みんなのシネマレビュー |
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3201. さくら隊散る 《ネタバレ》 証言者や関係資料が現存するうちに、何としてもこのことを記録に残さなければならない、という制作者の真摯なばかりの思想と、そして祈りが通じる作品。死傷者の数が重要なのではなくて、大事なのは、その一つ一つに「背景」と「存在」があるということ、そしてそれが問答無用で断ち切られる容赦のなさ。そのことを伝える証言者の一言一言、そして再現ドラマは、これからも価値を失うことはなく、そして余りにも重い。[DVD(邦画)] 8点(2008-12-13 13:26:00)(良:1票) 3202. 第五福竜丸 《ネタバレ》 広島・長崎と同様、日本人として語り継いでいかなければならない事件。この事件を明確に映像化して、記録化したということに作品としての価値がある。前半はごく日常的な漁の描写が淡々と積み重ねられるのだが、それだけに、あの光と音の一瞬が強烈である。また、そこでいきなりパニックになるのではなく、むしろ何事もなかったように笑顔で帰還しているのが(症状が判明するのはもっと後)、かえって現実の生々しさを誘発している。全体的に、人物描写そのものは平坦であり、起こったことをそのまま再現しているだけという気がしなくもないが、この作品が訴えるところは、現在の人々に対しても普遍性を有している。[DVD(邦画)] 6点(2008-12-13 13:11:37) 3203. バウンティフルへの旅 《ネタバレ》 何といっても、日常生活で起こりうる次元での「旅」「冒険」であるのが良い。わざとらしい大事件は何も起こらず、誰もがどこかで一度は体験したようなことの積み重ね。主人公も、回りくどいことを考えているわけではなく、純粋に一途に故郷を目指しているだけ。なのに(だからこそ)どきどきする。偶然出会うレベッカ・デモーネイも、もう少し何かあるかと思わせるところであっさりお別れ。この辺の引きの加減が心地よい。それらの集積は、朝の光の中でじっくりと撮られる朽廃した我が家で美しく結実する。見る側の心の奥にあるものを掘り起こし、共感を呼ぶ作品です。紛争の発端である息子の妻がうるさすぎるのが難点(特に導入部)。ここはもう少し抑えてほしかった。[CS・衛星(字幕)] 6点(2008-12-08 01:51:31) 3204. ホワイトナイツ/白夜 亡命した一流ダンサーが不時着で故国に戻る羽目になったなんて、凄く面白いことになりそうな設定なのに、やってることというか作品の作り方は青春王道系そのまんまなんです。おまけに、挿入曲はベタベタの80'sUSミュージック丸出し。バレエシーンの入れ方はかなり強引。このミスマッチぶりがたまりません。素材の方向性に反して、重たさが足りなすぎるんですよね。ソ連人が100%一方的な悪役というのも、時代を感じさせます。[DVD(字幕)] 5点(2008-12-07 02:05:29) 3205. ワンダー・ボーイズ えらく画面が暗いような気がしたのですが、気のせい?終始うじうじしたやりとりの描写ばかりで、目を引くところがありませんでした。マイケル・ダグラスも、こういう陰気な役とか考え込む役は合ってないですね。彼はやはり常にギラギラしていてほしいです。2000年にもなってディランがオスカー受賞という愉快なオプションに+1点。[DVD(字幕)] 5点(2008-12-04 04:00:16) 3206. 原爆の子 単純明快に生み出されたものほど、そのインパクトは絶大である。この作品は、「広島の庶民(主として子供たち)のその後」に明確な視点を定め、そこからぶれず、あるがままの状態を飾らずに描出することに集中している。だからこそ、その内容は、実感と共感を生み出し、心に残るものとなっているのである。ただし、どうしても気になるのは、主人公も家族を亡くしたという設定であるにもかかわらず、その背景が感じられないこと。何となく、第三者的視点のような雰囲気を感じないでもない。[DVD(邦画)] 6点(2008-12-04 03:37:12)(良:1票) 3207. ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ そんなに面白いとは思いませんでした。設定(目標)自体も設定のための設定という感じだし、何よりも、この種の作品に不可欠な、スピード感、テンポ、シャープさというものに欠けています。やたら長く感じました。[DVD(字幕)] 4点(2008-12-03 01:41:55)(良:1票) 3208. 世界大戦争 《ネタバレ》 事前の勝手な予想で、途中で大規模な戦争が起こり、その後はそれに対する人々の変化や行動が表されるものと思っていました。なので、なかなか何も起こらず、ひたすら実生活を追い続ける構成に面食らってしまいました。しかし、最後の執拗な破滅の映像がもたらすインパクトはやはり強烈です。今だったら誰も考えつかないようなストレートな字幕のメッセージもさらに強烈。[DVD(邦画)] 6点(2008-12-01 02:49:31) 3209. アイ・アム・デビッド 《ネタバレ》 難関が来たと思わせてすぐ次に行ってしまう急ぎ足の展開には少々面食らいましたが、よく考えたら、容量の少ない子供の視点から見た世界は、むしろそっちに近いのかもしれませんね。変にありがちな手法で引っ張られるより、よほど潔いです。また、目まぐるしい中にも過去を徐々に明らかにしていったり、それなりに伏線は張ってあったりして、意外に引き込まれます。ただ、ラストはやっぱり唐突すぎるよなあ。あそこだけはもうちょっと引っ張ってくれなくては。[DVD(字幕)] 5点(2008-11-27 03:23:46) 3210. バルジ大作戦 ひたすら両軍がぶつかり合っているだけで、そこにドラマがないので、感心はしても感動はしません。3時間近くも引っ張るべき作品ではないと思うけど・・・。戦車ずらりの構図にこだわった制作者の執念に4点。[CS・衛星(字幕)] 4点(2008-11-27 03:19:16) 3211. ホット・ロック 盗賊ものの割には、話がえらくチマチマしていて拡がりがないし、何とか難関を突破するというようなハードルの設定も弱いような・・・。笑わせるのが目的なんであれば、そっちの方にきちんと重点を置いてほしいところでした。[CS・衛星(字幕)] 4点(2008-11-24 19:41:36) 3212. グリフターズ/詐欺師たち せっかくの詐欺師トリオなのに、こんなに盛り上がりないまま終わってしまうとは・・・。アンジェリカ・ヒューストンのじわっとした存在感が、軽快さを削いで、かえって裏目に出てしまった気がする。[DVD(字幕)] 4点(2008-11-21 04:30:02) 3213. サラエボの花 もっと重く深い内容を期待していたのですが・・・。各シーンは何か細切れでばらばらだし、母娘の心理描写も今ひとつ平坦な感じでした。いろいろな過去があったことは言葉で分かりますが、それを日常生活の中にきちんと投影してくれないと、ただ材料に使ったというだけで説得力がありません。[DVD(字幕)] 4点(2008-11-16 04:56:01) 3214. ベルヴィル・ランデブー どこか異世界でつくられてきたような画面の質感であり、台詞が異様に少ない独特の雰囲気も面白かった。もっとも、ただそれだけという気もしないではないが・・・。[CS・衛星(字幕)] 4点(2008-11-13 05:01:04) 3215. 天使のくれた時間 《ネタバレ》 いかにもファンタジックでロマンチックな初期設定なのに、その後の展開ややりとりがえらくありがちで工夫がなく、平坦な描写になってしまった。元に戻るときの別れ方が切なくてよかったくらいかな。点数はそこに対して。やはり、この種の「現実にはありえない話」は、虚実を織り交ぜてうまく独自の世界をつくってくれないと、ひたれないんです。[DVD(字幕)] 5点(2008-11-13 04:53:39) 3216. 母と娘(2000) 素朴ないい話を期待していたのですが、何よりも肝心の母親がぎゃーぎゃーうるさいだけなのがよくない。また、軸となる母娘の対立にしても、作り手がそうさせたいからそうなっているという感じで、その背景に何があるのかが見えません。説明台詞も多いです。つまり、人物造形がまだまだということですね。[CS・衛星(字幕)] 4点(2008-11-07 00:47:28) 3217. 1735km 《ネタバレ》 列車の中で出会う男女がいろんな体験を経てつながっていく、というロマンチックな設定は何かを予感させるのですが、起こる出来事に脈絡や必然性がなく、作り手に都合よくつなげているだけという気がしました。それに、後半は全然別の話になってないか?[CS・衛星(字幕)] 4点(2008-11-04 23:23:11) 3218. 地下鉄のザジ 最初から最後まで、ほとんど意味が分かりませんでした。笑わせたいのか、それによって別の何かを表現したいのか、見ていて悩みます。[CS・衛星(字幕)] 3点(2008-11-03 03:52:44) 3219. 東京大空襲 ガラスのうさぎ ただ抽象的に戦争がどうのこうのというのではなく、少女の視点に忠実に地道に物語を構成しているのが良い。例えば、非常時の人々の素朴な助け合いについても、自然な形で描写されているし、変化してしまった部分についても一瞬で鋭く切り取られている。また、主人公のひたむきでまっすぐな歩み方は、今見ればこそ輝きを増していると思う。ハナ肇や日色ともゑ、荒木道子など、脇役のサポートも堅実。[DVD(邦画)] 7点(2008-11-01 01:57:12) 3220. セレナ 《ネタバレ》 何よりも、大量のエキストラの動員、各楽曲のほぼフルコーラスでの使用など、ライブシーンをきちんと再現しようという大きな努力があるのがよい。主人公はステージ上でこそ最も輝いていたわけで、そのイメージをありのままに映し出そうという誠実で真摯な姿勢は、必ず見る側の共感を呼ぶのです。ステージ部分に比べて私生活の部分は、描写が通り一遍で人間性の探究にまでは至っていないという気はしますが、基本のところがしっかりと押さえられているので、作品としての印象は良いです。対象に対する愛情を感じます。最後は一足飛びに記録映像が入ってきてちょっと驚きますが、あのシーンはスタッフたちも悲しさのあまり作ることができなかったんでしょうね。[DVD(字幕)] 7点(2008-10-31 02:58:46)
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