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プロフィール |
コメント数 |
73 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
映画をいっぱい観るようになったのは、大学生になってから。 映画を創作できること自体とてもすごいことだと思うので、 なるべく誠意のあるレビューを書こうと思っています。 好きな映画のレビューだけ書こうと思っていたのですが、 ちょっと個性が埋没してしまいそうなので、おいおい酷評も 入れちゃおう。
☆好きな監督☆
黒澤 明 山中貞雄 溝口健二 エルンスト・ルビッチ フランク・キャプラ ビリー・ワイルダー アルフレッド・ヒッチコック ミロス・フォアマン チャン・イーモウ |
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1. 御誂治郎吉格子
これこそ弁士の名調子に酔いながら、「よっ!日本一!」などとスクリーンに声をかけつつ、大勢で肩を揺らしながら観るべき劇映画ではないでしょうか。とは言っても、こうした古き良き時代の雰囲気を、現在、体験出来る機会はまずないと言っていいでしょう。ですから、僕達には、本作の「本当の魅力」を知るすべはないのかも知れません。伊藤大輔、唐沢弘光の名コンビが生み出した傑作時代劇(チャンバラ)は、大部分がすでに消失してしまっていますが、そのほとんどが、弁士の存在を想定して創られたもの。そうゆう意味では、松田春翠氏の尽力によって発掘された本作にしても、もはや「幻の名画」と言えるのではないでしょうか。小津監督らの同時代のフィルムと比べると、「イドウダイスキ」、伊藤ー唐沢のコンビが生み出す画面は実に動的です。しかし、この激しいキャメラの動作(時に乱暴なまでに)が、決してアクションのみに奉仕しているのではないところが、この名コンビの素晴らしいところ。小津監督が、その静的なキャメラで、どんな現実をも受け入れていく「包容力」という心情を表現しているなら、伊藤ー唐沢コンビのキャメラは、自身を縛り付けようとする過去や、あるいは縛り付けるであろう未来に対して、徹底的に立ち向かう「意地」という心情を見事に表現しています。真逆のようですが、キャメラが心を表現するという意味においては、やはり共通点があります。伊藤ー唐沢のキャメラは、その激しさ故に、いつも僕に現実を打破していく「意地」のようなものを感じさせます。そしてこの心を読み解けば、後に彼が、男の意地をとことん描き出した『王将』(48)という傑作を世に送り出すという系譜が、実に納得のいくところとなるのです。八尾の朝吉さんは実に羨ましいのですが、未見の方は、ぜひ、松田春翠氏の活弁トーキー版ビデオでどうぞ。7点(2005-01-28 22:49:52)(良:1票)
2. 大人の見る絵本 生れてはみたけれど
《ネタバレ》 僕がまだまだ未熟だからなのかも知れませんが、やっぱり僕は戦後の小津作品より、このあたりの作品群の方が断然好きです。フィルム全体にみなぎるエネルギー。溢れんばかりの活力。これぞ活動屋の仕事というやつでしょうか。一体どうしたらこんなに無邪気で可愛く、そして活力のある描写ができるのでしょうか。素晴らしいです。子供同士が作り出す社会はそれはそれでちゃんと存在します。可愛らしくて、単純で、そして滑稽ではある。でも、そんな子供の目から見た大人の社会も、実に奇妙で、馬鹿馬鹿しく、そして子供以上に滑稽なもの。この見事な風刺。しかし、この風刺は恐ろしいまでに真理だと言えるのではないでしょうか。そして、そこには新しいとか、古いとかいう概念は存在しないのかも知れません。いつの時代でも変わらぬ、変えようのない真理。そうゆう意味では、本作が描いているのはあらゆる時代の「今」でしょう。そして、この映画にはそれを受け入れる包容力までもがしっかりと刻み込まれています。それが僕の一番のお気に入りのカット。つまり、二人の息子が情けない父親の姿を見て、「御飯なんかたべてやるもんか!」とささやかな抵抗を見せた後、庭でおにぎりをパクリとやるカット。親子三人同時にパクリとおにぎりを口に運ぶ。このたった一つのカットで、親は子を受け入れ、子は親を受け入れるのです。そして、人間社会の営みというものを受け入れるのです。「心」とは目に見えないもの。だからキャメラに写るわけはありません。でも、このカットにはしっかりと「心」が刻み込まれています。目には見えない「心」がキャメラに写る。映画とはそういうもの。何気ない日常という現実の中で、見逃してしまいそうな「心」をキャメラが写し取る。このカットこそが、いわゆる「小津調」というものではないでしょうか。間違いなく普遍的価値を有した傑作だと思います。9点(2004-12-25 00:19:52)(良:2票)
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