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261.  心の香り 《ネタバレ》 『冬冬の夏休み』を思い出させるイデオロギー色のない(政治的な意味に限らず)中国映画。ストーリーよりも、状況として・風景としてシミジミさせる映画もあの国で生まれるようになったんだなあ、という感慨があった。老人と子どもの世間から遠ざかった環境での暮らし、けっこう町っぽいけど、川のほうへ行けば田園という境のような環境。どうせ父親に悪口を吹き込まれてるんだろう、というお祖父さんと、最初からおっかない孫。隣りの娘とで京劇とバレーが対比される(柵越しにメイキャップするシーン)。またその配置は、男二人の暮らしに、それぞれ女性の相談相手がいることになる。蓮おばさんの仏像を割ってしまうことが彼女の死につながり、その葬式費用がきっかけとなって、老人と孫とが京劇において和解する段取り。風景のみのフェイドイン・フェイドアウトのカットがいい。スン・チョウ孫周監督。[映画館(字幕)] 7点(2012-01-20 10:19:52)

262.  ストーリービル/秘められた街 《ネタバレ》 南部のどろりとした世界に沈んでいく民主党議員候補の青年弁護士ジェームズ・スペイダー、ただ全部がもつれ合って沈澱していくんじゃなくて、主人公は最後は正義の人になっちゃうのがつまんない。せっかくJ・スペイダーがやってんのに。パイパー・ローリーは不気味だが、ジェイソン・ロバーズの演技が明確すぎて、おそらく作者が狙ったものと合ってなかったんじゃないか。この監督は『ツイン・ピークス』をプロデュースした人だそう。こういう雰囲気としてのミステリーが、流行りだしたころ。もちろん小説で一番イキる謎解きのミステリー映画はつまらないわけで、ちゃんとした映画人なら映画ならではのミステリーってのを模索してると思うんだが、才能が追いつかないと雰囲気だけが先行してる環境ビデオみたいなものに堕してしまう危険もあるわけだ。[映画館(字幕)] 5点(2012-01-19 10:05:56)

263.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明 悪役がイギリスではなくアメリカになっているのが、このころの香港映画のややこしさか。中国語版ではなく英語版で観たので、あの甲高い声が制限され物足りなかった。香港映画はときに画面の陰影が美しいのもあるが、アクションものははっきり見せるのが大事なので、照明はいたってザッパク。好敵手との争いが見せどころになる。二人だけでは、やることが限られてしまうので、ときに丸太・ときに梯子を絡めて頑張っていた。梯子絡みのシーンはかなり長かったよ。アクションの連続いうのも、サービスのようでいて退屈を呼んでしまうこともあり、難しいのだな。人のシルの残りを飲んでいる名人インが、悪に引きずられていく過程。悪人どもの間で一生懸命武術を見せてるあたりの哀しさに味わい。[映画館(字幕)] 6点(2012-01-18 09:56:50)

264.  パリ、夜は眠らない。 《ネタバレ》 ライヴのフェリーニと言うか、現代ニューヨークのサテリコンと言うか。熟し切った腐臭みたいのが好きな人には、いい。そう、パリじゃなくてニューヨークの黒人街。自分たちで「パリ」と呼んでいる。ファッションショーでもダンスでもない「ボール」っていう、あれは何なんだ、ゲイ・コンテストっていうのか、それを巡るドキュメント。別に芸を見せるのではなく、ただゲイとしてのコンテスト。スクールボーイってのは、しゃがんで教科書広げたりするの。あれは笑った。ここで名声を得て有名になるんだ、ということで社会の縮図にもなってる(その有名ってのは一般の社会までの広がりを持って指すのか、それともゲイ社会の内部での話なのか)。ハウスとしてのファミリー的要素もあるようで、まあ日本の企業なんかもファミリーだしな。市民社会から完全に縁が切れた場所、表の白人社会となんとか折り合いをつけようというんではなく、裏側に閉じ籠もることで充足しようとしている。その閉じた腐臭がたまらない。美少女ヴィーナスなんか徹底的に被愛玩物として・人形として生きようと割り切っている。だからラストで殺されちゃうんだけど。「主婦だって旦那と寝て新しい洗濯機買ってもらってるじゃない」。[映画館(字幕)] 6点(2012-01-16 10:18:31)

265.  1492/コロンブス 《ネタバレ》 原題は「楽園の征服」。多数の合意のもとに歴史が変わったことはない、ってなことをアタマでコロンブスが言ってた。先を行くものの不幸と栄光。ラストでコロンブスが財務長官に「私とあなたは決定的に違う、I did,you didn't」って言う。コロンブスは未知の世界を憧れたんだけど、そこも見つけるそばから既知の秩序なり習慣なりが素早く浸食していってしまう。けっきょくスペインの延長された領土になってしまう幻滅。大陸発見五百年記念のフィルムだが、ただの“ご祝儀映画”で終わらせず、一応しっかりしたテーマを据えてあるのは偉い。スペインでは顔を背けた処刑をここでは自分で執行しなければならなくなる(全体『アラビアのロレンス』を手本にしてなかったか? 意識してはいただろう)。歴史上の人物ということでまったくの創作人物のようには個性を付けられないもどかしさ・彫りの浅さみたいなものは感じられたけど、いいほうじゃないか。女王に歳を聞き返すあたり面白い。[映画館(字幕)] 7点(2012-01-15 10:17:19)

266.  ハイヒール(1991) 《ネタバレ》 ちょっとした人物の絡みが、どんどん人の関係を広げていってしまう横滑りの感覚が面白い。手話通訳の女性が容疑者として三人目に並んで座ってたり。一番のギャグは手話通訳で犯罪自白を表現するとこね。グレートマザーに敗北し、吸収されていく娘の話ととればいいのか。なにやってもかなわない。自分の罪まで吸い取られていってしまう、って。母が見てると思うと緊張して笑ったりしてしまう(ニュースの時)、なんてのもあった。でもそう決めちゃうと、その向こうで監督が「わーい、引っかかった引っかかった」って笑ってるような気もして落ち着かない。もう一ひねりあるようなオレンジ色の世界。とりわけブルーを背景にしていると、あの色は不気味なんです。オカマの歌に合わせて客たちが身振りをするとこなんかも実にヘン。キャスティングにビビ・アンデルソンの名が出てたが、どこにいたんだ。まさか判事の老母? 『秋のソナタ』への言及もあったなあ。母と娘の葛藤の映画ということで。[映画館(字幕)] 7点(2012-01-13 10:31:48)

267.  ベートーベン 《ネタバレ》 このころのアメリカ映画における主婦は、仕事より家庭いうメッセージを担っていた。共和党的。なんか家庭像が古風になっている。「パパの威厳もカタナシね」といったこの手の笑いは、そういう威厳の存在を前提にしているわけで、そこも共和党的。パパの一言でペットを飼う・飼わないが左右されるってのもそうだ。これはどの程度現実の反映なのか、それとも現実でパパの威厳なんてものがチリほどもなくなってしまったので、こういう娯楽映画が生み出されていたのか。アメリカの現実の反映か、アメリカの夢の反映か、気になったところ。あと医者が悪役に向いてるのはなぜか、ということも考えた。これは獣医なんだけど、やはり生き死にを扱う、ってところが悪人向きなのか。白衣を着てるだけで、悪人っぽい(すごい偏見だけど)。そんなことを気にしながらでなくては観ていられないあまりに型通りの演出・演技だったが、ペットを処分しに連れ出していくあたりはシミジミしてしまった自分が情けない。[映画館(字幕)] 5点(2012-01-12 10:30:01)

268.  エロティックな関係 徹底的に閉じて内輪で遊んでいる感じ。隠し芸大会の雰囲気。映画に限らず、日本の文化の困ったところがこの内輪で閉じちゃう感じなんだな(いや文化に限らず政治とか、いろんな方面で表われる困った特徴)。わずかに荒戸源次郎のとこに乗り込んでオズオズしてるあたりで、往年の裕也映画の面白味が出掛かった瞬間もあったが、あとはほとんどノレなかった。話がいい加減でも面白い映画はあるし、それ以外の見せ場に何か作者の執着を感じさせるものがあれば納得できるんだけど、ない。最後まで内輪の弛緩した空気が続く。オクヤマとかキシンとか内輪落ちの名前もけっこう苛立たせた。[映画館(邦画)] 4点(2012-01-10 10:19:24)

269.  愛の風景 《ネタバレ》 「合わない」男女は、いかにして愛し合えるのか。慈悲と無慈悲、寛容と不寛容といったモチーフがいろいろ変奏されていく。アンナとの出会い、「まず欠点から言おう」なんてあたりにベルイマンの空気が香る。母の祈りもすごいよ。「あの女を愛せない私をお許しください。どうかあの二人を引き離してください」って。父の死、結婚、から第二部と思っていいのかな、ちょっとトーンが違ってくる。慈悲なり寛容なりのテーマは一貫してるんだけど気分に段差があり、一本の作品としてはやや完結性に欠けた。少年ペトルスのエピソードがいい。慈悲のつもりが裏返されて無慈悲に転じていく痛ましさ。良くも悪くもベルイマンから出られてない映画だ。「人と人とはしょせん“合わない”のであり、だからこそ愛は素晴らしいのだ」ってな結論ということにしておきましょう。ラストは、二人別々のベンチに座ったままやり直そうと言ってる。[映画館(字幕)] 7点(2012-01-09 10:10:51)

270.  そして人生はつづく 《ネタバレ》 これ日本で初めて映写されたアッバス・キアロスタミ作品だったと思う。『友だちのうちはどこ?』公開より前に東京映画祭で上映された。せっかくの国際映画祭なので、まず一般公開されそうにないイランの映画を選んで見たのに(一本千円)、やがて一般公開されて悔しかった。もちろんこの舌を噛みそうな名前の監督の作品公開が続くことになったのは歓喜したが。地震の被災地へ向かうロードムービーなんだけど、「悲惨」を描く場面が一切ない。明るさと暖かさ。理不尽な天変地異と向かい合ったとき、かえって見えてくる「人の生活の明るさと暖かさ」、それがそれとはっきり輪郭を見せてしまう一歩手前でスケッチしているようなところが、すごくいい。静かで穏やかなものとして。立ち小便する少年が、どうも広いところではやりづらく、細~い木の陰になってするユーモアでまず引きこまれた。壊れた店でジュースを買おうとするあたりのアレコレ。そういうロードムービーの中で目的地のコケルの町が聖地のように特化されていく、一種の巡礼のようになっていく。渋滞(『ウィークエンド』よりすごい)から脇道に入って、ますますコケルが聖化されていく。展開する明るさも、別に「息苦しい市民社会から解放された」なんてんじゃなく、そもそもそう窮屈な土地柄ではなさそう。この不思議な明るさを見るだけでも心ときめくフィルムだ。ロングで捉えた地割れもすごかった。これが初めて観たイラン映画だったが、イスラム臭が全然ないのに驚かされたものだった。のちに『友だちのうちは…』を観たあとで再見したら、また味わいが深まった。[映画館(字幕)] 8点(2012-01-08 10:06:51)(良:1票)

271.  ディープ・カバー 《ネタバレ》 これはちょいと拾い物。主人公と世間の間に距離があって、霧が立ち込めているような雰囲気。ときどき挟まれるモノローグが、そのノワール感を強める。荒々しさよりも湿っぽさ。潜入していった警官が、次第にアイデンティティを失っていくの。演技や手段に目的が乗っ取られていってしまう。初めてフィッシュバーンがゴールドブラムと会ったとき、即座に「こいつはコップだ」と言うあたりのスリル。ワカル奴とワカル奴との出会い、そのつばぜり合い。相手に信用されるためには、どんどん悪に漬かっていかなくてはならなくなる。分身のような「牧師」警官を配置して奥行きを作ってある。カクッカクッとアップになっていくシャックリのようなズームに面白い味。[映画館(字幕)] 8点(2012-01-07 10:41:13)(良:1票)

272.  めぐり逢う朝 鏡花の芸道ものの翻案だ、と言われれば、ああそうですかぁ、と納得しちゃうような話。師も弟子も、妻なり愛人なりの死によって、道を究めていく。師は求道家というより、妻を死なせた運命なり社会なりに対してスネているようなところがあり、芸術とは天上のものでありながら、この世のものごとに左右されるものでもあるんだなあ。そこらへんの芸術論の映画と見た。芸術はこの世に生きるためのもので、鎮魂の音楽でさえ耳にするのは生き残ったものたち、しかし芸術は芸術として純粋に閉じていきたがる表面張力のようなものも持っている。音楽は何のためにあるのか、と問われたマレは、すべての見えざるもののため? と答え、師はノンと言う。芸術のうち最も純度の高い音楽を巡って交される芸術論だ。好みとしてはもっとぶっきらぼうな演出のほうが良かったのでは。弟子マレが自作を弾いたとき、師が眉をピクリとさせるような、ああいうのはちょっと違うと思う。ドパルデューも薄化粧の有無に関わらずなんか違うなあ。[映画館(字幕)] 7点(2012-01-06 10:44:34)

273.  ゴジラVSモスラ 《ネタバレ》 怪獣出現のトキメキのなさが愉快でない。庶民てのが全然出てこないのもいかん。庶民の日常生活がズズズッと滑り落ちていく快感てのが怪獣もののツボではないか。向こう側(非日常)の世界の物語だけになっちゃう。主人公も昔はマスコミ関係者に割り振られたのが、政府に吸収されてしまった。根本から考え直してほしい。ゴジラに頼らない新しいアイデアで一本作るぐらいの気概が欲しい。登場人物の公私混同も引っかかる。別所君がコスモスを連れてっちゃうのが罰せられない。タイの法規に日本の官憲が優越するのを当たり前に見てるのも気にかかる。…ああいかんいかん、どうも怪獣もの観てると「昔は良かった」式の、不甲斐ない後輩を叱咤勉励する気分になってしまうんだなあ。別に先輩でもないただの一観客なんだけど。[映画館(邦画)] 5点(2012-01-04 10:07:56)

274.  冬物語 《ネタバレ》 若い娘に振り回されることに快感を感じる監督であった。あの髪結いの亭主とか、ヒロインがシャルルとの再会を祈らされるロイック君とか。ヒロインが一度きりの人生を満足に送るために、男どもはひたすら奉仕させられる。そういう状況を作ることに、この監督は熱心になってる。彼にとっての男女関係の基本。奉仕して裏切られる屈折した快感、裏切らせることであがめてるの。このシャルル君、不在だから輝く対象になったので、これからどうなるのかを見せないところが、ずるいと言えばずるく、優しいと言えば優しい。演劇による啓示。現実は演劇になり、おとぎ話のように再会する。再会のシーンでこちらの娘に対応するように、向こうに女友だちドラがいて、これが『緑の光線』の人なんだな、あの人はまだ不幸を背負ってるようだ。[映画館(字幕)] 7点(2012-01-03 10:53:59)(良:1票)

275.  アメリカン・ハート アメリカ映画はだいたいセンチメントを嫌うんだけど、なぜか父と息子になると許されるみたい。『キッド』とか『チャンプ』とか。『ステラ』あたりまで視野に広げると、同性の親子では許される、ってなる。同性だと近親相姦的にならないから、センチメントもサバサバ出来るってことか。まず家族写真などで、話がスタートするまでの来歴を語ってしまう。つきまとう少年と働こうとするパパ、ちょっと『自転車泥棒』の匂いもあるか。息子の存在がワルの道へ戻るのを止めてるような。もちろん刑務所暮らしはもうごめん、ってのが大きいんだけど。少年の親への最後の甘え、というか切り札が「グレてやる」なんだよな。また実際金がない。J・ロンドンのアラスカへの夢。少年院脱走のイメージが重なってくるあたりはけっこうしんみりしたが、アメリカ映画ならもうちょっと、センチメントに残酷さも欲しいところ。[映画館(字幕)] 5点(2012-01-02 10:24:58)

276.  ヒア・マイ・ソング 《ネタバレ》 アイルランドの妖精は老人の姿をしているのか。主人公の青年の取り巻きもけっこう年取ってたし。ロックの楽団の老人たちなんか、ほんとおとぎ噺的。この老年で固めたのはストーリーの要請もあるけれど、主人公の年齢コンプレックスの裏返しかもしれない。「まだ30なんです。平和な時代に生まれて」いうこのコンプレックスの由来はなんなんだろう。若さゆえの倣岸さが感じられなく、謙虚という美徳なのかもしれないが、若いモンはもちっと覇気があってもいいんじゃないか。ガラガラの荒れた店が満員になるところは、もっと見せどころになるのに、あっさりしてた。ラストの迫力を出すため、その前は地味にいったのか。アイルランドの部分、出航を決めて時計が鳴り出すとこなんか好きだなあ。深い井戸のとこもちょっといい。かつての「ナポレオン・ソロ」のイリヤ・クリヤキン、D・マッカラムに会うのはたぶん『大脱走』以来だ。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-31 09:56:01)

277.  二十日鼠と人間(1992) 《ネタバレ》 映画の評価に原作の力が入ってくるのはある程度仕方なく、原作がいいとやっぱいい。少なくとも原作を殺してない、ってだけで評価していい。スタインベックの映画化では『怒りの葡萄』『エデンの東』の二大名作があるけど、話としてはこれが好き。なんか山本周五郎の「さぶ」思い出したりして。登場するみなが夢や憧れを持ちながら孤独に沈んでいて、自分の孤独な夢を守るために互いに傷つけ合ってしまう。ここで行われる殺しには、憎しみはない。老犬を殺させるキャンディ、仔犬を殺してしまうレニー、女を殺してしまうのも、鼠の死骸の延長上で、そしてリンチの前に友を殺してしまうジョージ。レニーと生きることを許さない社会、自分の中のレニー的なものを分離させないと生活していけない社会、そのやりきれなさ。アメリカ南部って心の傷がよく似合う。レニーが一度仔犬を連れてきたふりしてジョージをからかうあたり、あとになって思い出すとしみじみしちゃう。常にジョージの顔色をうかがっていたレニーに向こう(夢の家の方角)を向かせ、二人の視線が互いでなく、はるかかなたで重なるラスト。[映画館(字幕)] 7点(2011-12-28 12:15:52)(良:2票)

278.  永遠に美しく・・・ 《ネタバレ》 デブデブに太ったG・ホーンがM・ストリープが殺されるシーンをビデオで繰り返し見ているあたりまではテンポ快調。現代に入ってからモタついてくるのはなぜか。ホーンの殺意とI・ロッセリーニの秘薬と絡み具合が不安定なままで、殺意のほうが中途半端になってしまうからか。本題はやっぱ階段を落ちたストリープがピクピクと動き始めてからでしょうね。ドラマよりSFXで見せる映画とはっきりして、観てるこっちも姿勢がはっきりする。たしかにおなかの穴なんかよく出来ていて、ソファに突き刺さったシャベル(?)の柄を穴に突き立てて座ったりする。おなかの穴越しに向こうが見える。ふたりの和解がいささか唐突、でもこの唐突に共同戦線を張ってくるみたいなところが、男にとっての女の気味悪さなんだろうな。死体化粧屋ってのがミソで、昔トニー・リチャードソンに『ラブド・ワン』てブラック・コメディの傑作があったなあ。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-27 10:33:55)

279.  ダンシング・ヒーロー パターンに徹するその臆面のなさを、勢いにしている。ストーリーは決められたコースの上を完璧に制御されて走っていく。冒険にチャレンジする若者、どんどん美しくなっていく娘、策略を弄する体制、伝説の父親(ダメな父と強い母がいて、その父とつながっていくハムレット的構図)。ダンスと感情を並行させる。いさかいのときのタンゴ、恋が芽生えるルンバ、そして意志の塊のようなフラメンコ。ダレそうなとこになるとフラメンコの伝授などがあって、見せ場見せ場をつないでいる。画面をいじくりすぎるのは、やがてこの監督の看板になっていくわけ。父親に関する回想シーンなんか面白かったけど、ダンスそのものの面白さはあんまり出てなかった。ソツはないけど、いい若いモンが作るなら、もっと本質的なところで冒険をしてもらいたかった気がする。まあそのためにやがてハリウッドに進出できたわけか。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-26 12:16:38)

280.  ジョニー・スエード 《ネタバレ》 『ストレンジャー・ザン・パラダイス』の撮影やった人の監督作だそうで期待したけど、ノレないまま終わった。突っ立ってた髪の毛が、普通に寝込むまでの話。天から降ってきた靴、それによって人生のステージを一つ進み、その靴の片一方を失うことで、そのステージから出て行くまで、とも言えるか。一昔前のサウンドに固執している。伝説の待望。登場人物たちがやたらと詩を語る。家賃の払いを迫る大家までが韻を踏む。女の子のときはバックでギターが分散和音を奏でている。人には騙されるし、不器用で純なヤツなんだ。でもそういうのを描こうとすると、50・60年代を振り返るポーズをとらないと描けないってことか。そして現代にジェームス・ディーンを持ってこようとすれば、おのずとコメディの気配が漂ってしまう。そういう時代のうつろいの哀しさを描こうとしたのかもしれないけど。しかしあの時代にはあった怒りがここにはない。[映画館(字幕)] 5点(2011-12-24 10:17:47)

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