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プロフィール |
コメント数 |
354 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
「昔は良かった」という懐古主義ではなく 「良い映画は時代を超越する」事を伝えたく、 昔の映画を中心にレビューを書いてます。
サブスクが苦手。 |
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1. 柔らかい肌
《ネタバレ》 点数を8点にしたが、私が一番好きなトリュフォー作品はこれ。
というと、たいていの映画ファンからは「あれがぁ?」というリアクションをされる。
だいたいこの映画、レビュアー様の評価もまちまちだし。
フランス本国では不評だった、らしいし。
わからなくはない。不倫を題材にした映画で、尚且つ
「柔らかい肌=若い女性の魅力に溺れる」中年男性の不徳と不実を
これでもかと描写した挙句の顛末を描いてるんだから不快にはなりますな。
(そんな意味では主人公ピエールを演じたジャン・ドサイの演技は良い)
私がこの映画が好きなのは監督トリュフォーが敬愛するヒッチコック等の巨匠の
撮影テクニックに触発された上で、「日常での最もスリルある行為=背徳の恋」を
映画的な効果でストーリー化しようとした試みが自分の琴線に触れたわけだ。
冒頭の手の絡み合いから始まるショットからラスト、夫に制裁を加えるべく
移動する車の不安定な動き~銃声。あからさまな裸や性描写を駆使
しなくとも、官能を表現する事は可能だし、感情を表現するのに表情を
映すのではなく、動作やフィルムに映し出された陰影でちゃんと表す事が
出来る、という点で面白い映画だと思う。
なので撮影:ラウール・クタール(ヌーベルヴァーグを支えた名カメラマン/後監督)、
音楽:ジョルジュ・ドルリューもいい仕事してる。
あとはフランソワーズ・ドルレアックを一番美しく捉えた映画として。
「定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー(晶文社)」を読んだ上で、
この題材に問題なければおすすめ、って結構高いハードルだなぁ。[映画館(字幕)] 8点(2021-08-04 18:52:04)《改行有》
2. 柳川堀割物語
《ネタバレ》 水路で有名な福岡県柳川市。過去に水路の汚染問題、そしてそれに伴う埋め立ての都市計画に対して「水路を浄化して生活に役立てる」事を提案し、実際に再生を果たした市役所の一係長の話をロケハンで訪れた際に聞いた高畑監督はこの話を元にドキュメンタリー映画を製作する事を思いつき、1年間の予定で現地に入り撮影を開始。ところが実際は撮影が2年に及んだ挙句資金が枯渇し(「ナウシカ」の売り上げは全てこの映画に消えたとか)、製作者宮崎駿は家を抵当にかける羽目になったのは有名な話。何しろ上映時間2時間40分は長い。映画館で鑑賞した私、マラソンみたいなものでしたよ本当。但水路の歴史や人々の営み、汚染問題や住民運動、そして再生を描き出すのにはどうしてもこの内容で無かったら駄目だったんだろう。ポイントは3つ。1 水路を走る船やそこからの光景、また人々の生活の捉え方はまさにアニメ的なダイナミズムに溢れているのが面白い。アニメによる説明よりも実写の方がアニメ的というのか。 2 高畑監督はテーマを設定し、それを基幹にストーリーを展開する事にこだわりを持っていたと思うが、この作品以降はそれに加えて「アニメーションと社会との関わり(現実的なリアリティ)」といったポイントをも考慮する様になった、という意味で作歴のターニングポイントになったと私は思う。そして3 盟友宮崎駿の「ナウシカ(’84)」「ラピュタ('86)」に対する高畑監督なりの回答:自然と人間生活の共生、そしてその在り方がこの映画に含まれているのではないかと感じたのでこの点数。 「火垂るの墓」「平成狸合戦ぽんぽこ」「おもひでぽろぽろ」だけじゃない、ってかまずは世界名作劇場の高畑作品を見てからなのだろうけど、機会があれば。[映画館(邦画)] 8点(2021-04-17 19:09:51)
3. やさぐれ姐御伝 総括リンチ
《ネタバレ》 「不良姐御伝」と同じく池玲子=猪鹿お蝶を主演にした続編だが、やはり監督が輝男なのでその趣はとことん異なる。だいたいストーリー上女優が裸になる必要性がない時でも 、皆様脱ぎまくる(麻薬を持ち運ぶ手段としてああいった方法を活用する、という時点でもうフリーダムである)。敵対関係があってそれぞれにらみ合っていた辰雄と徹、宏だがさんざこき使っていた女達が(もちろんスッポンポンで)襲いかかってくるのを見て取るや「みな協力しまひょ」と握手をする。私はこんな悪役彼らが大好きだ。よくわからない内に挿入される精神病院(ねじの飛びまくった女性達)+お約束の大泉滉。ラストの乱闘シーンで女性陣がばんばん脱ぎまくる中で悪役の一人が根岸明美に向かって叫ぶ、「お前は脱いだらあかんぞ!」という台詞は多分この映画を観ていた全ての観客の意見であったろう。(10人中9人は受け入れられないだろう)輝男が好きなあなたに送る、日本のピンキー・バイオレンス映画史に残る快作。[映画館(邦画)] 7点(2011-07-30 23:55:54)
4. 破れ太鼓
《ネタバレ》 まさに古典落語の「かんしゃく」(何にでも口を出さずにはいられない怒りっぽい旦那様が巻き起こす騒動を描いた噺)の換骨奪胎版。ところがこの映画で一番印象深いのは家族にそっぽを向かれ一人になった主人公が寂しく食事を取りながら昔を思い出し涙を流すシーン。まさに哀愁を見せる事にかけては天下一品、彼に並ぶ者はいないだろう演技です。(彼の域まで達したのは渥美清くらいなモンでしょう)田村三兄弟はこの映画を見て「家にいる親父そのもの」という感想を述べたそうですから、重厚な時代劇、若しくは人情劇での印象強かった阪妻を喜劇にキャスティングした監督木下の勝利、ってとこですかね。共演者の豪華さも特筆すべき一本。[映画館(邦画)] 7点(2008-04-21 12:48:52)(良:1票)
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