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1. 奇跡の丘
キリスト映画はたくさんあるが、私にとっては本作がベストである。これはリアリズムなどではなく、ハードボイルド受難劇とでも言うべき物だろう。映像の歴史的考証にはあまりこだわらず、言いたいことを実にストレートに表現している。キリスト役にのっぺりした顔立ちのスペイン人俳優を起用し、角張った顔のイタリア人俳優たちとの異質感をだしているのも面白い。どちらかといえば静かな映画だが、惻々と迫るものがある。それからサロメ役の女の子がすごく可愛い(美しい!)。その踊りは「舞い」という言い方がふさわしい上品なもの。サロメが王女であって、踊り子ではなかったことを思い出させる。ラストシーンのキリストの表情が素晴らしい。実に見事なエンディング!10点(2003-10-01 18:20:39)
2. サウンド・オブ・ミュージック
いいねえ、サウンド・オヴ・ミュージック!アメリカ映画黄金時代最後の輝きの一つかな。舞台上演のミュージカルはけっして好きではないが、ミュージカル映画は良い!この作品に出てくるザルツブルクやザルツカンマーグートは実際に訪れたことがあるので、その空気感ともどもなんとも楽しい気分にさせてくれる。イデオロギー的にはいくらか突っ込み所はあるが、そうしたものを忘れさせる魅力に溢れているし、隠し味的な苦みも忘れていないのがお見事。駄弁を費やしても仕方ないので最後に一つだけ印象的なシーンを挙げておく。大佐とマリアへの祝婚の鐘が、ナチスに併合されたオーストリアへの弔鐘に変わっていく象徴的な描写。9点(2003-09-25 20:56:14)
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