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1. ハード キャンディ(2005)
《ネタバレ》 出会い系サイトで知り合った写真家と14歳の少女。男は甘い言葉で少女を誘惑するが、すべては偶然を装って仕組まれた少女の罠だった。
復讐劇というほど目的に定まりもなく、むしろどちらに正義があるのか、行ったり来たりの曖昧な浮遊感が漂う。一枚の写真のような単色な空間と、奥行きを欠いた時間。閉ざされた回路の中で増幅していく男の罪悪感は、普段被写体を切り取る側の写真家が、逆に写真によって切り取られていくような痛みだろうか。彼の平穏は少女によって激しくかきまぜられ、徐々に秘められた記憶が浮かび上がってくる。
一見、残虐性を売りにした映画のようにみえるが肉体的な描写はあまり強調されていない。銃声が鳴り響き、ナイフが握られ、首にきつくロープがかかるものの、終わってみれば「下の毛しか剃られていない」みたいな肩すかしには閉口させられる。何か起きそうなのに何も起きない。繰り返されるのは根拠のない痛みの拡大と縮小であって、見えない敵と戦わされているようなある種の脱力感ばかりが募る。[DVD(吹替)] 5点(2016-08-11 09:13:01)《改行有》
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