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1. 白痴(1951)
黒沢はストーリーテリングのうまいエンターテイメントにその真骨頂があり、ドストエフスキーのような人間存在そのものを描くような作家とは方向性が全く違う。
それだからこそ、ないものねだりで、こういうものを手がけてみたかったんだろうな、と思わせる作品。
特に、溝口や小津という黒沢の先輩格の巨匠が人間存在に迫る作品で高い評価を得ているので、そのまねをしてみたかったのでしょう。
自分にもそういうものが作れるんだということを証明するために。
でも見事に失敗しました。[映画館(邦画)] 4点(2016-11-20 22:33:53)《改行有》
2. 晩春
いい映画だなー。つい何度でも見てしまうMy BESTの小津映画。
ファザコンの家庭生活に甘んじて、外の世界へ一歩踏み出せない娘と、
娘との生活に慣れすぎていたことに気づき結婚を契機に互いの自立を促す父。
この作品は原節子の小津映画初出演になるが、小津の原によせる愛情が満ち満ちたような作品で、前から、斜めから、お尻から撮るだけでなく、起きている顔、寝ている顔、笑い顔、愛想のいい顔、からかうような顔、澄ました顔、不機嫌な顔、冷たい蔑むような顔、
嫉妬に駆られた顔、穏やかな顔、と実に貪欲に原節子を丸裸にするように撮っている。
原節子もよく小津の要望に応えたというべきで、従来の単なる笑った美人女優から大きく脱皮して、
多面的な要素を含んだ一個の人間としての役柄を好演している。それを周りの役者ががっちり支えているのも素晴らしい。
結婚前の旅行で父が娘に説く場面は、ちょと説教臭くて、この映画の唯一のキズだが、全体的に気持ちよく感情移入のできる映画で、
「東京物語」のように立派すぎないところもまたいい。[映画館(邦画)] 10点(2015-09-21 23:46:05)《改行有》
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