みんなのシネマレビュー |
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281. SF核戦争後の未来・スレッズ<TVM> 《ネタバレ》 うーん。当時の世相もあったのだと思いますが、とにかく全面核戦争が起こってしまったら超悲惨ですという方向一辺倒すぎて、気持ちが揺り動かされない。核戦争後の人類は、とにかく無力で状況に翻弄されるだけって、それホント?って思ってしまう。弱いけれども、利他的な行動をする。弱さから、とても狡猾な行動をとる。そんなこんなで、社会を作り上げて行くのが人類なんじゃないですか。13年経った世界で、全く文化的な復興がないのもおかしい。教育が昔のビデオを流すだけなんて(もしかすると制作したBBCらしいアイロニーかもしれないが)。「言葉」がものすごく後退してしまっているのがおかしい。なんだか「文字」の気配がない。何もかも壊されたとしても、人類をそれたらしめている「言葉」は、だからこそ大事なツールになるのではないでしょうか。というわけで、人類なめんなよ、と言わせていただきます(なんだそれ)。[DVD(字幕)] 6点(2020-11-02 18:30:58) 282. 1980(イチキューハチマル) 《ネタバレ》 あああ。これは、もう観たオレが悪いのだと思うが、しかし。言わせてもらうならば、「ばしゃ馬さんとビッグマウス(2013)」を観たときと同じような気持ちになりました。ピンぼけの試写会で、何のてらいもなく踊るシーン。イケてる高校生の傍若無人っぷり。一瞬で寒気がして、今、ワタシ本当に風邪を引いたのではないかと思っています。本作において、三女の映画作成パートはほんの一部ですけど、1980年といえば、監督が高校生の時(ワタシもほぼ同学年)であることを思えば、あのパートは監督の青春記なんでしょう。あのころ屈託まみれだったワタシの視線がおかしいのは十分認めますが、若気の至りが目に痛いんだ。[DVD(邦画)] 2点(2020-10-29 16:41:43) 283. ウィークエンド・シャッフル 《ネタバレ》 これはたしかに、「ウイークエンド・シャッフル」ではあるのだが、面白いのか、面白くないのかよく分からないという困った代物です。そこで、原作を読み直してみました。するとやっぱり、筒井康隆の原作の方が天才的に面白いわけで、本作では要らないこと(追いかけられるヤクザ、逃走するぶたとか)をたくさんやっているのだなあと思うのです。ただ、原作にはない「斑猫家は土足可」、「子どもが誘拐を教唆」、「強盗は兼業でセールスマン」、「強盗の死に際」という部分については、筒井ファンであろう監督か脚本家はこういう風にあの原作を読み砕いたのね、と(いい悪いはともかく)興味深かったりもするのです。特に、「土足可」にするとこんなにいっぺんにヘンテコになるのかと感心しました。そんなこんなで、どうかと思いますが、結論としてはまあまあ面白かったです。[DVD(邦画)] 6点(2020-10-24 12:29:28) 284. 悪い種子 《ネタバレ》 「禁じられた遊び(1952)」以降の作品とすると多少割引いちゃいますけど、それでも面白い。それほど周到な悪ではなく、やっぱり子供らしいツメの甘さ(宝箱にメダルを保管しちゃったり、雇い人の誘導尋問に引っかかったり)があるところがむしろ怖い。おそらく母親のことは、本当に世界一綺麗で優しいと思ってた彼女がやらかしていることだと思うとゾッとする。雇い人の焼死のシーンを母親の視線だけで見せたシーン。母親の絶望がみるみるうちに伝わってきます(へんな言い方?)。最後天罰が降るシーンは、見た時は興醒めとも思いましたが、これを書いている今は、時代のついた味わいだと思っています。お尻ペンペンのシーンも含めて。今時の身も蓋もないのじゃなくて、演出にいわゆる良識のあった頃の映画なんだなって。[DVD(字幕)] 7点(2020-10-19 22:05:31)(良:1票) 285. この世界の(さらにいくつもの)片隅に いやあ、これは‥。ようするに2016年版の「ディレクターズ・カット」、「特別編」、「完全版」のようなものなんでしょ、ってタカをくくってというか、少々見るのが億劫な感じで見始めたんですが、しかし。観終わった今、2016年版は長すぎる予告編だったのだなと思っています。(大げさか?)あいや、すずさんとその家族の身の上に何が起こるか知っているから、初めから切なくってしょうがないんだ。「みんな、笑ろうて、暮らせりゃあ、いいのにね。」これは、見るべし。[DVD(邦画)] 10点(2020-10-07 22:00:44) 286. 前田建設ファンタジー営業部 《ネタバレ》 50代男の気持ちを鷲掴みにするお仕事映画。悪ふざけの対義語が良しふざけなら、これがそれ。社外にノウハウを求めたところは是非が問われるところですが、ワタシはあり。この仕事はここまでやらなきゃって思う。前田建設の建設会社として品質を広報しているんですからね。いろんなところとの関係も含めて。観ている途中で、何度も「あれ。これでも、ホントには作らないんだよな」ってことを思い出して、フッと変な感覚になることしばしば。これはいいですよ。わかってやってますからね。これは「ファンタジー」なんだって。「大丈夫ですよ。そんな酔狂な会社、うち以外ないですから」って言った小木が好き。六角精児、よかった。[DVD(邦画)] 8点(2020-10-02 07:39:54)(良:2票) 287. アングスト/不安 《ネタバレ》 うーん。基地外の行き当たりばったりの成り行きを、同じ基地外が後付けで手前勝手にナレーションをつけたような映画。ホラーでも、サスペンスでもない実録事件ものです。司法に対する批判もあったのかなあ。うんざりする悪夢のような映像が続く中、「黄色いカッパ着た子供たち」が現れますが、めちゃくちゃハッとします。一瞬にして正気にかえるというか。子供ってすごいな(なんのこっちゃ)。タイトルの「不安」は主人公の不安なんでしょう。その視点がないと、さっぱりなんだこれって映画です。だからタイトルだけが仕事をしているような気がします。予告編の「世界各国で上映中止」「37年を経て日本劇場初公開」なんてのに釣られてみちゃいましたが、封印したままで良かったんじゃないの。せっかく映画の日(1日)なのに、なんで、「TENET テネット」観に行かなかったんだろう(後悔)。[映画館(字幕)] 2点(2020-10-01 19:50:31) 288. PMCザ・バンカー 《ネタバレ》 なんとも乱暴な映画だったと思いますね。アメリカの大統領選挙の行方を変えるために、北朝鮮の最高指導者を生きたまま奪取する。しかも、その影には中国がいる、ってなあ。マジンガーZ対鋼鉄ジークのような豪華さだ。その話の核になるチーム(キング奪取)をコントロールする隊長が、くわえタバコで仕事に取りかかったときには、この隊長には期待すまいと思ったものです。仲間を見捨てないことが話の主軸になるのかと思いましたが、チーム全滅ではないですか(この辺、予告編が罪深い)。ハリウッド映画みたいなんだけど、韓国映画にはそういうの求めてないんだけどなあ。コマ割りが面白い映画だったと思いますが、なんかゲームみたいとも思ったり。北朝鮮の最高指導者・キングはまるで本作中、活躍あるいは悪役の場がないのですね。デリケートな存在なのだとあらためて思いました。5点。[DVD(字幕)] 5点(2020-09-22 07:45:43) 289. 刑事コロンボ/白鳥の歌<TVM> 《ネタバレ》 物語終盤。魔法瓶の捜索話から、空港でのやり取り、そしてラストまでが気持ちよくハマるので、観終わった直後は気分がいいんだけど。改めて、ここでコメント書くのに思い出してみると、殺しの手口も雑で(魔法瓶の中身捨てないでポイとか、パラシュートの隠し方が行き当たりバッタリとか)、証言も雑(航空カバンの中身が吸い出されたとか)。トニー・ブラウン、なんでこんなに、自信満々なんだ。大物歌手のおもてなし企画だったからなんでしょうね。あと、とても自首するタマには思えません。[CS・衛星(吹替)] 5点(2020-09-14 21:50:59) 290. 9人の翻訳家 囚われたベストセラー 《ネタバレ》 うーん。1時間すぎた頃の原稿横奪のくだり(チャプター「種明かし」)もアレックスの仕掛けであるなら、もう9人で集まっていたことすら、この物語に何か意味があったの?ということになりませんか?翻訳家が9人集まることが最大の趣向だったように思うのですが。また、集められた翻訳家は一流と呼べるような人たちだったはずでしょう。優れた翻訳家は、創作の才能がなければできないと思うのですが。そのへん、本作を日本語訳した方は、どのように思っているのでしょうか?[DVD(字幕)] 3点(2020-09-13 07:49:37) 291. 刑事コロンボ/第三の終章<TVM> 《ネタバレ》 まず自分が重要参考人になる作戦、は確かに面白い。しかも、マロリー氏の新作の元ネタはエディが書いていたってなると、なんか作り込みがすごくて、どこかで破綻しそうな犯人のこの作戦。でも、グリーンリーフ氏はうまくやってたと思うなあ。優秀な犯人じゃないですか。こんな犯人の最初の綻びが、「彼ら」って言っちゃたのだとすると、やっぱりコロンボすごいですよ。ていうか、つまりいいエピソードです。【追記】マロリーさんって、「マロニーちゃん」って言いたくなりませんでした?[CS・衛星(吹替)] 8点(2020-09-06 21:54:49) 292. 許された子どもたち 《ネタバレ》 少年リンチ殺人事件についてもっとセンセーショナルな作品かと思いましたが、そうではありませんでした。テーマは、罰から逃れ、罪を償うことをせずに生きること、とみました。あいや、我々、人殺しなんてことはしませんが、後ろめたい過去が1つや2つじゃありません。本作のテーマは普遍的なことなのだと思います。だから、終盤近くまでかなり引きつけられて鑑賞していました。被害者の母親から「あなたは、何を謝りたいの。」実は、謝ることも身勝手。救いはない。もう逃げ続けるしかないというエンディング。生き続ける以上、逃げ続けるしかないということなのか。…、ああ、なんかよく分からなくなってしまいました。[映画館(邦画)] 6点(2020-09-05 12:31:06) 293. 1917 命をかけた伝令 《ネタバレ》 これは、いい。戦争ものをワンカットでって、なんでそんな面倒なことをと思いましたが、敵兵のいる中を息ひそめて進んで行く様を撮るには、こんなに適した方法はない。ワンカット「風」とはいえ、観てるこっちが苦しくなる趣向。せっかくの工夫なのに、ワタシくたびれて、途中休み休みに観てしまいました。しかし、映画じゃなきゃ堪能しえないコンテンツを見せてもらったと思っています。ものすごくシンプルなストーリーなのもよい。すばらしい。【追記】ワンカット映画の主人公って、ピタゴラ装置のビー玉みたい。ルートに仕掛けられたイベントをこなしながら、ゴールを目指します。[DVD(字幕)] 9点(2020-08-29 15:45:46) 294. 刑事コロンボ/野望の果て<TVM> 《ネタバレ》 これは、すごいいいんじゃないですか。笑ってるのか、泣いているのか、他の表情なのかわからない、議員候補の犯人がいい。ほとんどノーミスでコロンボをあしらうんだけど、選挙プロモーションビデオの撮影の際に少しスキを見せるのがいい。人生を掛けた大きな目標に届こうとしている(有利な選挙戦を終えようとしている)時に、また小細工をするのが好き。いい犯人じゃないですか。コロンボも解決パートは出来過ぎなような気がしますが、歯医者パートや車の検問パートとか好き。「別れのワイン」、「2枚のドガの絵」と同点で、ワタシのコロンボ作品第2位にします。【追記①】2位が多いな。【追記②】夏に見るとコロンボは暑苦しいな(コート)。熱中症に気をつけてね。[CS・衛星(吹替)] 9点(2020-08-21 19:29:03) 295. スペシャルアクターズ 《ネタバレ》 観客には分からせても、お兄さん(主人公)には仕組みを悟られてはいけなかったんじゃないでしょうか?弟さんはまたしばらく兄さんの前から姿を消し、スペシャルアクターズの事務所も行ってみたらもぬけの殻だった、っていうのはどうでしょうか?それぐらいの周到さが欲しい。ネタバレなしの「泣いた赤鬼」作戦。【追記】ワタシ達も、みんな誰かのためのスペシャルアクターっていうとらえ方もあるよね。[DVD(邦画)] 6点(2020-08-16 08:38:26) 296. ホステージ 《ネタバレ》 人質立てこもり事件のねじり合いというと、本邦では映画ではなく小説ですが、筒井康隆の「毟りあい」、伊坂幸太郎の「ホワイト・ラビット」があります。つまり、日本ではこういう風なのは、スラップスティック・コメディ的にでないと扱えない事柄なのではないかと思うんですね。そんな無茶苦茶はないだろう、と。でも、アメリカの人は、こういうのを正々堂々と取り扱うのですね。そこはやっぱり、偉いと思うんですよ(若干漫画的演出はありましたけど)。7年ぶりのレビューかあ。結構面白かったけどね。【追記】実は、上記の「ホワイト・ラビット」のあとがきを読んで、本作にたどり着きました。[インターネット(字幕)] 7点(2020-08-13 13:46:45) 297. 風雲児たち 蘭学革命(れぼりゅうし)篇<TVM> 《ネタバレ》 これは、相当好きだな。主役の二人の年齢はアラフォー(杉田玄白)、アラフィフ(前野良沢)だけれど、青春群像劇ですよ。前野良沢は、「舟を編む」の馬締をさらにナイーブにした感じ。臆病すぎる。プロデューサー杉田玄白の打ち手にムダがないのもすごい。二人だったから、解体新書を世に出せた。ぶつかり合い、ねじり合い、紆余曲折はあるのですが、ただ二人の信頼の物語だったんだと思いますよ。原作未読です。読んでみたい。[DVD(邦画)] 9点(2020-08-11 18:46:29) 298. 刑事コロンボ/毒のある花<TVM> 《ネタバレ》 なんか、ヘンな話だなあとは思ってはいました。ダイエット学校の風景とか、朴訥としたチャーミングな秘書がヘビースモーカーでゆすり屋で、とかね。いきなり終わっちゃうサゲ。間合いの取りにくい作品だったと思います。[CS・衛星(吹替)] 5点(2020-08-11 10:59:14) 299. 菊次郎の夏 《ネタバレ》 ああ、もったいない。前半、お母さんに会いに行くくだりは、もうドキドキしてみていましたよ。地味目な正男が、お母さんに会えて終わるお話だと思っていましたので。バスのこないバス停のシーンとか好き、そこから歩き始めるシーンも好きでした。タケシ、正面から人情ドラマを作るんだと興奮しました。しかし、後半の「東京に帰る編」になってからは、映画の体(テイ)をなしていない。監督は、菊次郎自身も母親に会いに行くという趣向を思いついちゃったもんだから、それに囚われすぎて、照れ隠しが過ぎるんだ。この頃のたけしの照れ隠しは、そういう人だからと、世間も大目に見てたと思うんですけど、照れくさいの我慢してこそ監督でしょ。映画としては破綻しているし、もう一度見ようとは思わないんだけど、この有名なメインテーマを聴くたびに、この夏の中を歩くたけしのシーンは思い出してしまいそう。やっかいな映画です。[DVD(邦画)] 5点(2020-08-07 23:00:29)(良:1票) 300. エスケープ・ルーム(2019) 《ネタバレ》 これは要するに、いわゆる「リアル脱出ゲーム」が好きな人たちが、それに参加する前に予習としてみておくと、より盛り上がりますってもんだったんじゃないでしょうか?グロいのがないのも、そんな理由じゃないかな。ゲームありきの本作。ゾーイがどんどんこの趣向に傾注していくのも、そんな感じ。なので映画単体としては、まあ〜、5点かな。[DVD(字幕)] 5点(2020-08-06 15:50:29)
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