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【製作年 : 1940年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. 恐るべき子供たち コクトーがナレーションをしているという概念からか、まるで詩の朗読を聴いているような心地よさと同時に目に飛び込んでくるもの全てが舞台劇っぽく映る。が、海のシーンや万引きシーンで突如「映画」が現れる。急に人物が背景に溶け込み開放感を得て、画面に動きが加わることで演劇的なものが映画的なものへと変化したように感じた。ここが唯一の健康的な場面だったかも。その後の泥沼はまた映画から舞台劇のような演出へ。さらに古典劇のような様相を増してゆきラストシーンにおいてそのピークを迎える。演劇と詩と物語を映像に乗せる。これが総合芸術。[DVD(字幕)] 7点(2009-02-27 15:22:32) 2. 小原庄助さん 《ネタバレ》 これまでの監督業で裕福になった清水監督は、戦後は松竹をやめて戦災孤児たちと山奥で共同生活をしています。海外で名声を得るという野心も抱かずのんびりと映画を作り続けるのですが、この作品はその当時に撮った作品になります。この「小原庄助さん」と呼ばれる男となんだかかぶってるなあと思いながら観ました。撮影所のセットではなく一貫してロケに拘ったところは、生活はのんびりであっても映画への本気度はますます盛んになっていたということなのでしょう。大河内傳次郎も実にのほほんと主人公を演じていて良かったが、ロケ撮影で得られる開放感があったればこその、のほほんさだと思う。何もかもを失くした主人公が二人組みの泥棒を介して自らに説教をし、身一つで出直そうと歩き始める。そこに・・・ちょいとうれし泣きさせてくれるエンディングが爽やかでした。[映画館(邦画)] 7点(2007-11-02 14:34:21) 3. 黄金(1948) ボギーの金に目がくらむそのわかりやす過ぎる豹変ぶりといい、ウォルター・ヒューストンの人生を達観したあまりによく出来た人間ぶりといい、ややキャラがたちすぎの感があるにもかかわらず、その両極端な二人の思考を少しずつ併せ持つティム・ホルトが、観客の視点を共有しながら二人の間を行ったり来たりすることで絶妙なバランスをとり、最後までハラハラさせながら見せてしまう。ということでまず断然、脚本が素晴らしい。そのうえでボギーのぎろっと鋭い眼光をうまく活かした負に導かれる人物造形のうまさと、ウォルターの陽気な高笑いを印象的に映し出した爽快な画によって、この作品は実に豊かな映画へと昇華した。[DVD(字幕)] 7点(2007-01-16 17:09:58) 4. 落ちた偶像 脚本がうまい。ベインズの、昔アフリカで人を殺したことがあるという冗談も、少年が高い所にある窓辺に立って婦人に叱られるのも、全て伏線となっている。冒頭でベインズが少年に対し「良い嘘もある」と話しているがこれも重要な伏線。うまい!うますぎ!!大人の嘘に合わせる嘘、秘密を守るための嘘、大好きな人(ベインズ)をかばう為の嘘、、大人の世界が解からない子供が自分なりに賢明につく嘘がベインズをどんどん不利にしてゆく。無駄が一切無いサスペンスであり、子供の心情を見事に描いた心理サスペンスとも言える。無駄が無いぶん、出来すぎ感も否めませんが。[CS・衛星(字幕)] 6点(2005-08-18 17:14:31)
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