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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. 2001年宇宙の旅 《ネタバレ》 「進化」という言葉はときどき耳にするが、目の当たりにすることは無い。それは比喩的に用いられることを除くと、我々が日常に使っている時間概念…「年」や「世紀」など…を超越したところで起こる生物の変貌だから。そんなものを描いているからこそ、本作は真のSF映画なのだとずっと思っている。宇宙に戦闘機が飛んでレーザー砲を撃つような作品とは次元が違うワンダーを秘めている。本作におけるヒトの進化は2段階に分けて行われる。猿人が道具を使う局面と、ボーマンがスターチャイルドになる局面。モノリスの役目とは進化の閉塞状況の打開だと思う。モノリスによって「道具」を与えられた猿人と月や木星宙域まで到達したヒトは、モノリス的な進化の系譜上では同レベル。そして、ボーマンを使ってモノリスは次の進化を提示した。HALの変心も一種の「進化」と解釈していた時期もある。進化には必然が必要なはずで、それがとても啓示的だ。つまり、現代のヒトは 「進化」の袋小路にいるという概念。それは私の実感だ。この100年ほどで急激に進んだ科学文明がどんなレベルに到達するかを見届ける前に私の寿命は尽きるが、このペースで技術が進んだ1000年後の世界に明るい未来を感じない。仮にあらゆるテクノロジーがとんでもなく進歩しても、それを操るヒトは何も変わっておらず、つまり「進化」しておらず、生物として幼稚なヒトとアンバランスに進んだ社会、というイメージしか持てないのである。スターチャイルドは、そんな閉塞概念に対するひとつの回答だと思う。随分と映画のレビューから逸れているが、何かを考える契機を与えてくれることも映画の機能だとすれば、それが最大限に発揮された作品が私にとっての「2001年」でした。学生時代から今日まで、もう何度観たか分からないし2001年も通過しましたが、今後も観るたびに現代や未来のヒトに想いを馳せることでしょう。[映画館(字幕)] 10点(2010-08-20 00:11:25)(良:3票) 2. 日本のいちばん長い日(1967) 《ネタバレ》 歴史ドキュメンタリーで何度も耳にした玉音放送「耐えがたきを、、、、耐え…」の直前にこんなドラマがあったことは知らなかった。今さらながらだけど、観て良かったと思う。日本人なら観ておくべき、とは言わないが、観て損はしない映画だと思います。国家が一丸となって臨んだ戦争を終わらせることの大変さ、特に「敗北」を受け入れることの難しさがよく伝わってきました。巨大な荷重がかかるテーマを受け止めるに足る東宝男優のオールスターキャスト。ほとんど全ての出演者が重要な役割を担っている。それが太く大きな流れとなって玉音放送本番へと繋がって行く構成に、タイトル通りの切れの良いまとまりを覚えます。明治時代から続く連勝が組織としての軍部・特に陸軍を肥大させて行った結果としての敗戦には、バブルが弾けたような印象を持っていましたが、今作ではその断末魔を観た想いです。勝手に個人賞を授与します。敢闘賞に黒沢年男、殊勲賞・笠智衆、技能賞・天本英世、審査員特別賞として小林桂樹、MVPは三船敏郎。[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-03-26 23:49:02) 3. ニッポン無責任時代 《ネタバレ》 無責任? いやいや、詐欺師みたいなものでした。同時にスーパーマンに見えなくもない。 この主人公、3回クビになりますが見返すために頑張る訳でもなく、ただ飄々と世渡りを続けます。精神と身柄の自由を優先している様はサラリーマンと云うより優秀なフリーターって印象でした。でも現代にいたらベンチャーの起業で成功しそうなタイプだと思いました。仕事をやらされているのではなく、ナチュラルなバイタリティを感じます。時代を先取りしたキャラだったのかも、ですね。 唐突に挿入されるミュージカルシーンが面白い。特に歌詞が出色。 個人的な余談ですが、サラリーマンを始めた最初の会社の最初の上司がいつも酒席で「俺らは辞表一枚でキッパリ別れられるキレイな関係」と言ってたことを思い出しました。[CS・衛星(邦画)] 6点(2016-03-28 02:39:15)《改行有》 4. 日本一の若大将 《ネタバレ》 過去2作では間の抜けた悪役に近かった田中邦衛がちょっと良い役回りになっていて、ラストの失恋シーンには同情してしまった。主人公は相変わらず屈託が無く、細かいことに拘らない、いい男。でも星由里子にだけは執着があったようで、好きと言われて急に元気になるノリが微笑ましい。最近は若い男性を草食系と肉食系で類別することが流行りだけど、この主人公は草食のお面を被った肉食系、という感じかな。[CS・衛星(邦画)] 6点(2009-09-30 01:34:15) 5. 日本の夜と霧 30年近く前に、自分がいた大学の学園祭の上映会で観賞。大学側が許可しなかった、オールナイト上映会を実行委員会が断行するという、ワクワクする環境。そのオールナイト上映の企画自体が、大学側に対する挑戦状みたいなもので、自分もそれに一枚噛んでいた。やってたんですよ、そんなことを。映画の内容は、その場に相応しいものだったと思う。一緒に観た周りの学生たちも、問題意識だけは人一倍強い奴らが揃っていたので感激しまくってたね。まぁ、自分も含めてですが。正直、ああ言えば、こう言い返す、という感じで何が正しいのかよく分からんし、だから夜と霧なんだよな、とみんなで納得していたような…。ワンシーン・ワンカットの映画があるとは聞いていたが観たのは今作が初めて。台詞をとちってもアングルがぎこちなくても、構わずにカメラを回し続ける様には演出以上にメッセージが込められているようで、迫力ありました。自分には思い出深い映画です。[試写会(邦画)] 6点(2009-08-10 01:50:02) 6. ニュージーランドの若大将 《ネタバレ》 ちょっと趣きが変わりました。主人公は前作からサラリーマンを始めまていますが、本作では学生気分が抜けた大人の感じです。何かをテーマにストーリーが展開するようなことはありません。これまでも無かったようなものだけど、社会人になってから競技としてのスポーツをやらなくなり、場当たり的なエピソードを連ねている印象が強まりました。どこへ行っても女性に人気の主人公、主人公の周囲の女性に片っ端から恋慕する青大将(田中邦衛)、ヒロイン(酒井和歌子)との三角関係、いきなり歌い出す主人公、云々。それらが単発で次から次へ。何度も見たシチュエーションです。でも、予定調和の至福とでも言うのか、終始ニヤニヤしている自分がちょっと不思議でした。親父役の有島一郎が前作に引き続き若い女の子(うつみ宮土理)に惚れて、再婚に反対する婆さんや妹夫婦を主人公が説得するシーンがあります。親父の恋心に対して、息子というより同性として応援の態度を取る姿勢に、すでに学生ではない主人公を感じました。結局は失恋する親父ですが、彼を慰めるため酒に誘うシーンなんてベタだけど心地良かった。酒井和歌子はショートカットがとても良く似合う。ニコール・キッドマン風のツンとしたところがヨロシイです。さらに、岡田可愛と中山麻里! 直接顔を会わせるシーンは無かったけど「サインはV」でライバルだった二人です。色々と見どころありました。[CS・衛星(邦画)] 5点(2011-03-01 21:41:17)
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