みんなのシネマレビュー |
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1. 夕陽のギャングたち 《ネタバレ》 正直なところ、見ている最中は“なんて長いんだ。回想シーンは全て省き引き延ばしもしないで早く進めて終わってくれ”などと思っていたのですが…、ラストの暗闇にコバーンが一人で動き出すと、いよいよ閉幕感が漂い出し、ロッド・スタイガーと目が合い互いに笑顔で合図を交わした瞬間、“ああ、早く終わってくれなんて思って御免なさい。ずっとずっと続けばいいのに”と思い直したのです。それは2人がアメリカに行けないと半ば承知していたことが確信に変わる瞬間であるからです。瀕死のコバーンは急にしおらしくなりスタイガーに謝る。それに無言で応えるスタイガー。騒がしい戦場にふいに訪れる2人だけの空間に泣けてしまうのです。[DVD(字幕)] 8点(2012-06-01 18:33:06) 2. ゆすり(1929) 例えば、灰皿のタバコを使って見せる時間の経過であるとか、電飾を錯覚してナイフに見せるとか、絵画やダラリとした腕の記憶であるとか、犯人追跡で見せる緊張感を煽るカットバックであるとか…、今日では当然であるような手法をヒッチコック監督は当時から正確無比に使っています。さらに初のトーキーであるものの、ただ台詞を話させるだけに留まらず、早速お喋りのおばさんにナイフと連呼させ脅迫観念を募らせたりと、常に効果的な方法を模索している感じが窺え、その発想力は凄いとしか言い様がありません。[DVD(字幕)] 8点(2011-11-09 18:27:46) 3. 郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942) 《ネタバレ》 白黒とはいえ綺麗に撮ろうと顔に当てられた光が強過ぎて、今見るとかなり不自然に見えますし、ジーノとエスパニョールの絡みや、のど自慢の件などの前半部はやや退屈で冗長ではないかと思いますが…それを差し引いても完璧と言わざるを得ないほど1カット1カットが驚くほどバッチリ決まっており圧倒されてしまいます。 例えば、これから男女の過ちが100%起きますよと言わんばかりの雄弁な出会いシーンの素晴らしさ。あるいはダンサーとの束の間の恋愛が描かれる場面では、ドキドキしてしまう美しいキスシーンがあるのはもちろん、彼女の部屋から辺り一帯の町並みの設計、人物の出し入れまでが鮮やかで見事としか言い様がありません。 ヴィスコンティ監督は処女作から次元の違いを見せつけてくれます。[DVD(字幕)] 9点(2011-05-31 18:51:41)(良:1票) 4. 夕暮れのとき 《ネタバレ》 スタンドで新聞を探す男は明かりがつくと慌てて顔を背ける…。この男は何らか事件に絡んでいると一目瞭然な冒頭からしてミステリアスで、ただならぬ気配が漂っており観客の心を鷲掴みするものです。その後もアン・バンクラロフトとのバーでの出会い、調査員のシーン挿入の巧みさ、強盗の二人組のキャラクター造型と見所がありますが、最後の対決シーンで除雪車と小屋までの足跡しかないのに「危ない」と言いながらも何の用心もなしに近寄って行ってしまうのは間抜けに見え緊張感を欠いています。 ただここは、強盗たちが小屋の窓枠からヌッと姿を現すところを見せたかった一点に尽きるのでしょう。それに、そもそもファッションショーの会場から逃げ出す際、アン・バンクロフトは走ることは微塵も考慮されていないドレスで逃げ出し、早歩きすらままならないので主人公にお姫様抱っこされるのですから、つまりこれはハネムーンへの出発なのであってハッピーエンドはこの時点で既に約束されていたのです。[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-01-28 18:23:29) 5. 誘拐犯(2000) 《ネタバレ》 人物設定といい、あのカッコイイ音楽といい、色々と思わせぶりな映画ですが、結局のところドンパチで全て解決してしまっているので拍子抜けの感があります。しかしながら誘拐するシーンにおいては、ライアン・フィリップが入り口からの長い通路を徐々に怪しげになりながら歩いてきたり、あるいは徐行による車の追跡も画面の奥へ奥へと逃げて行ったりと、奥行きの使い方が意識されていて面白いです(他にも何度か見られる)。 そしてモーテルでの銃撃戦も狙撃を取り入れることによって俯瞰で見せる工夫がされていますし、ラストのじい様たちとの西部劇のような大銃撃戦も人物の位置付けがしっかりしていて視界良好です。これだけ距離感を出しているのは近年の作品では珍しいと思います。ただ、惜しむらくは銃撃戦であるのにやや迫力に欠けていることで、鬼気迫っていない「ワイルドバンチ」のようです。 それにしても白ポロシャツにムキムキアピールのジェームズ・カーンに敵うわけない。[DVD(字幕)] 8点(2009-12-01 18:32:46)《改行有》 6. ユージュアル・サスペクツ 《ネタバレ》 お見事!まったくお見事としか言い様がありません。本当なら作り話というオチに怒り心頭のところですが、ここまで綺麗にうっちゃられると文句を垂れる気も失せてしまいます。サスペンスとして超一級の出来映え。個人的にこの手のジャンルではベストです。初めて観た時にはまだケヴィン・スペイシーが全然有名ではなく、「セブン」よりも先に観たのも良かったかもしれません。先入観ゼロの状態でしたからね。(唯一観ていたのが「摩天楼を夢見て」だったけどスペイシーだって知らなかったし、この時はまだパチーノとジャック・レモン相手にタジタジだった。)そして二回目以降は細部を楽しめます。コップの底を覗いているシーンに「おおっ」とか思います。それからガブリエル・バーンがダンディで渋くて凄くカッコイイです。私もあんな風に年をとりたい。…絶対無理ですけど;。彼にはもっと実力に見合った作品(どうも彼の出演作にはイマイチなものが多い気がします)に出て活躍して欲しいです。[ビデオ(字幕)] 9点(2006-04-21 18:36:53)(良:1票) 7. 夢の旅路 自分自身を探すロードムービーでしょうか。あまりにも詩的にファンタジックに描かれているせいか、意味がよくわからない不思議な作品です。砂漠の真ん中で料金所などは面白いとは思いますが・・・。抽象画のようなので、ピカソの絵の良さすら解さない私にはさっぱりですよ。しかし、様々な映画祭などでも評価されているので何かあるのでしょうね。いつか再び観直してみたいと思います。[DVD(字幕)] 4点(2006-01-15 16:01:39)
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