び出され、一回限りの約束で、下部組織の麻薬密輸のテコ入れを引き受けることになる。が事はそれだけで終わるわけもなく・・・。 ってオハナシですが、やっぱり鶴田浩二のド真面目顔はステーキハウスのオヤジにしか見えず、この顔で麻薬取引だの何だのと言われても、正直、違和感は拭えないんですけれども。ただ、まあ、金子信雄よりはスゴ腕のキレ者なんだろう、ってのは確かに、見れば充分伝わります。 こんな優秀な人材を組織が簡単に手放す訳もなく、一回限りの約束のはずが、深みにはまっていってしまう鶴田浩二。 内なる復讐心を胸に秘め、ついに鶴田浩二は組織の殲滅を図ることになるのが、お約束のクライマックス、なんですけれども、藤田組と金子組をタブらかして互いに戦わせよう、っていうズルさが、『用心棒』のミフネなら許せても、これが鶴田浩二だと「その顔で、なんて卑怯なんだ」と言いたくなってしまう。二枚目のツラいところ。 ズルくても何でも、その結果、クライマックスはしっかりと一大銃撃戦へと相成りますので、その辺りはご勘弁を。 という訳で、主役はもうちょっと二面性を感じさせる俳優さんの方が良かったのでは、という気もしますが(中国人役の安部徹はさらに似合わない気もしつつ)、一方で、西村晃は見事にハマリ役。主人公を慕いつつ、しかしついつい要らぬ事を仕出かしては主人公に迷惑をかけてしまう、まさに、疫病神そのもの(笑)。彼と主人公の何とも言えぬクサレ縁を目の当たりにすると、この映画の主役はやっぱり「面倒見良さげ顔」の鶴田浩二でよかったのかな、という気もしてきます。どっちやねん。[CS・衛星(邦画)] 6点(2019-07-13 09:34:00)《改行有》

18.  忍者秘帖 梟の城 原作は言わずと知れた、司馬遼太郎の直木賞受賞作。これ、“歴史モノ”というよりも“伝奇モノ”と呼びたくなる色合いがあって、何やらもっともらしく歴史上のお馴染みの人物名を織り交ぜつつ、内容的にはやや荒唐無稽とも言える超人的でハードな忍者アクションが展開され、なかなかにアヤシゲな面白さに満ちた作品なのですが(だと個人的に思っているのですが)。で、特にアヤシゲな感じを受けるのが例の“石川五右衛門”のくだり、一瞬ズッコケそうになるけれども、それでも司馬遼太郎が敢えてこのエピソードを入れたのは、歴史の裏で人知れず暗躍し人知れず去って行った名もなき忍者が、ここで突然、その名を知らぬ者無き“石川五右衛門”という名前に置き換わる、というインパクトを狙ったのか。それとも単なる悪乗りか(笑)。さてではこの映画ですが。「忍者秘帖」と銘打っただけのことはあり、また尺も短いため、歴史モノの要素は削ぎ落して(秀吉の人物像も正直、影が薄い)、忍者アクションに特化しています。一瞬とは言えワイヤーアクションまで登場し、妖怪映画みたいです。対決、死闘の描かれ方は、原作のもつ緊迫感に負けず劣らず、なかなかにトンがった演出でアピールしてきますが・・・・・・その結果、バタバタした印象ばかりが残ってしまうことにもなるのですが。[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-05-15 22:39:59)

19.  ニッポン無責任野郎 前回の主人公が「タイラ」だったから今回は「ミナモト」だなんて、そんないい加減な、無責任だぞ。いや、無責任なのは作品の趣旨通りでしたね。でもこの続編、特に最初の方では「これは無責任なんじゃなくて、積極的なサギ行為じゃないか」と心配になってくる。いや、これは映画の中なんだから、とアンチモラルを笑い飛ばす無責任な度量こそ、我々に求められるところなんだろうけれど、「心配になる」というのは、主人公の行動そのものより、「これは即席続編の常として、ネタ切れなんじゃないの、脚本が練れてないんじゃないの」という心配。実際、練れてないんじゃないですかね。ところどころスバラシイ迷言で笑わせてくれますけどね。また脚本が練れて無くても相変わらずカメラは踊っていて楽しいですけどね。前作ではもう少し主人公に“挑戦”の姿勢があり、また実際、困難にもぶつかったりしていたのが、今作では、意図も簡単に周囲の人間を手玉にとっちゃう、まるで操り人形。会社をクビになっても「何とかなるさ」と希望を語る訳でもなく、「クビですか、待ってました」みたいな感じ、単なる「ラストのオチに向けた準備」に過ぎない訳で。楽天的なのも、ある一線を越えると、もはや「前向き」とは言えず形骸化、どこか停滞感が出てしまう……。それにしても前作といい今作といい、この主人公をこれだけ見事に堂々と体現する役者は、植木等以外に思いつきませんね。[CS・衛星(邦画)] 5点(2012-10-07 06:52:30)(良:1票)

20.  2000人の狂人 《ネタバレ》 NHKの朝の番組を見てますと、よく、地方で行われたイベントなどがトピックスで取り上げられてたりしまして、これがまた参加者100人ぐらいのちっこいちっこいイベントだったりするもんだから、「オイオイそんなの全国ネットで紹介するか?」と呆れたり「NHKはどうやってそんなミニ行事のニュースソースを得たのだろう」と驚いたり・・・・・・。でまあ、そんなレベルの地方イベントをそのまま映画にしたような作品、でありまして、実に微笑ましい。田舎町のこじんまりしたイベント、それがこの映画のすべて(いや実際、この映画の中で一番目をひく存在、それは背景に映ってるエキストラのおじさんたち、かもしれない。映画の内容ばかりでなく、映画の撮影自体が田舎町の楽しいイベントの一環になっているように見えてしょうがない)。陽気なカントリー音楽に乗って次々に展開される殺戮の饗宴、って言っても被害者役のヒトがわーわーわめきながらトマトケチャップまみれ(?)になるだけだしなあ。人体損壊は市販品と思しきマネキン人形で見事に表現(独特の硬質感。笑)。恐怖「樽回し」なんて、なかなかのアイデアでちょっと感心しちゃったぞ。と言っても頭使ってるのはココだけ、という話もある。映画の音響効果はメチャクチャ。ハモンドオルガンをベースにしたBGMもまた、いかにもお手軽感あふれておりますが、主人公が脱出を図るあたりからはフルートやクラリネットもアンサンブルに加わり室内楽的な響きも楽しめる(でも安っぽい)。脱出経路に待ち受けるは「底なし沼だっ」(笑)。いいですねえ、底なし沼。恐怖映画の必須アイテムです。そしてこの底なし沼がラストシーンにつながっているのが心憎い。そうそう、ここでも頭使ってたな、このシーンも感心した(笑)。このラストシーンにおける、百年祭実行委員の2人の会話もなかなか秀逸です。 ⇒というわけで5点。「可も無く不可も無く」ではなく、「可だらけ不可だらけ、差し引きで」、という気持ちをこめて。[DVD(字幕)] 5点(2006-12-06 12:18:25)

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