|
1. ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア
《ネタバレ》 人はいつかは必ず死ぬ。その「死」について前向きに考え、ただひたすら自分達の希望、夢に向ってひた走る二人の男の姿がとにかく微笑ましくて良い。それがこの映画をけして、暗くならずに悲壮感だけ漂うものにはしていない。死ぬ前に一度も見たことのない海を見たいと願う男とその夢に付き合うもう一人の男、この二人、病院で自分達の命はもう残り僅かだと知らされる。そんな二人が出会い、ただ海が見たい。それだけの為にとにかく突っ走る。「死」を描こうとするとどうしたって暗くなりそうな所がまるで無いのが良い。何一つとして説教臭さも無ければこの主人公の姿には悲壮感よりも「死」よりも「生」、今を一生懸命行きようというものが描かれていて見ていて気持ち良い。気持ち良いと言えばこの二人に終始、振り回されぱなしのマヌケな二人のギャング、このマヌケぶりも可笑しい。ボスからの大切な車で少年を引いてしまった後の少年へバナナを差し出すというアホぶり、マーチンとルディと一足遅れで銀行強盗に入ったり、その後も振り回され続けるギャング二人に銃を浴びせられ、車の後ろで隠れるマーチン、ルディの姿に、銃なんかでは死んではいけない。どうせ死ぬのなら好きな海を見て、死のうではないかという温かい視線もこの映画全体から感じられる。ラストの海を前に倒れるマーチン、その横で一人、海を見つめるルディ、この二人の姿に天国は待っている。海が二人を待っているとでも言ってるようで、正しく天国へのドアが叩かれた瞬間を見た気がした。[DVD(字幕)] 8点(2009-05-14 21:29:59)(良:1票)
2. のど自慢
《ネタバレ》 井筒和幸監督の作品では「パッチギ」は別格として、この作品も私は好きです。とにかく音楽の使い方が上手い。いや、上手いと言うよりも上手すぎます。中でも高校生の里香が姉の為に歌う「花」という曲には思わず観ていて涙が出そうになりました。妻子ある男性との間に子供を身ごもってしまった姉への妹からの励まし(応援)のメッセージととれる「花」、本当に良い曲です。その他にも竹中直人や大友康平が歌う「また逢う日まで」も良い。音楽って素晴らしい。のど自慢という一つのイベントから見られるそんな人情味溢れる人達ばかりのこの映画、傑作とは言えなくても何だか観ていて楽しい気持ちになるそんな作品として評価したいと思います。[ビデオ(字幕)] 8点(2005-07-24 23:00:21)(良:2票)
|