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281.  ルームメイト(1992) 《ネタバレ》 前半は退屈したが、後半ヘディの孤独がポイントになってきてから乗れた。愛ゆえの攻撃。双子の片割れを失っているという喪失感と言う神話を背負っている。アリーもかなり自分勝手な女なわけで、でも今の都会生活ではある程度の割りきりが必要、同僚に手柄を横取りされないよう気を張っていなければならない。一方ヘディは粘着的田舎から双子の記憶を引きずって、そういう都会にやってきたわけ。初対面のときアリーが泣いてたのが、同じような人だ、という好意のもとになったのね。スリラーとしての味わいは、同じ衣装を見つけるあたりからか。クリックひとつで衣装のデザインが変わっていくソフトのイメージと連絡。殺人てことになってくると線を越えちゃってちょっとつまんなくなっちゃうんだけど、でも一緒に逃げようとするあたりがあるのでいいか。「あなたこそ孤独を怖がってたくせに」。おとなしそうだったものが荒れ狂うのがスリラーの基本。アリーが今度は双子の片割れを失った感覚を持って生きていくことになるのか。半分ずつ顔を合わせた合成写真でのエンディング。ボリュームを上げて助けを求めるアイデア。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-23 10:41:14)

282.  レイジング・ケイン 《ネタバレ》 この監督もヒッチコックという父の檻に閉じ込められて育ったせいか、成長できないなあ。サイコを引きずっている。ヒッチコック離れが出来ない。女性精神科医が歩きながら解説していく長回しは、エレベーターも使って『虚栄のかがり火』ばりに張り切っていた。カッと見開いた死体の眼まで。何度も夢から覚めて曖昧になっていく感覚。どうも新鮮味はないなあ、と思いつつも、やはりラスト近くのスローモーションのあたりは満足してしまう。エレベーター前のとこ。三階からカメラがゆっくりと下降して、二階に押し出される乳母車(『ポチョムキン』というより『アンタッチャブル』)、一階に駆けつけるジャック、尖った器具、果物と一緒に落ちてくる子ども。子どもはノビノビ育てましょうという教訓つき。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-22 10:09:36)

283.  ルビー・カイロ さしてストーリー上それほどの必然性もないのに世界各地を回るって、なんか初期のころの007を思い出し懐かしい。と音楽もジョン・バリーだ。そしてエキゾチックな世界での展開とね。集金旅行ってところがイマふうなのか、ツヤがないな。この妻の夫への愛が、旅の中であんまり感じられないんだ。夫の未知の部分を知りたいってのが「従」になって、暗号ごっこが「主」になってしまった。この手のストーリーは、夫をとっかえっこしたいっていう妻の夢を合理的に達成させてくれるシステムなのかな。外国を飛び回るあたりも、最初のうちは気後れしててだんだん慣れてくる、って変化みたいなものでもあればいいんだけれど、海外レポートが並んでるだけみたいで。[映画館(字幕)] 5点(2011-12-21 10:21:37)

284.  ボディガード(1992) 狂ったファンてのが好きなので、前半は楽しめそうな予感があった。ライブハウスのシーンあたりは、音楽の力もあったけど、ドキドキした。でも後半はいただけませんなあ。二人が恋に落ちるのは別に構わないが、そのことでくよくよ思い煩う時間が長すぎる。テキパキやってほしい。こういうとこをテキパキやれるのがアメリカ映画の良さだったのに、最近こういうとこで水っぽくなるのが多い。だんだんとストーリーもアラが出てきて、かなり無茶になっていく。リッチな黒人女性と白人ボディガードという組み合わせによる緊張ってのは特別なかった。もう珍しくないのだから、そういうことに「何かあるか」とこだわってしまったこちらが古いのかもしれない。「ボディガード」ってのは「用心棒」の直訳か。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-20 10:03:07)

285.  イノセント・ブラッド 女ヴァンパイアが悪漢に食らいついて、それが増殖するのを防ぐために警官と協力して戦う、っていうの。話はつまんなくても部分にキラリとしたとこでもあればいいんだけど、とうとうラストまでおおむねダルかったなあ。どうもコミカル・ホラーってのは、笑わせるのも怖がらせるのも中途半端に逃げてる気がして、なかなか満足するのに出会えない。このヒロイン、A・パリローがコメディ出来る役者じゃなかったってことだな。サリーってのが生き返るあたり、ちょっとコメディ的感性が生きてるとこはあった。記者団の前を彼が走りぬけ、検視官やらなんやらが追っていくあたり。だいたい彼が出てるシーンのほうが面白かった。副大統領がテレビに映ると消されてしまうギャグ。中に出てくるテレビ番組は、みな怪獣・怪奇ものやってるのがおかしい。吸血鬼に関するいろいろなルールってのは興味深いんですけどね。愛と攻撃のメタファーとして。[映画館(字幕)] 5点(2011-12-18 10:29:03)

286.  刑事エデン/追跡者 《ネタバレ》 この監督は人間としての警官ってのに、ずっと関心を持ち続けていた人で、悪と慣れつつ生活する日常ってものへの興味か。これでもヒロインがパパのところで愚痴るあたり、ストーリー上は必要ないところだけど、わざわざ入れてる。厚みが出る。でも肝心のユダヤ教徒との恋愛ドラマのほうは浅かった。とはいえ、こういう特殊社会を通して自分たちの社会を照らし合わせてみようとする試みが、たとえタテマエだけで実は単なるイロドリだったとしても、あちらの映画ではよく見られ、理想化するでも差別するでもなく「興味」を持つ姿勢は正しいと思う。犯人にもう少し理由をつけてやりたい。グレてた人はやはりダメだみたいでちょっと後味悪い。ヒロインが観てた映画はたぶん『気儘時代』。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-17 10:20:36)

287.  ホワイト・サンズ 《ネタバレ》 イイモンはカウボーイハットかぶって「嘘をつくときも正直な」W・デフォー。それに対する現代アメリカは武器の横流しに手を貸しても「でもそれで慈善事業すればいいんじゃない?」と思っているM・E・マストラントニオ。前半の演出は悪くなかったよ。少年の自転車寄りかかってんの倒してガレージが開いたり(あの自転車あとでイキてくるのかと思ってたらそれだけだった)。中盤から映画、全然動かなくなってしまった。大きな組織の広がり具合が感じられない。組織の悪じゃなくて、組織からのハミダシモンの悪だから仕方ないのかもしれないけど。人種平等の観点から黒人も悪人にならなければおかしいと常々思っていたが、でも「有色人種は気の毒な立場」という時代のステレオタイプが強固に存在しているのか、どうもスーッと入ってこない。観てるこっちの責任か、演出のまずさか。白い砂の中を逃げる黒い男って対比なんだ。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-15 12:24:59)

288.  乳泉村の子 日本と中国は文化史的にはずいぶん違う道を歩んできたと思うんだけど、大衆文化的な感性の面になると、東アジア的というのか、ほとんど同じだなあ。「肉親の情愛」でくすぐられると弱いあたり。日本だったらもう気恥ずかしくて作れないぐらいのメロドラマに、東アジア文化圏の本家・中国ではまだ出来ます。キーワードは「けなげ」でしょうね。耐えて耐えて母の愛に保護されて感謝する。姉的な愛もね。靴をいっぱい作ってお嫁にいっちゃう、とか。いじめられた子に母がけんかを教える、とかも。少年はりりしくマッスグ。日本の部分はいらない。異文化圏だと背景を描き込めないんだろう。和服から僧服に着替えるスローモーションが、かろうじて映画らしかった。[映画館(字幕)] 5点(2011-12-13 11:21:19)

289.  不法侵入 普通は無邪気な笑顔ってのはロビン・ウィリアムズみたいにいい人を演じるときの看板なんだけど、このレイ・リオッタは無邪気な笑顔を見せて怖がらせる。なんつうんだろ、口の中央だけで笑うような感じ。必要以上に表情が澄んでいってしまう。純粋の怖さ、純愛の怖さ、一途の怖さ。この時代、純愛を描くとすると、まるでそれしかないようにサイコ人間のクレイジーな物語になってしまうんだな、ってところが一番怖かった。理想の女性への献身と、邪悪な世界への暴力。正義は己れだけにあるんだ、って義務感の裏打ちがある。ほどほどならいいんだけど、それがドン・キホーテ的な滑稽止まりならいいんだけど、やがてそれをも乗り越えると恐怖映画になってしまう。ストーリーとしてはカードが使えなくなるあたりの鈍い怖さ。この世のシステムがそっくりヤツの側にあるんだ、ってあたり。「健全な社会」ってあくまで夫婦が単位で、独身者はそれを脅かす存在なんだなあ。最後に忍び込んで料理を作っているのも怖いけど、独身者は人に料理を提供するのが夢なんだよなあ。[映画館(字幕)] 7点(2011-12-12 10:23:10)(良:1票)

290.  ラスト・オブ・モヒカン 《ネタバレ》 昔の映画なら善悪をキッパリ割り切れたんだろうけど、そこらへんいろいろ気配りしなきゃいけない時代になって、さらに自然保護のメッセージも入れなきゃならないとか、キッパリ出来ない。演出もあんましうまくない。一行がヒューロン族の攻撃を受けるあたり、まず変な鉄砲玉野郎が二人ほど飛び出してきて、それからヒューロン側から奇声を上げていく連中を描く。これはやっぱし主人公の側にカメラを向けっぱなしにしといて、最初はなにかの聞き違いかと思っていた声が次第に左右で高まっていって大音響となり、そしてワラワラと湧いてくる、ってのがいいんじゃないか。ま、こういうストーリーの基本形を確認できる楽しみはあった。波乱の運命に巻き込まれる姉妹、副次的なカップルが悲劇を担当する、とか。まだ西部劇以前の「東部劇」の時代。ロングの場でところどころ美しいカットがあった。英仏両軍が降伏の交渉を始めようと向かい合ってるシーンとか。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-10 10:07:05)

291.  ハネムーン・イン・ベガス 《ネタバレ》 ニコラス・ケイジのコメディってけっこういいんだ。あの人の困惑顔ってサイレント時代のコメディにも通じたものを持っている。優柔不断の男が勇気を出す、って設定がそうなんだな。スカイダイバーたちの間での彼のおどおどした表情が傑作。パラシュートの引くひもの順番を黄色・赤、黄色・赤と心に刻み込もうとしていると、間際になって「それは逆だ」と言われて、さらに「ジョークジョーク」といなされる。おいおい、最初に言ったほうがジョークなの、今の逆だって言ったのがジョークなの、とパニックになっている間にもみなはどんどん降下していってしまう、なんてギャグが一番好き。あとは敵役を憎めなく設定することも大事。亡妻の想い出を引きずりつつ、ハワイの観光めぐりをするJ・カーン、作戦とは言えけなげである。ま、これはポーカーでカモに一度勝たせる手口と同じようなものなんだけど。プレスリーナンバーが背景に使われている面白味は、もひとつピンと来ない世代でした、私。[映画館(字幕)] 7点(2011-12-08 10:11:15)

292.  ホーム・アローン2 これはいくらヒットしても続編は難しいだろうと思っていたら、よく考えますなあ。一人になることを「楽しさ」として捉える視点は同じ。この大家族の鬱陶しさってのは、おそらく疎外がテーマになる今のアメリカ人の大多数にとっては過去の話だろうが、そうでもないのかな。前作と同じパターンでいきそうになって、でも空港までは大丈夫、ここで違う便に。ここらへん丁寧に出来ている。ニューヨークに来てしまう。リッチなホテルとプアな公園で光と影。それぞれが、一人でいられることの解放感と一人でいなければならないことの心細さにつながっていく。ビデオの声をつかったギャグは、この前もたしかあったけど、まあ笑える。で脱獄二人組におもちゃ屋へと話が広がって。おもちゃ屋でいろいろあるのかと思ってたけど、それはナシ。廃屋での闘争が見せ場だけどイマイチだった。トムとジェリーなんかのアニメのノリを実写でやられると浮いちゃう。サイレント時代だとこれでいいんだけど。鳩に花火にクリスマスツリーと祝福的気分、そういえばおもちゃ屋の主人はなんとなくフランク・キャプラ的だったなあ。病院の子どもと窓越しに見て手で合図しあうあたり丁寧。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-06 09:47:35)(良:1票)

293.  赤い航路 私がそういうことに詳しいんじゃなくて河野多恵子の小説から得た知識で言うんですが、SMってのはぶったりぶたれたりの肉体的嗜虐被虐だけじゃなくて、どこか演じる要素が入ってくるんだそうですな。騙し合いつつ、その底で共演している悦びを得る。ここまで裏切り合えるんだ、という信頼が一本強く張りつめていく。屈折と言えば屈折だけど、愛の本質を突いている気もする。ついに旦那が不能になって完成する性愛、ってのも屈折の極致。この女優さん、うまいんだか下手なんだか、美人なんだかブスなんだか分からなくなるんだけど、なんか「そういう世界っぽさ」は感じられた。愛の倦怠を怖れるの、拡大再生産していかないと不安になる、そしてもう愛だか憎しみだか分からないところまで、社会や友人たちへの憧れを残しつつ二人だけで閉じていく。こういう話の舞台となるともうパリだ。さらにタイ料理・アジア行きの船・インド人、と非キリスト教的装置で飾り付けると、キリスト教徒は安心して乱れることが出来る。でもこの監督、こういうドロリとしたのはあんまり得意でないのではないか。空気がも一つ淀まない。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-04 09:43:25)

294.  IP5/愛を探す旅人たち ちょっと離れたとこからだと好意的な感想をいくらでも書けそうなんだけど、もひとつ心の中心点に刺さってくれない。手応えが茫漠と広がってて、つまり物足りない。小人の人形なんか、もう一回出てくるのかと思ったが、おとぎ話への導入の役割りだけだったのね。老人の妖精に出会うおとぎ話。少年、青年、老人と社会の中心にいない者たちの、つまり社会と切り結ばない旅。解放としての森でなく、閉じていく森になってしまった。立ち聞きで心が伝わるってのも、テレビドラマ的。ミケランジェロといたずら描き画家との違いは、天井に描いたか壁に描いたかだ。実際イヴ・モンタンが死んでしまうとなると、年寄りの冷や水なんて茶化せなくなってしまった。[映画館(字幕)] 6点(2011-12-03 10:12:28)

295.  僕らはみんな生きている 《ネタバレ》 同時代と渡り合おうとしている邦画は、このころ貴重だった。ただの自虐趣味に終わってないところがいい。当時の日本、たとえば60年代末の政治的興奮のヒステリーは遠のいたが、そういう安穏ゆえになにやら鬱屈を蓄積している。エコノミックアニマルぶりを自嘲してはいるんだけど、これしかできない、という哀しみもある。そういう鬱屈を抜けてラストのヤマザルとの対決で「君たちが政治的・軍事的に体を張ってるように、我々は経済で体を張ってるんだ」という手応えに至る。けっきょくこの時代の日本人が最後に拠りどころにできる手応えは、この「頑張ってるんだ」ということだけなの。しかし少なくともそれだけはある。それなら嫌と言うほどある。実は、日本は戦後平和でやってきた、って言っても、今ではどんなものでも半軍事的商品になってしまう、という後ろ暗さもある。井戸では儲からない。なかなか同時代と向き合うってのは単純なことではない。そういう日本の鬱屈とわずかな誇りが、パスポートをかざしながら市街戦の中を「我々は日本のサラリーマンです」と叫びつつ横断していく戯画に集約された。発展途上国の人々を、変に目が澄んだ理想像にしてないのもいい。[映画館(邦画)] 7点(2011-12-02 09:47:06)

296.  ドラキュラ(1992) 影の使い方とか、ラブシーンを孔雀の羽根で隠してその眼がトンネルになっていくとか、首の傷跡が狼の目になっていくとか、意識的に一昔前のタッチを多用してある種の古典的雰囲気を醸そうとはしているみたいなんだけど、あんまりそういった趣向に切実さが感じられない。とりあえずサインしてるって感じで。いいのは、ルーシーが庭に導かれるところとか、コッポラお得意の惨劇と儀式が交互に現われるあたり。邪悪な結婚と聖なる結婚の対比ということか。ドラキュラ伝説ってのは、愛が宗教によって聖なるものと淫らなものに引き裂かれた結果生まれたんでしょうな。引き裂かれた両者がドラキュラを介して捻じれてまたつながっているような感じが面白い。ドラキュラの想いってのは、死者への想いだから高度な純愛であって、永遠に満たされることなく、永遠に渇いたまま生き続ける、ってところがポイントなんだろうなあ。[映画館(字幕)] 6点(2011-11-30 10:24:43)

297.  許されざる者(1992) 開拓時代をはるかに過ぎた19世紀末、ついには現われない絶対の聖女が初めと終わりを締める。登場人物すべてが心に棘を刺してるんだけど、主人公にとってはこの妻ね、あるいは妻の不在。伝説を終わらせていた彼女の不在によって、一度だけ伝説が戻ってしまうって話。この映画では死んでいく者の気分が強調されている。「血が止まらない」とか、便所での哀願とか、「こんな死に方をするのか」とか。これは殺す側のむなしさに移っていく気分でもある。フリーマンが捕まったことを知らせる女の馬が、チラリと見えかけたところで焦らすようにマニーと若造のむなしさに関する会話を長く入れるんだよね。でマニーが伝説の人間に戻ってしまうわけ。幽霊のように。もうお能。店の親父を、丸腰の親父を殺しちゃう。だって鬼なんだもん。そして伝説の側に消えていってしまうの。生きてるってなんて哀しい哀しいことなんでせう、という気分だけが残る。野のシーンでは風の音が聞こえ続けていた。[映画館(字幕)] 7点(2011-11-29 09:39:35)(良:1票)

298.  ナイト・アンド・ザ・シティ だいたいの人は「いまの俺は世を忍ぶ仮の姿だ」と思いながら生きて、そのまま年取っていっちゃうわけだけど、ときに一寸の虫の五分の魂が爆発する人もいる。人っていじらしい、それにひきかえ社会っていじらしくない。やくざな弁護士がボクシング興行に唐突に夢をかける。もう夢を持つ年齢でもないか、という照れを越え、もう夢をかなえるなら最後だ、という焦りに乗って。デ・ニーロのセリフ量の多さでは出演作中一番かもしれない。それがちょっとモタれる。それと彼だと陰影がなにか高尚に出すぎちゃって、惨めたらしさにまでいってくれない。深みがついちゃって。J・ダッシンのオリジナル(未見)ではR・ウィドマークが演じたそう。彼の夢とJ・ラングの店の夢が対になり、あと老ボクサーの夢もあり、そういった構図。らせん階段を延々と下りて外に出て行くまでの長回しがあった。[映画館(字幕)] 6点(2011-11-27 09:42:36)

299.  ア・フュー・グッドメン 冒頭の規律正しい動きの美しさと気味悪さで、すでに作品の雰囲気が決まる。「軍はもうキューバを撤退するよ」というジョークを何の疑いもなく打電に行きかける兵士のエピソードなどでも「軍隊」を垣間見せる。ほかにも正装して自殺する軍人や、無罪になったのに除隊処分される兵士など、軍隊というものをじっくり観察していく演出。殺された兵士の視点に密着させなかったことで(邦画だったら彼の側にもっと情緒的につくだろう)、乾いたトーンが出た。殺した側の弁護でスタートさせるとこが憎い。T・クルーズが成長していくときのD・ムーアの役割りは、恋人というより正義の女神みたいなもん。前半は旗を振り、後半は後押しをする。キューバでJ・ニコルソンがテーブルで若造をコケにするあたりの「常軌を逸した社会での権力者」って感じが、やはりうまい。人間関係の調節などにまったく気にせずにやってこられた男とその環境。その尊大さ・横柄さだけなら、たぶんM・ブランドのほうが一つ上だろうが、その興奮しやすさ・馬鹿さもくるめて「軍人」という人種を嬉々として演じるとなると、ニコルソンだ。アメリカ映画でいいのは「超人」の正義でなく「僕たちの勇気」によって光りだす正義を描くとこ。法廷もの映画が流行る国には、それなりに正義を追求してきた歴史がある。[映画館(字幕)] 7点(2011-11-23 12:48:29)(良:2票)

300.  フォーエヴァー・ヤング/時を越えた告白 プロポーズは決めたときにすぐやらないと、ヤヤコシイことになる、という教訓つき。人間の冷凍保存もの、ってのがこの頃ちょっと目に付いた時期でしたなあ(『レイト・フォー・ディナー』ってのが前年にあり)。この手の趣向では、世代のズレを見せるのが面白味なんだけど、これは別にそうでもなかったか。留守番電話に戸惑ってた。少年を配置して繰り返されることを強調。軍の上層部がこのことを知ってたのなら保管がずいぶんいい加減だし、よーく知ってたのならもうとっくにハリーのノートなんか入手してたように思うんだけど。「日本を襲う台風のように」なんて比喩が使われてたな。まあ全体ブツブツ言いながら見てたんだけど、ラストの再会シーンではホロリとしてしまった。こういうのに弱いんだ。意が通ずる、というか、よかったよかった、って空気。ウミカモメが浮遊してて。[映画館(字幕)] 5点(2011-11-21 10:20:53)

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