みんなのシネマレビュー
なんのかんのさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 2336
性別

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

評価順12345678
投稿日付順12345678
変更日付順12345678

101.  パーフェクト・ワールド 少年に銃を拾わせ自分に狙いをつけよと言うブッチ、ラストの伏線でもあるが、少年にとって不意に「父」のようなものが目覚ましく現われた瞬間でもあって、ここから逃げ出す早朝の感じなんかいい。伏線と言えば、動き出した車の前でブレーキをかけるまで動かないのもそうだ。そういうふうにシナリオを組み立ててるんなら、「あそこ」でピッと決めて終わりにしちゃえばいいのに、なんかこの人の映画はいつもちょっと長い。そのあと原での向かい合いが続く。退屈はしないんだけど、なんか着地後に演技してる感じ。ローラ・ダーンは必要あったのか。[映画館(字幕)] 6点(2011-02-18 13:24:17)

102.  パリ、テキサス この人の映画は、その映画に必要とされる時間よりいつもちょっと長すぎるみたいな気がして若干苦手、ロードムービーとして風景を眺めている時間が長いからなんだろうか。曇天に夕陽のシーンなんか、実に美しいけど。話としては、父を演じ直そうとする男の物語。フワフワと歩いていってしまう男、飛行機には乗れず、同じナンバーのレンターでないと駄目、という人。靴はいつも磨いて揃えておく。子どもがだんだんなついていくところに一応スリルがある。8ミリもいい。かつての良かった時。息子は水槽の脇から画面と父を観察している。銀行から赤い車を追うサスペンスもある。ナスターシャ・キンスキーが出てきてからダレたか。それぞれの嘆きが、分解してバラバラに散っていってしまうようなテキサスの風土。[映画館(字幕)] 6点(2010-12-09 10:32:15)

103.  幕末 時代劇と歴史劇のあいだで困っているような映画。史実にのっとって吉永小百合は「眉そり・お歯黒」で出てくるが、やっぱり現代人にはヘン。明治の観客というのが存在すれば、「なかなか正しくやっておる」と満足するかも知れないが、時代考証というものの精度は適当にだんだん崩していってもらわないと、時代劇になり切れない。いっそ『バリー・リンドン』みたいに歴史に徹底してみれば、その「ヘン」が味わいにもなるんだろうが、暗殺のところは時代劇的にくどく、瓦を這いのぼったり、手のアップがあってズルズルと滑ったりと、歴史劇とは言えない雰囲気。竜馬って史実では即死だったんだろ? 酔ってヌルヌルと斬る感じとか、左手だけでのチャンバラとか、全体、見せ場は「時代劇」している。明治の歌舞伎でも同じような問題はあって、江戸時代の芝居は荒唐無稽すぎたということで、史実にのっとった「活歴もの」ってのがさかんに作られたが、その多くは消え去り、現在は「荒唐無稽」なものが残っている。映画も同じ悩みを経て、しかし「マゲもの」というジャンルそのものを衰退させてしまった。賀津雄君のまんじゅう屋の悲憤なんてのは良かったな。やっぱこの兄弟は陽と陰の対象を見せてほしい。後期の錦ちゃん、力んで暗くなっちゃうんだ。[映画館(邦画)] 6点(2010-11-23 09:54:15)

104.  バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト アタマで家庭人(父)としての主人公を見せてから、自分の世界に引き入れていく。捜査の最中に真剣に話し込む野球賭博の場なんかリアリティ。そういうドキュメント的な面白さでいくのかと思っていると、後半で突然遠藤周作的なテーマに転調する。そこのつながりに滑らかさが感じられないのは、監督がその落差をこそ見せたかったのか、それとも宗教と無縁のこちらのせいなのか。それほどイタリア系にとってはカトリックってのが根深いものではあるのだろう。次第に賭博にはまっていく経過はよく分かる。次は勝つ、という気分。テレビつけるとスリーランホームラン打ったところで、ヨシッ、と思って見続けると、それは11-0が11-3になったところだった、なんての。別に賭けてなくても、そういうときの気分って分かるな。無免許運転娘の場もねっとりしてて リアル。刑事のやくざな日常のリアリティに対してカトリック信仰の葛藤のリアリティがもひとつ迫ってこないのは、ほんと、演出のせいか宗教鈍感症のこちらのせいか、あるいはやくざ刑事に似合い過ぎてるハーヴェイ・カイテルのせいか、分からない。[映画館(字幕)] 6点(2010-09-27 09:55:42)《改行有》

105.  パリ空港の人々 《ネタバレ》 空港に閉じ込められた彼らこそ国籍から自由になり、外の世界の人々こそ国によって監禁されている、ってなところにまで踏み込むのかと思っていたが、そこはシャンソンの国、アンゲロプロスの国境とは違う。でもラスト、身分証も金も持たず「他国」に踏み出していく勇気に希望がある。テーブルの上で予告された小さなパリから、やがて本物のパリの夜景に展開するとこがまあ見せ場なのだが、このパリは何なのだろう、郷愁か。だとするとやはり閉じ込められていた彼らが「不幸」だったということになる。そうじゃなく、あの夜景は幻想の故郷と見てそれへの訣別ととればいいんだな。外に出た彼の前には無機的な自動車道路が広がっていて…。[映画館(字幕)] 6点(2010-06-17 12:00:34)

106.  800 TWO LAP RUNNERS スポーツと青春。登場するのはモーツァルト型とサリエリ型。この「悩まない」モーツァルトのほうの青春が生き生きしていてよろしい。サリエリが「あいつ尊敬してんだ、何にも考えないで本能だけで生きてるだろ」と、海岸で妹と遊んでいるモーツァルトを遠くに見ながら言う。サリエリを捉えるときに、ロングでゆっくりとしたクレーン移動が好んで使われ、とりわけグランドで脚の悪い少女との場は美しい。ハードル女史と屋上での待ち合わせ、背後に巨大な飛行船のようにゆっくりと国立競技場が浮遊してくる移動もいい。スポーツ選手にはスポーツ選手としての固まった人生コースがあり、その中で走らされているという窮屈感があるのだ。そのコースから外に出ることの恐怖は、ときに死を招いたりもするぐらいなんだな。スポーツものにしては珍しく曇天を選んで撮っている。たまたまかも知れないが、意図したのなら立派な選択。走ると空が大きくなる、と言っていたが、それが晴れ渡った空とは限らないわけだ。ラストは実際にワンカットで800を走らせていた。たしか市川監督の『東京オリンピック』でも、800をワンカットで撮っていたと記憶しているが、違ったかな。[映画館(邦画)] 6点(2010-03-17 12:02:21)

107.  バットマン・フォーエヴァー 一作ごとに悪役の魅力が減じていた。あるいはゴッサムの市民の恐れおののいている気配が薄れてきてしまっている、ということ。躁病的な悪漢という一線は守っているが。ジム・キャリーに凶々しさを見る目のつけどころは悪くなかったが、「狂った馬鹿」の怖さには至っていない。トミー・リー・ジョーンズは、善悪二面、コインの裏表いうキャラクターがあまり生きていない。全体この作品で敵に必要なのは「悪」よりも「狂気」の魅力なので。正義の味方ってのは、見知らぬ他人のために働くわけで、だからマスクをして個性を隠し抽象的な存在にならなければならないのか。そして抽象的な賞賛を受け、本人は孤独ってところに、かっこよさがあるのかも知れない。でもスーパーマンは素顔だったなあ、素顔なのに気づかれないことになっていたなあ。眼鏡掛けただけでクラーク・ケントになってた、ってのも考えればすごい。[映画館(字幕)] 6点(2010-03-01 11:58:52)

108.  裸の大将放浪記 山下清物語 こういう人物を演じた上での笑いというのは難しいと思う。下手すると山下清を見下した笑いになってしまう。たしかに観客は幾多の山下の失敗を笑うわけだけれども、笑いのポイントはその失敗に対する彼のヒョウヒョウとした応対に対しての場合が多く、見下してはいなかった。また失敗を笑うこと自体が即差別かと言うとこれまた難しい問題で、そういう笑いの中にも小さな驚きを秘めた感動が同居している場合もあるのだ。そんなことをあれこれ考えさせられただけでも、貴重な映画だった(つい“障害者の映画”というジャンルでくくって構えてしまうこと自体、差別につながるかもしれないんだけど、でもどうもすんなり観られず意識してしまう困った性格)。監督の設計もあるだろうが、役柄をすっかり手に入れている芦屋雁之助のうまさに安定感。高松宮をスリとダブらせるなんて反骨精神も見事である。ラストの歌、そのものはまあダサいのだけど、山田典吾監督による詞の「天国は空にあるのではなくて地の中にある」というのが力強い。[映画館(邦画)] 6点(2010-01-13 12:04:32)

109.  八月の狂詩曲 このおばあさんに与えられているのは、ものごとをドロドロに煮込む力である。世界を記憶という鍋の中で輪郭のないスープに変えてしまう魔女。とかく現実社会の中で弱者として描かれる老人像を引っ繰り返して、半分だけ幽界に溶け込んでいるような微妙な存在に仕立てている。子ども部屋の外の廊下の暗がりに、猫背でスイカの盆を持ちボーッと立っているシーンなど凄味がある。老人は“忘却”を積極的なエネルギーとして使用し、現実をそれを超えた世界にまで持ち上げようとする。しかしここに「原爆を忘れてはいけない」というメッセージが飛び込んでくるのだ。忘却の鍋の中に溶かし込んではいけない歴史があると言う。もちろんそれは圧倒的に正しいのだけど、そのメッセージがおばあさんを通して訴えられると、彼女の位置がはっきりしなくなってしまうのだ。彼女の忘却のエネルギーが一方的に「原爆」に屈伏させられたようで、物足りない。原爆の問題をいっそ一度鍋の中を通過させられたら、まったく新しい観点からの原爆映画が生まれたのではないか。彼女の口からナマなメッセージを出さずに、そのメッセージを通過させる装置として機能させられなかっただろうか。彼女はラストで物狂いを見せ、どこか別の世界へ駆け込んでいく(黒澤映画における重要なモチーフであった物狂いの最後のもの)。だがこれは現実を超えたのではなく、原爆というあまりにも重い現実に屈伏させられ、固定された記憶の中に封じ込められていくようにも見えてしまうのだ。[映画館(邦画)] 6点(2009-11-25 12:19:06)

110.  ハッピーフライト(2008) この監督には岡本喜八に近いリズム感があって(とりわけ初期の『ひみつの花園』や『アドレナリンドライブ』)、後継者を期待してるんだけど、今回はあんまり弾んでなかった。そのかわり伊丹十三の「世の中のものごとの構造への興味」的な面白さがあった。つまり職場としての飛行機とはどんなものか、という興味。今まで映画で飛行機が出てくると、たいていパニックの舞台としてで、そうでない普段の飛行の裏側にも面白いドラマがあるんじゃないか、とスーパーの裏側を探査する興味と同じように見てみる。その姿勢でラストまでやった方が良かったんじゃないか。乗客には気づかれないように、次々と起こるトラブルをいかに関係者が処理していったか、そして何事もなかったようにホノルルに到着するまでの映画にしたほうが、面白かったんじゃないかな。それだとドラマとして盛り上がらないのではと心配し、つい中途半端に小パニックを入れたために、映画そのものが小さく縮んでしまった、そんな気がする。コックピットのいろんな操作や飛び交う用語、飛行機に詳しい人が見れば、いちいち面白いのかもしれないなあ、とは思った。[DVD(邦画)] 6点(2009-09-29 12:07:07)

111.  陪審員 《ネタバレ》 一応説明はついていたけど、マフィアの下っ端にサイコ野郎がいるってのは、どうもしっくりこない。これは悪に関して考えられ得る対極のものではないか。徒党を組んで社会に背を向けるのと、他人の家を監視し続ける熱意とは、反社会性と非社会性で、同じ法律違反であっても全然種類の違うものだろう。犯罪映画としてトーンの統一が、しっくりいってなかった。男がゆっくりと本性を現わしてくるあたりが、やっぱり怖く、表情が同じのままなのがいい。ヘラヘラふざけながら車を運転し、息子の自転車に迫っていくところ。表決が討論によってしだいに逆転していく経過は『十二人の怒れる男』のパロディとも言える。こういうのの最後は「どうして僕の愛を分かってくれないんだ」と“かわいさ余って憎さ百倍”で迫るのが段取り。グアテマラロケは観光映画的な気分の拡散があって、あまりいいアイデアだったとは思えない。[映画館(字幕)] 6点(2009-08-21 11:58:15)

112.  バンク・ジョブ 《ネタバレ》 せっせとトンネル掘ってるまでは新鮮味なく既視感いっぱいだったが、無線が傍受されるあたりから面白くなる。ドラマ全体が活発に動き出す。警察のほうの救急車を使った罠も、ちょっとしたしくじりによって助かったり、などのくすぐりも楽しい。ごちゃごちゃもつれあった全体像が、だんだん整理されていき、立場上の善悪ではなく、別の倫理によって善玉と悪玉が左右にきれいに分かれていく。マフィアとコソ泥、法律の上では同類でも映画の世界では違うのだ。警察側も左右に分離し、善玉悪玉が再編成されていく。ここらへんの駅のシーンに向けた展開が醍醐味だった。ただしもっとカラッとしたトーンで押し切ってほしかったのに、後半いささか陰惨さが強まるのが、マフィアがらみだから仕方がないとしても、じめつく。[DVD(字幕)] 6点(2009-08-17 11:56:15)(良:1票)

113.  万事快調 72年かあ。共産党と新左翼の離反、なんてモチーフが懐かしいところ。まず食肉工場のストライキだ。窓の外の暮れていく気配と部屋割りは、さながら『ロープ』と『裏窓』。経営者が戯画化されて語っている「資本主義ばんざい」の言説は、今では戯画化すらされず、もっともらしく語られるようになったわけだ。このセットの横移動はそれだけで楽しいもので、ラストのスーパーマーケットと対比されるのだろうが、労働者の側もばらばらになってるという感じでもある。妻のストに協力的でない夫というのが電話のシーンでスケッチされたり。工場の場が閉じ込められていたのと対照的に、スーパーは広く、外から新左翼は突入してくる。共産党のパンフレットを安売りしてるのもおかしい。手前を走ったり、奥のほうを走っていったり。で二度目の横移動で略奪が始まり、機動隊も入っている。これは本当に楽しい。身近な場所が混乱していく興味、ってこともあるんだろうけど、この滑らかな変化ってのが大事なんだろうな。横移動というものは、異質のものを滑らかに連続させてしまうんだ。[映画館(字幕)] 6点(2009-07-23 12:03:36)(良:1票)

114.  バードケージ オカマコメディってのには、微妙にいらつかされる。これってテレビなんかのオカマタレントにも通じるもので、差別だ偏見だって言われるとそれまでなんだけど、何と言うか、自意識過剰ぶり、チヤホヤされたがり、が引っかかる。男社会が「女性的なもの」として抑圧してきたモロモロを臆面もなく噴き出しているんだから、男社会への批評としては意味があるはずなのだが、他者の視線を意識しすぎた存在となる自分を許してしまっているところが、人の在り方として正しくない気がして仕方がない(同性愛そのものじゃなくて、それの誇示のことだよ)。でもこのいらつきを延長していくと、社会的少数者は自己主張するな、っていう“良識の壁”につながっているのかもしれず、そこはこちらの反省点。それはともかくこの映画、元は舞台劇かなんかなのか、そんな雰囲気。普通にしてくれ、と懇願する息子の向こうで、普通でない男が普通でない格好でモップを動かしてる、なんてあたりはやっぱり笑えた。ジーン・ハックマンの女装より、ダイアン・ウィーストの変身のほうが笑えた。[映画館(字幕)] 6点(2009-06-05 12:02:12)

115.  ハプニング 《ネタバレ》 人々が立ち止まっている光景ってのが好きで、なにか異変が起こりかけてる雰囲気がいい。一つの拳銃が次々と渡りながら、自殺が伝播していくとこもよろしい。何かが殺しに襲ってくるのではなく自殺が伝染していく、ってアイデアはいいのだから、そこをもっと詰めてもらいたかったんだけど、けっきょく危険は外部から描かれるばかりで、もったいなかった。自分がどうかなっちゃうんじゃないか、という不安、自分の体調に過敏になっている描写があれば、もっと新鮮な緊迫感が描けたのに、風や変人といった外部にばかりサスペンスが託されてしまう。あと映画のせいではないけど、DVDのパッケージでかなり見せどころがバラされちゃってて、知らずに見てたらけっこう効いたのになあ、と思う自殺も多々あった。テレビが「当局による防衛線が張られました」と言ってたけど、そういうものが無効になる事態の恐怖を狙ってたんじゃなかったのか。“当局の防衛線”って具体的に何なんだ? それと主人公が植物原因説を採る根拠が薄弱なので、木や草がざわめいても「こちらも本気で怖がっていいのだろうか、後で引っ繰り返される仕掛けがあるかもしれないから中途半端に怖がっておこう」と用心した気分で見ることになり、もひとつのめり込めない。でも「いったい何が起きてるの?」って不安は、アメリカのトラウマになってるんだなあ、とは思った。ヒッチコックの『鳥』の、シナリオにあって最終的には使われなかったネタに、車のルーフの引っ掻き傷ってモチーフがあるんだけど、それをイタダいたのかな、あそこ。[DVD(吹替)] 6点(2009-06-04 12:05:09)(良:1票)

116.  パラノイドパーク 《ネタバレ》 美少年がシャワー浴びたり着替えたりしているのを、舐めるように観察している監督に付き合わされた映画という気がしないでもないが、いちおう表向きのテーマとしては、しだいにヤバい感じが迫ってくる少年の心理スケッチってとこか。おどおどした気分と、そこから脱出したい願望のようなものが、絡まり合って並存している。ヤバい感じを迫るのは、桜金造似の東洋系刑事だったり、テレビの黒人アナウンサーだったりするのは偶然だろうか。イラク戦争の実感がピンと来ないという白人少年の周囲を、有色人種がゆっくりと固めていく。スケボーの上下にうねる画面と、静かに滑るような水平の移動撮影が対比的に登場する。うねる画面のときにのみ少年らは生き生きとし、学校の廊下をゆっくり移動で捉えたシーンは『エレファント』の惨劇につながっていくようなおぞましさがある。そして実際、大がかりな水平移動である貨車で惨劇が起こるわけだ。音楽が、ラジオをザッピングしているような変な使用法で、事件のときにはベートーヴェンの第九、モールを移動しているときはフェリーニの「魂のジュリエッタ」、ガールフレンドと喧嘩別れするときは、彼女の声が消えて「アマルコルド」が流れ出す。この全然合わなさが狙いなのか、分からない。フェリーニの時代の牧歌的な悪童と対比してるって感じでもなさそうだし。[DVD(字幕)] 6点(2009-05-26 12:08:15)

117.  はつ恋(2000) 《ネタバレ》 田中麗奈は『夕凪の街 桜の国』でも、親の過去を探ってたが、そういえば昔っからそういうことやってる娘だった。こっちは母親。この映画の真の主役は母の原田美枝子の方で、病気と真摯に対峙し、泰然と死の準備を進めていく芯のある女性。それだけなら、まあ原田なら似合った役どころで特別印象に残らなかっただろうけど、初恋の人真田が病床のベッドに訪れたとき、スッピンの顔を恥じらい、枕で隠すとこが白眉。毅然とした外面のなかに潜んでいた柔らかい内面が、一瞬姿を現わすとこがよかった。あくまでこれは中年の物語、その過去の青春を現在の青春が探検するために、奥ゆきが出た。[映画館(邦画)] 6点(2008-10-02 12:10:52)

118.  犯人に告ぐ 《ネタバレ》 警察内部のドロドロが織り込まれるのにもちょっと飽きてきて、それも新しい切り口があるのならいいけど、定型の俗物ぶり。まあそのせいで主人公が、時代劇で言えば素浪人のニヒルな風貌を帯びることにはなるが、こっちも定型っぽい。ともかく犯罪も捜査もマスメディア抜きでは成り立ち得ない時代になりつつある、ってなリアリティはあった。無数の誰かに見てもらうことが前提で悪心も起これば、その無数の誰かを引き込ませられなければ捜査も難しくなる時代。各警察署は見てくれのいい刑事をメディア用に雇わねばならなくなる。テレビが警察を超えた権力者になりつつあるな、と思わせたところが、この映画の手柄だ。ある日、警察が掌紋を採取しにまわって来たら、私なんか悪いことしてなくてもつい逃げちゃって、容疑濃厚のリストに入れられちゃう、絶対。[DVD(邦画)] 6点(2008-09-18 12:13:48)

119.  蝿男の恐怖 《ネタバレ》 これシネスコってことで、ビデオで見るとたしかに最初と最後は左右詰まった画面になってるけど、肝心の中身、トリミングした不自然な感じがなく、どうなってるんだろう。いかにもやっつけ仕事の演出って感じで、明るすぎるセットで登場人物がそれらしい動きをするだけ、よく言えば禁欲的。でも中途半端に凝ったことやられるとかえって安っぽくなるのを、ここまで何も工夫しないと、たとえば妻が蝿を目で追うなんてささいなアクションすら味わい深くなるから妙である。原作が面白い場合は、こういう何も凝らない演出のほうがいいのかも知れない。原作読んでみたら、映画はラストがハリウッドの定番で明るく変えられてるほかは(もっとも一番怖い蜘蛛の巣は生かしてある)けっこう忠実で、消えた猫がもう一度絡んでくるのをやめたのは、映画の場合正解だっただろう。「白い頭の蝿」が家の中にはいり込み、みんなで追うシーンが加わっているのは、映画的でよろしい。ゾンビものと同じで、人間界から離脱した肉親は処分してしまうのが情け、なのがあちらの考え方なのね。でこの映画の教訓は、やれ打つな蝿が手をすり脚をする、だ。[ビデオ(字幕)] 6点(2008-09-16 12:12:48)(良:1票)

120.  ハンニバル(2001) 《ネタバレ》 アメリカには、中世コンプレックスってのがあるみたい。開拓という神話の時代からすぐ近代になっちゃって、活力はあるけど、歴史によどみというか深みがない。カトリックから逃げ出したものの末裔としての、カトリックコンプレックスでもあろう。残酷だけど高貴な中世のカトリックの闇を体現するレクター博士に、もてあそばれることの屈折した快感。これらはひっくるめてヨーロッパコンプレックスだ。舞台はフィレンツェ、BGMはゴールドベルク変奏曲となれば、屈伏も極まる。ジャンカルロ・ジャンニーニに久しぶりに会えたのに、あっさり殺されちゃうのが寂しかった。[映画館(字幕)] 6点(2008-08-20 11:08:11)

000.00%
100.00%
200.00%
320.09%
4331.41%
52279.72%
691439.13%
773931.64%
834314.68%
9682.91%
10100.43%

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS