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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 487
性別 男性
ブログのURL //www.jtnews.jp/blog/23806/
年齢 41歳
自己紹介 多少の恥は承知の上で素直に書きます。

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281.  ショーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 アメリカのコメディって大げさすぎて笑えないものが多いけど、この映画はその点まったく問題ない。何度もおなかを抱えて笑うことができた。少なくとも個人的には笑いどこはすべて笑える、すべり知らずの作品。また、作りが丁寧で遊び心がいっぱい。ゾンビにも個性があったり、DVD特典としてプロットの欠落部分がコミックバージョンでカバーされていたりと、隅から隅まで楽しめる作品となっている。  それに、実はダメ人間へのエールになっているところもよかった。ショーンはいまいちやる気がなく、たいしたとりえもなく、失敗ばかりの冴えない奴なのだが、その彼にも愛してくれる人や励ましてくれる人がいて、ラストには「だめでもいいじゃん」といういい意味での開き直りがある。ショーンを見捨てたはずの彼女も一緒に「意味のない」生活を送っているし、究極の足手まといになっていた親友も見捨てていない。  本家「ゾンビ」ではけっこう堅苦しいテーマがあって、ゾンビを死人みたいな現代人の象徴として皮肉っていた。一方、この作品は題名の通りショーンのようなダメな人をゾンビが象徴しているわけだが(深読み?)、そこにあるのは皮肉や批判ではなくて、やさしい励ましだ。大失敗をやらかしたとき、友達が肩を叩いて励ましてくれるような感じ。僕はエンディングテーマもそういう意味で受け取った。後味がとてもいいのは、映画制作者たちのゾンビに対する愛情はもちろん、人間に対する温かい視点があるからだと思う。7点(2005-01-29 18:27:27)

282.  グレン・グールド エクスタシス グレン・グールドというととにかく変人というイメージがあったが、ちょっとそのイメージが変わった。いや、確かに風変わりなんだけど、「変わっている自分が好き」で、わざとそうふるまっていた部分もあったんだなあ、と。それは理解できるし、とても人間らしいと思う。また、人間嫌いで演奏会をやめたと聞いていたが、その前知識も不正確だったようだ。彼が演奏会をやめたのは偶発性や失敗を極端に嫌ったからで、観客が嫌いだからではなかった。集団で目の前にいる聴衆が苦手だっただけで、むしろ美しい音楽を聴き手に届けるためにあえてレコーディングという手段を選んでいた。単なる奇行ではなく、優れた知性で方法論を突き詰め、自らの美意識に忠実であろうとした結果の行動だったのだ。そこにあるのは狂気ではなく、芸術家の情熱だ。グールドは人間離れしていたが、それはけっして非人間的だからではない。その人間性のすべてを音楽に傾けていたからだ。 (ところでこれ、映画ですか? 短すぎてもの足りなくて、それが点数に反映してます)7点(2005-01-23 06:26:35)

283.  ノー・マンズ・ランド(2001) 善玉も悪玉もなく、自己中心的な正義と盲目的な憎悪が相乗して悲劇にいたる。場を収めようとしていた人間がもっとも悲惨な末路をたどる。これは戦争と、あらゆる争いの縮図。個人的には、戦争映画とはこうあるべきだと思う。7点(2005-01-15 18:13:32)

284.  アモーレス・ペロス 奪い、奪われた者がさらに誰かから何かを奪う。そんな負の連鎖が描かれていると思いました。ほとんどのほとんどの登場人物が独りよがりの愛のために誰かを傷つけ、自らも大切なものを失う。殺しあう闘犬のように、自分がすることに何の疑いを持たない。事を起こした動機は愛情だったはずなのに、そのくせ他人を傷つけることに何の疑いも持たない。ぞっとする話です。最後の最後に初めて、無償の愛情を与えるエピソードになるかと思ったら、「愛してる」という言葉は届かない。一見確かにそこにあるように見えた愛が、結局は空虚なものしか残さない。彼らの人生は交錯しても、心が交錯していない。 それでいてラストシーンに希望があるのには驚きました。シビアな目を持ちながら、けっして希望は捨てない。こういう姿勢は大好きです。7点(2005-01-12 15:31:48)(良:1票)

285.  ロスト・イン・トランスレーション 二人の姿をみていると、彼らがなじむことができないのは異国の文化に対してだけじゃないんだな、と思った。「家族から必要とされていない」と感じているボブと、理解のない夫との関係に疲れているシャーロット。子供は電話に出てくれない。妻は「忙しいのよ」とか「あなたの心配をするべき?」とかしか言わない。ボブの寂しさをわかってくれない。夫は妻が苦しんでいるのは知っているはずなのに、彼女の話を聞いているはずなのに、その気持ちが伝わらない。二人の言葉が届かないのは日本人だけじゃない。たまたま出会った二人の間にはたいしたドラマなんて起きないけれど、お互いの孤独への理解が、ほんの少しだけ二人の心を通わせる。タクシーを止めてシャーロットの元へ向かったとき、ボブは二人が結びついた時間がささやかではあるものの、かけがえのない価値のある時間だってことに気づいたんじゃないだろうか。たとえ日本じゃなくても、二人には安心できる場所、迎え入れてくれる人がいないのかもしれない。ラストに抱き合えたことはちっぽけな奇跡で、あんな瞬間があるからみんな寂しさに押しつぶされずにいられるんだと思う。人の心は外国よりもずっと遠いところにあるから。  (日本の描写が不公平なことはみなさんのおっしゃるとおりだと思いますが、自分には許容範囲でした。たまに日本のマンガに出てくるアメリカ人に、「ダジャレみたいな寒いジョークをとばして一人で笑っている」キャラクターがいますから、マシューの扱いも仕方ないかも、なんて。偏見もお互い様なとこがあります。)7点(2004-12-26 06:20:50)(良:4票)

286.  ブッチャー・ボーイ 《ネタバレ》 主人公の少年はいつもわめいたり悪態をついたりしていて、それこそブタのようにやかましい。でもそれは迷子になった子供が親を探しているときのような、痛ましい混乱と怒りに満ちたもので、結局彼はいつも自分を愛してくれる人を探して迷走していたように思う。彼はこれが「ブタの成れの果てだ」とブタの首を指して言う。誰にも気にかけてもらえず、やがては屠られてしまうブタに重なる彼の姿は、途方もなく孤独だった。ニュージェント夫人に罵られたとき、本当は「お前はブタなんかじゃない」といってくれる誰かが必要だったはずだ。それなのに家族は死に、親友は去っていき、心の拠り所としていた美しい幻想も奪われる。少年の混乱は頂点に達し、破滅へと向かってしまう。しかし、この映画のいいところは単に破滅を描いて終わるのではなく、穏やかなラストを用意していてくれたことだ。彼が成長し、ただ静かに手の中の一輪の花を見つめている姿を見たとき、涙が出そうになった。彼はもうブタのようにけたたましくわめいたりしない、もうブッチャー・ボーイではない。哀れな少年の心にようやく平安が訪れたのだと、救われた思いがした。[DVD(字幕)] 7点(2004-11-30 23:59:59)(良:1票)

287.  “アイデンティティー” 《ネタバレ》 使い古された感のある多重人格ネタを、こういうふうに使うとは思わなかった。多重人格の精神世界としてはちょっと荒唐無稽な気もするが、それでも十分楽しめた。なによりきれいに騙されたので文句は言えない。大傑作ではないが、最近のサスペンスでは拾い物。7点(2004-08-19 12:27:40)

288.  焼け石に水 話自体は地味で、狭い人間関係の範囲で終わるし、短い。だけど、すごく面白い。ずば抜けたセンスが光る、コンパクトでシャープな切れ味の佳品。サニエの裸に目が釘付けなのは皆さんと同じです。登場人物全員がお尻を振るダンスシーンのインパクトも絶対忘れられそうにない。7点(2004-07-30 19:22:57)

289.  ルシアとSEX 絵本のように美しい映像。性描写はあんまりいやらしい感じがなくて、とくにルシアとロレンソのセックスは二人の幸福が伝わってくるかのようだった。これほどセックスを通して上手な心理描写をした作品は他に知らない。ただし複雑な筋立てはそれほど功を奏しているとは思えなかった。7点(2004-07-25 18:29:33)

290.  ざわざわ下北沢 ストーリーはよくわからないし、感情移入を拒否するような作り方をしているので眠くなるのは確か。映画というより下北沢で繰り広げられる日常(ちょっとはドラマチックなシーンもあるが)風景のパッチワーク。普通に撮ればもっときれいに撮れるような映像からわざわざちょっとはずして映し、音を織り交ぜて「ざわざわ」した喧騒を入れるといった手法は面白い。話よりも雰囲気を楽しむ、なんだか不思議な作品。普通の映画を楽しむようには楽しむことができないが、楽しめないこともないと思う。7点(2004-05-09 23:05:13)

291.  新・死霊のえじき あれ?この映画けっこう面白いのに誰も見てないの? 知能のあるゾンビが怖くて好きなんだけど……タックルして人間押し倒して噛みつくんですよ? ゾンビっつうかピラニアみたいな襲いかかり方がショッキング。あと、いい加減ホラー映画だからってこんな題名をつけるのはやめてほしい。渋い原題をなんでこんなに安っぽくするんだ? これでレンタル増えるわけ?7点(2004-03-03 05:39:49)

292.  悪魔のえじき/ブルータル・デビル・プロジェクト これは…キてます、かなりキてます。監督は確実に頭のネジが緩みまくったお方で、常人には思いつきもしない、思いついたとしても人格を疑われるので実行に移さないでおくようなことを平然とやってのける。途中でカンフーを出したくなったからといって主要登場人物を皆殺し。脚本が事実上リセットされてしまうという離れ業! しかもどうみても普通の玩具の怪獣を手で動かしているだけなのに、「怪物」と言い張るその強気ぶり! ていうか無意味な裸を出しておいて、モザイクかけるの忘れてるぞ。ゾンビとの戦いは、残酷の度が過ぎてもはや物理法則すら無視している。役者たちはすべて大根、やる気もない。たぶん現場で元気だったのは、監督だけだったのではないだろうか。超エネルギッシュなだけの、大バカ野郎……想像するだに恐ろしい。あらゆる意味でありえない映画である。配給会社はあきらかに適当なモノローグを付け足してブレア・ウィッチっぽく見せかけているが、これについては許そう。さじを投げるのも当たり前、叙情酌量で無罪だ。字幕もまったくやる気が感じられない。中国人に対して悪役たちがぶつける差別語がなぜかすべて中華料理に翻訳されているのには驚いた。「このチャーシューが!」とか「死ねラーメン野郎!」とか罵られても、中国人も怒るに怒れないと思う。  そして一番恐ろしいのは、原題に「Ⅲ」という文字が入っていること。すでに第三弾らしい。何を考えているんだドイツ人は?? このソーセージ野郎どもが![ビデオ(字幕)] 7点(2004-02-28 06:56:16)

293.  ファイナル・デスティネーション 実写版『浦安鉄筋家族』。だけど映像がリアルなので悲惨なのでちゃんと怖い。首吊り状態になったとき目の毛細血管が切れるシーンなんかは怖すぎて引いた。原題そのままの邦題はホラーというよりアクションもののようで、少しは考えて欲しいなと思った。[映画館(字幕)] 7点(2004-02-28 06:10:52)

294.  ヴィドック 摩訶不思議な映像世界が好き。錬金術師の鏡の仮面、炎の上がる溶鉱炉での戦い、落雷による殺人事件などなど、観てよかったと思えた。物語はすかすかなので、きっと映像感覚がツボにはまるかどうかで評価が決まってしまうんじゃないだろうか。まったく期待せずに観れば、ラストも読めずに案外楽しめるかもしれない。錬金術師がアホみたいによく動くのにはちょっと笑った。お前は体操選手かと。[ビデオ(字幕)] 7点(2004-02-28 05:31:18)

295.  ストーカー(2002) 《ネタバレ》 非常にリアルで、抑制の効いた脚本がよい。アメリカで異常者をテーマに据えつつも殺人事件のひとつも起きない映画が作られるとは思わなかった。また、これは深読みかもしれないが、一応心理学をかじった経験のあるものとして言わせてもらうと(生意気ですいません)、最後にサイが児童ポルノに異常なほど激昂する姿は、彼に性的虐待を受けた過去があることを匂わせる。自分の中に閉じこもり、対人関係をまともに作ることができず、ちょっとした罪を許せない潔癖さを持つ、どこか幼稚な男。その孤独で哀れな姿が心に残る。  また、映像が全体的に人工的な白と青で覆いつくされているのが強烈だった。ロビン・ウィリアムズも髪の色をほとんど白に近いブロンドにしており、色素の薄い印象を与える。この人工的で整然とした風景は、サイ自身の神経質で潔癖な精神世界を表しているのだろうか。  犯罪者の心理世界を克明に描いた点では『アメリカン・サイコ』に似ているが、この作品にはリアリティと、独特の品がある。サイコ・サスペンスとしてではなく、哀しい男の心の軌跡を描いた人間ドラマとして一見の価値がある作品。7点(2004-02-28 05:27:30)

296.  ダーティハリー 《ネタバレ》 気の滅入るような陰惨な犯罪と、捜査のためなら手を汚すことも辞さない刑事の一騎打ち。人間の最も醜悪な部分に向き合わざるをえない刑事の悲哀が表れている。無駄を削ぎ落としたハードボイルドな作りで、かなりいい味出している。連続殺人犯スコーピオンを徹底的に卑小な男として描いたのは正解だろう。劇場型連続殺人犯としてはちょっと不自然なパーソナリティなのだが、時代を考えれば仕方がない。 事件は一応の解決を迎えるが、終始トーンは暗い。モデルになったゾディアック事件は映画以上の犠牲者を出し、迷宮入りした。当時のサンフランシスコを知っているわけではまったくないが、おそらくは陰鬱な時代の雰囲気を反映しているのだろうと思う。井戸から全裸死体を引き上げる描写など、生々し過ぎて驚くほどだ。 惜しかったのは最後にスクールバスの屋根に飛びついた場面。それまでストイックなアクションばかりだったのに、このジャッキー・チェンばりの行動で一挙にリアリティが薄まった。というか飛びついてどうする気だったんだろう?[DVD(字幕)] 6点(2009-09-05 23:45:01)《改行有》

297.  M:i:III 《ネタバレ》 スパイものというよりは『ルパン三世』の実写版を観ているかのよう(途中カリオストロまで混ざってたような?)。橋での攻防戦までは、けっこう面白かったのに。ホフマンは爬虫類じみた不気味なオーラを放っていてさすがだが、脚本は彼の個性を充分に生かし切れていない。ヒーローが最強過ぎると安心して観ていられるのが難点だ。まさか脳に爆弾を埋め込まれて根性で立ち上がるとは……。 もっとも、「ポップコーンムービー」としては水準に達していると思う。マギーQのドレスがめくれた瞬間、多少の欠点には目をつぶろうと思った。[DVD(字幕)] 6点(2009-08-27 22:44:15)(笑:1票) 《改行有》

298.  ウォレスとグルミット/ペンギンに気をつけろ! 《ネタバレ》 よくできている。ただし可愛いと感じるツボと微妙にずれていたのと、クレイアニメにさして思い入れもなかったのもあってか、めちゃくちゃ面白いとまではいかなかった。他のレビュワーさんがおっしゃっているようにシリーズの初めから追っていれば、もっと楽しめたのかもしれない。憎めない悪党ペンギンを動物園に閉じ込めておしまい、という結末は大変微笑ましい。 それにしても英米の漫画やアニメの主人公って、クライマックスが近づくとかなりの確率で敵の策略にはまって孤立しますね、ひどいときは無実の罪を着せられたりして。あとで盛り返すとわかっていても可哀そうで、この手のパターンはちょっぴり苦手です。[DVD(字幕)] 6点(2009-08-17 20:08:23)《改行有》

299.  ユンカース・カム・ヒア よくできてはいるけれど、飛び抜けたところがない。可もなく不可もなく、というのは言い過ぎかもしれないが、いかにも文部省選定といった感じの無難な内容。 もっとも、地味なお話をここまで完成度の高いアニメーションに仕上げたのは確かな実力の証だとは思う。両親の不和に悩む女の子の心情描写には説得力があって、これといった捻りや目を見張る工夫は無いのにも関わらず、それなりに感動させられた。犬も愛らしく、記憶に残る。 しかしいかんせん、物語に拡がり、奥行きがない。とくに脇役が薄っぺらく、お手伝いさんのとってつけたようなおとぼけキャラといい、人物配置の卒のなさが鼻についた。小学校の授業で観せられたいくつかのアニメーションと同じで、まずまず面白いのだけれども、お気に入りの作品にはなりえない。そうなるには、お行儀が良すぎる。 一流のコックが二流の素材を使って料理して、できあがったのがこの作品だと思う。非常に惜しい、佳作。[CS・衛星(邦画)] 6点(2009-08-16 23:16:40)《改行有》

300.  トウキョウソナタ 《ネタバレ》 現代版『東京物語』を目指したのだろうか。とてもよく練られた脚本だと感じた。かなり突飛な展開もあるが、それも込みですべてが明確に家族の破綻へと収束していく。映像は常に被写体と一定の距離をとり、情緒的なべたつきを許さない。一家団欒のシーンでは小津ばりにカメラを固定しているが、おそらくかなりこだわったのだろう、これほどまずそうな食事の場面も珍しい(あ、でも朝ごはんのところはちょっとおいしそうかも)。 しかし筋書きがしっかりし過ぎているせいで、香川照之や小泉今日子の演じる人物が平板であるようにも思えた。今どき珍しいほど家父長的に振る舞う夫と従順な妻、という家族モデルは90年代の社会学研究から引っ張り出してきたようで、正直ちょっと古いんじゃないかと思う。俳優の力で救われているものの、率直過ぎる台詞もいくつかある(そうした台詞は一歩間違えるとまるで自分の不幸に酔っているようにも聞こえる)。 とはいえさすがは黒沢清だなと思わされたのは、単純に家族の再生を暗示して終わるのではなく、家族の変容を受け入れるという答えを提示して見せたことだ。初めは単純に反発していただけの長男はやがて精神的にも自立していくし、次男がピアノの才能を開花させたことも将来の独立を予想させる。そして無闇に威張りくさっていただけの父親は、次男が弾くソナタに黙って耳を傾ける。 無理に古い家族の形式を守るのではなく、それぞれが精神的に独立した個人であることを認めて、かつ家族であり続けようと努力する。題名が『ソナタ(=独奏曲)』である理由はここだろう。これはソナタが合奏になるのではなく、ソナタがソナタとして完成されるまでの物語なのだ。核家族のその先、という新たな時代と家族の変遷を描くことで、明確に『東京物語』“以降”であろうとする意欲が見て取れる。 ただ単純に楽しめたかどうかというと、この点数になる。人物の平板さもあるが、強盗のエピソードの唐突さに引いてしまったというのが一番の理由かもしれない。なぜもっとリアリティに徹しなかったのか、理解できない。[DVD(邦画)] 6点(2009-07-14 08:17:37)(良:1票) 《改行有》

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