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プロフィール |
コメント数 |
211 |
性別 |
男性 |
年齢 |
34歳 |
自己紹介 |
日本は公開日が世界的に遅い傾向があるので、最近の大作系は海外で鑑賞しています。 福岡在住ですが、終業後に出国して海外(主に韓国)で映画を観て、翌日の朝イチで帰国して出社したりしています。ちょっとキツイけど。
Filmarksというアプリでも感想を投稿していますので、内容が被ることがあるかもしれません。ご了承ください。
これからも素晴らしい映画に沢山出会えたらいいなと思います。よろしくお願いします。 |
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1. ノクターナル・アニマルズ
《ネタバレ》 希代のファッションデザイナーの監督作ということで、構図や映像の美しさに納得のセンスを感じる一方、内容の方も示唆に富んでおり、なかなかどうして味わい深い一作である。
現実世界のイメージを投影した「夜の獣たち」を劇中劇として描いているのが特徴的だ。とはいっても入れ子構造など今となってはありふれた手法である。しかし個人的には、そこに存在する「ある違和感」が良いアクセントになっていると感じた。
つまり、なぜエイミー・アダムスではなくアイラ・フィッシャーなのか?
「夜の獣たち」は小説を読み進めるスーザンの目線で映像化される。そのため劇中劇のトニーはシェフィールドの投影、つまりジェイクの1人二役となっている。
しかし小説内のローラはどうだろうか。
定石では現実世界同様にスーザンの投影、つまりエイミー・アダムスが演じるのであろうが、まったく別の女優であるアイラ・フィッシャーが登場する。
さらにはエイミー・アダムスに意図的に似せてあるようだから不思議だ。
理由は明らかにされないが、適度に思案を巡らせる余地があって良い。
小説内の家族構成はスーザンがシェフィールドといた場合の姿ともとれる。思うにスーザンは、シェフィールドを選択した別のミライの自分をローラに投影していたのではないか。
ではスーザンは誰に自分の人間性を投影したのか。それはアーロン・テイラー・ジョンソン演じるレイ、つまり「夜の獣」ではないだろうか。
人は、自分にされたこと相応の態度で人に臨む。
スーザンは自分が他人に与えた傷を、客観的に顧みているのである。
以前シェフィールドはスーザンを「夜の獣」と呼んでいたということを踏まえると、スーザンはシェフィールドの思惑通り、レイに自分を重ね、トニーからローラを奪う理不尽さ・非情さを痛感したのだろう。
本作は復讐の物語だ。
映画や小説において復讐というと、大儀や正義を果たすための戦いや、血みどろの復讐劇を思い浮かべる。(英語で言う「アヴェンジ」「ヴェンジェンス」といった類か。)実際、小説「夜の獣たち」の中での復讐はそれに近い。
しかし作品内における現実世界での復讐はまた違った形をとる。
最愛の人に見限られ、非情な方法で見捨てられた者の声。
それは画廊に飾られた「リベンジ」の文字が示す通り、過去の遺恨に救いを求める出口のない不毛な感情なのだ。
レイを討ったトニーが盲目となり自らの身を滅ぼしたように、復讐を果たしたシェフィールドもまた、この負の連鎖を覚悟の上なのだろう。
若きシェフィールドを信じていたら、どんな未来が待っていたのか。
美しさと成功、はたから見れば全てを手に入れたように見える現在のスーザンだが、頼れる者もなく心は虚ろだ。
それは冒頭の裸婦(絵面キツイな)の世界とは完全に逆。一般的な理想とはかけ離れた醜悪さで、一糸まとわず文字通り持たざる者たちのなんと楽しげなことか。そんな裸婦たちも次のカットでは作者の演出によって殺害され息絶える。
シェフィールドとの未来を殺してしまったスーザンのもとに、待てども待てども彼は現れない。謝罪も精算も許されない。(そもそも劇中に現在のシェフィールドが一度も現れないので、小説自体が懺悔することしかできない彼女の妄想とも取れるが)
本作は復讐の物語であるとともに、哀しい愛の物語でもある。[映画館(字幕)] 7点(2018-01-11 14:02:21)(良:2票) 《改行有》
2. ノーカントリー
《ネタバレ》 正直コーエン兄弟の映画は全て制覇してないどころかあんまり観てない状態で鑑賞したけど、この「ノーカントリー」だけ観ても彼らが凄まじいストーリーテラーだということがまざまざと感じれる一作だった。突然小金を手にした少年二人がそれをめぐって言い争いを起こすシーンがあったが、もしカバン一杯の札束を大人が偶然手にしたとしたらどうだろう。その金をきっかけに追いつ追われつの殺し合いが始まる。ベトナムから生還した強みで勝機を見出したハンテッドとそれを追う純粋な暴力、さらにその後を追い、およそ常人には理解しえない「血と暴力の世界」に困惑する男。緊迫の追跡劇を通してメッセージを突きつける手腕は見事としかいいようがない。またこれだけ息詰まる死闘とヴァイオレンスが散りばめれらているにもかかわらず、その作風はどこかユーモラスでおかしさすら持ち合わせている。おかっぱアントンの恐怖を通り越した滑稽さとそれでもなお漂う圧倒的存在感や荒涼とした大地で繰り広げられる命がけの逃亡はもはや超一流の芸術作品のような品格すら漂わせる。まぎれもない傑作だ。[映画館(字幕)] 9点(2008-09-14 01:42:32)(良:1票)
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