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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. リトル・ランボーズ 《ネタバレ》 英国映画の「男の子」たちは、いつもオトナや社会と〈葛藤〉している。階級差や家族関係、あるいは抑圧的な学校と教師たちなど、文字通り“四面楚歌[スクエア]”な現実に対して闘争、あるいは逃走し、自分たちだけの「(精神の)ユートピア」を築こうとするのだった。たとえば『小さな恋のメロディ』しかり、『リトル・ダンサー』しかり・・・。 ・・・そこにあるのは、ともに家庭に問題をかかえ、孤独だった少年たちが、いっしょに何かを成し遂げようとすることで心のきずなを結んでいく姿だ。だからこそ、スタローンの『ランボー』に熱狂し、自分たちだけで“リメイク(!)”しようとする11歳の少年ならではの奇想天外・抱腹絶倒・天衣無縫な撮影シーンは、大笑いさせられながらもあれほどみずみずしく、感動的なのである。同時にそれは、ふたりをとりまく家庭や社会や学校からの“逃避”であり、その時彼らが創ろうとしていたのは、映画である以上に、家庭や学校や教会から唯一自由になれるふたりだけの「ユートピア」に他ならないのだった。 やがて、そんなふたりだけの「ユートピア」に割り込んでくる大人びたフランス人少年の登場で、ウィルとカーターのあいだに決定的な“溝”ができる。文字通り身も心もカーターを傷つけてしまったウィルは、もう一度カーターとの心のきずなを築き直そうとするだろう。なぜなら、友だちへの裏切りこそ最も恥ずべきことであり、その回復こそが男の子たちにとって至上の〈倫理〉なのだから。 「友情はセックスのない恋愛である」といったのは、作家の橋本治だった。そのことの意味を、この映画ほど実感させてくれるものもないだろう。それは、どんな美男美女が演じる「恋愛ドラマ」よりも純粋[ウブ]で、歓喜に満ち、痛ましく、そして感動的だ。・・・この映画の原題『Son of Rambow(ランボーの息子)』の“Rambow”は、本当なら“Rambo”の綴り間違いだが、ぼくはそれを“Rainbow”と見まちがえた。しかし映画を見終わって、“ランボーの「息子」たち”は、“虹[レインボウ]”こそがふさわしいじゃないかと、思い直したのだった。そう、「男の子」であるのは、まさに虹のようにはかない一瞬であり、だからこそ美しいのだ。[映画館(字幕)] 8点(2011-04-26 12:16:28)(良:2票) 《改行有》 2. リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い 試写会でひと足お先に拝見。一見すると『Xメン』の亜流めいた”超人大集合”ものなれど、19世紀を代表する面々が、「大量破壊と殺戮」の20世紀を象徴する悪と対決する図式にまず感心。なかなかにインテリジェントじゃないですか。それぞれのキャラも、きちんと読者を納得させてくれるデティールが配され、満足満足(特にネモ船長はナミダものです!)。これで監督に、もうちっと19世紀的エレガンスに長けていたなら、もっと良かったんだけどね。まあ、文句なしに楽しめますから文句なし!(…って、同語反復でした)7点(2003-09-16 15:22:07)(良:1票) 3. リプレイスメント うん、確かに『メジャーリーグ』の2番煎じではあるけれど、あちらにあったケレン味とあくどい笑いのセンスじゃなく、爽やかな(古き良き時代の)アメリカ的健康さを感じさせてくれるのがいい。ほんと、思わぬ拾い物って作品ですね。ところで、やたらヒロインである新人(?)女優をできるだけ魅力的に撮ろうとしているように見える(で、実際魅力的なんだけど)のは、監督のドイッチが彼女にホレてたからでせうか…?8点(2003-08-25 18:13:58)(良:1票) 4. リリイ・シュシュのすべて 岩井カントクの映画って、『スワロウテイル』でさえ評価してきたんだけど…これは…。破綻を恐れず、「今」の少年少女たちの「闇=病み」と直視しようとした真摯さは、よしとしよう。けれど、それが所詮は未成年者による非行例のサンプリング(!)に終始して、ひとつとして彼らの「闇=病み」を実感させるものではなかった。ただ、不愉快なだけだ。結局、新しいタイプのストーリーテラーである岩井カントクに、この作品のテーマはおよそ不似合いだったと。残念だけど、そう結論せざるを得ない、完全なる不完全作(とは、語義矛盾ですが)。唯一、8ミリビデオで撮った沖縄のシークエンスは、異様な衝撃を持っていたとは思うのだけど…。1点(2003-07-23 13:47:00) 5. リトル・ダンサー 素直に良い映画。なんだけど、主人公の少年の夢をかなえてやろうとオヤジがあえてスト破りしようとするところの過剰な泣かせ場面がクサイ、クサすぎる、他の場面が自然に流れていたんで、余計に目立ち過ぎる…。どなたかも比較しておられたけど、『遠い空の向こうに』と展開がよく似て、こっちの方が圧倒的に高評価ですよね。だけど、ぼくには『遠い…』こそを愛したい。少なくとも、あっちのオヤジの方への共感の分。すみませんね、『リトルダンサー』ファンの皆さん…。7点(2003-07-23 13:27:27) 6. 猟奇的な彼女 う~ん、テレビの2時間ドラマでなら「なかなか気がきいてるじゃん」と楽しく見られそうなんだけど…。つまりはすべてにその程度の薄っぺらさが、映画として納得できませんでした。ただ、まさにラストカットの、学生服を着て、ディスコで身分証明証を見せるヒロインはカ、カワユイ~ッ!!5点(2003-05-20 13:43:23)
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