|
プロフィール |
コメント数 |
2127 |
性別 |
男性 |
自己紹介 |
2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。 ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。 映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。 私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、 楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。 ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。
そして、 侵略戦争が膠着状態に入り、 いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。 まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。 ウクライナ、頑張れ!
2024年3月17日更新 |
|
1. U・ボート
《ネタバレ》 ハリウッド制作のヒトラーものは何作かありますが、ドイツ人の視線から二次大戦を振り返っている映画は多くないと思います。少なくとも、私はあまり記憶に有りません。反戦を安易に台詞にするような映画とは違い、映画全体から漂ってくる絶望感に押し潰されるような作品です。暗い、狭い、汚い、男臭い。カメラはほとんど船外には出ず、潜水艦の中を這いずり回る。水圧に潰される恐怖も、駆逐艦に追われる恐怖も、音と船員の表情で演出する。この圧迫感がハンパない。危機を回避するたびに訪れるか細い希望は、次の絶望への序曲に過ぎない。それまでに観たどの戦争映画よりも陰惨で容赦の無い作品でした。
学生時代に「映画は監督で観るもの」という認識を持った初期に「ただ者じゃない」と思わせた監督の一人がこの方でした。そう思わせたのは、まさしく本作の語り口です。徹底的に暗い。爽快感皆無。それを1本の映画として完遂させるには、よほど監督の中に徹底した方向性が無いと出来ない芸当だと思いました。大事なのは「暗い」ことではなく「徹底した方向性」の方です。つまり、演出とはコンセプチュアルなものであるはずだから。本作には、観客に迎合するような表現には断固として安住しない意志を感じます。
でも、その姿勢が最も顕著なのはこのデビュー作でしょう。ハリウッド進出後の作品は、本作ほど際立っていません。この監督をして、そうさせるのがハリウッドのダイナミズムなのかとも思います。[映画館(字幕)] 9点(2013-02-04 01:00:20)《改行有》
2. 遊星からの物体X
《ネタバレ》 久しぶりに観たけど、すでに30年近く経っていると思えないほど新鮮だった。これ、公開時に観て興奮しました。割れた腹が口になって腕を噛みちぎる! 首がもげてカニのように歩き出す! 次はどんな形態になるのだろうと、その興味が先行して実はあまり恐くは無かったんだけど、アレの変態のアイデアと<特撮>でそれを実現したクリエイティビティを賞賛します。ジョン・カーペンターも特殊メイクのロブ・ボーティンも、この頃が最も脂がのっていた。本作以降、映像に驚き興奮したのは約10年後の「ジュラシック・パーク」だったと思う。そういう意味では10年にひとつ、という傑作です。[映画館(字幕)] 8点(2011-08-08 01:43:48)(良:1票)
3. 雪の断章 情熱
基本的にこの監督は好きじゃない。が、二十数年前に観たこの映画は良かった記憶があって久しぶりに見直したのだが、映画の内容より、なぜこの監督が好きじゃないのかを確認してしまった。ちょっと脱線ですが好きじゃない理由から。
結論から言うと、この方の映画は映画である必然を感じない。映像を演出するというより、舞台の芝居を演出して、それをフレームに収めているような作り方です。引きの客観視点からの長まわしは、多用されると登場人物の心情が遠くへ行ってしまいます。この方の最も特徴的な文法ですが、しっくり来たことは無かった。撮り方だけではなく、芝居の付け方も舞台っぽいと思います。役者がいきなり歌ったりパントマイムっぽいことをやったり。この映画でいうと、やたらと水に浸るシーンなどです。誰かに見られている、ということを前提にしたような芝居って映画らしくないし、オーバーに演じて丁度いい舞台芝居を見せられているようです。そして一番よろしくないと思うのが、ここぞという場面で常識的にはやらないアクションをさせたがること。リアリティからの逸脱ですね。この方の美意識の中での象徴表現なのでしょうが、自分には鼻に付くことが多かった。これはあくまで自分の主観ですので、ファンの方は気になさらずに。
この映画に関してはデビューしたての斉藤由貴の瑞々しさに尽きると思います。健気な元気さと繊細さとちょっと調子がズレてる彼女の個性が早くも発揮されてます。でも、今観るとかなり無理矢理な設定でした。二十数年前の自分は8点くらい付けていたと思いますが、見直してしまったためにこの点数。[映画館(邦画)] 5点(2008-12-31 02:36:59)(良:1票) 《改行有》
|