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221.  透明人間(1992) 《ネタバレ》 透明人間には「見るだけの人間の孤独」って形而上学的なテーマもあるんだけど、そんなことにはこだわらない。本作は、透明人間というものをいかに具体的に想像できるかってのが本筋。食事をすると消化がすむまでは胃袋が見えてしまうとか、タバコを吸うと煙が肺に満ちるのが見えてしまう、なんてとこね(いささか尾籠な話で恐縮だが、子どものころ、透明人間の大便はどういう状況になったとこで可視になるのかってのに悩んだことがある。人間の内部と外部との境が曖昧だ、という事実にそこで突き当たった)。ガム噛んで膨らませるってのもあった。道を行くと人とぶつかりそうになる、なんて単純なとこにリアリティ感じた。引ったくりのバッグをサッと返すギャグなんか好きだな。一番好きだったのは酔っ払いをダミーにしてタクシーに乗るとこ。しゃべらせるのが傑作。じっと悪者の部屋の隅にうずくまってて伸びをしたときの足首のポキポキいう音で感づかれちゃうの。で悪者も誘うようにあくびをすると、つられちゃうとか。建物の部分が透明になってしまってるのも面白い。主人公の主観で見えるシーンと見えないシーンとがあるのも、映画として正しい。化粧するってアイデアもいいな。真っ白な歯。[映画館(字幕)] 7点(2012-03-28 09:49:12)(良:1票)

222.  氷の微笑 自信ありげな女たちと振り回される男。上になり下になり、でも下になるのは怖い。本能が剥き出しになってる不気味さみたいの、シャロン・ストーンにありました。粘つく感情的なものが一切感じられないような。社会生活の下にあるもの、支えているのではなく、落とし穴として。車の追っかけが少しくどかった。観た日の日記には以下のようにも書かれているのだが、細かい記憶がないので、どの程度合っているのか検証できない。無責任にそのまま記すと「M・ダグラスがヒジテツを食らうとこからあとは、キャサリンを失ったニックの妄想と取ったらどうか。まだ出版されていない新作の中で主人公の同僚がエレベーターで殺されるのをベスは知るわけがなく、またそれをキャサリン自身が実行するはずもなく、たまたまそこを読んだニックの妄想と考えるしかない」のだそうだ。[映画館(字幕)] 6点(2012-03-26 12:23:17)

223.  ウルガ 《ネタバレ》 この監督、草原趣味がある。草原を描くととてもいい。セルゲイ君登場のあたりの悠々とした演出。眠りと戦うために一生懸命はしゃいで運転しているトラック。何かを発見しあわてて戻り、間違って川に突っ込む。浅い水に浸かって呆然とする、ってのは『機械じかけのピアノのための未完成の戯曲』のラストをほうふつとさせる。で、心づくしの歓待になる。この心づくしの感じが丁寧に演出されていてよかった。気を許せることを強調しすぎず、ちょっとテレもあったりし、でも気を配りあってて、女の子のアコーディオンとか(思いのほか本格的で唖然とするセルゲイ君)、こういうところを自然に演出できるってのは、なかなかの力量だ。羊の解体のとき、切られた足先を子どもがバチに見立てて太鼓叩くみたいに遊んでいるスケッチ。宴も尽きて月のアップからゆっくりカメラが回っていくと川に突っ込んだままのトラック、なんてのも実にいい。翌朝、しぐれる中での夫婦の語らいも味わい。で町へ出るんですが、ここらへんからちょっとトーンが違ってきて、中国における少数民族とか、ロシア人のあり方とかいったお話を聞かせていただいてる、ってな感じになってしまう。ちょっと剥き出し。自分たちの基盤が不確かになっていく感覚が、チェーホフに通じるところもあるけど。前半の語り口が絶品だっただけに、若干残念。でもいい映画です。[映画館(字幕)] 7点(2012-03-25 09:48:29)

224.  ミストレス 《ネタバレ》 トリュフォーの『アメリカの夜』に至るまでの物語、というか。一本の作品が生まれるまでに、幾多のドラマがあることか、いう話。自分の女を使わせようとする出資者たちのために、ストーリーがどんどん変わっていくおかしさ。妻とのやりとりのあたりは、しみじみしちゃったな。「もう夢を追うほど若くはないのよ」。現実と夢、そろそろ自分を社会と妥協させなくちゃならないころ。実力はあるらしい黒人女優も、自分を安く売りたくはないと思っている。「モンローも最初は端役だったのよ」と自分を納得させようとしているのもいる。散々な目にあった主人公が、それでも懲りずに次の電話に応えてしまうところが、微笑ましいしょうがなさ。ダニー・アイエロは、どってことない役だったけど、やっぱりいい人って感じが出ている。クリストファー・ウォーケンも、やっぱりいかにも自殺しそうな役。[映画館(字幕)] 6点(2012-03-23 10:14:25)

225.  ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間 意味ありげなものを重ねて重ねて、意味から遠いところへ行くのがこの人の世界。だから「解決編」と思ってはいけないんだろう。非難すること、されること、あるいは「糾弾」というきつい言葉を使ったほうがいいのか、それが繰り返される。手が汚れているとネチネチ言い出すあたり、車で見知らぬ男に急に糾弾されるシーンとか、自分の分からない理由で、あるいはぼんやりと「あれかな」という程度に思い当たる理由で、不意に糾弾されるんじゃないかという不安。この作品の手応えはそこらへんにありそう。へんにオカルトがかった部分はつまんない。それはそれで「糾弾」で、叫ぶけど、叫べば叫ぶほどウツロなの。ウツロで埋めるために叫んでいるような。この監督、力がこもるのはいかがわしい場所のシーン、音楽の力もあったけど、思春期の若者の目を通してみられるその雰囲気がなんか独特。外側にだけ世界が広がっていくんじゃなくて、内側にも広がっていく。覇気のない歌声に導かれて。赤と青。それと安っぽいセット趣味も独特。赤い部屋なんか。宙吊りにされる、ゆっくりとした前傾。なんなんだろう、こういう趣味。ブームになるような万人受けするもんじゃないと思うんだけど。[映画館(字幕)] 6点(2012-03-21 10:01:05)

226.  アンモナイトのささやきを聞いた イメージが広がらないの。わざと広げないその閉塞感が狙いなのかな。アンモナイト・螺旋・円運動といったものに、本当はもっと「機械」が拮抗する予定だったんじゃないか。観覧車・時計仕掛けのアンモナイト、あるいはプラネタリウム・幻灯機といった光源など。それらが絡み合って膨らんでくれて、初めて夢幻的な世界を構築していくんじゃないの。そういうふうに「展開」する映画じゃないみたい。だとすると70分は長すぎる。段落ごとにタイトルを入れておくかしてくれてればまだしも。ハッとするイメージをわざと入れない、そのまどろむ感覚を持続するのが狙いなのかな。海の上を逆に撫でていく風。妹的な話って本当は好きなはずなんだけど。[映画館(邦画)] 4点(2012-03-19 10:38:08)

227.  遥かなる大地へ 病んだアメリカになる前の爽快なアメリカ。上下二巻本の長編小説を読んでいるようなロマン。アイルランド時代のちょっとはぐらかし気味のユーモア感覚がよかった。ジョセフとシャノン二人にとって「フリーの国アメリカ」の意味が違うの。女にとっては因習のないモダンの国ということであり、男にとっては自分の土地がフリーで手に入る国ということ。渡ってから幻滅も快哉もあるけど、それぞれのフリーランドを手にしていく。西部劇への敬意も随所に感じられ、フォードの『三悪人』のランド・レースが、カラーのトーキーで再現される。モヤモヤ解消のために、ワーッと乗り込んでいって一発殴っちゃうあたりのリズム感が面白い。オクラホマの再会なんかかなり強引なんだけど、蹄鉄一個で納得させちゃう。シャノンのお母さんが洗濯してるのも正しい。指でつまんでグルグル回すやつ。どうしようもない暴れ馬に乗るのも正しい。喧嘩は嫌いだといって殴る(三度)のも正しい。一つ一つはどうってことないけど、丁寧な印象を与えている。[映画館(字幕)] 7点(2012-03-17 10:14:03)

228.  ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録 創造するということ自体がホラーなんだ。関わる人間が作品に取り込まれていってしまう。未知の領域に入り、得体の知れないものが膨らんでくる。そして現実が映画の中に吸い取られていってしまう。コッポラはカーツに、マーチン・シーンはウィラードに、限りなく近づいていく。ドロドロになってるマーチンのシーンなぞ、映画の場面を越えてもろにベトナム戦争がダブってくる。本物の虎(一週間エサやってないんだ)をけしかけられたフレデリック・フォレスト。実際のゲリラ討滅に帰っていってしまうヘリコプター。デブデブになって撮影現場にやってくるマーロン・ブランド。収拾のつけようがなくなっていくエンディング。M・ブランドをデニス・ホッパーと対決させようか、いやいやそれこそどうしようもなくなってしまう、などと、何とか結論めいた方向を探るも、作品自体がそれを拒んでしまう(たぶん物語としてだけなら、ウィラードがカーツを殺して新しい王になる、ってのが一番納まりがいいように思うが、その納まりのよさを作品自体が承認してくれないんだ)。つまりこれは小説なら「未完」となって初めて落ち着く作品だったのだな。ときどき映画では、本来未完となるべき、とめどなく膨らんで収拾がつかなくなってしまう怪作が誕生し、ガンスの『ナポレオン』とかシュトロハイムの『愚なる妻』とか、不気味に映画史の中で輝いている。『地獄の黙示録』もそれに連なる赤色巨星となった一本なんだろう。没になったフランス植民地シーンに興味をそそられたが、それは後に完全版によって目にすることが出来た。コッポラが何度も何度も「俺の金で作ってる」って言うのは、あの国ではプロデューサーの力が強いんでしょうな。面白いのはこの『ハート・オブ・ダークネス』という映画、監督が妻を退屈させないぐらいのつもりで始めさせたのが、だんだんと夫の狂気を記録する姿勢に腰が入ってきてしまうところ。こっそり録音までして。まったくフィルムというやつは、関わる全員を狂わせていく。[映画館(字幕)] 7点(2012-03-16 10:13:55)

229.  遠き落日 《ネタバレ》 差別用語とされる「てんぼう」という言葉をちゃんと使ってたことは褒めましょう。文久三年(1863)に尾羽嬢だったシカが明治元年(1868)にはもう三田佳子になってるのには驚いた。中盤のちゃっかりと手術費用を捻出するとこ、餞別をもらい回るとこ、山本圭のとこに強引に乗り込むあたりなどに「人間野口」が感じられかけるとこは若干あるんだけど、やっぱり偉人伝ものの枠からは抜け出せなかった。母の手紙が映画のキモで、このころはまだ有名ではなかったのではないかな。東西南北を読み込む中国の文章の伝統が、こういう僻村にまで及んでいることに驚かされる。母との再会のとき、左手の手袋は脱いでるの。ついにオッカアに「こんな手にしたのはおめえじゃねえか」と言ってしまった後の愁嘆場はモロ「日本映画」でしたなあ。牧瀬里穂の無理なフケメイクがなくてホッとした。[映画館(邦画)] 5点(2012-03-15 10:17:08)

230.  愛という名の疑惑 《ネタバレ》 偏執狂っていう存在のおかげで、スリラー映画はずいぶん面倒くさい計画を立てる犯人を創造することが出来るようになった。ありがたいことだ。こんな面倒なこと普通しないよ、と言われたら、そこが偏執狂なんです、と答えられる。ただ後味がちょっと悪い。男は恋する女に潜在的にそうとうな不安を持ってるんでしょうな。逆も言えるか。だからこの手の映画は何度でも作られる。映画としては、小僧が電話で連絡してるときに、後ろの倉庫の大型エレベーターが下りてくるあたり。灯台のらせん階段、女性の落下、ってことになると、映画史の導きによって舞台は当然サンフランシスコになるわな。[映画館(字幕)] 6点(2012-03-13 10:13:11)

231.  ボンデージ ちょっと歳喰いかけている娼婦の身の上話映画。といっても『西鶴一代女』のようにおどろおどろしくも格調高くもない、しみじみよりも軽快なノリ。主人公がときおりカメラに語る映画ってのはけっこうあるけど、全篇ってのは珍しい。おそらく『ファンタジア』を観てるヒロインと、友人(黒人男)との愚痴と、車の中のヒモとの議論、のような形式になる。身の上話といっても湿っぽい愚痴だけではなく、ヘンタイの客の話とか、男社会への反発とか、社会はこういうふうに娼婦の目には見えているのか、という新鮮な視点が与えられている。とくべつ責任をとらずに人の話を聞く楽しみ、ってのが「身の上話」にはある。いくぶんかの好奇心も手伝って。画面はこの監督にしてはあまり作り過ぎない地味目。くるみ割り人形のバレーを観るシーンは、『ファンタジア』の伏線か。孤独に至る性ってのがあるんだな。[映画館(字幕)] 6点(2012-03-11 09:30:25)

232.  花嫁のパパ(1991) いちおう同時代の物語としてリメイクしてるんだろうが、自国がこうであった家庭を懐かしむ姿勢が切実に感じられ、現代から目をそらし、必死に過去へ過去へと向いている当時のアメリカの痛々しさを一番に感じた。ミキサーを贈られて専業主婦になるつもりはないわ、なんて設定もあるんだけど、取って付けたよう。娘が婚約したと言ったあと、少女時代の娘が同じセリフを繰り返すとこなんかはいい。しかしだんだんコメディとしての基盤が不確かになっていって、人情ものでいくのかと思っていると、プールにはまったり、牢屋に入れられたりドタバタめいて、ふらふらしてる。落ち着けない。マッケンジー君のダメぶりは、「テレビのお尋ね者コーナーで見たことがある」ってタイプじゃないんだけど。パッヘルベルのカノン流れる結婚式に、ちゃんと太ったデンマークの叔母さんが来てるのは正しい。弟もガールフレンドと踊り、世代の流れを見せておく。[映画館(字幕)] 6点(2012-03-09 10:03:52)

233.  美女と野獣(1991) 前作がカリプソふう人魚姫とちょっと破格なところを狙ったのに対し、これはオーソドックスなミュージカル仕立て。そのオーソドックスな貫禄はあるものの、アニメならではの冒険という点では、ちょっと物足りない。アニメならではってとこでは、魔法にかけられた物たちのシーンだが、キャラクターがあんまり良くない。一番の見せ場の食事の支度シーン、古いミュージカルのパロディ止まりで、もっと室内の広大さを出せなかったか。魔法が解けるところも、もう4、5カットはほしいところ。荒れた西棟が変わっていくところはもっと丹念に見せるのが義務であろう。つまり基本に人間のミュージカルの演出があって、最初からアニメの発想でいく場面がもっとあってほしい。『白雪姫』の物足りなさに通じている。街を本読みながら歩いていくところなんて、まさにそう。面白くはあっても、アニメの発想ではない。コンピューターの使用で視点はずいぶん動くようになった。本棚の前の梯子のヒロイン、ダンスのシーンなど。でもそういうところより、冒頭ステンドグラスでチャッチャッと説明するうまさなんかに感心する。村人たちによる群衆の狂気を、愛の対比物として置くのは正しい。野獣の造形は見事。巨体のモンスターと青い優しい眼。自分の大きさ・凶暴さに戸惑っているようなところが、いじらしいんだ。[映画館(吹替)] 7点(2012-03-08 10:24:06)

234.  薄れゆく記憶のなかで 何かを一生懸命なっぞってる感じ。「この映画をどうしても作りたかった」というより「なんでもいいから映画を作ってみたかった」って感じ。初恋は切ないのう、という話。合宿の練習、指揮棒が振り下ろされたところで鐘がゴーンと鳴って肝だめしに移るとか、映画作りの練習をしている生真面目さは買おう。その一生懸命さは買ってやってもいいんだけど、いい若いもんがこうチンマリしたのばっかり作るなよ、いう気分も同時に起こる。もっと不機嫌になってほしい。やりたいものが見つからぬ青春、って話も、もうすでにある定型のなぞりになってしまってるんだ。ヒロインがオーボエ、男は大太鼓、ってのも…。[映画館(邦画)] 6点(2012-03-06 09:41:50)

235.  アメリカ物語2/ファイベル西へ行く こういうのも国威発揚映画っていうのか。インディアンも動物にしてしまえば、こういう形で描いても許されるらしい。アメリカが繰り返しアメリカン・ドリームを描くのは別にかまわないとは思うけど、なんかむなしさが付きまとう。「理想の国」だったってことを確認し続けていないと、気合いが抜けていってしまうようなところがある気の毒な国。オリジナル版では老保安官の声がJ・スチュアートだったそうで、ちょっと聞きたかった。彼も「アメリカの良心」として外せないところなんでしょうな。見せどころとしては空き缶に乗ってのジェットコースターシーンがあり、さらには汽車での蜘蛛との戦いとかなんだろうが、なんかうつろ。ラストの決闘が弱い。場所が生かされてないんだ。駅の雑踏の中を歩き回るあたりは好き。ぶら下げられたタイガーが後ろの岩と重なるあたりも面白いか。[映画館(吹替)] 5点(2012-03-04 09:20:59)

236.  サム・サフィ 《ネタバレ》 フツーであろうとすることへの冒険、ってモチーフは面白い。金銭的に追い詰められていない状況で、金のための仕事をしてみたい、なんてのはおそらく歴史始まって以来、庶民階級が初めて経験する心性だろう。家政婦とか役所とか、「地味」に挑戦していく。ここらへんをもっと徹底して描くべきでしょうな。彼女ももっと本気で挑戦すれば、別の面白さが出たはず。この「マジメごっこ」というゲームを、もっと真剣に遊んでほしかった。ま、その遊びもグズグズと出来なくなってしまうところが、ぬるい現代の表現なのかもしれないが。ラスト、妊娠・出産に話を着地されると、「女性のやっているフツーのことが偉大な事業だった」というすわり心地のいい結論に落ち着いてしまい、がっかり。オーレ・アッティカ嬢はベアトリス・ダルから影を取ったような女優さん。ロジー・デ・パロマ嬢の顔も見慣れてくると、最初ほどインパクトない。海鳥が屋根へ降りる影が、壁をスーッと上るとこ。[映画館(字幕)] 6点(2012-03-02 09:53:38)

237.  寝盗られ宗介 腎臓手術のあたりからか、この度を越した「いい人」が熱を持ち始め、ジミーが駆け落ちすると言い出すあたりの演劇的切り返しシーン、後ろの幕がパッと落ち楽屋が見える、あそこらへんあたりからちょっとノレてきた。大半は原田芳雄の魅力に掛かってたけど。越路吹雪の弟として「愛の讃歌」をやるのが、隠し芸的な興味ながらも見事。姉の身代わりに受験したっていうの。あと天皇の戦争責任を許してもらうためにマッカーサーに身を捧げたひばりの隠し子、なんてのも面白くはある。深読みするほどの意味はないと思うけど(芸能とは…、というところでドサ回りとつながってはいるか)。まだこの頃はひなびた風景がけっこう残っていた。[映画館(邦画)] 5点(2012-02-29 09:53:36)

238.  ウディ・アレンの影と霧 《ネタバレ》 一つのテーマをじっくり醗酵させたというより、いくつかのモチーフが霧の中から現われてはまた霧の中へ消えていくという漠とした作品で、その手つきを玄妙と見るか、突っ込み不足と見るか。私は後者に近かったな。不安の影、絞殺魔の不安から自警団同士の殺し合いになっていくあたりを、ポイントに絞ってもらいたかった。主人公が不幸を一身に受けていく「開き直った被害妄想」は、もうお得意のところ。自分の役割を誰も教えてくれない。自分の指紋のついたグラスが証拠になりそうな運び。匂いで嗅ぎ出され、追われ、下宿のおばさんにも裏切られ…。繰り返される神を信じるかという問いかけ。この題はしぜんに「夜と霧」を連想させる、と思っていいのか。うつろなトーンは一貫している。[映画館(字幕)] 6点(2012-02-28 09:43:41)

239.  パトリオット・ゲーム 《ネタバレ》 トーンが一貫してくれない。いっそ弟を殺されたハネあがりテロリストとその情人の偏執的復讐に絞ってくれればいいのに、北アフリカの訓練基地が出てきたりすると、困る。国際政治ものでいくのなら、このテロリストがやってることは組織として馬鹿馬鹿しすぎる。オリジナルな怖さとしては偵察衛星画面か。衛星が回ってくる時間になると隠れるなんてのにリアリティ。遠くの戦場を同時中継で眺める気味の悪さ。これは後にビン・ラディン殺害のとき現実に味わうことになったわけだ。[映画館(字幕)] 5点(2012-02-26 12:12:06)

240.  紅の豚 《ネタバレ》 主人公の変身が、ストーリーの芯にはなってないですよね。人間界に愛想を尽かしたことは分かるけど、なぜ豚なのか。かっこよくなってしまうことへの照れなんでしょうな。でもこのダンディズムより少女フィオが出てきてからのほうが宮崎さんらしく感じられる。無骨な男どもが家来になっていくパターン。女たちだけの工場で木製の飛行機が作られていく、ってのは、考えてみれば宮崎さんのモチーフだらけなわけだ。見せ場としては町の水路から飛び立っていくところもいいが、やはりゆっくりと昇天していく友人たちの飛行機のシーン。亡霊飛行機たちが銀河のような流れを作って。「昇天」ってのも、『ラピュタ』のラストとか宮崎さんの重要なモチーフだった。[映画館(邦画)] 7点(2012-02-24 10:13:39)

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