みんなのシネマレビュー |
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1. ペーパー・ムーン さて。テイタムは同世代なので、この映画は初放映時には完全に没入してしまいました(ある意味、今でもそうだな)。自分がアディという分身に置き換わって、カンサスの平地を走ってました(ある意味、今でもそう)。冷静に語るのが難しい作品です。 この映画を語る時は切り口が多すぎて困っちゃうんですが、2点書いておきましょうか。まずコレ実話なんですよね、意外と知られてないけど。原作はアディが大人になるまでを描いてて、ちょっと赤裸々すぎな感じ。映画で絶妙にチョイスされたエピソードのおかげで、すっごくホノボノ映画になってます。次に、異色なようで異色でない「少女ロードムービー」の代表格である事。「中年男と少女が車に乗って流浪する」というシチュエーションはアメリカ文学では定期的に登場するテーマで、『ロリータ』『ペーパームーン』『ファイアスターター』『眠れる犬』とまあ、けっこう名作やヒット作が多いんですよね(私的に、ここで挙げた中では『眠れる犬』が最高かな)。 詐欺・紙の月・親子疑惑・不倫・不況とルーズベルト…すべてひっくるめて「信じる」というキーワードで、幸福の周囲を行ったり来たり。多層的なテーマの描き出し方と、飾り気のない絵造りにどこまでも引き込まれる、古き良きアメリカの寓話です。[地上波(吹替)] 10点(2005-07-01 00:38:26)(良:2票) 《改行有》 2. ヘビー・メタル 正月からえらいモンに当たってしまったなあ。もちろんその存在は知ってた。だが見る気も起こらないで見てなかったのを、いま猛烈に後悔してます。「悪」の表現手法に、ロメロのリビングデッド・シリーズの影響があると思うんですが、この作品が他作へ及ぼした影響も凄いモノがあると言わなきゃならんです。ちょっと思いつくだけで、『風の谷のナウシカ』『フィフス・エレメント』『ゴースト・オブ・マーズ』…他にもいくつか。ルネ・ラルーの仏アニメ『ガンダーラ』も絵的に近いんだけど、オリジナルがコミックだからなあ(すごく複雑な経緯のリスペクトっぽい)。この映画が時代の一里塚、コミックからSF映画への橋渡しの役目をしたんですねえ。続編も見たいような…あろえりーなさんのレビューを見たら見ない方がいいような…微妙(笑)。 ●2007/12/31 点数調整で8点に…。[DVD(字幕)] 8点(2005-01-02 03:23:46)《改行有》 3. ペイチェック 消された記憶 ディック作品の重要なポイントとして「オモチャっぽさ」がある。世界全体がガチャガチャして深みがなく、ウソっぽくなければあの味は出ない。肩に力を入れて本気で未来のロスを描いたリドリー・スコットはそこんとこ、完全にワカってない(まあディックを離れて別風味になったとも言えるが…別にあの原作使わなくていいじゃん…)。今までではバーホーベンの造った火星世界が一番この『SF独特のウソっぽさ』に肉薄していたが、ついにチャンプの座を奪おうとする者が現れた。本作『ペイチェック』である(あー、トム&スピは論外)。パズル物に仕立てたのがまず正解。こんなにオモチャ感の漂うストーリーは珍しい。コミカルでアップテンポなのに不安を煽りまくる音楽もかなり「わかってる」。展開も押さえるべき部分をじっくりしっかり押さえながら、なかなかにスピーディ。やっぱり全体として、キレ味で勝負する頭脳派監督ウーちゃんの力量って事だろう。にしてもベン・アフレック! 俺なんだか見直しちゃったよ。主人公のIQメチャ高でないと成立しない設定なのに、あのバカ面がこんなにハマるとはねえ。『トータル・リコール』のシュワちゃんの例もあるんで、ディックはバカ面のできる俳優が似合うのかも知れない(いやマジよ)。ディックワールドはどのみち森羅万象のすべてがスラップスティックなんだから、「うひゃー」とか言いながら運命に弄ばれてる奴を笑って見るのもまた一興。そして見終わった後に何となく背中が薄ら寒くなるのも、彼の小説を読んだ時と同じ感触でした。うーん、ウッディ・アレン主演とかも観たいかも。あと、どーでもいいがあのオチは何だよ。ベッタベタベタベタベターじゃねーか! 2点減点だっ(苦笑)!8点(2004-09-01 04:41:34) 4. ベオウルフ(1999) この映画に9点つけるのは流石にオイラだけだと思いますが。元のベーオウルフ伝説を主題に忠実にアレンジし、さらにゴシック・ホラーのお約束(後ろ暗い過去を持つ城主・気の強いヒロインを慕う兄・幽霊・呪いの噂・反抗的な地元住民・etc…)を守った上で、ここまで新味を出してしまうとは! これはヒロインを救う不死人ランバートの物語なんじゃなく、死すべき城とその最後の日々の物語の未来版なんです。クラッシックスタイルのホラーのシナリオで、どこまで新しい事がやれるか、その見本のような野趣あふれる実験作だと思いますねえ。9点(2004-02-17 21:37:34) 5. ペーパーハウス/霊少女 少女がノートにおうちの絵をラクガキをする。んで、眠るとそれが夢に出てくる…子供が書いたヘタクソな絵が、夢の世界でリアルに再現されてしまうあたりで、観る者のキモチをがっちりゲット。「次は? えー、この絵~?」などと、先の読めない状態に陥るストーリー。現実世界のちょっとした出来事が、(絵の力を借りて)夢のオウチを悪夢のワンダーランドに変えていくのだが…実は…。幻想と現実の境界線がまだ完全でない、思春期前の女の子を主人公にした所が高得点かな。あと、さすがイギリス映画、エンディングはキッチリと落とし前をつけて美しく終わらせてくれます。成長物語としてもグー。8点(2004-02-17 01:44:01)(良:1票) 6. ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ こういう、シナリオのコメディ密度が高い作品は好きです。しかも芸達者とか曲者怪優とかを取り揃えて、内容もアメリカ人が撮った「アメリカ人をバカにするおフランス人映画」。マーティンが車椅子から立ち上がるシーンで、演技だとバレバレなのに超感動的な音楽をつけてしまう屈折ぶりは秀逸です。私的に、10回見てもまだなお新たな発見をしてしまうお得映画。9点(2003-05-28 02:45:09)
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