みんなのシネマレビュー |
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2081. アパートの鍵貸します 《ネタバレ》 映画の初めの方こそ、出世のために自分の部屋を上司に貸すなんてひどい奴と思ったが、徐々に惹きつけられていった。この映画はコメディであるにもかかわらず、実に丁寧に作られた映画であり、ラブロマンスとしても優秀だと思う。 笑いの中に細かな細かな心遣い配慮があり、それが積み重なって、ラストのフランがバドの元へ走るシーンにつながってくるのだと思う。いやあ、めでたしめでたし。監督のビリー・ワイルダーは脚本家としてもすばらしい。[DVD(字幕)] 9点(2011-04-20 17:31:41)《改行有》 2082. 嵐が丘(1992) 《ネタバレ》 原作をほぼ忠実に全編映画化したこの作品、本当に惜しいと思う。この映画の良さを理解するためには、原作の長編小説を読むことが必須の条件のように思える。そうでないと物語があたかもダイジェスト版かのように進んでしまうので、どうして?なぜ?という疑問が残ってしまうと思う。 私はマーガレット・ミッチェルが書いた「風と共に去りぬ」もエミリ・ブロンテが書いた「嵐が丘」もすばらしい小説だと思っている。共通点はどちらも女性が書いた小説だが、片方はクラーク・ゲーブル、ヒビアン・リーで不朽の名作となっているのに、こちらの映画はローレンス・オリビエの映画もこのジュリエット・ピノッシュの映画もまだ小説の真価が発揮されていないと思う。 「風と共に去りぬ」のような途中休憩を挟む4時間近い大作にするか、「戦争と平和」のように前編と後編の二つの映画にするくらいにしなければ、肩を並べられないのかもしれない。 「他人を憎んでは決して幸せにはなれない」という事と共に、最後に残ったへアトンとキャサリンに希望の光を託す映画なのだろう。[DVD(字幕)] 7点(2011-04-20 10:09:00)(良:1票) 《改行有》 2083. 嵐ケ丘(1939) 《ネタバレ》 ずいぶん昔の戦前の映画であるが、日本で公開されたのはずっと後だったと思う。私は少年時代にこの映画を見、青年期に原作を読んだ。シャーロットの妹であるエミリー・ブロンテの「嵐ケ丘」は当時は評判が甚だ良くなかった。それは余りにも暗い復讐劇であったからである。 このすさまじい長編復讐劇をウィリアム・ワイラーは、半分くらいに縮め(キャシーやヒースクリフ、ヒンドリーの子供たちが登場しない)キャシーとの愛憎劇に作り替えたのである。それはそれで映画としては成り立つのだが、反面キャシーがヒースクリフになびいたり、エドガーに惹かれたり、筋がはっきりしなくなっている。またローレンス・オリビエのヒースクリフも格好良すぎる。 長編小説で同じ年に制作された「風と共に去りぬ」がカラー映画の超大作となったのに較べ、見劣りするのは仕方ないところである。「命なしでは生きられない。魂なしでは死にもできない。」というヒースクリフの台詞にも重みが感じられない。[映画館(字幕)] 6点(2011-04-19 23:24:03)(良:1票) 《改行有》 2084. サザエさん(1956) 《ネタバレ》 私は子どもの頃(50年以上も前)「ジャンケン娘」と「サザエさん」を見たことがある。「ジャンケン娘」は元祖三人娘(美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみ)、サザエさんでは江利チエミが主役を務めた。 大人っぽい歌を歌う美空ひばり、西洋のハイカラな歌を歌う雪村いづみと違って、彼女は明るく庶民的で、まさにサザエさんそのものだった。 ところが私の記憶にしっかりと残っているのはテレビのサザエさんシリーズ、サザエさんはもちろん江利チエミが演じたが、マスオさんは小泉博ではなく川崎敬三だった。 映画のサザエさんは確か二人が結婚するまでの映画だったと思う。おもしろい映画だったことはよく覚えているが、小泉博の顔がどうしても思い出せず、すぐ川崎敬三になってしまう。 江利チエミは明るくお転婆なサザエさんを演じているが、実生活は大変苦労をした人である。大きな不幸を抱えながらもおくびにも出さず、強く生き抜いた人でもあった。早すぎた死(美空ひばりよりもなお早い)に哀悼の意を献げたい。[映画館(邦画)] 6点(2011-04-19 08:05:19)(良:1票) 《改行有》 2085. 大脱走 生死をかけた脱走ではなく、まるでゲームを楽しんでいるように見える。いろいろな役割を持つ捕虜がいて、脱走計画に知恵を絞るのはおもしろいのかもしれないが、戦争中という状況ではこうはいかないだろう。[映画館(字幕)] 6点(2011-04-18 21:54:42) 2086. レザボア・ドッグス 下品さと暴力シーンのオンパレードで好きになれるわけがない。[DVD(字幕)] 2点(2011-04-18 21:16:18) 2087. パッセンジャーズ 《ネタバレ》 大規模な飛行機事故生存者のPTSDであれば、グループセラピーだけでなく、EMDRや行動療法などの専門的な方法や、もっと飛行機会社あげての対策をするはずだ。 しかし映画の中の治療は専門性もないし、治療対策も大がかりにやっているとは思えない。また第一、クレア自身が医師にもカウンセラーにもまったく見えない。 初めから破綻しているわけだが、彼女がその方面は素人で映画が彼女の夢であれば頷ける。[CS・衛星(字幕)] 4点(2011-04-18 07:49:34)《改行有》 2088. ジェイコブス・ラダー(1990) 《ネタバレ》 一見すると、何が現実でどこまでが夢かわかりにくい映画。しかしシーンが脈絡なく非現実的に起こることから、ベトナムの戦地だけが現実でそのほかは主人公が死ぬまでの幻想だということは容易にわかる。 ベトナム戦争は長期化泥沼化し、悲惨で悪夢の連続だったであろう。そこで密かに使われた薬品というのも真偽のほどはわからないが、真実であれば副作用も相当なものだろう。 とにかくグロテスクで後味の悪い映画であり、私は好きになれない。 [DVD(字幕)] 3点(2011-04-17 18:04:05)《改行有》 2089. ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版 《ネタバレ》 妻に私の一番お気に入り映画を見せようとDVDを借りたところ、この映画だった。私が見た映画より遙かに長い、しかも途中見たこともないシーンがたくさん・・・。劇場版と完全版でこのような大変な違いがあるとは夢にも思わなかった。 私は非常に戸惑ったが、妻は大変お気に入りだった。複雑な心境である。 成人したトトが恋人エレナとすれ違いになった様が赤裸々になるとともに、ストレートな描写、私は興ざめしたが、妻のように逆の人もいよう。要は好みかもしれないが・・・。[DVD(字幕)] 7点(2011-04-17 11:21:58)《改行有》 2090. ニュー・シネマ・パラダイス 《ネタバレ》 郷愁を誘う素敵な音楽、映画史上屈指の評判を持つ映画、映画好きの人だったら間違いなく好きなると薦めてくれた友に感謝。少年から青年へと成長したトトと映写技師アルフレード、古き良き時代の想い出はとても美しい。 エレナと離ればなれになって傷ついたトトに「これ(映写技師)はおまえのやる仕事ではない」と冷たく突き放すアルフレード、最後に残ったキスシーンのつなぎ合わせ、映画ってやっぱり素晴らしい。 ジャンギャバンの「どん底」、ジョン・ウェインの「駅馬車」、ルキノ・ヴィスコンティの「ゆれる大地」、「チャップリンの拳闘」、・・・。この映画の中に出てくる映画を全部見ることができた人は何と幸せだろうか。 ところで99日目に立ち去った兵士の物語、あれは?[映画館(字幕)] 10点(2011-04-17 10:42:12)《改行有》 2091. パッチギ! 《ネタバレ》 地図の上に引かれた国境というライン、もしこれが消えてなくなることがあったら・・・。 以前この映画を薦められながら、けんかやバスを横倒しすることが嫌で途中で見るのをやめてしまったのを、数年ぶりに最後まで見た。あれだけ嫌だったシーンを乗り越え、何度も何度も・・・。 この映画では私はいつも涙するシーンがある。それは「イムジン河」の歌が歌われる場面だ。この歌は昔フォーク・クルセイダーズが歌っていて、いろいろな逸話がありその後の「悲しくてやりきれない」と続くのだが・・・。 「歌に国境なんぞ、ないんだ」とディレクターが叫ぶ。そして朝鮮語で歌われた歌が、日本語で歌われ、想いは一つの感でしめくくる。 [DVD(邦画)] 8点(2011-04-17 07:10:24)(良:1票) 《改行有》 2092. 人のセックスを笑うな 《ネタバレ》 私はこういう雰囲気の映画は好きだ。雰囲気を大切にする映画では、カメラが人間を追うのではなく、カメラは動かず画面の中に人を入れる、長回しというものらしい。 そしてこの映画では、ぎこちない不器用な者どうしがぶつかり合って、淡々と物語が進む。 早朝にトラックの荷台に乗り込んだユーレイは、キャンパスの中では学生とまちがえられそう、非常に若い。松山君ならずとも私も彼女の魅力に引き込まれてしまいそう。 「脱いで」「これ脱いだら裸ですよ」「オー、イエス」「ズボン脱いで」「え、脱ぐんですか」「オー、イエス」・・・といった会話が何とも良い。 ところでこの挑発的な映画の題、何とかならないものだろうか。[地上波(邦画)] 8点(2011-04-16 21:19:15)《改行有》 2093. ロシュフォールの恋人たち 《ネタバレ》 何十年も昔、サウンド・オブ・ミュージックからメリー・ポピンズ、シェルブールの雨傘と立て続けにミュージカル映画を見続けていた時代に、つまづいた映画がこの映画だった。どうしても好きになれなかったのである。今回DVDが発売になって改めて鑑賞し、どうにか点数アップしたが・・・。 この映画はどちらかと言うとウエストサイド物語に似ている。ストーリーより歌と踊りという感じだ。それが私に合わなかったのかもしれない。しかしそれも何十年ぶりかに見て、許せるようになったのかもしれない。 それぞれの恋人たちがめぐり逢いハッピーになるのに、ドヌーブとペランだけはと思っていたら、最後にヒッチハイクで乗り込んできた・・・。昔見たときはこの結末を見ていなかった。 それともうひとつ、チャキリスはウエストサイドで知っていたが、変なおじさんがジーン・ケリーだったとは今の今までわからなかった。不覚 [映画館(字幕)] 7点(2011-04-16 08:22:01)《改行有》 2094. ひきしお 《ネタバレ》 人との関わりを捨て文明から逃れた男女が、孤島でめぐり逢ったことからうまれる幻想的な愛の軌跡。この二人をフランスのカトリーヌ・ドヌーブ、イタリアのマルチェロ・マストロヤンニが演じる。 実はこの二人は、この当時実生活でも恋人同士、プロデューサーがドヌーブに出演を申し込んだところ、彼女は「今はマルチェロとの恋しか考えられない。仕事なんか無理よ」と断られそうになったところ、それならいっそ映画の恋人役をマストロヤンニにということで、できあがった映画らしい。その辺の事情を頭の隅に置きながら見ると、この映画も生きてくるのでは・・・。 [映画館(字幕)] 6点(2011-04-15 23:17:38)《改行有》 2095. クレイマー、クレイマー 《ネタバレ》 この映画を見ると、日本のテレビドラマ「僕と彼女と彼女の生きる道」を思い出さずにはいられない。息子と娘の違いこそあれ、ともに離婚した夫婦が子どもの親権を巡って対立するドラマだ。もちろん、「クレイマー、クレイマー」の方がずっと前。 我が家にも今は成人している一人息子がいるが、離婚の危機がないでもなかった。本当に身につまされる。 さてこの映画「クレイマー、クレイマー」だが、何と言ってもダスティ・ホフマンが良い。「卒業」で初めて彼を知ったが、その後の「真夜中のカウボーイ」や「わらの犬」は映画は良くてもなかなか好きにはなれなかったが、この映画を見た途端本当にいい俳優であることを実感した。 「クレイマー、クレイマー」がアカデミー賞の作品賞に輝き、彼が主演男優賞を得たのも当然のことだと思っている。息子のジャスティン・ヘンリー君も賞は逸したものの、ノミネートに十分値する演技である。 この映画の極めつけはラストシーン、息子を引き取りにきたメリル・ストリープの涙、哀しみの中に一筋の光が見えることがたまらなく良い。[映画館(字幕)] 10点(2011-04-15 19:41:18)《改行有》 2096. 人情紙風船 《ネタバレ》 長屋での首つりに始まり心中で終わる「人情紙風船」、昔ビデオで見たときはさほど良さが感じられなかったが、改めてDVDで見ると、これほどまでの名作であったのかと痛烈に感じられずにいられなかった。 この映画は天才と呼ばれた山中貞雄監督の遺作として名高い。わずか28歳にしてこれだけの作品を撮り、封切りを見ることなく戦地に赴き病死したという。映画には一分の隙や無駄がなく(映画の途中は音楽すらない)、90分足らずの映像ですべてを見せてくれる。 その最たるものがラストシーン、水に落ちた紙風船がただ流れて行くだけ・・・、それだけで十分である。映画に元々説明は不要なのだ。[ビデオ(邦画)] 10点(2011-04-15 10:52:03)《改行有》 2097. TRICK トリック 劇場版2 テレビドラマシリーズからのファンであり、仲間由紀恵が好きな私には、この映画も問題なく好きなのだが、周囲の評判の悪さが少しは気になるようになった。 したがって、このシリーズもこれでお終いかなと想いながら、じっくりと味わった。ところがところが、昨年「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」が出たと聞き、驚き桃の木・・・。はたしてこれも見るべきどうか迷っている。 堀北真希、平岡祐太の若手がどこかで見た顔と思いつつ、トリック2を見た時は思い出せなかった。[DVD(邦画)] 6点(2011-04-15 07:49:49)《改行有》 2098. TRICK トリック 劇場版 テレビのドラマシリーズが結構おもしろかったので、この映画も当然のようにして見た。仲間由紀恵の山田奈緒子と上田次郎の阿部寛の凸凹コンビは依然として健在、それぞれにはっきりした個性キャラクターがあり、いつもながら楽しませてくれる。[DVD(邦画)] 6点(2011-04-15 06:10:29) 2099. チャーリーズ・エンジェル(2000) 《ネタバレ》 そこそこ楽しめるお色気スパイ映画だが、それ以上のものはなにもなし。冒頭の飛行機からの脱出シーンには目を見張ったが・・・。[DVD(字幕)] 4点(2011-04-15 05:40:12) 2100. 未知との遭遇 《ネタバレ》 スピルバーグは私と同年代、子どもの頃はUFOを見たとかどこかに現れたかなどがよく話題になっていたし、存在を信じていた人も多かった。だからこのような映画ができても少しもおかしいことではなく、私も興味深く見たことを覚えている。 しかし、後年DVDを買い改めて見てみると、前半部分に対して、家族を見捨ててまでUFOに執着し乗り込む後半部分が不可解でならない。[映画館(字幕)] 6点(2011-04-14 21:33:47)《改行有》
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