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プロフィール
コメント数 122
性別 男性
自己紹介 自分の感性は、きわめて平凡だと自分でもわかっています。ただ、ほんとうはよくわかっていないのに、「わかった!」「よかった!」というのだけはしないつもりです。

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1.  真夏の方程式 《ネタバレ》 映画版としては「容疑者Xの献身」の続作という位置づけになるため、どうしてもそれと比較してしまう。前作のレベルが高かっただけに、その比較は苦しいものになる。 多くの人の指摘と同じく、私も二つの殺人の動機が腑に落ちなかった。一つ目の殺人は子どもがそこまでするか?という違和感が大いに残るし、二つ目も殺すまでするか?という気が拭えない。物語の端緒であり核心でもある二つの殺人に無理があるので、作品全体の説得力がどうしても弱くなっている。また、二つ目の殺人のトリックは、劇中に提示された材料だけで観る者に推理させるというのは無理があると思った。この点も「容疑者X」のほうがよく出来ていたと思う。ということで、推理ものとしての本作はストーリー、トリックの両面で無理のあるものといわざるをえない気がする。 反面、(これも少々の無理は感じるが)湯川と少年のかかわり、前田吟の父親の愛の深さといった部分には心揺さぶられるものがあった。と考えると、本作はサスペンス作品でありながら、ヒューマンな部分のほうがよく出来た映画だったといえるように思う。そのあたりは東野作品のよさに違いない。あと、蛇足ながら、ペットボトルロケットのシーン、携帯電話があれだけ長時間コールし続けるのか?という心配も残った(笑)。[地上波(邦画)] 6点(2014-05-26 12:19:34)《改行有》

2.  マイ・フェア・レディ 《ネタバレ》 久々に見直したが、やはり映画史上に残る名作だと再確認。もうちょっと若い時期のオードリーだったら、なおよかったけれど、それでも彼女の魅力は十分に発揮されていた。自分が年をとったせいか、最後のシーンは涙が止まらない。また、なぜか「I could have danced all night」のところでも泣けてしまう。お金でも宝石でもなく、ほんの少しのヒギンズのやさしさに、天にも昇るほどの喜びを爆発させるイライザの健気さに胸がいっぱいになるのだ。 エンタテインメントとしてもよくつくりこまれた作品だけれども、社会文化論的な視点から見ても興味深い。社会の底辺に属していた娘が、一転して王族にも見なされるシンデレラストーリーは、いわゆる「階級変換」がテーマとなっている。舞踏会のシーンにおいて、イライザは他の上流階級を圧倒する。イギリス階級社会の空洞性がさりげなく告発される。また、ここで描かれる社会は男性優位の社会でもある。つまり、ジェンダー的にも格差があるわけだ。しかし、ヒギンズはイライザや母の前では、その威厳は微妙である。ラスト近く、母の家でイライザと口論になり、イライザが出て行ったあと、「マザー!」と叫ぶほかないヒギンズのありさまは、「教授」という社会の最高位にある人間とは到底思えないもので、わがままがきわまってどうしようもなくなった駄々っ子の姿そのものである。貧富や性差、制度的階層の矛盾といった伝統的な社会問題が娯楽性を損なわない範囲で、しかし、しっかりと取り込まれているのは巧み。 これらを図式的に見直すと、すべて既存の秩序が一度崩壊したあとに、新しい価値観が見出され、それによって初めて幸福が得られるという筋道になっている。つまり、「崩壊」と「新生」の物語である。イライザにしても「花売り娘」としての彼女は消滅し、「レディ」として新生している。「崩壊」と「新生」というテーマで、なおかつ「階級変換」が絡んでくるとなると、(作者が意図したかどうかわからないが)これはもうニーチェの思想そのものである。となると、一見、コメディ的要素も持ちながら、その実、きわめて深い内容をも含んでいる恐るべき映画と解釈することもできるだろう。 ま、そんな見方はともかく、40年前にしてすでに一つの頂点に達している感さえある忘れえぬ一作だと思う。9点也です。[DVD(字幕)] 9点(2007-09-09 02:01:26)(良:2票) 《改行有》

3.  マイノリティ・リポート 《ネタバレ》 面白かった。「これから生じるであろう犯罪」を未然に取り締まるという発想、そのシステムの中核が人間の予知能力に依存するという神秘さ、3Dパネルを駆使したハイテク映像分析装置がある一方、コロンところがり出てくる木の玉のアナログさ、などなど、まずアイデアと舞台装置に引きつけられた。トム君のまるで演舞のような映像分析ダンスも、ちょっと笑えるがユニークはユニーク。  本作には、「管理社会への告発」とか「情報操作の恐怖」とかいったテーマも汲み取れるかと思うが、「不確実性に対する謙虚さ」を改めて教えてくれているようにも私には思われた。私たちを取り巻くこの世界、実はほとんどすべてのものが不確実ではないか? 自分のことは自分が一番よく知っていると思いがちだが、それはほんとうか? テレビで識者が「小泉政権の無策のせいで、不況が長引いている」というが、事実か? 好きな人と結婚できれば幸せとホントにいえるのか? 何か問題があったとして、一つの「解決」が決められれば、それでほんとうの解決になるのか? 真実はそう簡単にはわからない。なのに、私たちはあまりにも安易に物事を断定的に捉えてしまっているのではないか(←私?)――そんな警鐘が鳴らされているように思えたのだ。  不確実性を侮るのは、傲慢というものだろう。もし一人ひとりがもう少しずつ「不確実性に対する謙虚さ」をもてれば、無用な争いは減り、この世はもっと暮らしやすくなることだけは確かな気がする。ラストを見ていて、そんなことを考えた。7点也です。でも、それって、とっても難しいとも思うが。[DVD(字幕)] 7点(2005-04-13 16:13:33)

4.  魔女の宅急便(1989) 《ネタバレ》 素直な作品だった。そして、その素直さがよかった。これと比べてみると、最近の宮崎映画は要素が多すぎて、かえって印象が散漫になっていると感じる。本作では、たとえば、キキが飛ぶところなども、「ヒュー」とかいった擬音はいっさい用いられておらず、無音。ただ、すぅーと空に浮かび上がり、飛ぶだけ。それに象徴される全編を通じての飾り気のなさが好感を呼ぶ。  物語面でも、一度張った伏線は、あとあとちゃんと受けられ、しっかりとつくられていた(それに対して、「千と千尋」なんかでは、カオナシの思わせぶりな登場で伏線張られまくった挙句、結局、あのような描かれ方とはのけぞった)。「成長」というテーマに沿って、ケレンミなく、適度な起伏を持ちながらストーリーが展開する。そして、ひとしきりの山場を超えてラスト。無駄な、あるいは無意味なキャラクターもなかったところもよかった(やはり、「千と千尋」では無意味なキャラがいっぱいいたと思う)。  宮崎映画の“古きよき時代”の一作として評価したい。とともに、本作以降、凋落していったのが残念である。8点(2004-07-07 22:15:21)

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