みんなのシネマレビュー |
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181. 審判(1963) 《ネタバレ》 原作に忠実な「映画化」の部分もあるのだが、基本的には大胆に映画の側からカフカ世界を作っていて、それが成功している。[映画館(字幕)] 8点(2011-03-24 22:13:38) 182. 結婚哲学 《ネタバレ》 ラストの八方収まる視線のトリックは唖然とさせるほどのすばらしさである。視点の意味では、主人公のみが真実認識から遠い終わり方である、ということは、この主人公にも身を寄せていた観客が、高みの見物の座へ移り、映画の外へと笑いながら追い出されるのである。[映画館(字幕)] 9点(2011-03-24 21:31:46) 183. ゆれる 《ネタバレ》 吊り橋の文字通りのサスペンス(宙吊り)が効果的であったとは言い難い。西川監督作品は『ディア・ドクター』のほうがいい。[映画館(邦画)] 3点(2011-03-24 20:58:31) 184. 七人の侍 《ネタバレ》 若侍(木村功)が農家の娘(津島恵子)と契ったことを糾弾する集会が開かれようとしたときから降り出す雨は、集会を中止する(批判的思考を封じる)だけでなく、死闘の空間(こうなれば誰も逃げられない総力戦体制)を脚色する。そう考えるとモンダイな雨の映画であるが、この雨はいまや福島原発事故のことではないのか・・・・というふうに真面目にクロサワ映画を扱っても滑稽でしかないか。[映画館(邦画)] 8点(2011-03-24 20:50:32) 185. 犬神家の一族(1976) 当時ものすごい宣伝で、ついそれに負けて観たが、まったく駄目だった。それ以来、宣伝には警戒心を抱くクセがついた。市川崑(いい作品もあるのだが)の内容空疎な唯美主義にも警戒するようになった。[映画館(邦画)] 2点(2011-03-24 20:31:47) 186. ヒズ・ガール・フライデー 《ネタバレ》 字幕を追うのがたいへん。言葉だけの世界であることの「残酷さ」も売りになっていて、高所から落下した人物を見て「まだ動いている」。スクリューボールコメディの猛威。[映画館(字幕)] 7点(2011-03-24 16:53:44) 187. 人生のお荷物 『マダムと女房』は「モダン」という時代の話題と頑張って取り組んでいたが、この作品は気楽に、飄々とした五所平之助の持ち味を出している。余談だが、五所監督は松竹時代に映画界から去ろうとしていた成瀬巳喜男を引き止めた人である(いわば映画界の恩人)。[映画館(邦画)] 6点(2011-03-24 12:26:11) 188. シンドラーのリスト 《ネタバレ》 スピルバーグは混乱のシーンを手持ちカメラで揺らすクセがある。この作品ではナチの侵略シーン、『プライベートライアン』では冒頭シーン、『ET』でも。観客を馬鹿にするなと言いたい。混乱のシーンこそ固定カメラで見据えるべきではないか。 とにかく、『ショアー』のランズマン監督による批判ももっともである。[映画館(字幕)] 3点(2011-03-24 12:04:20) 189. 戦場のピアニスト 《ネタバレ》 ワルシャワ・ゲットー描写を正面に据えた珍しい作品であるとおもう。多分ゲットーの惨状はもっとひどいものだっただろう。力作だが、好きにはなれないのは内容上やむをえない。[映画館(字幕)] 5点(2011-03-23 23:13:54) 190. 太陽がいっぱい 《ネタバレ》 こういう犯罪者に身を寄せて行動を共にすることになる観客存在とは何なのだろう。観客は、一線を越えないだけの、想像上の犯罪者なのであるが、やっと、ラストシーンのアイロニーとともに映画の外へと押し出され、目が覚める。[映画館(字幕)] 8点(2011-03-23 21:23:09) 191. トウキョウソナタ 《ネタバレ》 小泉今日子だけがよかった。黒沢清って私にはわからない(ただし『神田川淫乱戦争』と『ドレミファ娘の血が騒ぐ』にはかつてそれなりに熱くなれた)のだが、この映画の「内容」は例外的に「わかる」(「社会学的に」わかる)もので、それがまたつまらなかった。ただし、留置所のドアが外開きである点で(映画のドアの開き方にうるさい私としては)きちんとした映画美術であることを確認できる。[映画館(邦画)] 4点(2011-03-23 19:58:11) 192. ドレミファ娘の血は騒ぐ 《ネタバレ》 「あらゆる熱気の去ったあと」みたいな黒沢清の作品はいつも何もわからない。たまには「熱気」の中心に向かえよと言いたい。この作品もわからないが、洞口の登場の仕方が非常にいい、「やって来ました吉岡さん」、そして横移動 (この平面性がいい)。音がまさに乾いた、熱気無きもの。やっぱりわからない作品だが、不思議に凄くいいと思えるのは、80年代の「戯れ」映画の文脈にもよる。[映画館(邦画)] 7点(2011-03-23 19:26:25) 193. それから(1985) 《ネタバレ》 冷房が効き過ぎの空席だらけの映画館(京都ロキシー、この映画館も今はない)で、森田芳光健在を確かめた。松田優作が着せ替え人形のようにお洒落な服に身を包み、その暗さの演技もいい。が、漱石の原作はとくに前半は明るさや笑いもあるものなので、原作との差異も非常に興味深い。[映画館(邦画)] 7点(2011-03-23 14:35:36) 194. 櫻の園 -さくらのその- (2008) 《ネタバレ》 旧作が素晴らしかったので、このリメイク版はよけいにひどかった。二回目というのは難しいものである。二回目はよくてパロディーにしかならないから。 チケット代を返してほしいくらいなので0点。[映画館(邦画)] 0点(2011-03-23 12:54:33) 195. 台風クラブ 《ネタバレ》 三浦友和がいい。「ああ、台風来ないかなあ」(大西結花の台詞だった?)もいい。ラストの「あ、金閣寺」(工藤夕貴)もいい。しかし、なぜ「犬神家」になってしまうのかがわからない(ぶち壊し、でも8点)。[映画館(邦画)] 8点(2011-03-23 10:30:23) 196. 櫻の園(1990) 《ネタバレ》 髪型変えたのねで、ずーっと話題を引っ張り、アイスクリームが配られて、溶け始める。観終わってよくできていると思ったし、この良さを長く記憶しているつもりでいた、が、いまでは忘れている。だからといって、私はDVDで「内容」を確かめようとも思わないので、忘れたままである。[映画館(邦画)] 7点(2011-03-22 21:48:23) 197. キッチン(1989) 《ネタバレ》 「映画化」なんぞはゼッタイ不可能な淡い感覚表現だらけの原作を、思い切って映画の側から、映画に出来ることに沿って作った映画で、成功していると思う。ただ映画には叙事性が欠かせないので、それが足りないのは原作の問題なのである。いずれにせよ、森田芳光、『そろばんずく』『悲しい色やねん』と連続して空振り三振のあとの、久々のヒット性の当たりであった。[映画館(邦画)] 6点(2011-03-22 20:54:01) 198. ダイ・ハード 《ネタバレ》 たしかにドンパチ・スペクタクルをぼーっと眺めていたいときはあるが、それはごくたまにである。当時、これこそが映画の醍醐味であって日本映画は小粒すぎる、みたいな言い方までされた(謬見である)ことを思い出すが、今はどうだろう。ところで、日本タタキのネタが入っているのはサブリミナル効果のような反則かも。[映画館(字幕)] 4点(2011-03-22 06:09:21) 199. ツイスター 《ネタバレ》 タツマキって「喩え」(隠喩)じゃなかったのね、と同行する女性が言う。この言葉が深いのである。そう主人公は、竜巻を「実際に」追い研究する仕事なのである。そして映画は隠喩向きではなく、現物を見せる、ということになる、が、この場合CG頼みになるのもやむを得ないか。ところで日本にとっても竜巻はもはや隠喩ではない。「竜巻雷之進」という隠喩的な名前(『赤胴鈴之助』の登場人物)もいまやリアルになりつつある、怖い。[映画館(字幕)] 5点(2011-03-22 05:22:27) 200. パルプ・フィクション 《ネタバレ》 死んだはずのトラヴォルタがドアを通り抜けて出て行くというエンディングがいい。「オラは生き返っただー」はいい。だから、時間編集に別の「良さ」が付け加わるのが素晴らしいのである。ちなみに同系の『運命じゃない人』もずいぶん頑張っているし、何度も見返してしまうような「良さ」にあふれている。[映画館(字幕)] 7点(2011-03-21 22:08:36)
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