みんなのシネマレビュー
no oneさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 487
性別 男性
ブログのURL //www.jtnews.jp/blog/23806/
年齢 41歳
自己紹介 多少の恥は承知の上で素直に書きます。

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

評価順1234567891011121314151617181920
2122232425
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425

221.  グレムリン こういうちっこくて怖いんだか可愛いんだかよくわからないモンスター、最近は見ませんね。強力なモンスターや不死身の殺人鬼も怖いけど、一匹一匹はたいしたことないやつらが集団で襲ってくるとそれはそれでやばい。下手に恐ろしげな怪物を作るくらいなら、グレムリンみたいな個性的で愛嬌のあるキャラクターを創造すべきでしょう。アイディア賞ということで+1点おまけ[ビデオ(吹替)] 8点(2006-03-18 22:25:06)

222.  カメレオンマン 大いに笑った。ウディ・アレンはそれなりに重いテーマを扱うにしても、観客を楽しませることを第一においている。たくさん苦悩を抱えた人だからこそ、楽しむことの大切さを知っているのだろうと思う。吹替しか見つからなかったのだが、かなり力の入った吹替だったので不満は感じなかった。フィッツジェラルドや新聞王ハーストといった実在の人物が登場するのも楽しい。[ビデオ(吹替)] 8点(2006-03-17 20:08:29)

223.  柔らかい殻 《ネタバレ》 デヴィッド・リンチに『ぼくは怖くない』の舞台を与えたらこんな映画を撮るんじゃないだろうか。一面の小麦畑に囲まれた風景は美しいが、『ぼくは…』のように陽光を受けた穂がきらきらと光るような爽快感は一片もなく、むしろ逃げ場のない孤絶した雰囲気、寂しく陰鬱な光景にしか見えない。  大人たちはみんなどこか歪んでいて、主人公のセスもまた彼らの影響を受けてか否応なく間違っていく。神経質でヒステリックな母親、気弱な負け犬の父親、夫の死に正気を失っている近所の中年女。一番まともなのは主人公の大好きな兄だが、彼もまた核実験の後遺症を抱えている。  状況はすでに絶望的なのだが、主人公の幼い愚かさがやがて悪夢のような結末を招く。最後の最後になって自分の妄想を悟った少年の心は、決定的に壊れてしまう。幼さゆえに犯した罪には、本当は致し方ない部分もあるはずなのだが、彼がそれを一生背負っていくことは間違いない。そしてその重みに耐えられないであろうことも。  暗鬱な物語だった。最初から希望らしい希望も与えられず、登場人物たちの転落は必然的、運命的であったように思える。格調高い音楽と映像は宗教的ですらあり、人間の抱える醜さや愚かしさ、大げさな言い方をすれば原罪とでもいうべきものを突きつけるようでもあった。  意味不明でシュールな味付けはなくてもよかったんじゃないかと思ったが、それを差し引いても充分傑作であると思う。[ビデオ(字幕)] 8点(2006-03-17 16:35:49)《改行有》

224.  都会のアリス すごくドラマチックな出来事が起きるわけではないんだけど、このほんの数日間が二人の人生にとって特別な時間になることがわかる。無気力で弱い中年男と、身勝手な母親にふりまわされる少女の間に、不思議なくらいに深い共感が絆をつなぐ。アリスが連続写真を眺める場面はいい。似たようなエピソードは他の映画でもあるけど、この映画が一番無垢で、嘘がなかった。冒頭は色彩に欠ける寒々としたモノクロだと思ったが、後半になると白い日差しが中心になった温かいモノクロになる。心にしみわたるような、やわらかくて淡い光がある。  また、アリス役のイエラ・ロットレンダーがすごく魅力的な空気を持っていた。気が強くてわがままで、でも寂しがりやで健気。無邪気で可愛らしく、だけど微かに女性を感じさせる微妙な年頃でもある。とても美しい子だと思った。フィルが守ってあげたくなるのもわかる。  優しく、素敵な作品だ。この映画には川原で拾ったきれいな石のような、素朴で手のひらに馴染む柔らかな美しさがある。[ビデオ(字幕)] 9点(2006-03-17 15:34:49)(良:1票) 《改行有》

225.  プレッジ 《ネタバレ》 観終えてから観客に考えさせるのが狙いだとしたら、その意味では成功しているのだろう(ショーン・ペンが『ミスティック・リバー』に入れ込んだ理由がわかった)。しかし、あざとさを感じなかったといえば嘘になる。  結末はなんとなく予想がついていたのでたいして衝撃はなかった。提示された謎に対する答えとはまた違ったベクトルのオチがついたので、驚く以前に拍子抜け。変にミステリーの要素を組み込まず、一人の男の妄執に焦点を当てた人間ドラマにしてくれた方がよかったと思う。どうにも中途半端な感が拭えなかった。[CS・衛星(吹替)] 6点(2006-03-17 15:22:28)《改行有》

226.  サイドウェイ 《ネタバレ》 ジャックの励ましの言葉が好き。「ずっとセックスしてないから落ち込むんだぞ」「精神安定剤よりもファックだよ」「一発やるんだ」「とにかくやるんだ」――結局セックスだけ。ぜひ友達になりたい。  人生負けっぱなしの主人公がどうなるのかとちょっとはらはらした。さすがにここまでひどいことが続いたら、ハッピーエンドはありえないかも、と思ったので。  ラストは都合のいい展開ではあるんだけど、共感してしまった。そうそう、誰にも認められなくても、一人の大切な人に褒められるだけで救われることがあるんだよね。そういうときは、それまで何にも思い通りに行っていないように見えていたのが、突然上手く行っている気がしてくる。人生がわき道にそれてしまったと思ったのに、正しい道を進んでいるような気がしてくる。   ジャックも「クリスティーンがいなければ俺はおしまいだ」って言ってたけど、それは逆にいえば愛する人がいればなんでも乗り切れるってことでもある。この映画、なんだかんだ言って「愛」ですべてが救われる。リアルで地味でみじめな話だけど、案外ロマンチック映画なのかもしれない。[DVD(字幕)] 8点(2006-03-09 18:26:47)(良:1票) 《改行有》

227.  浮雲(1955) 《ネタバレ》 最近読んだ小説に、「恋をする女性は現実の男を見つめているとは限らなくて、もっと遠くにあるよくわからないもの、途方もなく美しい極みたいなものに焦がれていることがある」という意味の一節があった。たぶんこの映画のゆき子がそうだったんじゃないかと思う。  敗戦後の何もかもが色を失った苦しい時代に、南国で過ごしたひたすらに幸福な時の記憶を抱きしめて生きる。親類に性的な虐待を受けていたゆき子のなかでは、暗い思い出のある日本を遠く離れて過ごした日々が、本当に美しく輝いていたのだろう。しかしゆき子を待っていたのは、日本の敗戦と貧困、愛した男のみすぼらしい本性。  本当はここで足を踏ん張って、前に進む道を選ばなければいけなかった。甘い時代の残像を追いかけて生きるべきじゃなかったのだ。しかし未来を見なかったがために、ゆき子は地に足の着かないまま、ふわふわと漂流するような人生を送ることになってしまう。  娼婦のまねごとをして、インチキ宗教家の親類に生活を頼ったかと思うと、大金を盗んで逃げる。堅実な職業に就いたり家庭を作って定住したりはしない。だけど人間は本来、安住の地を求める生き物だ。どこか特定の場所にしっかり根を張って、しっかりした人間関係を築くことで、自分が帰ってくる居場所を作りたがる生き物だと思う。放浪生活を送る人間ほど、繋がることへの渇望を抱いている。ゆき子のそれはあまりにも強く、それゆえに却って現実を見失ってしまう。  劇中では殺人事件なども起きており、後になって考えるとかなり劇的な物語なのだが、観賞中はそれほど違和感を覚えないで普通に流していた。それほど自然で説得力のある演出だったのだ。しかもとにかく観る者を引き込むのが上手い! 暗い内容にもかかわらず、前のめりで鑑賞してしまった。これほど強烈かつリアルな人間ドラマはなかなかない。成瀬巳喜男の比類ない才能を思い知った。[DVD(字幕)] 8点(2006-03-09 02:58:08)《改行有》

228.  何がジェーンに起ったか? 《ネタバレ》 『ミザリー』の原型とおぼしきストーリーは、似たような例をいくつか知っているため新鮮味はない(もっともこちらの方が先だけど)にもかかわらず、ベティ・デイビスの圧倒的な演技力にぐいぐいと引っ張られた。あの魚の腹のようにぎとぎとした光を放つ三白眼。  しかも途中まではありがちに思えた物語は、終盤の逃避行に至って予想外の着地をみせる。あんなにおぞましかったジェーンが、信じられないことにいじらしく、可愛らしくさえ見えてきて、それまでの恐怖と嫌悪が憐れみと哀しみに反転する。  ラストで明かされる意外な真実。ブランチの無防備すぎる行動にも、姉をいたぶりながらも肝心なところで姉にすがりつくジェーンの行動にも、合理的な説明がついたのには感心した。  ジェーンは二つのストロベリーアイスを手にして言う「だめよ、これはブランチのなんだから」。この台詞で、彼女が姉を愛していたことがわかる。姉を妬み、憎み、その一方で罪悪感に苦しみつつ、間違いなく姉として愛していた。単純に憎むことも愛することもできない、同じ女優ゆえ、姉妹ゆえの複雑な感情。  何がジェーンに起ったのか。それを知っていたのは姉のブランチだけだった。いや、本当は、誰も知らなかったのだろう。彼女が人知れないところでどんな苦悩を抱えていたのか、彼女がどんな風に心を病み、狂気の渦に飲み込まれていったのか。ラスト、ジェーンは海岸でみんなに囲まれて楽しげに踊る。彼女を遠巻きに眺める人々の顔には恐怖と嫌悪、嘲笑と好奇だけしかない。何がジェーンに起ったのかは、誰も知らない。その壮絶な孤独に、胸が苦しかった。[DVD(字幕)] 9点(2006-03-05 10:02:21)(良:4票) 《改行有》

229.  アイズ ワイド シャット 《ネタバレ》 人間の動物的な本能と社会的規範の対立といったテーマについては『時計仕掛け…』と通じるものがあって面白いけど、こちらについてはちょっと内容が薄すぎやしないかと思う。159分て……時間をかける必要性が感じられない部分が多く、せめて二時間以内に抑えてくれれば高得点をつけていたかもしれない。いつもに比べると映像美も劣るので退屈さが抑えきれなかったし、肝心の謎の儀式の場面はどちらかというと滑稽に感じられた。最後のニコール・キッドマンの一言がなければ完全に切り捨てていたと思う。あの一言で作品全体が引き締まった。[DVD(字幕)] 6点(2006-03-05 09:52:28)

230.  マグノリア 《ネタバレ》 あのカエルが降ってきた瞬間に、たぶんみんな気が抜けたんだと思う。なんというか、煮詰まって煮詰まって、破裂寸前まで膨らんだ風船のような緊張状態になっていたところで、急に空気がぷしゅうっと抜けてしまう感じ。それまで深刻に悩んでいたのが、なんだかバカバカしくなってくる。自殺しようと思って銃をこめかみに当てた瞬間にカエルが手を打って死に損ねるなんていう経験をしたら、きっともう一度自殺しようとしたときに思い出し笑いが出て、死に向かって盛り上がっていた気持ちが萎んでしまうだろう。  人生がお先真っ暗に思えるとき、実は現実が悪いことばかりというわけではなく、自らの手で目を塞いでいる場合がある。人生の暗い部分ばかり見つめていると視界が狭まって、確かに存在するはずのポジティヴなものも見えなくなってしまう。しかしそんな呪縛はふとした拍子で解けてしまうもので、いったん解けてしまえば前よりもっと大らかな気持ちで物事を見つめられるようになっている。自分の悩み事を突き放して見られるようになれば、なんとかやっていけそうな気がするものだ。  あのカエルの群れが大勢の人たちにとってそういうきっかけになったとすれば、この映画はやっぱりある種の「奇跡」の物語なのだと思う。 (ただ、ラストのような現象についてなんの知識もないような人が「は?」で終わってしまうのはわかる。自分は竜巻で巻き上げられた魚やカエルが降ってくることがあるという話をたまたま知っていたので、比較的抵抗は薄かった。欧米ではけっこう知られている現象なのだろうか?)[ビデオ(字幕)] 8点(2006-03-04 23:29:16)《改行有》

231.  スイミング・プール 《ネタバレ》 ランプリングの存在感。神経質で底意地の悪い感じ、単なる狂人ではなく、どこかが壊れた普通の人、といった人物造形が絶妙だ。こういうオチはありがちだが、それを多重人格のようなセンセーショナルなネタを使わずに作家の創造性で説明しているのがいい。日の光にゆらめくプールの水面、裸で泳ぐ若い女、唐突に行われる殺人……これはいわばプールにぷかぷか浮んでまどろんでいるうちに見た白昼夢のようなものだったのだろう。心地よく、美しく、幸福感に満ちた、しかし背筋が冷たくなるような狂気もかいま見える夢。楽しいけれど、油断すると何かに足首を掴まれて水中に引き込まれそうな、得体の知れない不安がある。プールからあがった後、楽しく泳いでいたはずのプールが、実はある女の心の中だった、というぞっとする真実に気付かされる。[映画館(字幕)] 8点(2006-03-04 11:12:30)(良:1票)

232.  スパイダーマン2 《ネタバレ》 ピーターが自分の夢を捨ててスパイダーマンとしての人生を選ぶ場面は、不覚にも涙腺にじわっときてしまった。実は自分も、好きな道と人を助ける仕事を秤にかけて悩んだ経験があり、ピーターの悩みが他人事とは思えなかったのだ。結局は前者の道を選んでしまった者にとって、スパイダーマンになる道を選んだピーターの姿は眩しく、羨ましくてならなかった。こんなに情けなくてかっこわるくて、共感できるヒーローは他にいない。敵役に存在感がないためかヒーローものとしては正直あまり好きではない作品だが、青春ものとしては個人的に忘れられない作品となった。[ビデオ(字幕)] 7点(2006-03-03 20:04:18)

233.  ブラック・サンデー 《ネタバレ》 殺人という任務に疲れきったイスラエル諜報部の主人公と、彼らの国による暴虐のために生まれた美しい女テロリスト、そしてベトナムで精神を病んで母国に裏切られたかつての英雄。この影のある正義の味方と人間味のある悪役たちの造形が、わかりやすい娯楽作と一線を画す深みを与えている。犯罪者側に肩入れしてしまうという点では『ジャッカルの日』以上で、作戦に失敗の兆しが見えると思わず歯噛みをしてしまったくらいだ。  トマス・ハリスは荒唐無稽にならないぎりぎりのリアルに踏みとどまるのが上手な作家だが、その長所は本作でも最大限に発揮されている。とくにあのダーツを利用した究極兵器は奇妙だが、なさそうでありそうな不思議な現実味を持って観るものの記憶に刻みつけられる。  ベキム・フェーミュ演じるテロリストたちのボスとの銃撃戦は本筋とは直接関係していないのだが、この場面が本作を傑作たらしめているのだと思う。カットしても本筋には影響のないエピソードが入ることで世界観に奥行きが出ているし、圧倒的に不利な状況に置かれても不屈の意志と天才的な技術で捜査側に壊滅的なダメージを与えるテロリストの存在感は強烈だ。捜査側の不手際と敵側の有能さが対照的に描かれ、ここでもまた単純なヒーロー対テロリストの図式を微妙に崩している。この点、現在のハリウッド映画の幼稚なアメリカンヒーローとは別物だ。  唯一惜しいのはクライマックスで、急激に動的になる映像に興奮できればよかったのだが、現在ではありがちなアクションに感じてしまった(たぶん公開当時であれば楽しめただろう)。おまけに爽快なラストシーンがそれまでの展開とはちょっと不釣合いで、なぜこんなふうに料理したのかと疑問が残った。結末にもう少し苦味があれば(たとえばテロリストたちの生き様を偲ばせる場面を入れるとか…)『ジャッカルの日』にも負けない大傑作になっていたと思う。[ビデオ(字幕)] 8点(2006-03-03 13:31:00)(良:1票) 《改行有》

234.  アトミック・カフェ 怒りを通り越して、あきれた。あきれるのを通り越して、軽い絶望感すら覚えた。もはや、言葉もない。[DVD(字幕)] 6点(2006-03-02 21:44:17)

235.  エド・ウッド やりきれないのは、エド・ウッドがとってもいいやつだということ。映画監督としては最低なんだけど、人間的には憎めない、愛すべき人物なのだ。 以前と変わらず彼の映画を観たいとは思わないが、エド・ウッドという人物には興味が湧いた。映画が好きなのに作る映画は信じられないほど駄作、というのが不思議でならない。言っちゃ悪いけど、バカなのかな、やっぱり…。でもこの映画を観終わる頃には、そのバカをどうしようもなく好きになっている自分に気づく。 華々しいイメージのあるハリウッドの影で、夢に破れて消えていった大勢の映画バカたちのことを思うと、ついつい目頭が熱くなってしまう。オーソン・ウェルズのような一握りの天才が映画文化に貢献していることは確かだが、一方で才能のない大勢の人々の奮闘もまたその土壌となっているはずだ。そういう無名の人々のマニアックな情熱を引き継いでいる人こそ、ティム・バートンその人であり、だからこそこんなにも暖かく、素晴らしい映画ができたのだろう。 (ところで、デップのあまりの壊れっぷりが衝撃的。女装して踊るところとか、ジム・キャリーっぽかった)[ビデオ(字幕)] 8点(2006-03-02 12:29:46)(良:1票)

236.  Dolls ドールズ(2002) ある意味、究極の純愛映画でしょう。「最も危険な性的倒錯は純愛である」と言った作家がいましたが、それを端的に表している。無償であることが愛情の本質だとしても、あまりにもその精神が純化してしまえば狂気と相違ない。映像も綺麗といえば綺麗だが、できすぎた感のある美しさは逆に怖い。自然色にしては色彩が鮮やか過ぎて、美しさを超えてほとんど空恐ろしい気持ちになる。登場人物たちの純粋さもこれと一緒。  ただし、個人的には北野さんの演出があまり好きになれないので低得点に。台詞の抑揚のなさは北野流のリアリズムなのだろうが、やりすぎていて却って不自然だ。「かっこつけない」というポーズをとることが一種の「かっこつけ」であるように、演出も極端に抑制すれば、過剰に演出しているも同然になる。わざとらしく、リアリティが感じられない(フィンランド人から見たカウリスマキなんかもこうなのだろうか? 外国語で聞けば抵抗が薄れるとか……)。とくに肝心の中心となるエピソードに首を傾げるような部分が多く、冒頭で笑う人たちの演技からしてすでに嘘臭さ全開、結末もギャグすれすれ。人形浄瑠璃の映像については知識がないとまったく理解できない。ヤクザネタにもううんざりしているのは自分だけだろうか? なくてもなんとかなったんじゃないかと思えてならない。  映画のテーマは悪くないと思うのだが、その提示の仕方に傷が目立つように思えた。[DVD(字幕)] 5点(2006-03-02 12:27:51)(良:1票)

237.  パッチギ! 好きになれない。 まず、主人公とヒロイン、アンソンと桃子といった物語の中心人物に厚みがなく、ラストシーンを含む肝心な場面で心を動かされなかった(少なくとも恋愛物としては最低レベル)。脇役たちもいちおう特徴的でわかりやすい個性があるものの、人間としての深みがあるとは感じない。マンガの世界にはとりあえず変な口癖と特徴的な外見、性格をつけておけばとりあえずキャラが成立すると思っている作家がたまにいるが、人間を描くということとキャラを立たせるということはまた別だろう。 物語はギャグと派手なケンカシーンのために退屈はしない。しかしあまりに予定調和が過ぎ、説教臭さが鼻につく。「出産」というイベントの凡庸さ、あざとさには呆れた。イデオロギーが消化しきれておらず、論文のようなごつごつした骨格を持つ不自然な脚本となっている。 そもそも、いまさらこのような形で問題提起をされても、教育現場やマスコミでさんざん説教されてきた者にはとくに感じ入る部分はない。むしろこういった感情的に押し付けるような社会批判が多すぎたからこそ却って現在の日本人の反発を招き、嫌韓流ブームが生まれたのだと思う。本当に問題提起したいのなら、こんなやり方は逆効果。日本人・韓国人の両方を相対的に描いた上で衝突を描くような冷静さがあればまだ好きになれたかもしれない。 にしても、この作品えらい評判がいいですよね。自分は何か取り違えたのかな? でもわざわざ観返す気にはなれないんだよな。[DVD(字幕)] 6点(2006-03-01 07:18:39)(良:1票) 《改行有》

238.  死刑執行人もまた死す 多少古びた感はあるにしても、やはり非常に見ごたえがある作品だった。暗殺者をあぶりだすために数百人の人質が取られ、もくろみが失敗すれば関係者全員が銃殺されることを前提に物語が進む。政治がらみとはいえ、ここまで酷薄で重厚な雰囲気のサスペンス映画も珍しい。  味方であるはずのチェコ人たちには、敵役のナチスほどではないにせよ空恐ろしさを感じた。密告屋らしい人物がいるとわかるとたちまち集まってきて、しまいにはリンチに発展しそうになる場面は生々しい。一人の暗殺者を守るために四百人の人質を死なせるという決断にほぼ全員がためらわずに賛成するのにも驚いた。  誇りを失うくらいなら命をも捨てる彼らに、戦時中に一億総玉砕を叫んだ日本人の姿が重なって見える。このような価値観を一概に否定すべきではないのかもしれないが、もし自分が暗殺者だったら自首したであろうことは確かだ。彼らの不屈の意志をテーマにした歌には完全に引いてしまった。  大戦直後のドイツを舞台とした小説で、ユダヤ人の子供たちが徒党を組んでドイツ人の子供を蛆虫と歌う場面があったのを思い出した。感情的になった集団はどんな行為をも正当化する。フリッツ・ラング監督がドイツ人であることを差し引いても、彼の群集心理に対する洞察力は否定できないと思う。  そして何より、小難しいことを言わなくても、単純に娯楽作として優れているというのが素晴らしい。もっとも、クライマックスもまた形を変えたリンチなのだが……[ビデオ(字幕)] 7点(2006-02-28 09:58:08)(良:1票) 《改行有》

239.  タンゴ(1993) 《ネタバレ》 爽やかな映像に『紅の豚』でも始まったかと思いきや、その後のブラック過ぎる展開に口があんぐり。それ以降は笑いっぱなしだった。ただし、途中までは文句なく面白かったのが、最後で少々拍子抜けする。終盤は気の利いたギャグがなく、ついつい悪乗りを期待していた自分には物足りなかった。ブラックコメディとして中途半端な終わり方なので、殺人犯と殺人未遂犯たちが仲良くハッピーエンドという流れには抵抗を覚えた。よくできた脚本だが、個人的には最後までテンションを下げない方が好きかもしれない。  ところで、ルコント監督作品では他に『仕立て屋の恋』を観たが、やっぱりこの人の恋愛ものって変態なんだなと思う。女性に対する憧れと崇敬と恐怖の念が強くて、同じ人間というよりは一種の女神様みたいに見做している。偏執的な愛は、一歩間違えばストーカーを扱ったサイコホラーになりかねない。しかしホラーというのはさらに一歩間違えばコメディになるわけで、本作はその絶妙な路線を狙って成功している。  ルコントの精神の中核に偏執的なものがあるのは間違いないが、こうしてコメディにまで活かせるところを見ると、恐ろしいほど客観性の強い人なんだろう。変態には違いないが、変態である自分をはっきりと自覚しているのでまともな人間でいられる。本当に危険な人間は自分を冗談にして笑い飛ばしたりできない。『仕立て屋の恋』が嫌悪感ではなく憐れみと共感を持って迎えられたのは、この優れた現実感覚のおかげなのだろう。[ビデオ(字幕)] 6点(2006-02-27 22:14:57)《改行有》

240.  アイ,ロボット 致命的な欠点はないけど、あまりにもあっさりしすぎていて食い足りない感が残った。もう少し主人公に厚みがあればよかったかな。ウィル・スミスよりサニーの方が存在感があって、むしろ彼のほうが影の主役だったと思う。一番感動したのは、無機質なようで生物的なフォルムのロボットたちのデザインの秀逸さ。淡い緑色の光は蛍のようで、不思議と機械的な印象はない。強そうでもないし、変にかっこつけたデザインでもないんだけど、シャープで美しく、独創的だ。あれが集団で昆虫みたいにぴょんぴょん飛んだり跳ねたり、わさわさビルの壁面を這い上がってくるとなんとも恐ろしい。グンタイアリとか異常発生したイナゴを思い出してしまった。[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-02-27 08:49:08)

010.21%
161.23%
261.23%
3163.29%
4255.13%
5336.78%
610521.56%
712225.05%
810922.38%
95310.88%
10112.26%

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS