|
1. ひろしま(1953)
現在であればCGなどをふんだんに使って制作できるところを全てセットとエキストラで対応してここまで
の臨場感を演出したことに驚きます。
まだ原爆の記憶が残っていて実際に体験した人たちも参加しているということが、さらにリアルさを出して
いるのだと思うし、あの時代でなくてはこの作品は制作できなかったと思う。
それにしても松竹が削除を求めた箇所(①爆弾投下した米パイロットが地上にいる市民に同情などしないとい
う告白が学校で放送されるシーン、②病院で米国は無辜の市民を原爆のモルモットにしたと高校生が語るシーン、
③原爆で死んだ人の頭がい骨を集めて米人に土産物として売ろうとするシーン)がもし削除されていたら、この
映画の価値は半減していたと思うので、苦渋の決断だったとは思うけども、要求を断った制作側には敬意を表
したい。
それにしても終戦特集でEテレで放映されるまでこの映画の存在は知りませんでした。まさに忘れられた映画と
なっていたということ。その理由が、この映画がイデオロギー色が強く、東西冷戦が激化するなかで米国を刺
激しないようにとの忖度が働いたというのは、あまりにも酷いはなし。
平和や反戦を求める声に「アカ」と罵声を浴びせる風潮が今も残っているのは悲しいこと。[地上波(邦画)] 6点(2019-08-20 16:40:00)《改行有》
2. 避暑地の出来事
《ネタバレ》 かつて貞節や節度が重んじられていた時代のお話で、現代とは価値観があまりにも違い過ぎ、ストーリーも現代の尺度ではどうしても陳腐・退屈なものであるために、評価不能のところがある。当時、そんな社会的束縛の中で若者達は息苦しさを感じて、従来の価値観への反発を抱いていたのだと思うが、ルールが無くなってしまった無軌道とも言える現代ではむしろ束縛のあった社会になつかしさを覚えてしまう。映画では若い二人の方に重心が置かれているが、本来は親の方が中心のお話です。6点(2004-05-12 18:54:57)
|