みんなのシネマレビュー |
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1. パンダザウルス 《ネタバレ》 サメ映画の巨匠?マーク・ポロニア監督のサメじゃない映画。なんと今回も邦題は原題のまま。そしてキメ台詞は「パンダこりゃ?!」(汗) いきなりのティラノ風恐竜登場と主人公喰われシーン。そこに続くパンダザウルスと恐竜の死闘。無敵のパンダザウルス。なんとオープニングからフルスロットル?!かと思いきや、なんと夢??いきなりの夢落ち? そして、いつもはさり気なく(でもないか)登場する監督がインタビュアー的に登場するモキュメンタリータッチの構成。果たしてこれは夢か現実か! まぁパンダザウルスの作り込みはいつものサメと同様のトンデモなさですし、DVDのジャケットに至ってはオリジナルと国内版が全く別物(ちなみにオリジナルは全然本編と関係ないじゃん!)ですし、出演者はほぼレギュラーだし等々、ある意味期待を裏切らない出来映え。 ただし、よくよく考えてみるとストーリーや構成はいつになくヒネリがあったりして、監督には申し訳ないところですが、予算かけて別スタッフが別キャスティングでリメイクしたら結構イケるんじゃないかと。実現はしそうもないように思えますが…。 何はともあれトンデモZ級作品であることは誰の目にも明らかでしょう。本作ではサメは一瞬登場するだけ。監督がサメに飽きたのではないことを祈りつつ3点献上します。[インターネット(字幕)] 3点(2025-03-15 09:45:19)《改行有》 2. バッドガール 最狂の女子高生 《ネタバレ》 前作は未見です。前作を観ていないと「あれ?そんなシーンあったっけ?」みたいになる場面が少しあったものの、概ね独立した作品として観賞可能な作品です。 てか前作のエピソードは別にどうでもいいような感じに誰一人として感情移入出来ないままに物語は展開していきます。そして結構派手に繰り広げられるゴア描写。感情移入出来ないし登場人物たちの行動に全く共感も出来ないので、若い男女が惨殺され続けても特に何も感じることなく物語は進みます。 結局、悪は滅びる訳ですが特に印象には残らないというか、そもそもよくよく考えてみればヒロインがどうにも魅力的でないことが一番のネックかも知れません。単に個人的な好みとは違い過ぎるからかな?などと考えてみたものの、いや待てよ、客観的に考えても彼女がヒロインって?? アニメを合成したスタイリッシュな学園スプラッターホラーを目指したのでしょうけれど、空回りに終わってしまったようです。前作を観ることはないでしょう。 ちなみに邦題。「最狂」?ヒロインが?どの辺が?予告編を観る限りではそんな感じがしないでもありませんが…。(邦題ありきの予告編?)[インターネット(字幕)] 3点(2025-03-11 14:15:06)《改行有》 3. HUNT/餌 ハント・エサ 《ネタバレ》 序盤~中盤は何やら恐ろし気な雰囲気で本格的猛獣vs人間映画かと思いきや、徐々にアヤシイ方向に転じて来て終盤はライオンと言うより怪獣vs人間みたくなり、ジュラシックパークかバイオハザードかって感じのクライマックスを経て、ラストはお約束の「一匹退治して安心してるけどまだまだいるぞ~」みたいなドンデン返し。ヒットしたら続編もイケるよ、みたく終了でした。 緊張感はそこそこ感じられるし、CGライオンにしてもチープと言えないこともないながら頑張ってるし、犠牲者のグロ造形はかなりのモノだし、オフロードver.車椅子カッコいいし、とか諸々で楽しめはしたのですが、登場人物のキャラが軽過ぎるし、ヨーロッパ系の作品にありがちなギャグとか不適切発言とかチョクチョク盛り込まれるのがハッキリ言ってウザ。陰惨で犠牲者多発の作品なんだから、そこでギャグ飛ばすかよって気分も多々。邦画は勿論米国作品でも殆ど見られない子ども(幼児まで)がモロに喰われるってシーンにもドン引きしそうになりました。あと、解剖用鋸での無麻酔切断にも「ありえね~」って言うか、切った足使わなくても床に血糊付けられるぐらい出血してるだろ!って引きました。 それとライオン強過ぎ。ライフルや拳銃で撃たれまくっても元気いっぱい。毒ガスだってちょっと弱るだけ。神出鬼没で路面電車にまで乗車。獲物は殺すだけで完食しない。最早ライオン?やっぱライオンの形をした怪物?って感じです。そもそも「昔はヨーロッパにも野生のライオンがいた」「金持ちがライオンを不法に飼っていて逃げ出しても口には出せない」ってことぐらいで、ライオンがアムステルダムに現れたことの説明はあってないようなもの。これってどうなんでしょうかね?コメディに徹しているならまだしも。 と言う訳で、楽しんだ割には後から不満が爆発してしまい、てか鑑賞中に不満が鬱積してしまい、鑑賞後はすっかり萎えた作品でした。[インターネット(字幕)] 4点(2025-03-02 12:12:42)《改行有》 4. Valimo 《ネタバレ》 アキ・カウリスマキ監督の作品とはあまり縁がないせいか、僅か4分間という尺の中で工員たちの生き様が凝縮されて語られていることは受け止められたものの、正直言って感銘を受ける域には達しませんでした。 映画館?(これは8ミリ映写機かな?)で映し出されているのは、エンドロールにもあるように1895年のリュミエール兄弟による世界初の実写映画「工場の出口」ですね。本作は2007年の作品。シンプルに「工場の出口」へのリスペクトとして、昔も今も本質部分は変わらない工場の姿を描いた作品と捉えるのが正解でしょうか? 難解ではないのに難解な作品を観てしまった感覚です。ここでの評価には適していないようにも思える作品でした。なので5点献上します。[インターネット(字幕)] 5点(2025-02-13 10:38:42)《改行有》 5. バクラウ 地図から消された村 《ネタバレ》 なんとも取っ付きにくいと言うか、何を言いたいのか解らずじまいの作品でした。 バクラウというのは架空の村なんですね?どうも脳内では馬喰と変換してしまう。(すいません、オヤジギャグは思いつくと言わずにいられなくなるもんでして) その小さな村が何で水資源の利権を持っている?民兵組織は近隣市の市長と結託して水資源を狙っている?違法行為あるあるの民兵組織なのに何で襲撃はして来ない?村人は市長を受け入れないのに寄付は貰うし娼婦を提供するのは何故?市長が個人的に武装グループを雇ってるということは民兵組織を出し抜いて水の利権を手にしようとしているから?なにもかもが良く解らないままに進んでいく感じ。 よくよく考えたら登場人物も何だかよく解らない。冒頭帰村するテレサはヒロインかと思いきや思いっきり脇役だし、ギャングのルンガの立ち位置もシンプルなようでいてよく解らないワケアリ感に満ちているし。挿入意味不明な全裸シーンとかセックスシーンとか、貧しい村の印象なのにスマホやタブレットや大型テレビの普及率が高かったりとか、全裸夫妻が自動翻訳機使ったりUFO型ドローンが自由に飛び回ったり…あぁ何もかもやっぱり解らんです。 結局、この村は昔から自分たちの身は自分たちで守るんだという高い自立意識のもとに存在していて、守り切る度に記念品を博物館に飾って来たのです。村人にいろんな職業の者がいるけれど善人ばかりです。これからも頑張ります。みたいな物語だったのか…。 何やら1960年代とか70年代の作品的なオープニングからキャスト紹介し始める時代錯誤感と、予告編から受け取れるSFホラー感と言うか不思議感に期待したものの、妙に後味の悪い作品でした。もうちょっと短い尺なら印象変ったかも知れません。[インターネット(字幕)] 4点(2025-02-04 10:04:43)《改行有》 6. ハート・ショット 《ネタバレ》 ニッキーは、姉とともに殺し屋?として母親に訓練されて来たようですね。そして、その人生と決別したくて家を飛び出した感じ。しかし、母親は彼女を許してくれなかった。追手はサムの家に居たニッキーを見つけ出し捕らえようとするが、ニッキーは激しく抵抗。しかし追って来た姉に傷めつけられ気を失っている間にサムを連れ去られてしまう。何だか連続テレビシリーズのパイロット版の如き物語。どう考えても、これからニッキーはサムを奪還すべく姉、そして母親との戦いの場へと乗り込んで行く、みたいな続きがありそうです。 ニッキーが母親のもとを飛び出してどうやって今の生活をしているのかとか、何故気を失って抵抗できないニッキーを置き去りにして関係ないサムを連れ去ったのかとか、良く分からないと言うか納得出来ない部分はあるものの、ショートフィルムならではのスピーディな展開と解り易いストーリーには好感が持てました。ちょっと続きが観たいかも。[インターネット(字幕)] 6点(2025-01-13 22:05:25)《改行有》 7. バイオレント・ナイト 《ネタバレ》 これはドハマりしてしまいました。あの「サンタさん」がいくら「良い子」を救うためとはいえ情け容赦ない殺戮の嵐。ユニークなアイディアやパロディ的オマージュもたっぷり。サンタさんが「脳天潰し」を手にしたクライマックス以降は敵を一人仕留める度に大爆笑していた私は相当アヤシイです。イブの魔法で蘇ったあたりではウルっとも来たりして益々アヤシイ自分に困惑しました。 兎にも角にもピンポイントでツボにはまった作品。流石に満点はどうかと思いつつも高評価させていただきます。 ちなみに、是非是非他作のヒーローやヒロインに言って聞かせたい本作が示す教訓は「トドメはちゃんと刺しなさい!」途中までキチンと刺してたのにね。ま、お約束的演出なので止む無し?[インターネット(字幕)] 9点(2025-01-04 09:56:55)(良:1票) 《改行有》 8. PERFECT DAYS 《ネタバレ》 ヴィム・ヴェンダースさんという人は本当にドイツ人なの?観終わった後に脳裏に過ぎった感想のひとつです。和の心を知っていると言うか知り尽くしている。小津監督への長年にわたるリスペクトの結晶とでも言いましょうか、少々煮え切らなさを感じないことはないまでも非常に居心地の良い作品でした。 主人公演じる役所さんの表情や仕草による演技は素晴らしかったです。台詞に頼らない存在感。清掃会社の担当者への苦情以外にはストレートに感情的な台詞はないに等しい。にも関らず全編通じて語り続ける。流石です。 主人公の背景、生い立ち、過去といったものは殆ど語られない。それなのに日々のエピソードを通じて少しづつ明らかになっていく素顔。実際にはストレートに明らかになることはないのですが、観客がそれぞれの主観をもって想像するに足る材料を投げかけてくれています。私も自分なりに解釈し、反芻し、疑問と納得がないまぜになりながらも満足して観終えることが出来ました。 終始具体的な説明なしの寡黙な作品は多々ありますが、本作は寡黙ながらも大いに語りかけてくれる秀逸な作品でした。これまでどう生きて来たか?そしてこれからどう生きて行くか?今のままがいいのか?答えなんかありませんね。[インターネット(邦画)] 9点(2024-12-28 16:17:09)(良:1票) 《改行有》 9. パーフェクション 《ネタバレ》 思っていたのとはちょっと違って陰惨で後味悪い作品でした。物語は二転三転します。二転程度にしておけば良かったのかも。 冒頭から序盤はなかなかいい感じに話が進みます。なるほど逆恨み的な復讐譚か、という感じ。本来は天才として世界に名を馳せるはずだったであろうチェリストが、母の介護で音楽学校を退学し夢を諦めざるを得ず、その穴埋めに入学したにも関わらず恩師夫妻の寵愛を受けて今や名声を欲しいままにしているもうひとりの天才チェリストを恨み近付いていく。 いきなり意気投合して熱い一夜を過ごしたばかりか翌朝からは仲良く中国旅行、という展開は話がうますぎの感がありますし、ゲロゲロの最悪体調なのに乗り合い長距離バスに乗るかよ!とツッコミも入れたくなりますが、そうじゃなきゃ話が進まない。そのへんは仕方なし。そして、ここも都合が良過ぎますが思惑通りの幻覚が現れて利き腕切断。途中の中華料理屋で肉切り包丁を盗んで来たのが功を奏し、ってこれまた都合良過ぎ。かなり強引な展開ではあります。 とは言え、B級感は否めないまでもサスペンスとしては良い感じ。でも、序盤で復讐成立しちゃって後はどうするの?普通なら逆恨み復讐をしていたヒロインにその後とんでもないバチが当たるという展開だろうな、と思っていたら音楽学校のとんでもない実情が飛び出す展開。恩師も他のオジサン教員も実はド変態だったという仕掛け。奥さんも共犯なのでしょうね。やっぱド変態だ。 そして、逆恨みされて利き腕を失ったチェリストは何故かそれを許してヒロインと共闘関係に。復讐の内容が変わっちゃいます。ド変態オヤジへの復讐劇へと。そして見事復讐完了。と思いきや、まだ復讐し足りないと見えてグロい演奏会で幕を閉じる。 短い尺に詰め込み過ぎましたね。なので展開が矢鱈と急。急なだけじゃなくて結構血まみれ。結果、かなり印象は薄くなってしまい、正直なところさほど日を置かずに内容を忘れてしまいそうな作品。う~ん、やっぱり詰め込み過ぎなのかな?てか欲張り過ぎ?もう少し緻密な完全犯罪的展開であればなぁ、と少々残念な1本でした。[インターネット(字幕)] 4点(2024-11-06 14:27:02)《改行有》 10. バーバリアン 《ネタバレ》 ノンストップ何でもありクリーチャー大暴れ風ホラー、とでも言いましょうか、既に皆さんの中にご意見もありますように前半は良くとも後半はまるで別世界の如き展開になり、これは評価が分かれても仕方ないですね。てか、後半で評価を落としても止むを得ずと言ったところです。 前半で怪しげな青年を登場させて好青年ぶりを大々的に披露し警戒心高めの彼女も心を許したあたりでは、「こいつヤバいだろ。絶対やらかすだろ。」みたいな鉄板的変態サスペンスホラーを予感させ、閉じ込められた彼女は謎の地下室を発見し、何とか逃げ出すも今度は彼が単独でそこに入って行った挙句彼女に助けを求めるなんてのは意外性も何もない定番的な展開ながらハラハラドキドキ。ところがサスペンスホラーかと思いきや謎の怪物風の女が登場し惨劇が…。そして画面暗転。次の瞬間には40年前の明るく美しい街の風景と育児用品を買い求める謎の男が登場、そして件の家。ここまでは丁寧な作りで良かったです。若干80年代にしてはクルマが古いですが。 後半、一気に雰囲気の変わるノー天気男の登場で作品テイストが別物に。ところが彼は件の家のオーナーで、突如それを売らざるを得ない境遇になっていくという予想もしなかった展開で強引に前半とリンクしていく訳ですね。そこから後は再び変態サイコサスペンス的なエッセンスも交えつつ謎の怪力母性愛女が暴れるという構造。確かに前半との落差ありです。が、強引ではあるものの辻褄は合わせてあり、変態男が生み出した悲劇の怪物の悲しい物語として幕を閉じる。うん、こう書いてみると悪くないかも。 正直なところ「んなワケねーだろ!」とか「行かないって!普通そこ入らないって!」などなどツッコミ入れながら結構楽しんで鑑賞しました。個人的満足感は高めの作品。作品の散らかり具合に合わせてレビューも散らかってしまいましたが、理詰めで鑑賞するには向かないものの、7点は献上したい作品でした。[インターネット(字幕)] 7点(2024-10-19 00:13:17)《改行有》 11. パラメディック -闇の救急救命士- 《ネタバレ》 なんとも恐いと言うか愚かと言うか、おぞましき物語ですね。ストーカーここに極まれりといった感じ。 ただ、よくよく考えると結構無理がありますね。車イスにやっと慣れて来た彼が、神出鬼没に行動していくらスレンダーとは言え彼女をベッドまで運んで拘束したりして、どんだけ時間かけてんだろう?みたいなアリエネー感は多々ありますし、野暮なことを言えばそもそもどうやって生活維持(経済面や家事雑事等々)してんだ?みたいに。 終盤、いくら正当防衛だとしても重要容疑者の彼女があっさり殺人犯の彼の病室に入れて、しかも引き取りを許可されるというあり得ない設定。結構啞然モノですが、結末に繋げて締めるには致し方ないと言ったところでしょうね。 救急救命士としてのスキルやコネを超利己的な犯罪に使いまくるという、日々必死に活動している救急隊員に対して極めて失礼な作品ではありますが、ラストの主客逆転の恐ろしさに意外性と爽快感も感じたりして甘めの6点献上です。[インターネット(字幕)] 6点(2024-10-09 15:52:09)《改行有》 12. バード・ボックス:バルセロナ 《ネタバレ》 前作の世界観をそのまま引き継いだスピンオフ作品。またしても具体的な「それ」は登場しませんが、エイリアン的存在ということを匂わせるものはあります。ただし、(「バイオハザード」的な)ラストシーンでより具体性を持たせつつも、基本的には正体不明・実態の有無さえ不明。見えない恐怖は続くといったところでしょうか。そういう意味で、前作同様の楽しみ方の出来る作品ではないかと。 ただし、前作との大きな相違点は主人公の立ち位置。主人公父娘(一括りにして良いものか?)は追われる弱き存在ではなく、追う存在。端的に言えば「ヴィラン」に他なりません。序盤でそのことが露呈してしまい、観客としては大いに混乱しました。確かに愛する娘を置いたままの行動としては異常ですし特に気遣う様子もない。「こりゃ変だぞ?」と思った時には惨劇が始まってしまう。何故?そりゃあ言うまでもないことですね。主人公はあっち側の人だったという早々の種明かし。ま、そのくせ冒頭に襲われてタコ殴りにされるっていうあからさまな目くらましをいきなり挿し込むのは反則気味ですが。 何にせよ個人的にはその点(主人公=ヴィラン)が一番気に入らないというか、だからこそのスピンオフと言われてしまえばそれはそうなのかも知れませんが、やっぱりこの状況設定の中での主客逆転では感情移入のしようがありませんでした。 ラストシーンになってやっと感情移入出来そうな雰囲気も無きにしも非ずですが、時既に遅し。極度の感情変化が感染?を妨げるといった理屈付けも空回りするばかりでした。 続編の在り方としては面白いのかも知れませんが、もう少し何とかならなかったものか?今ひとつ入り込めなかった残念な続編でした。[インターネット(字幕)] 5点(2024-08-17 22:29:51)《改行有》 13. バード・ボックス 《ネタバレ》 普通にエンタメ系SFサスペンスとして観る限り、つまり大小問わず湧き上がる疑義に目隠ししている限り(我ながら上手いと思ってしまった自画自賛)、大いに楽しめました。 自称トリ馬鹿の私としましては、鉱山のカナリアの如き仕打ちを受けていた小鳥たち(何気に途中で種類が変わっているのが心配ですが)が無事盲学校の空に放たれたことが一番の朗報だったりもします。 見てはいけないとか、音を出してはいけないとか、返事をしたらいかんとか、昔から様々なシチュエーションスリラーはありますし、そもそも見てはいけないから目隠しして移動するっていうのも何となく既視感が。思い出せないのですが。あ、見てはいけないものの大御所はギリシャ神話のメドゥーサですね。 そんなアイディアが出尽くした感が無きにしも非ずの中で本作の「見てはいけないもの」は、実態が確認出来ないという怖さによって緊迫感はかなりのもの。決して贅沢なCGやVFXの多用に依存しない作り手の想像力と演出力は、俳優陣の演技にも支えられ非常に素晴らしいものを感じました。そしてそれが中だるみしない。いくつものエピソードを盛り込み、時間軸を往復しつつ描いていくという展開は見事でした。 確かに腑に落ちない点はあります。盲学校の在り方とか。闇を抱えた者たちは「それ」の手先になって自死には走らないというのも、現実に闇を抱えた人々から見るとどうなの?と思わずにはいられない。でも、冒頭に申しあげたとおり、あくまでもエンタメ作品と割り切ればシンプルに楽しめる作品でした。[インターネット(字幕)] 7点(2024-08-16 10:45:00)《改行有》 14. バトル・インフェルノ 《ネタバレ》 悪魔払いの真似事をして金儲けしていたら、最愛の人に本物の悪魔が取り憑いちゃって散々な目に遭わされてもう大変!というお話。それだけだと、コックリさんネタだとかウィジャボードネタだとか何だか使い古された感のあるストーリーだなぁ…とか思ってしまいそうなところ。コメディにもありがちですね。ニセ医者に患者が押し寄せて大騒ぎになるとか。ところが本作、なかなかどうしてスピーディで緊迫感のある展開で見応え十分でした。 主役の親友コンビは、行動といい言動といいイマイチ感情移入出来かねるキャラ。ただ、バズるためには何でもありみたいな一部のユーチューバーを揶揄してるように見えなくもなく、そう考えれば適切なキャラ設定なのかも。また、最後の最後に明かされるサタンの真の目的なんてのは現実の世界に置き換えると結構恐い展開だったりして、これも社会情勢や国際情勢への皮肉と受け取れないこともなかったりして。終盤挿し込まれる横領ネタや三角関係ネタなんかよりも、社会派ホラー的に纏め上げた方が良かったような気がします。 監督さんは同名のショートフィルムを撮っていて本作はその長編版だとのこと。確かに短編の方が一気に突っ走れて子気味良い展開になるかも。でも、監督さんは描き足りなくて長編化したんだろうな。機会があれば、是非短編も観て比べてみたいところです。 ちなみに、考案者さんには申し訳ないのだけれど、邦題はありがち過ぎて作品を目立たなくしているかも。シンプルですが、原題の「浄化の時間」という方が良いような気が。[インターネット(字幕)] 7点(2024-07-31 22:32:05)《改行有》 15. Pearl パール 《ネタバレ》 「X」を鑑賞した時には既に本作は完成していて、とは言え映画館では見損ねてしまいネット配信を今か今かと待ち続けていました。「X」については少なからず不完全燃焼でしたが、ミア・ゴスさんの熱演ぶりとその魅力を見事引き出したタイ・ウェスト監督の演出に期待せずにいられなかったというところです。 で、今回本作を観て納得。やはりミアさんスゴい。可愛らしさから恐ろしさに変貌する様はマジで怖い。命を奪うことに全く躊躇がない。寧ろ怒りの裏に喜びさえ感じさせられてしまう。この人、ホントにこういう人?と思えてしまう。独白のような告白とエンドロールの泣き笑いドアップも見事でした。それを引き出したウェスト監督も期待通り。このコンビ、次作を期待せずにはいられません。 ただし、個人的にはホラーで動物が犠牲になるのは最も好まない演出でして、その分-1の7点献上です。 (追記)お友達の亡骸解体シーンの首の部分は思わず「う”」と声が出ました。現実に見たことなどないし決して見たくありませんが、取れ具合があまりにリアルだったもんでつい声が…[インターネット(字幕)] 7点(2024-07-13 23:42:43)(良:1票) 《改行有》 16. バッド・デイ・ドライブ 《ネタバレ》 元ネタ及び英語版以外のリメイク版は未見です。 運転するクルマに爆弾を仕掛けられて脅迫を受ける、という設定自体は目新しいものではありませんが、特に恨まれるような覚えもなく(正確には覚えがあり過ぎて判らなくなってる?)、同僚を目前で爆死させられ、しかも後席には愛する子どもたちが同乗していて自分と運命をともにさせられているという緊迫した状態は、特に派手なカーアクションもないにも関わらずなかなかに見応えのあるものでした。(少なからずリーアムさん贔屓ということもあったりしますが) ただ、何にしても犯人にとって都合良く事態が進み過ぎたり(あらゆる事態にも対応可能なように準備して来たとか言っちゃってますが)、警察の動きも都合良過ぎたり(包囲網簡単に突破、大量のスナイパーが無力、ラストでは追跡さえしない?ヘリどこ行った?等々)、そしてミステリーサスペンスなのに真犯人が結構判りやすかったりと、脚本的には粗が目立つと言うか非現実的過ぎるというか。家族の絆的な部分も基本的な家族関係とかが殆ど説明されていないので感情移入は難しいところ。あと、ヘザーやユーロポールの捜査官の電話の声が妙に平板なのが気になりました。 エンタメ的に割り切れば退屈せずに楽しめる作品。深く考えると興覚めしてしまう作品。といった印象でした。古希を過ぎてもまだまだ若々しいリーアムさんに+1点の7点献上します。 ちなみに、邦題はミスリード目的のような原題よりは良いかも知れませんが、カーアクションが目立つ作品でもないので今ひとつかなと。[インターネット(字幕)] 7点(2024-07-09 10:33:48)《改行有》 17. ハウス・シャーク 《ネタバレ》 ひさびさにサメのトンデモ映画を観て大笑いしたかったのですが、大いに選択ミスをしてしまいました。ひさびさに「オレの時間を返せ!」的な怒りの気持ちと「貴重な人生のひとときを何でこれに費やしてしまったのか?!」的な後悔の念に苛まれてしまいました。 それでも冒頭のサービスカットに期待感が湧き、下ネタの連発に下品ながら大笑いの予感。登場するサメの上半身とヒレと下半身が別パーツ感のチープさにホッコリし…決して悪い雰囲気ではなかったのですが、兎に角流れがダルい。尺が長い。下ネタが微妙にズレてる。登場人物のキャラがキモい。サメ退治の作戦がウケない。ほぼ全面的にダメでした。図らずもチョットだけ笑ってしまうカットがあったので最低点ではなく2点献上します。 マジで「2」を作りたい感マル出しのエンディングとエンドロール後のオマケカットですが、仮に「2」が出来ても観ないだろうなぁ。否、欲望に負けて観ちゃうのかなぁ…。[インターネット(字幕)] 2点(2024-05-08 20:45:06)《改行有》 18. パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女 《ネタバレ》 凄腕のドライバーが活躍するカーアクションもの、ワケありの荷物を届ける運び屋もの、いずれも既に相当数の作品があり、超大作や超人気俳優出演作もある中、韓国ならではのヒロイン設定にオリジナリティは感じるものの、正直言って決して目新しさを感じるような作品ではないように思えます。 けれども惹き付けられる。主演のパク・ソダムさんがいいですね。童顔で小柄で決して華やかな雰囲気とも言えない彼女(誉め言葉です)が繰り広げるアクション。とっても魅力的です。彼女が連れて逃げる依頼人の愛息役のチョン・ヒョンジュン君は、ソダムさんと「パラサイト」で共演していた社長の息子役の子ですね。子役然とした演技の中にも何か飄々とした雰囲気があってこちらも魅力的。 まさかの、と言うかある程度予想はしていましたが、ハッピーエンド的な締め方も良かったと思います。あのまま終わったら如何にもクライム系韓国作品といった感じの悲壮感が残ってしまうところです。種明かしのないところもスッキリしていて好感。 という訳で総じて好感持って観終えることの出来た定番的運び屋作品に8点献上します。 ちなみに、邦題は少々仰々しいかな?特に副題にはクドさを感じました。原題直訳でも十分ではないかと。[インターネット(字幕)] 8点(2024-03-29 11:24:16)《改行有》 19. パラレル 多次元世界 《ネタバレ》 パラレルワールドと標榜しつつもタイムパラドクスものとの区別がつきにくい構成の作品。基本部分の説明はほぼすっかり割愛されているので、本作をもってして「SF」と言って良いのかどうか、微妙です。 そもそもこの姿見(鏡)はどういう仕組みでパラレルワールドと繋がっているのか?角度を変えると何故繋がらなくなってしまうのか?何故パラレルワールドでは基本の世界の180倍の速度で時間が進行しているのか?(本来は先行他作等で見られるように逆では?)全てのパラレルワールドが180倍速なのか?だとしたら何故基本の世界だけが異なるのか?等々、数え上げればキリがないというくらいに謎だらけの設定です。 そんなことはどうでもいい。肝心なのは結果だ、ということであれば説明不要という理屈も無きにしも非ずですが、それにしては都合よくパラレルワールドを利用し過ぎています。他の世界の人間とのスリ替えだとか技術や表現の持ち出しだとか。時空を跨いで併用すれば時間や空間に必ずや不整合が生じるはず。重量バランスが破綻してしまうとか時間に歪みが生じてしまうとか。その辺はほぼ無視して物語は進行して行きます。だいたいからして生身の肉体がどうして耐えられるのか? 理論的とか科学的とか、この手の作品の下支えをしてくれるべき基本的構造が欠如または崩壊していることが本作の最大の弱みかなと。いっそファンタジーやコメディ、場合によってはヒューマンドラマに特化してしまえば気にならなかったかも知れませんが、あくまでもSFサスペンスとして鑑賞しようとしたために面白味を感じられなかったというのが結論です。 ただし、パラレルワールドを時間軸に重きを置いて表現した、と言う部分にオリジナリティを感じたので若干甘めの6点献上です。[インターネット(字幕)] 6点(2024-02-22 15:08:10)《改行有》 20. パペットシャーク 《ネタバレ》 基本的には劇中劇的にオムニバス形式を採っている本作。ただし、メインのストーリーを筆頭に、どの話についても特筆すべきものはない、と言っても過言ではないでしょう。要所要所?で語られる蘊蓄的な事柄も、作り手の過去作を観ていなければピンと来ないものばかり。要は、観る人を大いに選ぶ作品です。監督の悪ふざけに同調して初めて楽しめる作品とでも言いましょうか。 殆ど監督家族によるホームメイドビデオ作品とでも言うべき本作は、パペット(どこかで見たような造形)によるサメ映画という飛び道具的性格のみが存在意義ではないかと思います。 ただ個人的には、予算がなくてCGも活用出来ず、窮余の一策としてパペットの鮫を使う、というのであれば何とか理解出来るし微笑ましくもあります。が、ここまで潔くパペットのみで作られてしまうと引いてしまうというのもあり、止むを得ずパペットを使用するのと、パペットだけで作って皆を驚かせてやろう、ウケを狙いに行こう、というのは別物だと思うのです。 本作は狙い過ぎかも知れません。パペットの使い方はそこそこ巧みですし、人形そのものの出来も良いと思います。オリジナリティという意味では、大丈夫かな?という不安もありますが。 もう少し何とかならなかったものでしょうか?小ネタに頼らず大真面目にサメパニック作品をパペットで作り上げてみせるとか。それは予算的に無理かもですね。それでも、折角のアイディア。もう少し楽しませて欲しかったです。でも、作り手はこれで満足しているのかも知れませんね。 (追記)監督さんの登録要望をしようと思ったものの、ブレット・ケリーなのかスコット・パトリックなのかケリーコレクティブなのか、いずれにしても同姓同名の事実関係からして確認しきれず、要望するには至りませんでした。[インターネット(字幕)] 3点(2024-01-25 00:28:08)《改行有》
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