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1. ミリオンダラー・ベイビー
《ネタバレ》 しかしまた骨太な映画を作ったものです.これをみたとき,「カッコーの巣の上で」を思い出しました.人間の尊厳とは?人が生きる意味とは?いままでたくさんの映画がこのテーマに果敢に挑み,ある者は成功しあるものは敗北しました.このテーマを描くには,いろんな演出や技巧が必要とされる,それにご都合主義的によい者は報われるし,悪者はその報いを受ける,そういうもんだ,と僕も思ってました.
でもこの作品は,人間に尊厳なんてもともとないし,生きること自体に本来意味なんてない.因果応報なんてことはなく,人間ただ生きるという事実があるのみだということを強烈に思い知らされる,そんな映画です.映画としてそれがいいかどうかはわからない,誰がこの映画を見て楽しめるんでしょうかね?
しかしやはり,現実とはこういう悲惨で陰惨でまったく救いもないことが平気で起こるからこそ,尊厳を感じ,生きることに意味を見いだせることがいかに現実の中で輝くのか,貴重であるか噛み締めることができるのでしょう.[DVD(字幕)] 10点(2005-12-05 22:23:44)《改行有》
2. ミスティック・リバー
《ネタバレ》 この映画の本質は、最後の最後のショーンペンの妻のせりふの中にある。社会的には小さな単位である家族の中の仁義を貫いた夫は、社会的には、またはほかの家族からは憎むべき殺人犯である。しかし妻は夫の行動を支え賞賛する。あなたは王なのだと.強く有らねばならないのだと.だからあなたは正しいことをしたのだと.
この構造,身内の中での正義,幸福の追求が全体の不幸をもたらすという構造がアメリカの底を流れる深く黒い川であり、社会的矛盾を引き起こしていると監督は警告しているのだ。近年のアメリカの横暴はおそらくアメリカにとっては正義なのであろうが、それでいいのかという問いかけではないか。
幸福の追求が、現在の不幸と報復、復讐の連鎖によっていかに阻害されているか実感させられる作品である。サスペンスでもドキュメンタリーでもない、社会派映画はとかく薄っぺらになり勝ちなのに、この映画はアメリカの病理、アメリカの社会の破綻を圧倒的な説得力、ものすごいインパクトで訴えかけている。
かつて自らの出演する映画で悪党を憎みたくさん撃ち殺してきた監督であるが、こんなことを考えていたのかとびっくりです。知性派なんだね。もう一回見るのには気合がいります。[映画館(字幕)] 10点(2004-12-23 16:49:52)(良:4票) 《改行有》
3. M:I-2
オープニングのロッククライミングのシーン,これはほんとに鳥肌が立つほどすばらしい.これは映画じゃなくっちゃ出来ない.2時間たっぷり楽しめてすかっとして,難しいこと考えたくないときは最高の映画.これは興ざめだぁっていうシーンはないし,2時間は入れ込める.ちょっとくどいけど.8点(2003-06-04 20:30:13)
4. ミリオンダラー・ホテル
ベルリン天使の詩,時の翼に乗って,パリ,テキサスの感動を期待すると裏切られるけれど,これはこれでヴェンダースらしい作品.小さな作品ですが,不思議な気分になれます.時間があるとにどうぞ.6点(2003-04-28 10:37:14)
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1 | 3 | 3.85% |
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2 | 2 | 2.56% |
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3 | 8 | 10.26% |
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4 | 3 | 3.85% |
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5 | 7 | 8.97% |
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6 | 6 | 7.69% |
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7 | 7 | 8.97% |
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8 | 15 | 19.23% |
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9 | 6 | 7.69% |
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10 | 17 | 21.79% |
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