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1. NEXT-ネクスト-
《ネタバレ》 質などを総合的に判断すると点数は低いが、個人的にはそれほど嫌いな作品ではない。
その理由は、ニコラス・ケイジが出演しているからだ。
とはいっても、ニコラス・ケイジそのものが好きなわけではない。
彼の醸し出す胡散臭さが妙に本作の胡散臭さにマッチしているから、面白く感じられるのである。
もし、本作の主人公がマット・デイモンだったら、「ふざけんな」とブチ切れていただろう。
ニコラス・ケイジだから、「何でもあり」「破綻していようが何でも許せてしまう」という気持ちになれる。
しょぼい能力に見合うだけのチープなオーラを備えているので、彼はある意味でいい役者だ。
むしろ、彼を活かすために、もっとカッコ付けずに、なぜB級っぽく全体を演出出来ないものかと逆に怒ってしまうほどだ。
一般の観客には合わない作品だとは思うが、ニコラス・ケイジのB級テイストを感じ取れる人には向いている。
核兵器の爆発という大きなストーリーの割には、胡散臭い男を巡るFBIとテロリストの小さいストーリーに終わってしまう辺りが最高だ。
途中までは悪くなかったが、最後の銃撃戦が少々イマイチか。
肝心のクライマックスとしては、あまり納得はいかない。
さすがに分身するのはやりすぎだ。
冒頭の「カジノ脱出」を超えるような神業を披露して欲しかったところだ。
「こいつはスゲエ」「こいつは神だ」と思えるような動きを上手く演出できないものか。
その神業の行き着く先は、絶対に「分身」ではないだろう。
ニコラス・ケイジの余裕の動きと、それに必死に応えるFBI・SWATの連携を、微妙な違和感をもって上手く演出できれば、絶対に面白い作品に仕上がったはずだ。
議論が分かれそうな、オチや終わり方も個人的にはそれほど嫌いではない。
エンドクレジットが始まる前に、「この辺りで終わらした方がいいだろうな」と感じられたからだ。
あれ以上描けば、「蛇足」になってしまう。
このオチのために最後まで取っておいたのかもしれないが、途中でも「失敗する未来」をもっと多用しても面白かったかもしれない。
「死んだ」と思ったら、それは現実ではなかったという展開がもっとあってもいい。
「バンテージポイント」のように、要所要所で何度も何度も巻き戻されると、一風変わった映画に仕上がったのではないか。[映画館(字幕)] 5点(2008-05-05 14:54:44)《改行有》
2. ネバーランド
《ネタバレ》 この映画を観た人は皆ネバーランドに連れていってもらったんじゃないかな。
そう思えるほど素晴らしくかつ観終わった後充実した気分にさせてくれる映画を見させてもらった。
「想像力」と「信じる力」があれば誰でもネバーランドに行ける。
人生を楽しむことの素晴らしさや自分が失いかけていた純粋さのようなものを取り戻せたような気もした。
しかし単純にそれだけを描いたわけではない。
信じる力だけでは越えられない現実もちゃんと描かれていた。
どんなに祈っても病気という現実は変えられないし、どんなに願っても妻とのどんどん離れていく距離は縮まることはなかった。
結婚した当初は、お互い二人で夢見た世界は同じだったはずなのに、すれ違いによって一緒の世界が見れなくなっていく二人の関係は切なくて悲しい。
また、なんといってもデップの演技は光っていた。
子ども達との現実世界でのやり取りや、子ども達と遊ぶイマジネーションの中での世界は微笑ましい。
特にピーターを見つめる眼が優しかった。
ピーターと自分を同一視しているのだろうか、ピーター脚本による演劇の舞台をピーターが一人でボロボロにする姿をじっと椅子に座り見つめる姿にはバリがあの時何を思っていたのだろうかと色々と考えざるを得なかった。
そして、父の死で心を閉ざし、再び母の死で完全に心を閉ざしかねなかったピーターの「母さんが見えるよ…」と発したラストのセリフを導き出した彼の演技もまた素晴らしかった。
この映画に文句をつけるのなら、まずはダスティンホフマンの存在。
チョイ役に出演するなとは言わないが、ある程度重要なキャラクターなのではと思っていたのに
全く出番がない。今回彼が出演する意味はなかったのではないか。
少なくともバリに何らかの影響(子ども達を招待するという着想は与えていたが)を与えるキャラクターであって欲しかった。
そして中盤の多少の弛みは感じられた。
バリと妻、シルヴィアとその母、バリとシルヴィアの母、バリと子ども達、シルヴィアと子ども達といくらでも盛り上げることが出来る関係があるにもかかわらず、中盤は少し脚本や演出が押さえすぎられている気が感じられた。8点(2005-01-23 20:58:49)《改行有》
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