みんなのシネマレビュー |
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2161. 伊豆の踊子(1963) 《ネタバレ》 百恵版との比較になってしまいますが、こちらの吉永・高橋・大坂・浪花というキャスティングは、妙にみんな人物的安定感が出てしまい、百恵版の作品中に漂っていた先行き不安な何かが危ういようなニュアンスが消えていますね。ただ、監督が同じであるせいか、演出のポイントには共通点が多々あり、こちらでやり残したことを百恵版でやり尽くした、ということになるのかもしれません。[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-07-12 11:02:11) 2162. アメイジング・グレイス 力は入っているはずなのに、どうも演出不足というか、似たような表情の人たちが似たような演技をしているばかりで、ドラマを感じない。例えば会議場での議論という場面でも、やり方一つでいくらでもスリリングにできるというのは、幾多の先例が示していると思うのだが・・・。●しかしそうなってしまったのは、やはり、主演の彼の演技力不足が大きいですね。しかも相方にベネちゃんを当ててしまっては、ますますそれが見えてしまいます。●それと、この内容だったら、タイトルにも出ているこの曲は、あまり関係ない、というか、あってもなくても多勢に影響がないのでは?[DVD(字幕)] 5点(2013-07-11 02:22:56) 2163. 動く標的 《ネタバレ》 作り手に都合良く話が展開しているだけであって、必然性もなければ論理もない。なので、最後にいくら解決がなされても、何かが着地したカタルシスがないのです。ハードボイルド系にはよくあることではありますが・・・。[CS・衛星(字幕)] 3点(2013-07-08 00:08:19) 2164. Life 天国で君に逢えたら 台詞も描写も演技も、いちいち説明的でわざとらしくて作り物っぽくて、リアリティも感じられなければ、表現の意図も感じられない。これを実話に基づくとして世に発表するのは、モデルに対して失礼ではないのか。例えば、肝心のサーフィンが彼の人生においてどのような位置づけを占め、誰にどのような影響を与えたのかという一つをとっても、制作者は自分の言葉で説明できるのだろうか。この描写だったら、ただの趣味の一環と変わらないのでは?[CS・衛星(邦画)] 1点(2013-07-07 02:21:10) 2165. 三人の名付親 《ネタバレ》 終盤入口までの迫力は凄かったのです。ごく単純な銀行強盗が、いつしか苛酷な荒野の逃避行に変わっていく過程を、1つ1つのシーンを落とさずに積み重ねて、説得力を溢れさせています。起こりうる困難のベースを水・水・水で統一しているところも、作品の筋を通していますし、大事な持ち物を次々に捨て去ってひたすら歩き続ける描写にも、鬼気迫るものがあります。しかし、最後に街にたどり着いた後のあの一連のシークエンス・・・あの脳天気な雰囲気は何なのでしょうか。それまで丁寧に築き上げたものを残らず自分でぶち壊すような、逆の意味でインパクト絶大でした。酒場到着シーンまでの部分の余韻で6点。というか、本来あそこでエンドマークですよ、ほんと。[DVD(字幕)] 6点(2013-07-03 01:05:53) 2166. ブーリン家の姉妹 《ネタバレ》 ヘンリー8世とアン・ブーリンという人物を採り上げているのはなかなか興味深いが、この2人だけでも歴史上の十分なドラマはあるんだから、あえて妹にスポットを当てる必要はなかったのではないか?焦点が、姉妹間や家族間のことなのか、宮廷内のことなのか、どっちつかずになっているので、非常にもったいない印象を受ける。結局、筋を追うことで手一杯になっているのですが、それでも、キャサリンの追放シーンや、ラストの容赦ない処刑シーンなど、もっと引っ張ってほしかったと思えるパートは多々存在する。あと、ナタリー・ポートマンは、頑張ってクイーンズ・イングリッシュの発音にも取り組んでいるんですけど、やっぱり当時のイギリスの女王様という感じはあまりしないね。[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-07-01 22:12:52) 2167. Dr.パルナサスの鏡 独創とか逸脱とか破格とかいう行為は、作品の基礎があってはじめて成り立つのであって、単に頭の中に浮遊しいるものをそのまま垂れ流しても、それは妄想そのものであって、妄想の表現ではない。あと、ギトギトの人工的な色彩感覚も、趣味が悪いだけ。[CS・衛星(字幕)] 3点(2013-06-29 23:35:14) 2168. 夜の騎士道 筋だけ聞くと、欧州らしい粋なラブロマンスっぽいのですが、描写がやたら騒がしくダラダラしていて、内容に合っていないのです。ラストシーンありきで、作品が筋を追いかけているように見えます。[CS・衛星(字幕)] 3点(2013-06-29 23:27:31) 2169. 電車男 《ネタバレ》 導入部分で「ああ、やっぱり例の出会いの場面から入っちゃったか」と溜息が出たのですが、その後もそれが覆されることはありませんでした。あえてこの作品を映像化するのならば、ネット上の書込には直接出なかった主人公のそれまでの経歴や人格の作り込みこそが何よりも重要であり、それでこそ、主人公のコミュニケーションの開花や行動の開始の重みが出るはずなのに、この脚本はその辺を全部すっ飛ばして、書込のやりとりに乗っかっているだけなのです(エルメスカップ到着前後の描写の軽さといったら!)。●それと、それぞれが書込の内容をそのまま台詞で喋っているのも、この話の面白さを削いでいて、あの辺のやりとりは、口語では全然喋らない人が、パソコンに向かうと突然アクティブになる、とか、口語では言わないようなネットスラングで全員の意思疎通がとれている、といったところにあるはずなのに、その機微が全然無視されてしまっている。むしろ逆に、無言のキー入力表示だけで全部通すくらいの潔さが欲しかった。●あと、駅のホームに6人がいる心象風景のところで、最初のカットとその次で、看護士と主婦の立ち位置が入れ替わっているのですが、あれはわざとなんでしょうか。しかし、主観的心象である限り、入れ替わる理由はないので、ミスととられてもやむをえない。[CS・衛星(邦画)] 4点(2013-06-25 02:17:56) 2170. 博多っ子純情 《ネタバレ》 最初っから最後まで博多弁ががばい炸裂しまくっちょるとたい。聞く側が理解ばできるとやろか、とかそげんこつばいっちょん気にしちょらんところが良かろうもん。そげんか初期衝動っちゅうとか、原始的パワーっちゅうとか、そいだけで90分押し切っとるところが凄かったい。そんで女優陣が、宮下順子に伊佐山ひろ子に岡本麗やろう。名前聞いただけでこれの主人公のごとムラムラ来っとやから、このキャスティングは大正解ばい。それとくさ、おいが一番泣いたとは、穴見役の赤木良次たい。テレビで「鉄道公安官」とかにも出とったばってんが、誰か(だいか)覚えとっとかね。実はこん人も福岡県の出身たい。ようこん姿ば映画の映像に残してくんしゃった。今こん人は何ばしよっちゃるかね。[DVD(邦画)] 7点(2013-06-22 02:15:10)(笑:1票) 2171. 真夜中まで(1999) 《ネタバレ》 追いかけっこのシーンにしても悪玉との対決のシーンにしても、あまりにもスリリングさがなくてチマチマしているだけなのに唖然。危機の作り方も全体的に陳腐で、俳優陣もどう演技していいか困ったのではないだろうか。クラブの出番の空き時間に全部が進むという設定の面白さに2点。もっとも、その設定を生かし切っているかといえば、そうではないんだけど。[CS・衛星(邦画)] 2点(2013-06-22 01:58:55) 2172. キャスト・アウェイ 《ネタバレ》 無人島到着後からいきなり、ハンクスの無言芝居と独り言だけで1時間以上押し通し、その間人間はおろか動物すら登場させない(獲物の魚以外)という潔い構成は見事。ハンクスの演技は、ちょっと綺麗すぎるというか、絶望感や焦燥感が思ったほど感じとれないのだが、そこはまあいい。問題は、帰還した後の順応があまりにも早すぎることで、例えば飛行機に乗って平然と氷を口に含むって、ありえないんじゃないか?(そもそも、高速で動く物体にすら、4年間乗っていなかったわけでしょ?)あるいは、不時着経験の恐怖なんかは、彼の中には存在しないのか?さらには、誰とも喋ってなかったはずなのに、他人とのコミュニケート能力もあっさり復活してないか?とか、いろいろ気になってしまいました。サバイバルの苛酷性自体が感じられなくなってしまいます。[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-06-19 02:16:58) 2173. ラスト・ボーイスカウト 《ネタバレ》 やたらと重くシリアスになったかと思えば、急にお馬鹿で陽気な2人組路線になったり、クライマックスではギャグとしか思えないシュールな演出が炸裂したり(あの馬というのも大概漫画的だけど、わざわざ照明の当たる箇所から狙撃するあの敵キャラは、頭が悪いのか?)と、思いつきで場当たり的な作り方しかしていないので、いくら派手に爆破やカーチェイスのシーンを入れても、予算の無駄遣いでしかないのです。あと、娘を危機にさらしたり放置したりするのはまだいいとしても、例え急場をしのぐ方便とはいえ、娘に銃口を向けるのは絶対にありえない。[CS・衛星(字幕)] 4点(2013-06-18 01:03:34) 2174. 男はつらいよ 寅次郎忘れな草 《ネタバレ》 そんなに恋愛方面にのめり込んだ作りにはなっていなくて、むしろ放浪者同士の心のふれ合いや交錯というのがテーマだったんですね。だから、あっさりリリーが消えてしまう展開の切れ味が光っています。もっとも、だからこそ、鮨屋での再会のシーンはいらなかったんですが。●内容的には、この時点では「異形のキャラ」とさえいえるリリーを、制作側がまだ使いこなせていない印象も受けますが、だからこそ、後の寅のある意味生涯の支えとすらなるリリーを発掘した意義は大きいといえますし、この作品があったからこそさらにシリーズの長期化が決定づけられたともいえます。[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-06-16 00:47:43)(良:1票) 2175. キャデラック・レコード ~音楽でアメリカを変えた人々の物語~ 《ネタバレ》 マディ・ウォーターズだのチャック・ベリーだのハウリン・ウルフだのという大御所が一登場人物としてひょこひょこ登場してくるので、それだけである種の緊張感が漂っている。肝心のブロディ演じる主人公は、経営の理念も見えなければ手法も描かれておらず、影が薄い気もするが、まあ仕方ないか。ただ、演奏シーンを格好良く撮っているのは好印象としても、音楽がどうだったこうだったというだけではなくて、それが社会や世相にどのような影響を与えたのかという点まで踏み込んでほしかった。[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-06-14 01:31:54) 2176. ランボー/最後の戦場 《ネタバレ》 ロッキー・ザ・ファイナルが、それまでの積み重ねを踏まえて昇華させた、シリーズ最終作としては優れた作品だったため、こちらにもつい期待してしまったのですが・・・導入部分の、ひたすら人と喋らないランボーにはそれなりの緊張感があったものの、途中からは思いっきりグダグダでした。爆弾トラップの作成を除いては、歴戦の勇士としての戦いのテクニックがほとんど感じられなかったのも物足りないし、あと、あの女性キャラは、特段何の魅力もないままにキーキー騒いでいるだけで、登場人物として機能していません。それで分かったんですけど、1が成功したのは、こういう余計な人物がいなかったことが勝因の一つだったんですね。[ブルーレイ(字幕)] 5点(2013-06-13 02:26:22)(良:1票) 2177. チャップリンのニューヨークの王様 《ネタバレ》 導入部から中盤くらいまでは緩慢な印象だが、委員会の動きが具体化するあたりから、急速に生々しい緊迫感がみなぎってくる(だからこそ、召喚状の送達場面などの笑わせるパートが映えてくる)。そこからむき出しに前面に出てくるのは、チャップリンその人の、自分を追放したアメリカに対する、シニカルな嘲笑と、冷たい怒り。ホースぶっかけの場面などは、「君たちなど、演説を聞かせたり、反論をぶつけたりする価値すらない」というチャップリンのつぶやきが聞こえてきそうだ。ただ、だからこそ、最後に子供がどん底までの心の傷を負わされたところでは、そのまま帰るのではなく、明確なメッセージが欲しかったところだ。[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-06-12 01:09:19) 2178. なにはなくとも全員集合!! 《ネタバレ》 てっきり、ドリフが暴走してひたすら笑わせてくれる作品かと思って待ちかまえていたのですが、実は三木のり平が完全に主役であって、ドリフのメンバーは標準的な脇役だったのですね。笑わせ方もオーソドックスで大人しくて、消化不良ぎみではあるのですが、若かりし頃のメンバーの動く姿が鑑賞できるという点では、価値があります。[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-06-11 00:13:20) 2179. ブラザーフッド(2004) 《ネタバレ》 むしろ、兄が北に行ってからの方こそがドラマなんじゃないのか?そこに、すれ違いがあり、孤独があり、環境があり、だからこそ"brotherhood"の意味がある。しかしこの制作者は、そのテーマを、軍隊や戦場という、個々の個別要望をいちいち聞いていては組織や所属者全員を即座に危機に陥れる場面で、兄が弟を過保護にすることだと捉えてしまっている。なので、もっともらしい銃砲撃の場面と登場人物が騒いでいるだけの感傷的場面を繰り返すしかなくなってしまうのです。[DVD(字幕)] 4点(2013-06-10 00:50:49) 2180. エル・シド 《ネタバレ》 お金と手間暇がとてもとてもかかっているのはよく分かるのですが、制作者がそこしか考えていないため、ドラマもなければ物語もないのです。ラストの「出陣」はさすがに強烈でしたけど、それならばそこまで突き抜けた描写をそれまでにも見たかったところでした。[CS・衛星(字幕)] 4点(2013-06-08 01:32:50)
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