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1. 閉鎖病棟-それぞれの朝-
《ネタバレ》 面白かった。
ただ、ラストがひどかった。それがとても残念。
この映画のクライマックスは、法廷で、由紀がとうとうとヒデさんに語るシーンであろう。
ここで由紀が涙ながらにヒデさんに言う内容こそが最後の感動シーンであったはずだ。
ところが、ここで由紀が言うことは結局、「レイプしたやつを殺してくれてありがとう」ってことである。
(由紀ちゃんは、殺し以外のところでも勇気をくれたの何だのと言うのだけれど、それはおまけみたいなもので、メインは「殺してくれてありがとう」である。)
この映画を作った人に心の底から言いたい。この映画はサスペンス要素もありつつの、ハートウォーミングを狙ってるんだよね?
そうだとしたら、「殺してくれてありがとう」って感動になるの?
優しさ、愛情、思いやり、そういう要素で「ありがとう」ってのなら、感動になる。
でも、「殺してくれてありがとう」ではならないだろ。「本当は私が殺したかった。ヒデさんが私の代わりに殺してくれた。そのおかげで生きていけた」 いやいや、それで感動できる?
もちろん、ヒデさんがユキを思って、すなわち優しさから殺してくれた、といえなくもないが、そんな物騒な優しさは、感動にはならない。
ましてや、ヒデさんの殺人は、優しさというより、怒りによる短絡的行動という側面が強い。
法廷のシーンは小松菜奈の演技が素晴らしいのだが、出てくる言葉が「殺してくれてありがとう」ではなあ。小松菜奈の涙も台無しだ。
逆に、チュウさんが廊下で「俺、退院したから」と叫ぶシーンは感動的である。これは前に病院で話した「病院を出たら一緒に過ごしたい」ことを暗に言ってるわけで、「待ってるよ」というわけだ。これは純粋な友情を描いたものでドラマチックである。
この映画、本当にラストになるまではよかった。チュウさんは優しく思いやりがあり、彼の行動にはいちいちウルウルしてしまった。嘘つきおばさんの下りも胸が痛むエピソードだ。チュウさんが、退院し、母のもとに戻るところなど心から「良かった」と思えた。
それだけに最後がなあ・・・。
さて、それ以外にも問題点も指摘しておきたい。
まず、由紀がレイプされてからの描き方がおかしすぎる。
翌日、「由紀がいなくなった」という話をチュウさんは聞かされるのだが、おいおい、患者が一人いなくなったというのに何でみんなそんな普通にしてんの?普通、いなくなった昨日の夜から、病院は上へ下への大騒ぎだろ。病院総出で彼女を探すだろ。何で平常運転で呑気にラジオ体操やってんの?
このあたりは完全にシナリオの欠陥であろう。
というか、結局由紀はどうなったんだよ。いきなり法廷で再会して「今は看護婦見習いをしています」って、ハショりすぎだろ。ほぼ無一文で病院を飛び出してから、何をどうやってそこまで行ったんだ。
そして細かい指摘をもう一つ。
病院の安全体制のザルさは何なの?あんなやばい患者が大量にいるのに、屋上に直通のエレベーターがある上に、フェンスが開いてるって何なの・・。金属バットを患者に持たせていいの?あとは暴力的な患者(レイプしたやつ)を放置しすぎではないか。ぶっちゃけ、ユキちゃんはレイプ犯を恨むより、病院を恨んだ方がいい。小林聡美演じる看護師長がすました顔で病院を仕切ってるけど、彼女こそが今回の事件の最大の加害者だろう。
まあ、でもこっちの不自然な点は目をつむれるレベルだけども。
色々描いたが、話としてはよかったと思う。感動的であったし、閉鎖病棟内だけのヒューマンドラマだけで終わると思いきや、殺人事件からの法廷劇へと急転直下する意外な展開も楽しめた。
ただし、「殺してくれてありがとう」と「由紀ちゃんいなくなったのにスルー」の2つはどうにかならんかったかなあ。惜しい。[インターネット(邦画)] 8点(2022-11-07 01:16:39)《改行有》
2. ヘレディタリー 継承
ミッドサマーが面白かったので、こっちも見てみた。
悪魔を召喚しようとしていた、というのが事件の真相ではあるけれど、その当たり少々理解がしにくい。
解説を読むと、細かいところにまで意味があり、「なるほど」とは思ったが、見てる時にそれを理解出来なければ意味はない。
一番怖かったのは、兄が妹の頭を電柱にぶつけてそのまま家に帰り、翌日母親が妹の死体を発見し、道路に転がる生首が映る一連のシーン。ここは怖すぎるんだけど。
母親が車にある首のない娘の死体を見るシーンは映像としてはないのだけれど、映像がないだけにそのシーンを想像すると寒気がする。
なんつー恐ろしいものを見せてくれるのか。
ただ、それ以外の点では、そこまでよくできたと思える映画ではなかった。
十分面白くはあったけれど。[インターネット(吹替)] 7点(2022-11-06 16:11:07)《改行有》
3. ペット・セメタリー(2019)
《ネタバレ》 ホラーの古典的作品だけあって、今更見ると、ありがちでひねりがなく、予想通りな展開のストーリーで、見てて退屈である。
禁断の秘術で死者を蘇らせたら、蘇った者はもはや別モノで、そこから悲劇が起こる…なんてのは手垢が付きまくった展開で、これからどうなるんだろう、っていうワクワクもドキドキもない。蘇った女の子は邪悪で殺戮に走り、登場人物が次々殺されていくわけだけど、見てても「はいはい、まー、そうなるわな」ってなもんですわ。
小説発表時、もしくは最初に映画化された当時、これがどれだけ怖く、また目新しいものであったかは知らないが、今、鑑賞に耐えれるような内容かと言うと、答えはNOである。
まあ、ラストシーンだけは、ちょっとインパクトはあったけれどど。あのあどけない幼児がこれから家族3人に手をかけられるという残酷な展開を予感させつつエンドロールはよかった。
まあ、でもそこだけだなあ。
ところで、どうでもいいつっこみをするが、娘が死んだのは呪いのせいでも何でもないよね。
両親は、庭が大型トラックが爆走する道路に面しており、その危険性を認識しておきながら、柵も作らず放置して、あまつさえ小さい子供から目を離す。
親の怠慢が招いた事故ではないか。随分と子供思いの両親ぶってるけど、あんたらほんとに子供のこと考えてる?(笑)
あと、最後のエンドロールで猫の役者(?)の名前もちゃんと表記されてたのが面白かった。チャーチ役は4匹いるようです![インターネット(吹替)] 6点(2021-12-20 22:23:10)《改行有》
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