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241.  バットマン リターンズ 《ネタバレ》 サーカス団に動物園、クリストファー・ウォーケンの丸顔マークに、アヒルの乗り物、ゴシック調と言うにはケバケバしい。ある種のクレイジーな童夢のイメージでは統一されている。かえってもっと支離滅裂にイメージのおもむくままに走れば、傑作になったかもしれない。ペンギンとキャット・ウーマンの来歴が興味深い。けっこうドロリとした湿っぽい怨念のようなものを含んでいて、日本の怪談に近いような存在。親探しとかね。とりわけペンギンのイメージは生きていた。ラストの葬列の脇を勤めるところまで。猫のほうも孤独な秘書の怨念。Hello there が Hell here になって。自分で縫い合わせて衣装作ってる。雪ってのも童夢の背景っぽいところがある。バットマンが活躍したという印象がほとんどないのは、脇が多すぎたせいか。コミックの映画化でスターにこういう脇役をやらせて重みをつける、ってのは『スーパーマン』のM・ブランドがハシリだったかなあ。すっかり定着したが、多けりゃいいってもんじゃなく、監督が仕切りきれなくなるほどは、いらない。[映画館(字幕)] 6点(2012-02-22 10:04:49)

242.  アトランティス(1991) しばしば使われる上下逆さまの構図が気に入った。水面を下にすることによって海は完全に閉じた世界になる。波打ち際を逆さまに見る光景など、引っ繰り返しただけでこんなに面白くなるのかと驚いた。下降する気泡。底で痙攣する水面。静かな湖沼のようなシーンも美しかった。けっして風の吹かない別天地になる。この逆さまの空を、イカもエイも飛行いていく。天地創造の段取りになっているのが、あちらのお国柄で、別にいいんだけど、楽しくお散歩していたウミヘビが大魚を目にして逃げていくあたり、少し擬人化しすぎな気もした。マンタがアリアを歌うのは楽しめたが。loveとhateの対比はつまらない。人間が退場したぶん、『沈黙の世界』より詩的要素は高まった。広さを感じられなかったのは、あんがいそこで暮らす生き物たちにとって海中ってのはこんなふうで、目の前の世界しか存在しないんだろう。ラストで水面の上(下?)の輝きに初めて憧れていく。それまでずっと水面を出ることを禁じられていたカメラが、ラストの空撮で広さを存分に味わう。閉じていた世界が開かれる。[映画館(字幕)] 7点(2012-02-19 10:27:22)

243.  走れメロス 日本のアニメは地中海が好きだ。単にあの青は出しやすいだけなのか、それとも日本人は心の深いところで、湿度の低めな晴れ渡った爽やかさに憧れを持っているのか。この話の面白さは、見せしめとしての実験を思いつくまでの、王の猜疑心の純度の高さね。救助や妨害がないように見張りをつけさせる徹底ぶり。なんだっけ、信頼するのは弱いからだ、だっけ。囚人が、俺なら逃げるから、と断わるあたりもいい。ジイサンと娘は邪魔だった。たどり着くとこはもっと劇的に盛り上げられそうなのに、地味。まあ公会堂の頂が照り映えている。朽ちた石像で始まって、それに戻る段取り。人の動きは粗かったが、髪が風になびいたりはする。[映画館(邦画)] 5点(2012-02-17 10:29:06)

244.  マンボ・キングス/わが心のマリア 《ネタバレ》 このお兄さんのアーマンド・アサンテがいいですな。ニヤケきって自信満々な人間の色気っていうんでしょうか。ベットリと弟=家族への愛に生きてて、弟の嫁さんへのほのかな愛をこらえている。ちょっと変換すれば寅になっちゃう。家族愛という拘束、兄は弟を拘束し、弟は妻を拘束していて、こういう背景にはラテン音楽が似合う。マンボだけじゃなくて、ルンバにチャチャチャもあるよ。ただ泣かせどころのはずの「わが心のマリア」ってのが、あんまりどうってことのない曲なのが惜しまれる。ルーシー・ショー出演の編集の妙。最初の店でドラム叩いて喝采浴びるあたりのノリはラテンならでは。記念写真が死を招くのは映画のルール。中南米はカトリックということでイタリア映画の人懐っこさにも通じるんだな。ラストがちょっとズルズルしちゃったが、感じのいい映画。[映画館(字幕)] 7点(2012-02-16 10:18:55)

245.  美しき獲物 《ネタバレ》 やっぱスリラーは金や欲よりサイコがいいね。かなり粗っぽい話でも、いちおう満足する。ゲームに憑かれた人間の気持ち悪さ。深刻な遊戯というか。繰り返される殺人はあんまり芸がないんだけど、ま雰囲気はいいですな。「ゲーム」の気味悪さみたいなものをいちおう突いている。すぐ下に沈んでいくカメラ。あの刑事、なんとなくサイコ少年に雰囲気似させてた。盲目の師匠ってのもワケアリにさせといて。何度も客に「やっぱりね」と思わせといてうっちゃるわけ。D・レインの役どころはやはり『羊たちの沈黙』からのイタダキでしょうか。水の地下室っていう舞台はいいが、ラストは長すぎ。[映画館(字幕)] 6点(2012-02-15 09:59:23)

246.  インドシナ 《ネタバレ》 長い連続ドラマの総集編って感じ。気分がつながらないところ、早回しされてしまったような感じがしばしばあった。ヒロインの気持ちの変化なんかゆっくり見せていくような気配を漂わせといて、あっさりナレーションで跳んだりする。ナレーションはうまく流れを作ってくれれば無駄を省くからやってはダメとは思ってないが、この映画の場合リズムを崩してるんだなあ。見せ場がつながっていってくれない。長編小説の醍醐味のひとつは、忘れていた登場人物が再登場するとこで、ドミニク・ブランは後半の思わぬとこで出てきて大活躍するだろう、と期待してたらただの情婦になっただけでガックリ。インドシナと言っても、「インド」はカンボジアまででベトナムは完全に「シナ」ですな。風景、村芝居のシーンなんか驚くほど日本情緒に近い。というわけで歴史を背景にした大メロドラマですが、興味深い人物に欠けてた。この全体ドローンとしたとこが植民地的なのかも知れない。欧米で植民地ものドラマとなると、近代に疲れた人の逃げ場所として描かれることが多かったが、そうでもなかった。退屈はしませんでしたが。[映画館(字幕)] 6点(2012-02-13 10:24:56)

247.  いとこのビニー 《ネタバレ》 前半はあんまり乗れなかったけど、裁判が進んでくるとやはり法廷ものの伝統のあるお国柄、けっこう楽しめた。一番のギャグは官選弁護士のアレでしょうな。ネタとしては別にどうってことはないものだけど。いかにも頼りがいのありそうな冷徹なポーズだったのが、いざ本番になるとアガってしどろもどろになるの。で弁護士席に戻って「しぶとい奴だ」とか言うの。南部ってのはコケにされるのね。早朝起こされる繰り返しのあと、留置場のがやがやの中でぐっすり眠っているジョー・ペシ。彼の衣装がだんだん真っ当になるにつれ、弁護の腕も冴えてくる。裁判長ってのはすべてを分かってて見逃すもんじゃないのか。[映画館(字幕)] 6点(2012-02-12 10:01:15)

248.  きらきらひかる 《ネタバレ》 『今度は愛妻家』の薬師丸とトヨエツは、これでもう共演してたんだった。きずもの同士の共感ってことなのかなあ。弱い立場の店員にあたるのは、よくないですよ。不機嫌をはらす対象がつかめない時代ってことなのか、あるいは故意にズラしているのか。なんか感覚が実感として分からない作品が出てきた最初のころだったなあ。紺君が、先にお風呂使わせてもらいました、って出てきて三人でそばを食べるあたり、面白かったってんじゃないけど、なんかここらへんの感覚は分かるんだ。でもこれ80年代の感覚かもしれない。夜の道にシマウマを見るあたり、もっと劇的の演出しても良かったんじゃないかと思うけど、それだと70年代のフェリーニか。しみじみ良かったのは土屋久美子で、「人生ってのは、いいもんよ、(間)お客さん」の、この(間)がなかなか良かった。あと「大きな古時計」も懐かしかったが、それ知ってるのは平井堅でじゃなくて、60年代の「みんなのうた」でだった。[映画館(邦画)] 5点(2012-02-10 09:59:00)

249.  映写技師は見ていた 《ネタバレ》 もうちょっと短く出来るかと思ったが、でも悪くなかった。単に終わった体制の悪口を安全な時代になってから言ってるってだけじゃなくて、ある種の普遍的な独裁者願望のパターンがちゃんと出てた。これの同時代で言えばホメイニ下のイランに置き換えることも可能。純真さ・ナイーブさが独裁を支える構造そのものを見ようとしている。怖いのは主人公がこの体制を恐怖しつつも肯定しているとこで、ここに権力というものの不可思議さがあるんだろう。会話が聞かれることに怯えながらも、スターリンへの敬愛は変わらない。エライさんたちに出会うあたりの緊張する雰囲気、リアリティあった。やさしいスターリン。感激の極みであります。これと妻カーチャへの愛とが並行するの。このカーチャがラストでやっぱりスターリン一途になって登場するあたりに凄味。妻を愛するのかスターリンを愛するのか。カーチャへのカーディガンが取り出される。妻を演じたロリータ・ダヴィドヴィッチ、『ブレイズ』のときも、プロレタリア色のある女優さんでハリウッドでは貴重だなと思ったが、やっぱあの資本主義国で主役級を生き抜くのは難しかったか。[映画館(字幕)] 7点(2012-02-08 10:28:46)

250.  阿賀に生きる 遠藤さんの感覚麻痺による火傷、おそらくこんなにも「水俣病的」映像から離れた地点で水俣病を生々しく感じられる映像はないだろう。怒りも叫びもない、淡々とした描写。暮らしや技術を破壊した近代がパッと眼前に大きく感じられる。映画のテーマの一つは技術の伝承でしょう。舟作りとカギ漁という川の生活の基本が軸になっている。生活とは技術なんだ、という小川紳介の流れが感じられる(小川が死んだ年の映画)。その技術の伝承を破壊した水銀中毒としての新潟水俣病。その伝承の断絶と対比されるように、老夫婦のいる光景ってのは安定している。同じ暮らしが未来へ延びていきそうもないことと、同じ暮らしが繰り返されていること。餅つきの加藤さんのとこ、囲炉裏端から席を譲らぬお婆さん。長谷川さんのとこで、喋りながらトロトロと寝入っていくとこ。風に敏感でないと舟が危ない、という自然と暮らしの関係。若干ナレーションが語りすぎるような気がしたが、そのぶんカギ漁のシーンは対岸からのロングで慎ましい。加藤さん夫婦が冗談で、首を絞めようか、というあたりに厳しさがにじむ。遠藤さんが舟作りを断念した絶望の深さもある。でも新しい舟を一つこしらえたことの希望の大きさ、この振幅の中に阿賀で暮らすということがスッポリ納まっているのだろう。監督佐藤真。[映画館(邦画)] 7点(2012-02-07 10:08:41)

251.  ハウスシッター/結婚願望 《ネタバレ》 「日本ではコケる二大コメディアンの初共演」といった宣伝コピーを見た記憶があるのだが、しかしそこまで自虐的な宣伝するだろうか、夢だったのかもしれん。観たら面白かった。詐欺師もののバリエーション。失恋したての男S・マーチンの家に、勝手に妻としてG・ホーンが上がりこんでしまう。女が周囲に振りまいていく嘘がどんどん二人の関係を固めていってしまうあたりが見どころ。男はその場しのぎで嘘に付き合ったり、あるいは計略を立てて嘘を利用しようとしたりもするんだけど、けっきょくその嘘をより真実めかしていってしまう。嘘に嘘を重ねていくスリルと爽快さが一人歩きしてしまう。話の都合で生み出した架空の恋仇ブーマー氏が次第にリアルな存在感を持ってきたり、社長の戦友まで捏造していくことになる。二人で編み出す架空の来歴が、次第に細部まで生き生きしてくるあたりの勢いが見事。意味深な「暗い秘密」が誕生したり、急遽マウイに旅行したことになったりと、どんどん過去がドラマチックに華やいでくるおかしみ。一番笑ったのは男デービスが彼自身の知らない感動のエピソードの再現を要請されて、何らかの感涙的なストーリーを背景にした気分で「アイルランドの子守歌」を万感込めて歌うシーン。このおかしさはかなりのものだった。こういう話の場合女はどこかかわいくなければならない。彼女本質的な詐欺師だったわけではなく、よく解釈すれば退屈な日常をよりドラマチックに盛り立ててやろうと思いやってしまう性質の女なわけ。本来の男の恋人となんとか取り持ってやろうとするんだけど、彼女自身男に魅かれてしまっており、ここらへんからは彼女のいじらしさの見せ場。ささいなことだけど、中華料理を買ってくるシーンがある。中華料理は二人で捏造した「恋愛時代」のエピソードに登場した小道具で、二人の嘘が真実になっていくところをさりげなく見せている丁寧な場面。こういった丁寧さが、後味の良さにつながっている。だが映画はコケた。[映画館(字幕)] 8点(2012-02-06 10:24:32)

252.  夢を生きた男/ザ・ベーブ 日本が野口英世なら、向こうはベーブ・ルースか。おそらく伝記の定番なんだろう。もう段取り通りの展開になってて、アメリカでは型破りの人物が好まれるんだろうが、そういう人物を描くときの型ってのがあって、その型通りなんだから。田舎の女から都会の女に、田園生活から都市生活へ変わっていくところに、アメリカ史を重ねて見るのも一興。スランプのあたりは迫るものがある。「もう終わりだよ、デブ」って言われて荒れるあたり。やっぱ人間は下り坂のほうが面白い。試合のシーンが見せ場だけなので、盛り上がらない。[映画館(字幕)] 5点(2012-02-05 11:59:04)

253.  ランブリング・ローズ 《ネタバレ》 前半は裏返された『テオレマ』って感じ。“ゲスト”が家族全員を愛してしまうの。それが奔放なわけで、人の目には率直というより軽率、さらには淫乱と映る。社会はどこまで個性を許せるか、という話。デュヴァルが「一人の人間であると同時に、私はこの家の父(家長)だ」というようなことを言ったのはある程度正しいのであって、人は個人の世界と世間とをうまく調整して「世慣れ」ていかなくてはならない。しかしあくまで基本は個人でなければならないという原則がアメリカにはあり、その原点の確認をするのが母のダイアン・ラッドなわけ。原則主義の潔さ。ただしそれはタテマエの薄っぺらさとウラハラであり、子宮摘出手術うんぬんのあたりは、ちょっと演説倒れだった。これ監督は女性だけどシナリオは男性で、フェミニズムへの受け狙いを感じたのはヒネクレ過ぎか。後半ローズが保護されるぶん、ややしぼむ。あの母が膨らむからいいじゃないかと思われるかもしれないが、やはりローズ本人で勝負してほしかった。どうしても世間と折り合えないギリギリのところでのつばぜり合いを見せてほしい。単なる偏見の問題のレベルではなく、個人が人間の集団といかに戦っていくかという意気込みを見たかった。南部を舞台にすると生々しさが消え寓話っぽくなるのが利点だなあ。妹がときどきかわいい。リサ・ジャクブってのかな。[映画館(字幕)] 6点(2012-02-02 10:17:37)

254.  リーサル・ウェポン3 このちょっと前にロス暴動があったんだったか。「ビデオに撮られるな」いうことが話題になってた。黒人少年を射殺して悩んで家族の絆に回帰していく図は、この頃のアメリカ映画の基調。女刑事と今までの傷を見せっこするあたりはおかしい。でも見せ場がブツブツとつながってるだけで、シナリオとしての盛り上がりはない。ビルの爆破なんか、うまく盛り上げていった頂点で仕掛ければ「やるーっ」って気にもなるのだがなあ。悪役の在りようがよく分からなくて、闇の帝王なのかと思っていると、不動産業を続けていて(追っかけられてることが分かった後でも)、変な人。白人と黒人、若いモンと定年間際、の対比される二人の掛け合いが味わいか。[映画館(字幕)] 5点(2012-02-01 10:13:11)

255.  彼方へ 《ネタバレ》 ライバル同士が女を取り合うなんて陳腐、と思ってたが、ラストで納得。マチルダ・メイ/現実の女は、メイ・ウェスト/夢の女の対比物だったのね。観終わってから構図の広がりを感じ出す作品。見てる間はちょい図式が割り切れ過ぎてる感じがあった。一方はアクロバット的マスコミの寵児、一方は神秘的な精神主義者で、精神主義の訓話っぽい映画じゃやだな、とちょっと引き気味だった。絶壁をただの征服の対象としていた者と、その絶壁の向こうに何かを見て畏れを抱いてしまった者との対比。ここにさらに「指のない男」/絶壁の向こう側に行ってしまった者を置いて、世界がグッと広がった。室内の偽の岩肌のテレビ中継から始まって、本物の山の頂の映画女優で終わる。監督にとってテレビと映画は対極なのだろう。映画の中で写真を燃やすときって、必ず表を上にするな、と思ったが、普通そうするか。[映画館(字幕)] 7点(2012-01-31 10:14:46)

256.  ラジオ・フライヤー 一応ファンタジーなんだけど、でもファンタジーとしての枠組みがちゃんと作れてなかったから、ラストはヘンテコリンな気分になる。どちらかと言うと、児童虐待をめぐる社会派的な部分のほうに見どころがあったんではないか。眼を見せない義父。サングラスしてたり、子どもに目隠しされてたり、逆光だったり、それがラスト車で追いかけていくときに眼だけのアップになる。一つの表情としての顔はついに見せない。カントリーのBGMも不気味。近所の子どもたちもいじめてくるし、けっきょく母と子の兄弟だけ、血のつながった者だけしか心を許せない、という閉塞感が暗い。ベン・ジョンソンと約束したから、母親に心配をかけてはならぬという気持ち、あれが「父」的なものの象徴だったんだな。[映画館(字幕)] 5点(2012-01-30 10:05:00)

257.  キスへのプレリュード 《ネタバレ》 魂が男女の間で移動するってのは、日本でも『転校生』があったが、これは性別よりも歳の問題(でも相手がお婆さんだった場合を考えると、やはり違いはあるわな)。冒頭は壁を伝わって伸びていく蔦を追ってボールドウィン君へ、その眼鏡に映る時計台、と御伽噺的な雰囲気を与え、また時がテーマであることも確認する。ストーリーが動き出すまでの、結婚式の部分までのほうが演出は生き生きしてた。パッと老人のほうに話が変わって結婚式場へあわててくるあたりはワクワク。結婚式の誓いの言葉も「時」を含んでいる。「どんなに年取って、歯が黄色くなっても愛してくれる?」ってモチーフ。で魂が入れ替わる。新婚旅行で妻に何か未知のものを感じること。この場合、「相手」を未知のものを持っている妻に見るのか、未知の姿に変えられた魂に見るのか、ここらへんの不安定感。細かいところでは「アゲイン」を口ずさむとか。日記によって、妻になりきったふりをするとこで、見抜いてしまうボールドウィン君。泣き濡れていたバーでの魂のリタとの再会。ここらへんグッとくる。ボールドウィン君は、こういうヤサ男やると悪くない。老人が若さを憧れたっていうだけじゃなく、リタも一瞬、もう選択する不安のない老いの安定を望んだってとこが面白い。ヒロインはニヒリズムに、老人はガンに冒されていたわけで。[映画館(字幕)] 6点(2012-01-27 10:20:01)

258.  プリティ・リーグ 《ネタバレ》 姉妹で急ぎ足になる帰り道のとことか、スカウトが妹の肩の筋肉に触って「いけるかも」と思う変化とか、走りながら列車にカバンをホイホイ投げ入れていくとことか、至って職人的な腕を持った監督で、もう「女性監督」という肩書きで売りにする時代じゃないな、と思わせた映画。当時のニュースで彼女らを紹介していったシーン、マーラのとこでロングになるのが傑作。クソガキを登場させるつなぎ方とかね。テーマは「戦争と女性の社会進出」のお話で、男がいない時代のつなぎとしての・二流の・副次的な・キワモノとしての女性野球。ミニスカートをはかされ、屈辱的とまではいかないまでも、オアソビ的な設定。これに対してヒロインたちはマッスグに反発するんじゃなく、「よーし、それならその中でやってやろうじゃないか」となる女性ならではのしたたかさが見どころ。適度に男の顔も立てながら(ライフの写真)、自分たちのほうへ引きずり込んでいってしまう。酔いどれ監督も次第に生き生きしてくる、というわけ。ワンシーンだけど、実力はあってもどうにもならない黒人女性への目配りも欠かさないところに膨らみがある。後半旦那の帰還あたりから、ちょっと甘くなったか。今の日本なら女子サッカーを念頭に置いて観ることが出来そうだ。[映画館(字幕)] 7点(2012-01-25 10:09:46)

259.  未来の想い出 Last Christmas 登場人物の生活に実感がない、というのは別に現代を描く場合悪口とは限らないが、ふわふわしながら繰り返される「生」も実感がないとなると、とらえどころがなくなり過ぎて。ついに現代は「死」まで実感を失ったということなのか。生も退屈な繰り返しでしかない、とか。この映画を材料にして現代を語ることは出来るかもしれないが、この映画そのものは何も語っていなかった。時代は音楽で表現するのが一番だけど、かつて無音楽映画の傑作を作った人と思って見ると、うるさい。けっきょくこの人の映画のうつろさは、意識的なものじゃなくて、単に作家の反映だった面が強いのかもしれない。恋人役のデビット伊東ってのが、ちょっといい横顔をしている。[映画館(邦画)] 5点(2012-01-24 09:54:16)

260.  ウェインズ・ワールド 《ネタバレ》 何も奥を感じさせない明るさってのも、不気味と紙一重で。でも『ホットショット』の方が笑えたし面白かったなあ。ウェイン君のニコニコ顔なんか、ほんと人格を感じさせないということで驚異ですらある。CMは嫌だと言いながら各社のコマーシャルをしているとこ、わけもなくビール工場見学をするとこ、道路でホッケーやってて車が来るといちいち脇へ持ってくとこ、隣の部屋での007、一同意気投合、助手の改心、などぐらいでは笑った。これだけ笑えば元は取ったか。最悪のラストから最良のラストまで三通り。アホの方のガースが「変わるのが怖いんだ」と言っていたところに唯一手応えを感じたな。やはり底にあるのは保守の気分なのか。社会はこちらに危害を加えるものであっては困る、という信頼。[映画館(字幕)] 5点(2012-01-22 12:20:39)

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