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プロフィール |
コメント数 |
122 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
自分の感性は、きわめて平凡だと自分でもわかっています。ただ、ほんとうはよくわかっていないのに、「わかった!」「よかった!」というのだけはしないつもりです。 |
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1. 光の旅人 K-PAX
《ネタバレ》 これを投稿する時点での平均点が6.68点、最多点数が6点。ん~、厳しい。この作品、ワタシ的にはかなり素晴らしいと思うんですが。よく練れた脚本、ケビン・スペイシーの不思議感をうまくにじませた好演、静かに心に届いてくる劇中音楽。センスあふれる映像、どれも高い次元でバランスが取れていると思います。
全編通してSFファンタジーテイストが維持され、単純にエンタテインメントとしても楽しめますが、本作の正体はそれだけにとどまりません。大気や水、食品は汚染され、高級ホテルに出入りするような人間もほとんどが「臭い」。にもかかわらず、それに気づかず、あるいは内心気づいていても平然と生活している私たち。ピュアに反応する人間は「あいつはオカシイ」で片付けられ、精神病院に入れられてしまっています。
そんな理想とはほど遠い地球の現状から、K-PAXへの移住に憧れる患者たち。でも、プロートは連れて行けるのは一人だけといい、3つの使命を与えた患者には最後の使命は「ここに残ることだ」と伝えます。あるいは、別れ際、「K-PAXを見てみたいな」というパウエル博士にプロートは「自分の世界を見ろ」といいます。このプロートのひと言は強烈で、本作がただの娯楽作品とは一線を画しているところです。
逃避願望――それは誰にでも多少なりともあるものです。会社へ行きたくない、仕事辞めたいな、こんな家に生まれなかったら、いつか素晴らしい未来が待っている……でも、ほんとうは逃げても何も解決しないし、理想的な「いつか」なんて自動的にはこないんですよね。真の解決は「いま・ここで・ありのままの私」が真摯に生きていくしかない。本作は、押し付けがましくなくその人生の哲理を観る者に教えてくれます。
禅の教えに「衆生本来仏」という言葉があり、「ここが浄土であり、その身が仏である」と説きます。その心は、本作と相通じるものがあります。古来よりのアルカディア幻想を否定し、現実との対峙を求める本作。軽い娯楽作品の皮をかぶった哲学的秀作だと思います。プロートが「家族」にそこはかとない憧れを感じていたのも見逃してはいけないんでしょうね。レビューを書くにあたってDVDで再鑑賞しましたが、何度も観てみたいと思わせる魅力がありました。ということで、9点也を捧げたいと思います。ニートの人たちにもぜひ観てほしいと感じました。[試写会(字幕)] 9点(2005-06-19 13:27:05)(良:2票) 《改行有》
2. HERO(2002)
《ネタバレ》 純粋スペクタクルアクション系を想像していただけに、まったく異なる作品性格に驚いた。
この映画の白眉は、なんといっても始皇帝という存在に対する新解釈に尽きるだろう。トニー・レオンの残剣がなぜ「始皇帝は生かしておかねばならない」とこだわったのか。その理由を知ったとき、見る者は「あっ」となり、すぐ「そうかもしれない」と納得させられるものがあった。この1点によって、本作に一気に深みが与えられ、机上論的理想を追求するだけでは理想は実現しない現実の難解さを物語る深遠さを得た。
また、始皇帝にも始皇帝なりの正義があったと設定したところもよかった。彼が「結局、自分を理解してくれるのは、刺客の残剣だったとは」と嘆じるシーンは印象的。単なる勧善懲悪ものに終わらない魅力がある。
お決まりのワイヤーアクションもほどほどに楽しめ、あれぐらいでよかったという気がする。演出素材として水を活用してあったのも、私には効果的に思え、好感を抱けた。頭の中の戦いについては、あんなふうにできるのか、という声も聞こえてきそうだが、ま、あれはあれでええんでないかい、といった感じ。
別角度からの感想としては、中国・香港映画もここまで洗練されたか、という印象も残った。どこか荒削りでB級っぽいイメージはもはや過去のもの。そこに中国・香港映画の原点を求める人にとっては、決別の作品となったかもしれない。
8点(2004-04-24 12:24:15)《改行有》
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