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プロフィール
コメント数 2524
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ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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281.  岸辺の旅 《ネタバレ》  予告編は黒沢清監督らしからぬハートウォーミング夫婦モノ路線風なイメージを漂わせていて、ここに至って一体どうしたの?って思っちゃいましたが、フタを開けてみれば『回路』の姉妹編と言ってもいいような紛うことき黒沢清作品でした。  死と孤独に囚われ続けた作品群の系譜から見てこれは必然と言っていいような到達点にも思えます。  ボンヤリとした、表情のハッキリとしない、何を考えているのか判らない恐ろしさ、それはこれまであちら側の存在に現れていたのですが、この作品ではそれが曖昧になっています。表情を持ったあちら側と表情のボヤけたこちら側があり、明確な意志を持ったあちら側と意志のハッキリしないこちら側があり、あちら側とこちら側とで光と影が移ろいゆき、その曖昧な境界線が生む空気が独特の匂いを生みます。  シネスコ画面の片側に寄った被写体と、反対側に空いた空間に存在する空気。窓、カーテン、風、そこに居る何か、居ない何か。不安や緊張を煽る筈のそれが、でも今作に至って、もはや心地良さすら感じるのは何故でしょう? そして逆にいつもは癒しのイコンのような蒼井優が、自己の生を主張するかのような彼女が不安で不気味な存在と感じるのは何故でしょう? それは死の孤独を越えた世界が見えるから? 或いは生の中の絶望的な断絶が見えるから? それとも孤独を中心に据えた概念の中では生も死も大きな差のないフィールド上に存在しているから?  旅の終わりは海。道の途切れるところ。その狭い入り江が決して「解放」ではないその先の世界を示すようで寂寥感を漂わせます。  黒沢清監督の創造する美を表現する言葉が思いつきませんが(「頽廃的」っていうのもなんか陳腐で違うかなぁ)、その沈んだ空気に身を委ねるのが心地良い一編でした。って、心地良い黒沢清監督作品っていうのは、ちょっとやっぱりこれまでと違うのかな?[映画館(邦画)] 8点(2015-10-05 22:17:16)(良:1票) 《改行有》

282.  ロマンス(2015) 《ネタバレ》  小田急のロマンスカーと言えば昔は喫茶店なみのサービスがあって、サンドイッチとアイスティーを頂くのがウチの家族旅行での慣例となっておりました。微妙に鉄分を有していた私は箱根登山鉄道のスイッチバックにも心ときめかせていたものです。  灰色とオレンジの懐かしいボディカラーの箱根登山鉄道が登場するこの映画、壊れてしまった家族の楽しかった思い出を巡る物語に自分を重ねて胸が締め付けられる思い。家族って、壊れたり変容したりするもの。  大島優子ってこんなにジミなお嬢さんでしたっけ?っていうのが最初の印象。仕事はできるけれどつまらなそうに生きてる感じの役で、それがオッサンとの旅でどんどん魅力的になってゆく、そんな映画(つーか、オッサンが買ってくれた毛糸の帽子被った姿を妙にかわいく思ったのね。帽子フェチか?)。  オッサンとの体温やテンションの極端な差がおかしくて笑わせてくれますが、その対話によってそれぞれの事情が徐々に明らかになってゆく、それぞれの痛みがじわじわと溢れてくる、そして映画はその痛みを優しく抱きしめるのでした。  家族が再生するわけじゃない、幸せが訪れるわけでもない、何かが大きく変わるわけではないけれど、過去から現在そして未来へと続いてゆくそのひとときをそっと見つめる、それだけの映画、それだけの物語。[映画館(邦画)] 8点(2015-09-23 21:47:57)(良:1票) 《改行有》

283.  アントマン 《ネタバレ》  傑作でした。マーベルものって事で、これも『アベンジャーズ』絡みの一編ではあるものの、そこら辺のゴチャゴチャした知識なんて一切無くても楽しめる程度の作りである点が良かったです(S.H.I.E.L.D.が出てきたり毎度のエンディング後の映像があるので知識があった方が判るのは確かですが)。  ヒーローになる過程は微妙に長さを感じさせて、もう少し簡潔でも良かったんじゃないかなと思いましたが、冴えないおっちゃんが娘に会いたいがために奮闘する姿がコミカルに描かれていて楽しめました。  あまりアタマのよろしくないワルの仲間達など、物語の足を引っ張るんじゃないかと最初のうちはウンザリしちゃうんですが、これが意外なチームプレイを見せて痛快な存在になってゆき、映画がクライマックスに向かってどんどん加速してゆく感覚にワクワク。  でも最大のポイントはやっぱりサイズの変化によって様々な新鮮な見せ場が楽しめる事。日常空間がスリルとサスペンスを生むバトル世界となり、サイズを活かした戦闘を繰り広げ、そして笑いを生んで。アメコミ映画の濫造によってこの世界での戦いはもはや力のインフレ状態に陥っていた感がありましたが、そんな中でまだこんな新鮮な楽しみを生む事ができるんだ、って感心。  一応、地球のピンチに繋がる可能性云々とかいう話ではあるのですが、大風呂敷を広げずコンパクトなサイズで娯楽エンターテインメントにしていて見やすい作品でした。アメコミヒーローものって世界規模の話なのにごく狭い関係者だけで話が進むみたいな不自然さを感じさせるものが多く、その点、これくらいの範囲だとそれも気になりません。  休日のシネコンには男子中学生のグループがいっぱいいて盛り上がっておりました。やっぱりああいう連中を湧かせてこそのヒーローものですね。  あと蟻めっちゃかわいい。[映画館(字幕)] 8点(2015-09-23 20:54:45)(良:3票) 《改行有》

284.  映画 ビリギャル 《ネタバレ》  有村架純ってこんなに可愛かったっけ?って。『女子ーズ』や『ストロボ・エッジ』ではそこまでじゃなくって、じゃあ、その2作の撮り方が下手だったのかな?とも思うんですけど、とりあえずこの映画は彼女の可愛さだけで半分勝っちゃってるようなもので。その魅力だけで映画を楽しむ推進力になりますもんね。  物語はダメな女子高生が頑張って慶應大学に合格する話(ここでは省略されちゃってるサブタイトルが付いてますが、その時点でネタバレしてます)、でも、宣伝展開から受けるイメージよりも実際の映画はヘヴィな話で。  主人公には複雑な家庭環境があって、息子だけを偏愛する父親と、二人の娘に愛情をかけ、身を粉にして働く母親と。父親と断絶し、母親の溺愛によってダメっぷりを発揮するヒロインと、父親の期待に押し潰されそうな弟と。バラバラに壊れそうな危うい家族の姿を描いた映画としての側面が強かったりします。  また、ヒロインは学校の教師からはクズ扱いされ、ただ友人達との時間だけが生きがい。  そんなヒロインが進学塾に行き、生徒に理解を示す真面目でひたむきな講師との出会いによって変化してゆく、その講師とのコミュニケーションは軽妙で楽しく、幾つもの対比構造の中で輝きを放つパートとなっています。ここら辺、計算されているなぁ、って感じで。  前記の通り、有村嬢が大きな魅力を放っていたのですが、吉田羊もとても印象に残る母親を演じていて、幾つもの感動を誘います。  講師の言説は理想論に過ぎる感もありますし、いい人なイコン伊藤淳史を起用しているあたりからも、あまりに善悪のイメージを描き分けし過ぎていて、やや鼻白む面が無きにしもあらずですが(このあたり原作本をヨイショし過ぎって感じ?)、ここまでしょーもなく生きてきた私から見たら、大人が子供の可能性を潰しちゃいけないのも、子供が目標を持って頑張るのも、全く正しい事だと思うのでした。  ネタ映画のように思えて、実はとても真っ当な青春映画なのでした。[映画館(邦画)] 8点(2015-05-05 20:57:55)(良:1票) 《改行有》

285.  バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 《ネタバレ》  入院して顔の包帯がマスク状態になったリーガンはまるでバードマンのようであり、また、隣りの劇場で上演していた『オペラ座の怪人』のようでもあり。  非常に演劇的な流れを非常に映画的なテクニックで描いた快作。シームレスでどんどんと展開してゆく、まるでナマを捉えたような世界は演劇のようですが、一方でそれを描くのはカメラが自在に被写体を捉えてゆく映画ならではの世界。  つまり、ここに登場する人々はことごとく舞台と映画とで線引きをしたがっているのですが、実際には舞台も映画もそんなに差のあるものではなく、一つのフィールド上に置く事だってできるのですよ、と。そう、この映画そのものがそれを立証するかのように。  そして、現実すらもまた、舞台や映画とどこがどれだけ違うのか?と。  演じる事、生きる事、生なのか、加工されたものなのか、それに優劣を付けようとする、価値の差を見出そうとする、それがそんなに大事か?って。  なので私にはこれが「バードマンで何故悪い?」という話に映ったので、大変に気持ちの良い映画でした。商業主義に対して批判的なように見えつつ、むしろ逆にアメコミ万歳!みたいに感じられて。  飛び出す数々のネタや笑いも含めて、難しい事を考えるよりも単純に楽しんでこそ吉な映画だと思いました。  それにしても相変わらずエマ・ストーン、キレイ。[映画館(字幕)] 8点(2015-04-14 23:58:15)(良:2票) 《改行有》

286.  ドラフト・デイ 《ネタバレ》  ライトマンってここまで魅せる人だったっけ? なんかバカっぽい大味なコメディばっかり撮ってる人って印象が強かったんですけど。  日本でNFLがブームになったのって今から40年ほど昔の事で、その頃に私も多少ブームに乗っかりはしたものの、当時とはチームもかなり変わっているようですし、ドラフトのルールなんてモノまでは知る由もなく、でも、そこが判らなければこの映画の魅力は半減どころの騒ぎじゃない訳で、映画が始まる前の解説はとても重要でした。  ドラフトの日のGMの混乱劇を追った映画で、銃撃戦も死人も殴り合いもありませんが、スリリングなサスペンスに溢れた娯楽映画となっております。  GMに襲い掛かる数々の難題は、ちょっと盛り込み過ぎな感もありますが(ドラフトの駆け引き、自分の意志と周囲との摩擦に加えて、恋人の妊娠や母との確執や初勤務の使えない見習いや・・・大切な日だって事は判ってると口では言いながら判ってないとしか思えない人達ばっかり!)、それら大問題を全て抱え込んだ上でのクライマックスの盛り上がりっぷり、そして逆転の爽快さときたら。  駆け引きのシーンで頻出する分割画面は会話をスピーディに切り取ると共に、その意外に複雑な画面の構造によって(被写体が画面からハミ出し、重なり、横切り、さて、その多層構造は今どういう構えになってるかな?)そこから状況を読む面白さが加味されています。  結果的にそれはトクだった、んだよね? オーナーはそれで満足、なんだよね? みたいな事をちと考えないとならないくらいにはややこしかったりもするのですが(最終的にトレード条件チャラ+αにした時点で十分トクなんですけどさ)、それまで翻弄されてきた人々がそれぞれ納得のゆくところへピタッと収まってゆく、そのまとめっぷりの気持ち良さに面白いものを見たと満足。  結局、獲得した選手達がどんな成績を上げたのか?というのが気になりますが、それはまた別の話。[映画館(字幕)] 8点(2015-02-19 22:36:10)(良:1票) 《改行有》

287.  愛犬とごちそう 《ネタバレ》  「ジャンクフードばかりの生活をしている男に自然食志向の彼女が出来て、二人は一度は仲違いをしてしまうけれど、それぞれの価値観を受け入れて結ばれ、新たな価値観が生まれてゆく」という話を男の飼い犬(元々は野良犬)ウィンストンの視点から描いてます。  セリフが殆ど無く(意味を持った単語は唯一「WAIT」だけだったと思います)、犬の目の高さから描かれる世界は断片的でありながら、彼の前に差し出される料理と、その背景に描かれた男女二人の空気から見事な流れを感じる事ができます。  すれ違っていた二人を結びつけるウィンストン、そのクライマックスでの距離を縮める二人の足元がそのまま時間を跳躍する見事さ、落ち着くところへ落ち着いたように思えたところで昇る朝日のように姿を見せる新たな生、とても上手くてつい感動させられます。  映像は3DCGで作られていますが、手描き風なトゥーンレンダリングの、更に新しい技術を使っているように思います。輪郭線ポリゴンの代わりにエッジに細かな凸凹が描かれ、それはまるで紙の上に描かれた絵のようで。  そういう表現法の模索とそれに伴う技術の革新は単純に素晴らしい事だと思います。  ちなみに私はこれを見て「じゃあウチの猫達にも人間の食べ物を思う存分食べさせてあげよう」とか思ったりする訳はないので、ウィンストンの飽食っぷりも「1つの幸せのカタチ」だと思って別に気になりませんでした。もちろん現実に存在する犬にアレやってたら問題ですけど。[映画館(字幕)] 8点(2015-02-12 23:02:58)《改行有》

288.  百円の恋 《ネタバレ》  試合後、鏡でボコボコになった自分の顔をしばし見てから部屋を出るシーン、あそこで終わってくれ、頼むから外で男や家族が待ってたりしないでくれ、って思ったんですけどねぇ・・・  ほら、泣いて弱さを見せるのは「世界一まずそうなステーキを食べるシーン」で一度やってるわけじゃないですか。あそこだけでいいんじゃないんですか?と。  1つのドラマとして結論付けて〆ておきたかったのかなぁ。そこが個人的には残念。  でもね、やっぱり安藤サクラが凄いんですよ。  『ペタル ダンス』やNHK『野田ともうします』での普通なカンジから『その夜の侍』や『愛と誠』でのかなりヘンなカンジまで自在にこなして、今、最もカッコいい女優だと思ってるんですけど、これはその集大成みたいな作品で。もう冒頭のダルダルな状態からクライマックスの闘いまでめちゃくちゃカッコいい。  妹と喧嘩して寝巻のまま家を飛び出した、そのパンツ透けてる大きなお尻のみっともなさから、闘争心剥き出しにしてリング上の相手に向ってゆくまで、クズな男ども(ホント、この映画、登場する男は全員クズっていう)をぐいっとねじ伏せてゆきます。  クズの中でのたうちまわって這い上がる美しき女神、こんな役、他に誰がこなせるでしょう?  映画の、70年代の安っぽい邦画風だったり、安直な『ロッキー』や『ランボー』のパロディみたいになっちゃってたりする部分までも救済してしまう存在感。  昔から「脱いでぎゃーって叫んでれば評価されちゃう日本の女優」みたいな風潮はありましたが、彼女こそは脱いでぎゃーって叫んで圧倒させる本当に凄い女優。凄まじいプロ根性ではありました。[映画館(邦画)] 8点(2015-02-11 23:23:08)《改行有》

289.  ビッグ・アイズ 《ネタバレ》  カラフルな映像の中からやがて浮かび上がってくるのは2つの色。青と赤。  青は冷たく赤は熱い、というイメージですが、ここでは青は孤独の象徴であり、だけど一方でヒロインの創作の源となるヒロインの世界の色。赤は陽性ではあるけれど、その青の世界に浸食してくる、ヒロインの世界を様々な形で乱す色。  画面の中の青と赤の置かれ方がとても気になる映画です。  サラリサラリとした軽い語り口の中に織り込まれたヒロインの芸術に対する思い、繊細さ、弱さ。芸術の価値を辱めてゆく無遠慮な俗物。ティム・バートンがシンパシーを抱くのも当然という感じで、心が色彩という形に表現されて映画に昇華されているのがとても沁みてきます。  白塗りジョニー・デップもヘンなテンションのヘレナ・ボナム=カーターも出てこない、久々にその世界を堪能できるティム・バートン作品でした。[映画館(字幕)] 8点(2015-01-25 19:21:07)《改行有》

290.  怪盗グルーのミニオン危機一発 《ネタバレ》  前作に比べてヌルいです。前作もヌルかったかもしれませんが、今作はそれに輪をかけてヌルいです。何しろ前作で「幸せになりました」ってところから、今回は「もっと幸せになります」ってだけの映画ですから。  グルーはすっかり丸く優しいパパに、3人の女の子達はそれぞれに暮らしを謳歌し、ミニオン達は相変わらず楽しそうで、この幸せそうな世界に、あと足らないものは、と言ったら?  という事で、この映画は新登場の一人の女性、エージェントのルーシーの視点で描かれてゆく感じです。この世界に仲間入りをしてゆく、この世界に受け入れて貰える女性の話というのが本体のように思えるのですよね。  そのために陰謀だの戦いだのはほんのエッセンス程度。前作では一応核として存在した敵役との攻防も今回は隅に追いやられ、物語は主にグルーとルーシーがその関係を築いてゆく事に費やされます。  グルーを一方的に倒し誘拐するという冷徹な登場の仕方をするルーシーは、仕事仲間となり、協力して信頼関係を築き、私生活に触れ、恋をして、と。そのルーシーの変化は単なるアニメキャラを越えて、一人の人間の移ろいゆく心を見る感じで魅力的です。  特にグルーのお見合いデートに遭遇したルーシーの、彼の名誉を守るための可笑しくも健気でカッコいい一連の行動には「なんていいオンナなんでしょ」って。  血の繋がりの無い者同士が集まって家族を形成してゆく『グルー』の世界が、今回、嫁として、母として迎えられる存在のための映画となったのは必然的な流れだったのかもしれません。見事な愛すべき世界への補完でした。[映画館(吹替)] 8点(2014-12-16 23:05:45)(良:1票) 《改行有》

291.  アバウト・タイム 愛おしい時間について 《ネタバレ》  タイムトラベルものとしては、とっても初歩的なところで破綻しちゃってます。飛ぶ「場所」が決まっているのならば、飛んだ時点で瞬間移動してしまう訳で、周囲の常識的な生活はあっという間に崩壊しますね。  でもこれ、SFではないですし。  これはタイムトラベルの能力を持っていない人々に向けて人生について語る映画。  やり直しが利かない一発勝負の人生、というのは人生丸々を取り上げた時の大局的な見方。若い時は失敗しても何度でもやり直すチャンスがあります。それだけの時間があって、自由があって。歳を重ねて自分の生活が、そして周囲の物事が固まってくると、安易にやり直す事はできなくなってきます。地位や立場や責任が生じ、良き事も悪しき事も受け入れなければならない、選択の余地は少なくなってきます。  最後に振り返って後悔の少ない、これで良かったと思える人生を送るにはどうしたらいいのでしょう?  これは、そんな事を語りかけてくる映画です。  主人公とヒロインの微笑ましいエピソードの数々もいいのですが、イギリス映画らしく家族や友人との繋がりを大切に描いていて、そこから人生の物語が紡がれてゆきます。その繋がりが優しく温かく。  タイムトラベルができない人にとって、この映画のタイムトラベルは「回想」「反省」「選択」「決断」に置き換える事ができます。タイムトラベルができてもできなくても、実は大きな差はないのです。[映画館(字幕)] 8点(2014-11-05 22:32:35)(良:1票) 《改行有》

292.  FRANK -フランク-(2014) 《ネタバレ》  鳥カゴの中の楽園を蹂躙する凡庸という名の悪魔。  才能ある人々の、だけれどもあまりに繊細で脆く壊れやすい世界を、才能の無い凡人が通俗的常識の下に無神経に破壊してしまうというお話し。  凡庸はそれのみで罪である訳ではありませんが、凡庸ゆえに他者との境界線を見る事が出来ずに楽園に足を踏み入れ、侵蝕し、破壊してしまう。それはずっと繰り返されてきた悲劇。  自らを被り物の中に閉じ込めたフランク。ファスベンダーの限定された状況下での絶妙な演技の賜物か、被り物自体の放つ強烈な個性か何か判りませんが、その存在感は圧倒的。フランクと周囲の人々が作り出す空気が愛おしく、それゆえに後半は胸に痛く。  通俗装置の象徴としてtwitterが登場し、そのtwitterにこの映画の感想をつぶやくという皮肉な構造が、私に対して凡人としての自覚と自戒と、そしてシニカルな笑いを促すのでした。[映画館(字幕)] 8点(2014-10-27 22:34:44)(良:1票) 《改行有》

293.  怪しい彼女(2014) 《ネタバレ》  「歌の持つ説得力」という点においてとても正しいなあ、って。  映画自体はベタな韓国映画です。よくある毎度の笑いと泣かせパターンな韓国映画。で、これはそれが上手い方に転んでるタイプ。  シム・ウンギョンはちっともあのイヤなババアに見えません。あのババアと全然イメージが繋がらないの。それは欠点かもしれないけれど、でも「若返ってジェネレーションギャップに苦しむキャラ」としては見事に成立していて。  『サニー 永遠の仲間たち』で見せたヤバいレベルのコメディ演技と美しい表情が更にパワーアップして本当に魅力的。  それに加えてあの歌ですよ。ぐっと惹き付けて彼女に心を寄せてゆくのに十分な歌の力。  物語はあくまでベタなので、後半の泣かせ展開に至る道なんかは王道過ぎ!って感じではありますが(何度もワザとスカすように見せながら結局そこに行くっていうややこしいテを使ってはおりますが)、遠い日の回想と現在とが同じ顔で直結する事でダイレクトに生み出されるドラマの感動的な事ったら。思わず泣かされますな。  老いの辛さ、切なさもあれば、そこに至るまでに重ねたかけがえのないものもあって、っていう、テーマも王道というかベタというか、ですが、シム・ウンギョンの存在によってキラッキラに輝くまばゆい映画となっていて韓国映画の良さを堪能できる一編でした。[映画館(字幕)] 8点(2014-09-15 22:40:36)《改行有》

294.  フライト・ゲーム 《ネタバレ》  予告編や冒頭のシークエンスから何やらニオイがジョディ・フォスターの飛行機映画やデンゼル・ワシントンの飛行機映画を思い出しちゃってイヤな予感がしたのですが、中身はちゃんとリーアム兄さんのゴツゴツした映画で良かった(笑)  犯人は誰だ?ってミステリー部分は最後まで見ると「ん?」って首を傾げちゃう感じもありますが、クライマックスに至るまでのヒリヒリとしたサスペンスは上々。  主人公が真犯人扱いされてゆく展開も物語の足を引っ張ってテンポや気持ち良さを殺してしまうレベルまではいかずに良かった良かった。このゴニョゴニョした部分が大きくなればなるほど、イライラと気持ちよろしくないストレスが溜まる事になっちゃいますからねぇ。  乗客や乗員のリアクションも不快になる前にむしろ気持ちいい方向に持っていってくれますし。  画面内にメール文字を出すのは『子猫をお願い』や『電車男』を思い出して「ハリウッドは今更それやってるか(笑)」と思いましたけど、映画をテンポ良く運ぶには良いテですしね。  往年のエアポートシリーズを思わせる航空パニック映画の匂いも漂わせて堂々としていて、デカくて強いけど不器用なリーアム兄さんの正統な系譜に刻まれる娯楽作品でした。[映画館(字幕)] 8点(2014-09-15 22:12:46)《改行有》

295.  LUCY ルーシー 《ネタバレ》  ツイッターのTLに並ぶ不評の嵐に「あー、ベッソンたらまたやっちゃったのねー」って思いつつ見に行きましたが、?あれ?面白いですよ?これ。  テレンス・マリックが3時間くらいかけて語りそうなネタを、ベッソンが優しく、判りやすく、アクション交えて90分足らずで伝えてます、みたいな映画。  冒頭、犯罪サスペンス映画にいきなり唐突に『アース』とか『ライフ いのちをつなぐ物語』とかのノリが入り込んできまーす、って状態は苦笑せざるを得えませんが。むしろそっちをやりたいんか?って。で、最後まで見ると結局はそっちがやりたかったようで。  ルーシーが復讐やら何やら、世俗に興味を無くしてしまった時点で映画としてはコワレます。犯罪サスペンス映画のプロットが進行している中で肝心の主人公がそのプロットとは全く別の方向を見ているという、もう映画と主人公との対話ができていない状態。  なんで脳がいっぱい使えると超能力者になっちゃうの?みたいなツッコミどころ満載な部分は、実は大して重要ではありません。人を越えたところから人を見つめる映画というところがポイントで。  宇宙の誕生から生命の誕生、営みを見つめて、そしてその時の流れの中に人間が存在する事の意味を捉えようという映画(モーガン・フリーマンが大体の要点は語っちゃってますが)。  出会って間もない男に騙されて犯罪の片棒を担がされちゃうような頭の悪そうなトロいお嬢さんが神様になるまでのお話。その、万物のシステムに触れてゆくスカヨハに神々しい魅力を感じられたので、私としてはいい映画。[映画館(字幕)] 8点(2014-08-31 14:56:14)《改行有》

296.  オール・ユー・ニード・イズ・キル 《ネタバレ》  まさしく「ゲーム感覚」ってヤツで、100人マリオなんかメじゃないってくらいにリトライしまくりな覚えゲー状態な映画で。  戦争モノって事でFPS、TPSっぽい感じですが、体得したスキルを記憶しつつゼロからのリピートっていうのはむしろ『デッドライジング』に近いのかしら?みたいな事を映画を楽しみつつ考えていると、突如として「ここから残機無し、コンティニュー無し、一発死でゲームオーバーな」ってルール変更状態になって、そりゃエラいこっちゃ!って。ゲーマーなら判るその絶望感。「おいおい無茶すんな」って画面のトム・クルーズにハラハラドキドキ。  それはサスペンスを生む有効な手立てであると同時に「当たり前だけど命って1つしかないんだよ」って事をハッキリキッチリと認識させているわけで。ゲーム感覚を導入する事で逆説的に命についての映画になっているんだ、って感心。  「軍の広報担当者が陰謀だか嫌がらせだかで無理矢理最前線に送られて、戦闘に全く慣れていないがゆえに~」なんてややこしい設定は、主演のトム・クルーズがいいトシをしたオッサンであるがゆえなわけで、本当は若手スターがただ「新兵」を演じればそれで済むのですが、そこはそれ、スター映画ですし、彼であるがゆえの安定感や親しみやすさ、ユーモアなんかが生まれているわけですから、まあ、仕方ないでしょう。っていうか逆に、あのトシでよくもまあ頑張っております。  そのシーンは実は一体何度目なの?みたいな仕掛けも面白く、大々的な戦闘シーンもあって、見応えのあるSF映画でした。[映画館(字幕)] 8点(2014-08-14 22:33:17)《改行有》

297.  ウォールフラワー 《ネタバレ》  昔、サーティーワンアイスクリームのバイトの女の子2人に「気持ち悪い」って客としてまともに扱って貰えなかった事があって以来、いかに目立たずこっそり生きてゆくかが私の人生のテーマみたいになっていました。何かを期待したり望んだり、そういう資格がそもそも無いんじゃない?って思う日々。  そんな私をIBMで出会った仕事仲間達は週末ごとに誘ってくれました。毎回、私を中心に据えてみんなで映画を見て食事をして。彼等、彼女達に一体どれだけ救われた事か、あの時間がどれだけ大切だったか。今も深く感謝しています。  なのでこれは私の心を映すような映画で、とても冷静に語る事はできません。その人々、その時間の大切さ、そのかけがえの無さ。  ハーマイオニーからあんまり変わらない演技のエマ・ワトソンが適役か否か、微妙な感じがしますし(昔ならウィノナ・ライダーや少し前ならキーラ・ナイトレイが似合いそうな役)、主人公の過去のトラウマ話が最後に至るまでなんだか上手く作品世界に噛み合ってゆかないままになってしまった感じもします。  でもエズラ・ミラーのシャープで繊細な感じが作品のカラーを決定付けていて、それはこの「心の映画」にとても相応しい色で。  トラウマなんてそう簡単に克服できるわけもなくて、冒頭の件もこの映画を機会に今回初めて向き合ったりしてる訳ですが(友人達にもその件を明かした事はありません)、それでも生きてゆかなくちゃならないし、そして生かしてくれる人が存在するならば、それはとても幸せな事で。  どうかみなさま、現実の人と時間を大切にしてください。[映画館(字幕)] 8点(2014-06-10 22:22:28)(良:3票) 《改行有》

298.  アナと雪の女王 《ネタバレ》  過大な期待を抱いた感じで、さすがにそれを上回るような事はなくて。前半の繊細さに比べると後半はフツーなデキという感じ。  仲の良かった幼い姉妹がまるで光と影のように相反する存在へと離され隔たれてゆく過程を描いた前半、表情や仕草や歌の細やかな表現によって、アナとエルサ、それぞれの心情が切なく響いてきます。  対して冒険物語となる後半は、さしてスケールがないわりには個々のキャラクターにもあまり作品独自の個性を与えられず、娯楽アニメ映画の定石を踏むような展開。前半にあれだけ個性を与えられたアナとエルサも、後半はエピソードを消化してゆくことに終始してまうような感じ。せっかくの「姉妹が呪縛から解放され本当の自由を獲得してゆく物語」が何やらごちゃついてしまって。  結局ピークは映画を見にいくたび予告編タイムに見せられた『Let It Go』のシーンだったかな。  最後まで見てその存在に疑問が生じるエピソードが幾つも。  「氷売りを生業とする人々の中で育ったクリストフがトロールの村でエルサの魔術によって意識を失った幼い頃のアナへの治療を目撃する」  ここにたっぷり詰まった情報が後の物語に何らかの作用をしているのかというと、これが微々たるものだったり。  アナが途中で殆ど動けなくなってしまう事で物語の進行にもブレーキがかかってしまう印象がありますし。  ただ、その表現力は本当に素晴らしいものがあって。  アナとエルサ、二人の主役の豊かな表情から、そこに通っている血を感じる事ができます。エルサはやっぱりケバくなってしまう前の方がいいですけど。  色彩溢れる世界から冷たい氷の世界へのメタモルフォーゼ、画面の隅々まで彩られた美しさ。  切ない物語の中で笑いで楽しませてくれるオラフも愛らしく。  表現はCGに変わっても、夢と伝統のディズニーアニメの世界を十分に堪能できる作品だと思います。[映画館(字幕)] 8点(2014-03-14 21:41:16)(良:2票) 《改行有》

299.  スーサイド・ショップ 《ネタバレ》  自殺グッズ専門店を営む一家の物語。冒頭から幾つもの死にっぷりを見せてくれるブラックなアニメ。  陰鬱な世界の中でも際立って陰鬱な一家の中に生まれた次男が変革をもたらしてゆく、というのが主軸になっています。  その中で長女が全裸で踊るシーンがありまして。陰鬱な家庭に生まれて当然の如く陰鬱な少女に育った彼女が、弟の贈り物に胸を躍らせ裸で踊り、その光景を覗き見た少年と友人達もまた性(生)の目覚めに心ときめかせてゆくという。  こう書くと随分と即物的な表現のようにも思えますが、ポイントは長女の姿がかなり醜く描かれているという事。目つきが悪く目の下はくすみ、紫色の唇は突き出していて、体型は樽型。  そんな彼女が生気を取り戻してゆく映像は醜から美へと至るエロティシズムに溢れていて、死の匂いが立ち込める世界から生へと目覚めてゆく流れを見事に表現していると思います。  モノトーンの世界からカラフルでオプティミスティックなラストシーンへと至る映画の中にあって、その長女のダンスシーンはインパクトのあるアクセントとなって大きな存在感を与えています。  表現の多様性において、アニメという分野はまだまだ伸び代があると思うのですが、その可能性は現在、海外のアニメ作品から強く感じられるように思います。こういう様々なカタチがあるからこそ、アニメって楽しいと思うんですよね。[映画館(字幕)] 8点(2014-02-19 22:20:29)(良:1票) 《改行有》

300.  スノーピアサー 《ネタバレ》  前半、ありがちなB級SFアクション映画で、ポン・ジュノ監督ともあろうものがハリウッドに呑み込まれまくったモノを作っちゃったかぁ、って失望気味だったのですが、中盤からどんどんと一筋縄ではいかないヘンな映画になっていって、ああ、監督、ちゃんとブレなかったんだ(笑)ってひと安心。  『ほえる犬は噛まない』『殺人の追憶』『グエムル 漢江の怪物』『母なる証明』と、ポン・ジュノ監督の作品は一貫して「英雄になりそこなう底辺の人々」を描いています。正義の名の元に体制に逆らい、真実を暴いてゆこうとする、だけど待ち構えるのはいつも皮肉な展開。  今回の作品はそのポン・ジュノ路線をいっそう純化させたような内容で。  一本の列車に凝縮された社会の縮図があって(この部分、エド・ハリスのセリフを始めとして説明し過ぎた感はありますが)、その中で底辺の人々の闘争があって。  一両一両の小さな空間にまとめられ象徴された世界(扉が開かれるごとに全く趣向が変わってゆく、その魅力的な仕掛けが楽しく)、そしてその社会の縮図を守ろうとする意志と破壊しようとする意志のバランス。それぞれが脆弱なものの上に成立している現実、それぞれの役割を全うする事こそが、社会のシステムのバランスを保つ秘訣・・・でも?  最後の投げっぱなしには決して明るい未来が開けてはいません。だけど、じゃあ今のシステムの上に安住する事こそが幸せなのか、上を向かずただそこにある現実を甘受していればいいのか、と言えば・・・。いずれにしろ今の行動が未来に責任を残す事に変わりはない、その「今」を描く事にポン・ジュノ監督はいつも腐心しているように思います。  予告から受ける印象よりもずっとヘンな映画で、それゆえポン・ジュノらしい快作でした。[映画館(字幕)] 8点(2014-02-13 20:50:35)《改行有》

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