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1. ファミリー・ツリー
複雑な心境に揺れ動く主人公を、ジョージ・クルーニーが力まず見事に演技しています。原題は「The Descendants」つまり「子孫たち」です。同名の小説に基づいた映画で、裕福な一族の末裔が、様々な問題を抱えながら等身大の生き方を選び、人との絆を再構築していく姿が感動的でした。ハワイの美しい自然を背景に、事故・不信・拒絶・絶望・妬み・不倫・憎しみなど、たたみかける人生の試練をイヤミ無く描き、「あなたならどうする?」とさりげなく視聴者に問うスタンスが見事です。[映画館(字幕)] 8点(2012-06-09 00:41:22)
2. プライド(2008)
《ネタバレ》 異質のもの同士を激しくぶつけると、これほどにまで鮮烈で不思議な魅力が生まれるものなのか。平凡なドラマ仕立ての作品と思いきや、途中からぐんぐん引き込まれていく。未熟な演技でしらける部分も多いが、役者の歌唱力と一条ゆかりによる強烈な筋書きが新鮮だ。
満島ひかりの典型的なアクターズスクール・ボイスと、単独では個性に欠ける正統派ステファニーのクリアーな声質が、互いに引き立て溶け合っていく「A Song for You」のデュエットには鳥肌が立つ。ふたりとも音程がしっかりしていて、安心して聴ける。
最後のステージは、まるでミュージカル作品の1シーンを観ているよう。ルックスのアンバランス感も含め、現実では絶対にあり得ないデュオ。この作品の中でしか聴けないハーモニーが素晴らしい。
高島礼子の名ママ役と、渡辺大の自然な演技にも拍手![DVD(邦画)] 8点(2009-09-15 09:31:27)《改行有》
3. 復活の日
《ネタバレ》 最近、草刈正雄さんをテレビで見かけました。ちょっと頼りない中年オジさんをコミカルに演じる役柄が定着してきたなと思いながら、そう言えば「復活の日」では二枚目スターとして一世を風靡したはず・・・と、当時つい観損なってしまった映画を鑑賞すべくDVDを借りてきました。
25億円という、当時としては破格の制作費に膨れ上がってしまったせいか、興行的には必ずしも成功とは言えなかったようですが、原作がしっかりしていると映画はこれほどにまで感動的になるものでしょうか。種の存続という究極の命題を前に、祖国や人種の違いを乗り越え、過去を克服していく人々の美しい姿が描かれています。生き抜くことの尊さを、今さらながら再認識させてくれます。
美しい映像とカメラワークを背景に、ジャニス・イアンの歌声が心に響きます。今やっと、What's the time, where's the place, why the line, where's the race... の意味がわかった気がします。
報復という行為の空しさを描いた点で、戦争のみならず、私たちの人生観にも影響を与えます。冷戦が終わっても相変わらず武力抗争や戦争が各地で続いている今、復讐に執念を燃やす人間の性は変えられないものなのでしょうか。
外人豪華キャストのおかげで、日本のSF映画にありがちな「バタ臭さ」が感じられず、CGだけに頼ったB級SF映画などを遥かに凌ぐ作品に仕上がっています。欧米人と東洋人の体格の差をまじまじと見せつける点も、国際的で実にリアル。185センチの草刈さんが、まるで子供のように見えますが、二人の間の人種差別が友情に変わり、やがて信頼へと発展していく部分も作品のテーマによくリンクしており、上手い手法だと思いました。
皆さん酷評が多いですが、根本的なテーマに真剣に向き合った点を評価し、少し甘めの8点。[DVD(字幕)] 8点(2009-08-15 03:31:04)(良:1票) 《改行有》
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