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プロフィール
コメント数 2524
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ホームページ http://coco.to/author/aniyan_otakoji
自己紹介 レビューを相当サボってしまってるの、単に面倒になっちゃってるからなんですよね。トシのせいか、色々とメンド臭くなっちゃって。
映画自体、コロナ禍以降そんなに見に行かなくなったのだけど、それでも年に70~80本は見てるワケで(でも今年は50本行かないかな?)、レビュー書けよ自分、って思ってる、でもなんか書かない、みたいな。
これからは今までよりも短文でレビューを上げてゆきたいな、と思う次第であります・・・微妙だけど。.

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321.  怪盗グルーのミニオン大脱走 《ネタバレ》  前作でルーシーが登場した事で愛すべきシリーズへと昇華された感があって、今回は見ている間、とても幸せな気分に浸れた、のですが、でも作品的には前作の方が好きだったなぁ、と。  前作には血の繋がりの無い者同士が家族を形作るという大きな流れが貫かれていましたが、今作は最終的には「家族っていいね」ってところに到達するものの、散漫でまとまりに欠けています。  悪党バルタザールとの戦いと反悪党同盟をクビになるグルーとルーシー。突如現れたグルーの双子の兄弟ドルー。母親として認められるために奮闘するルーシー。ユニコーンを探すアグネス。グルーに反抗し家を飛び出し騒動を起こし投獄されるミニオンズ。それぞれが密接に絡み合って1つの映画を高めてゆく、っていう訳にはいかず、バラバラ。  邦題にある「ミニオン大脱走」は本筋に全く絡まないエピソードで、ミニオン達の大活躍が見たければ『ミニオンズ』の続編に期待しましょう、って状態。明らかにキャラを広げ過ぎたようで。それを自覚してでしょう、ネファリオ博士なんか作劇上ジャマだとばかりに退場状態にしてしまいますが、ほったらかしなまま映画が終わってしまって唖然。  ドルーは本当はもっと重要なポジションだった筈でしょうに、立ち位置も性格もハンパ。もっと振り切れたキャラで良かったんじゃないかと思いました。  それでもグルーと三姉妹(孤児院出身なので本当は血の繋がりは無いと思いますが)とルーシーとミニオンズ、その世界の更なる続きが見られる事は幸せですし、オモチャ箱みたいなガチャガチャした感覚は健在。  それに今回は80年代のヒット曲満載で世代的にツボでした。  次が楽しみなシリーズ、ですが、これまで3~4年に1作ペース、次は一体いつになるんでしょうねぇ・・・[映画館(吹替)] 7点(2017-07-23 18:45:13)(良:1票) 《改行有》

322.  銀魂 《ネタバレ》  映画として評価するとちょっと(かなり)シンドい感じなんですが、っていうか酷いんですが、でも、映画である事、映画の文法がどうこうって、そういう見方はこの作品にはさして意味がないような状態で。「酷い」ってのはこの映画にとっては褒め言葉みたいなものですからねぇ。  元々少年マンガって遥か遠い昔に読まなくなっているので原作未読ってヤツですが、アニメの方は映画館で『完結篇』を見てからテレビシリーズをキッズステーションでそれなりに見てます。で、今回の映画はただのコスプレ映画になってるかと思ったらしっかり『銀魂』だよ!って感じで。  福田雄一監督の良くも悪くもなノリ、アレがそのまんまで、だけどそれが『銀魂』には無問題って状態。福田組の佐藤二朗、ムロツヨシ、安田顕が悪目立ちしてるんだろうなぁ、と思ってたらその通りで、でもこの作品にはアリだし、これだけ脇までキャラ立てまくったら(真選組なんかめちゃくちゃ濃いし)銀さんカスみまくりだろ!って感じだけど、元々そういう立ち位置だし。  千年に一人の美少女ネタを持ってきた上に、その美少女になんて事させるの、って状態だったり、著作権的にグレーっていうか殆どアウトなネタが満載だったり、実写化の弊害をメタ化したり、なんかアニメ版よりもよっぽどフリーダムな事してるっていうか、ワーナー大丈夫か?っていうか。古いオタクが歓喜するようなネタ満載で「役者目当ての若い人ついて来てるか~?」みたいなシロモノですが、まあ、いいんじゃないでしょうか。  ただ、シリアスなシーンはテンポ悪くなっちゃって、特に紅桜戦から高杉戦へと至るクライマックスは山場が分散してダラダラしちゃった感がありました。福田監督の「クドさ」の難点がここで出ちゃったか、って。単騎状態の新八とか神楽VSまた子とかのクドさは良かったんですけどねぇ。  でも全体的にはとても酷かったので良かったです。はい。[映画館(邦画)] 8点(2017-07-16 19:25:12)(笑:1票) 《改行有》

323.  パワーレンジャー(2017) 《ネタバレ》  2時間ちょっとの上映時間でパワーレンジャーになるまでに1時間半かかります。それでいいんか?っていう。  いや、青春映画としての色が濃いのはいいんです。パワーレンジャーに至るまでの、若さゆえの苦悩とか真の友情とは?とか、そういう要素をメインにしました、っていうのは判ります。でも、だったらそこがちゃんと納得できるほど、満足できるほど描けていたのか?っていうと全然。キャラ立ちしてませんし、それぞれが抱えたドラマも胸に迫るような描き込みがなされてはいません。  一方、パワーレンジャーへと至る展開は『クロニクル』をコピペしたかのような状態でさして新鮮味は無く、やっとこさパワーレンジャーが成立したかと思うとわりとあっさりケリが付いてしまうので激しい物足りなさ。製作費が少ないので見せ場を集中してみせました、っていう感じなのですが、そのパワーレンジャー成立以前の部分にポイントが無いために、娯楽映画としてかなりシンドい状態になってしまっています。  青春映画と特撮ヒーローもの、どちらも中途半端。演出スタイルがよろしくないようで、各人の表情も肉体も印象に残りません。アクションものである以上、その肉体を駆使する姿がハッキリ焼き付いていいと思うのですが、カメラはそこをきちっと捉えてない、そもそもそこに興味を持っていないようで、CGがガチャガチャしてるばかり。ドラマ部分にしろアクション部分にしろ、もっとキャラの個性を際立たせるべきだったんじゃないかと。  元々はもっと子供向けな題材だと思うのですが、これ、子供が見て面白いんでしょうか? アメリカではティーンにウケたのかなぁ? パワーレンジャーの映画ならば、さっさとパワーレンジャーを見せて欲しかったのですが。挫折や苦悩はその後でも描けたんじゃないかな。  続編のために出し惜しみし過ぎてウケなくて続編作れなくなっちゃいました、とか笑えないわ。[映画館(字幕)] 4点(2017-07-16 18:30:50)(良:1票) 《改行有》

324.  ジョン・ウィック:チャプター2 《ネタバレ》  前作が思ってたのと違ってたので、今回は期待値低めで臨んだ分、それなりに楽しめました(点数一緒ですが)。  前作の「裏社会へようこそ」な部分は小さくなって、ジョン・ウィックのバタバタとした、ちょっと泥臭いアクションが中心になっていて、キャラものとしてのスタイルが確立しました、という感じ。伝説の殺し屋は、結構撃たれるし撥ねられるし血まみれになっちゃうしで、でも死なないので伝説、みたいな。個人的にはもっとスマートで圧倒的な強さのキャラが好きなんですが、こういうのもアリでしょう。  アクション自体は増量してるけれど同じような画が続いてワンパターンだったかな。  今回の女殺し屋も魅力的で、だけどラブストーリーとか無し、そしてそんな彼女に対してジョンは一切容赦無しっていうのが潔く。  ローレンス・フィッシュバーンの登場によって、ネオとモーフィアスの再会を見せてくれたのはファンサービスって感じ。  今回はカンフー映画リスペクトが顕著で、クライマックスの『燃えよドラゴン』っぷりはかなり楽しませて頂きました。でもアレCG屋殺しですね。一体どれだけ写り込んだカメラをCGで消す作業が必要だったのでしょう?  ただ、今回の作品が『帝国の逆襲』ポジションつーか『リローデッド』ポジションだったのは、ちと肩透かし食らいましたねぇ。なんか終わっちゃいそうだけど、まさかそれで終わり?って思ったらやっぱり終わっちゃった。  次があるのならば(無いと消化不良)、どうかワンコは生かしておいて欲しいものです。ジョンはともかく。[映画館(字幕)] 6点(2017-07-11 21:27:32)《改行有》

325.  ライフ(2017) 《ネタバレ》  このサイトはネタバレの有無が表示されますからネタバレを避ける事ができますが、ツイッターなんかだと防ぎようがなくて唐突にネタバレRTを踏んだりしますよね。だから私はネタバレを踏まないようになるべく映画は公開直後に見に行くのですが、今回『メアリと魔女の花』と『ガールズ&パンツァー シネマティック・コンサート』が優先されて、公開4日目の予約をしたこの映画、鑑賞前日にネタバレ踏む事態となりました。そして、結末が判ってしまうと面白さは半減どころじゃないレベル、って感じで、だから点数にはその分がどうしても反映されちゃう訳で。ネタバレ踏みって二度と取り返しがつかないものですよねぇ。それはもうお金の問題とかじゃなくて。  さて、結末が判っているがゆえの醒めた状態で見たこの映画、今の時代のテクノロジーやセンスで『エイリアン』を更新してみせてくれるのかな?と思ったのですが、実際は『エイリアン』の偉大さを再確認する事になった、という感じ。(ここからネタバレ気味で)『エイリアン』と言うよりは、『ゼログラビティ』の『プロメテウス』版といった風情。  『プロメテウス』同様、プロフェッショナルのクセに安易にそいつに手を伸ばすって、その時点でもう「馬鹿・・・」って。で、登場人物達が次々と馬鹿の上塗りコンボをキメる事で事態は悪化してゆくという。もっとプロらしく知能で勝負して頂きたいところなのですが。  一方、エイリアン・カルビンの方は想像していたよりも物理的な存在で、力技マッチョ系なところが肩透かし。感染して内側から、みたいな存在かと思ったんですが、元祖『エイリアン』とか『リバイアサン』とか『エヴォリューション』みたいにどんどん進化しまっせ系で、普通に宇宙ステーション内で追いかけっこするので、ああ、ありがち・・・と。デザイン的にも『宇宙人東京に現わる』のパイラ星人を今っぽくCGで表現してみました、みたいな。  未来世界ではなくて現在のリアルが反映された宇宙ステーション周りのデザインや見せ方は良かったです。でも、そのリアルに人物造形や生物のリアルが追いついていかない、という状態。あんだけ炎で炙っても死なないヤツを、映画の後半になってもまだ焼き払うとか言ってるし、カルビンはどんどん頭が良くなっていってるのに、その知能に考えが及ばないしで、登場人物の頭が悪くないと成立しない物語じゃ、あまり楽しめません。  有名どころが何人も出演しているワリに内容的にはB級SFホラーって感じ、なんか憶えがあるなぁ、って思い出したのが『スフィア』。  これって「誰にでも安易に心(国)を開いちゃいけませんよ、取るに足らない存在だと思ってたらいつの間にか知恵付けて侵略されちゃいますよ」って映画なのかもしれませんが、とするとカルビンはどこの国の人の暗喩なのかしら?[映画館(字幕)] 5点(2017-07-11 21:04:33)《改行有》

326.  メアリと魔女の花 《ネタバレ》  ジブリのガワだけを被った空虚な作品。ジブリ的記号で映像が作られていますが、絵のタッチをコピりました、ってだけ、それだけ。大粒の涙をぼろぼろこぼす表現など、やってて恥ずかしくないのかな?くらいにそのまま持ってきているものの、スタイルさえ持ってくれば名作になるって訳もなく。  もうありがち過ぎる魔法学校な話ではあるのですが、それでも幾らでも面白く見せる方法ってあると思うんですよね。だけど、ジブリ的記号に依存しているだけで脚本も演出も作画もやっつけ仕事にしか思えないつまらなさ。この物語を面白く見せる工夫というのが全く見られません。  この監督の毎度の欠点でキャラに魂が入っておらず(主役はキキというより千尋のコピーみたい)、魔法学校の世界の描写が異様に狭く(登場人物少な過ぎな上、魔法を見せる事も殆ど無し)、魅力的な絵も乏しく(これまで一切ジブリ作品を見た事がなければ、あるいは魅力を感じる描写が少しはあるかもしれませんが)。  キャラクターデザインを全く別タッチにして、美術ももっとギッチリと細かい描き込みをしていたら、もう少し見られるものになったと思います。  脚本はおばあさんの過去と現在とを中心にして肉付けしてゆけば魅力が出たんじゃないかなぁ。  この監督、ジブリ出身であるという事だけで、どうも作家としての個性や魅力が見えてこないんですよね。『アリエッティ』『マーニー』、そしてこの作品と、キャラクターの生が感じられません。ただセリフを語る絵。固まったスタイルに固執するばかりで「人」を見ようとしていないように感じてしまいます。  そして、ジブリ作品には存在している「絵に宿る魂」が、うわべばかりのこの作品には無い分、前2作よりも更に見劣りするようで。  ジブリが手詰まり気味なんで、ジブリのパチもん大々的に公開しちゃいました、みたいな印象の作品ではありました。  で、話が結局『AKIRA』だったりするんですが、それは原作からしてそうなんでしょうか?[映画館(邦画)] 3点(2017-07-10 21:10:50)(良:1票) 《改行有》

327.  パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊 《ネタバレ》  毎度毎度、主役のクネクネした酔っ払いのオッサンがどうにも好きになれないので、これもまた傑作!ってワケにはいきません。どうしたらアレを魅力的に感じられるようになるのでしょう? 少しでもヤツがマトモである瞬間があればいいのですが、延々クネクネしてるだけですからねぇ。  さて、でも今回はクネ男も物語に引っ張られ続けてる状態。キャラが物語の中に埋没しちゃった!って感じですが、私にとっちゃそっちの方が好都合。  今回は『インディ・ジョーンズ』的で、『ワイルドスピード』的で、数々のディズニー作品のオマージュに溢れていて(だけど『モアナと伝説の海』とはオマージュと言うよりは大々的なネタカブリって感じですかねぇ)、そういう意味ではオリジナリティ欠如しまくりですが、お陰で退屈はしない、って感じで。海賊モノらしい海戦シーンもしっかりありますし。スケールの大きな画を大画面で見る快感に溢れているのは良いです。幽霊のビジュアルが徹底していて、人間だけでなく、鳥も鮫も船までもしっかり幽霊でござい、って体をなしているのが不気味で面白く。  物語を引っ張ってゆく若い二人の存在が目立つ分だけ、従来キャラは霞みがちではありますが(オーランド・ブルームとキーラ・ナイトレイは霞むとかいうレベルじゃなくて、単なるゲスト出演みたいなレベルですが)、世代交代の物語となっていてシリーズとしての進歩が見られます。  でもディズニー作品で生首ってのはどうなんでしょうねぇ。[映画館(字幕)] 6点(2017-07-04 22:47:37)《改行有》

328.  忍びの国 《ネタバレ》  無門がほぼ全編サイコ野郎なので見ていてイライラするばかり。  育った環境のせいでサイコ野郎になりました、里全体がサイコ集団です、っていう背景があるのは判ります。そして、そこから脱却して人間性を獲得するのが主題なのも判ります。でも、それが流れとなって具体的なカタチのドラマになっているのは平兵衛であり、大膳であり、無門はラストでお国を亡くす時点までずっとサイコ野郎ですから、主人公は果たして無門だったと言えるのかどうかも疑問な状態。延々と感情移入を拒むアンチヒーローとして描かれた無門、それでいいのかなぁ?って。  お国もまたドラマにはなっていないんですよね。かつて無門に拉致された、けれどキツい性格という設定描写から先へとは殆ど進まないまま最期を迎える状態で、ドラマの無い者同士で最後に悲劇を演じられたところで感動できません。  金が全てに優先され、人間としての感情が欠如した存在、それを現代の人間に象徴するのはいいとして、その醜い姿をわざわざ現代人にオーバーラップさせるあたりは一体何様のつもりなのよ?って感じで。送り手側が高みに身を置いて世間を見下しているつもりになってる作品って嫌い。本当は別にそんなに偉くはないでしょ? 人のこたぁ言えない生き方しかしてないでしょ?  アクションシーンでの笑えるというよりはバカバカしい長回しや、突然のカメラ目線のウケ狙いなどは真面目にやる気があるのかないのか。お笑い人殺し合戦っぷりがテーマとの齟齬をきたしています。  救いは平兵衛を演じた鈴木亮平と大膳を演じた伊勢谷友介。脚本的には言動に不安定さがあるものの(登場人物全員そうなのですが)、その熱さ、力に満ちた感じが魅力的でした。対して主役のクセにサイコな大野くんは損な役回りというか。っていうか彼のキャラがこの役に合っていたのかどうか。サイコながらも抗えない魅力を醸すとか、そういうのは全く無かったですからねぇ。  痛快時代劇かと思いきや、ひたすらストレスを抱き続ける作品でした。[映画館(邦画)] 3点(2017-07-04 21:21:09)(良:1票) 《改行有》

329.  ペンギンズ FROM マダガスカル ザ・ムービー 《ネタバレ》  ドリームワークスアニメーション作品としては久々に日本で劇場公開された作品。もっともDVD発売と同時に限定的に上映された状態だったのですが(シネコンで見る前にシネコンのあるモールのCDショップで先にブルーレイ買うって有様)。それでも有難かった、その後の作品はまたビデオスルーパターンに陥ってますからねぇ。20世紀フォックスジャパンのやる気の無さときたら。  でも、アメリカ本国でコケて『マダガスカル4』の製作中止にも繋がったこの映画、ドリームワークスアニメーションの問題点が垣間見えてしまう作品だったりしました。  映画は『マダガスカル3』のエンディングから繋がっていますが、テレビシリーズ『ペンギンズ FROM マダガスカル』とは一切話が繋がっていません。基本設定からして異なるパラレルワールドとなっていて、タイトルこそテレビシリーズの映画化のように思えながら、実は無関係な状態。そこにどんな事情があったのかは不明ですが、受け手側が事情を汲まなければならない理由は無いわけで。  その上、テレビシリーズとはキャラの性格が微妙に異なっていて違和感がつきまといますし(声も英語版は隊長以外、吹替版は隊長と新人以外違います)、グラフィックこそテレビシリーズよりもツヤツヤとキレイになっていますが、肝心のエピソードや敵キャラなどは映画版の方が冴えない感じがします。  そして、最近のドリームワークスアニメーション作品に対して総じて言えるのが、バジェットに対する中身のギャップが激しいという事。どれも1億ドルを軽く越える製作費に対して、内容は軒並み小品やB級的で、大作然として出てくるとそのギャップに唖然とする状態で。そりゃ劇場公開を憚れてしまうのも判らなくもないです(それでも日本以外の国ではそれなりの数字を上げている訳ですが)。  そのスタートがアンチディズニーであった側面があるとは言え、今もってその影が見え隠れしているがドリームワークスアニメーションの大きな欠点。王道を外してシニカルに走ったり、一般ウケしなさそうな、特異なキャラばかりで構成したり。  真正面から勝負できる実力は十分にあるのに自らみすみす逃しているような気がして仕方ありません。[映画館(吹替)] 6点(2017-06-29 21:48:48)《改行有》

330.  TAP THE LAST SHOW 《ネタバレ》  タップ版『SING』。あるいは『幸せはシャンソニア劇場から』とか。もっとも再生の話ではなくて終焉の話ですか。  冒頭の『傷だらけの天使』オマージュからオーディションあたりまではインチキ臭くも楽しめるのですが、ダンサー達のドラマを描きだすと、途端にハリボテ感が出てしまって、シンドくなってしまいます。それぞれのドラマはありがちでクサくて、もう少しなんとかならないか?って設定のオンパレード。唐突に泣きだすキャラが複数いるあたりの不自然さ、ぎこちなさに演出力の問題が表出している感じがしました。むしろほとんどドラマ抱えてないYOKO(つーか99)の清々しい事。彼女が最も好ましいキャラでしたわ。  伝説のダンサーと言いつつも、伝説っぷりが一切描かれなかったり(杖を暴力的に振り回すばかり)、ラストで劇場主の物語にシフトしちゃったような状態になったり、とにかく描きたい事を詰め込み過ぎちゃった感じで、一体何処がいちばん大切なのか、何処が最も描きたかった事なのかが見えてこない、かなり支離滅裂な状態。萌が実はタップ踏めるとかいきなり舞台出ちゃうとか、意外な展開って言うよりは、雑なエピソードとしか捉えようがなく。一切レッスンしてないじゃん。  でも、ライティングは全編ちゃんとしてましたし、クライマックスのダンスシーンはカメラが必要な画をちゃんと捉えてました。ちょっと観客の表情を挿し込み過ぎではありましたが、シネスコの画角を活用して舞台の複数のダンサーの頭から足元までをきっちりと捉える画が主になっていて、その当たり前の事がキチンとできている映画って感じでした(それができてない映画って多いですからねぇ)。  主人公と劇場主との友情物語、世代を交代して自分達は世界から退いてゆく、そこを中心として、唐突だったり、伏線を回収できずにごちゃごちゃほったらかしになったエピソードの数々をバッサリ切っちゃえば、あるいは良い映画になったのかもしれません。[映画館(邦画)] 6点(2017-06-29 21:32:47)《改行有》

331.  ハクソー・リッジ 《ネタバレ》  今年2本目の「敬虔なキリスト教徒のアンドリュー・ガーフィールドが日本で過酷なメに遭って信仰心を試される映画」。  前半は奇を衒うような事もなく、端正な正攻法で描かれてゆきます。オーソドックスなドラマを見ている風情。そしてそれが血と肉に塗れた後半の苛烈な戦闘シーンを際立たせる効果を生んでいます。  彼の行動はキリスト教徒としての信仰心に基づいているようにも思えますが、あの状況下では、もはやそれ以前の、人として生まれた者の心からダイレクトに発せられるもののようで。信念あるいはプライド、あるいは意地やこだわり。前半で彼の宗教観そのものはわりと客観的である事が示されていますしね。その行動の熱さが力強くスクリーンからこちらに向かって叩きつけられてくる感じです。  ただ、沖縄が単なるバトルフィールドで、軍と軍のぶつかりあいの地としてしか描かれていないのは、やはり日本人としてどうしても不満です。あの地では非戦闘員、民間人の死者を多く出したという現実がここでは一切無視されていて、でもそこを排除して果たして宗教を語っていいのだろうか?という疑問は残ります。ゾンビの如くわらわらと湧いてくる日本兵を火炎放射器で焼き払うハリウッド産戦争娯楽映画として割り切って見るべきなのでしょうか?[映画館(字幕)] 7点(2017-06-27 21:08:39)《改行有》

332.  劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女 《ネタバレ》  ラノベもテレビアニメも全く触れた事がない真っ白な状態で、いきなり劇場版を見るというのはこのテのアニメでは無謀な状態なのですが、それは単にシネコンの会員割引サービス期間中にポイントとマイルを稼ぐためだけ、という不純な動機によるものに他なりません(今年は秋までには一か月フリーパスをゲットしたいものだわね)。  さすがに一見さんには大変に厳しい作りになっていて、作品世界を把握するために脳みそフル回転状態で見ておりましたが、それでも理解できない部分は大量。タイトルから登場人物の多くが高校の生徒さん達である事くらいは想像がつくのですが、そもそも夏休みのバケーション状態で学校に行っていないので、それすらも怪しい、人物関係なんて全く判らない、「お兄様」って言ってるくらいだからこの二人は兄妹という事でおけ?みたいな。  で、しばし見てキャラは軒並み大変につまらない、感情の起伏に乏しく、表情に乏しく、個性に乏しく、ああ、これは毎度の記号化された萌えキャラアニメの一編でしかないのだなぁ、と軽く絶望的な気分になって、だけど物語がコロコロと転がってゆく点では、オタク向けアニメによくある、設定や状況を弄ぶばかりで結局は何も語ってないアニメとはちょっと違うのかな?って。  研究材料として研究施設で育てられた子供を救うというよくある話(最近の某ハリウッド大作ともネタカブリしてますね)なのですが、単純に正義と悪の図式ではなくて、そこに更に他国の部隊が絡んできて、複雑で多層的に話が展開してゆくあたり飽きさせません。  魔法が軍事利用されていて、兵器としての魔法っていうのがヴィジュアル化されているのも面白いですしね。  ただ、主人公が何故そういう薄い、つまんないキャラなのか、それが映画見ただけでは不明でとっつき悪くて。キャラ全員お人形さんみたいな状態ですが、特に主人公には心が入ってないように思えて、そんな彼が研究施設の少女達を救うってのは皮肉か何かか?みたいな。武装するとダースベイダーとエヴァが合体したような風貌、ってのは面白かったですが。  90分とマイル稼ぎにはイマイチでしたが、お気楽に見るにはちょうどいい程度のアニメといったところで。そうそう、で、結局「劣等生」ってのは誰なんでしょう? みんな特にドジを踏む訳でもなく優等生にしか見えませんでしたが。[映画館(邦画)] 6点(2017-06-27 20:46:31)《改行有》

333.  マンチェスター・バイ・ザ・シー 《ネタバレ》  映画が始まった時点で主人公は既に終わってるんですよね。もうロクでもない状態でしかなくて。この映画が描くのは、主人公が何故終わってしまったのか、であって、これは救済の物語でも再生の物語でもありません。  短い映像とバラバラな時間軸がモザイク状に散りばめてあって、徐々に主人公の世界が明確になってゆく、そのドラマは辛く、切なく、そして、でも、決して彼が癒されたり救済されたりが許されたりする訳でもない事もまたハッキリとしてゆきます。失われた者に対するその責任はあまりに重く、生易しい赦しなど存在しようがないのですから。  彼は兄の遺志によって甥との関係を通して人間性を取り戻しそうにも見えますし、元妻の言葉によって救済されたようにも見えます。ですが映画の最後に至っても結局は映画の冒頭と同じように酒場で他人に殴りかかるような生き方しかできない、彼がもう終わっている事がハッキリしただけのこと。何処にも彼の居場所なんて、ありはしません。彼の辛い思い出の地であるマンチェスターは、そしてその地の人は、その気候と同様に彼に冷たい存在でしかありません。  エンドロールの美しい風景の、だけど主人公を拒む限りない淋しさが染みる映画でした。[映画館(字幕)] 8点(2017-06-27 19:55:15)《改行有》

334.  パトリオット・デイ 《ネタバレ》  ラストに当事者本人が登場して長々と心情を語る、のであるならば、本編そんなにドラマを描く必要ないんじゃない?  姉妹作みたいな『バーニング・オーシャン』と同一言語で作られている映画、その欠点も一緒って感じ。八方美人的で描くべき事の取捨選択に疑問あり、と。  実話の映像化ですから、必ずしもエピソードに流れがある訳ではない、その流れの無い部分に思わせぶりなドラマを抱えた登場人物をいっぱい持ち込むために様々なエピソードの不発弾を抱えまくった映画といった印象でした。それぞれの行動、努力がちゃんとした結果として現れる訳ではなくて、全然別のところから解決がもたらされるような状態なので、宙ぶらりんな感情が行き場を失ってウロウロ、みたいな。  ただ事実、状況、現象を点描してゆく事に努めてゆけば、事件の姿と、そこに生まれたドラマはちゃんと浮かび上がってくるのではないのかなぁ、と思うのですが。少なくとも、その状況をリアルに生々しく描くテクニックはあるのですから。  自国内の企業の問題だけに微妙に内省的な面を持っていた『バーニング・オーシャン』と違うのは、テロに屈しないアメリカ凄い!って賛美に溢れているって点ですか。結局は個人からの通報がきっかけ、っていうその解決への道筋はともかくとして、ね。[映画館(字幕)] 6点(2017-06-27 19:27:35)《改行有》

335.  夜明け告げるルーのうた 《ネタバレ》  『崖の上のポニョ』によく似た部分が多々あり、多分に意識しているのでしょう。『ポニョ』が様々なメタファーを通して生命の誕生を示す作品ならば、こちらは死の匂いを漂わせた作品。遠い昔に人魚に連れ去られた人々のエピソードが、まるであの世へと誘っているようです。『ポニョ』と同じように水没してゆく街のイメージも似て非なる世界で。  でも、今回どうした?って感じの吉田玲子脚本、まずその構成にひっかかりを感じました。  物語としてはよくあるフォーマット。少年が人魚と出会い、友情を育んでゆくものの、人魚は大人達の思惑によって囚われ、それを救おうと奮闘して、と。その、定番であるがゆえに当然あるハズの気持ち良さ、その不足が目立つ脚本で。  かなり状況が進んだ状態で遊歩がルーに嫉妬するあたりは「今この段階で今更その感情なの?」と思ってしまいましたし(物語の進行に伴う成長を考えると遊歩はなんだかトロい)、街で起きている騒動をカイが延々気付かない、そのサスペンスを作るのが「カイがヘッドホンをしながら勉強をしているため」という、いかにも取って付けたような理由で作劇上それでいいのか?と。  前半のルーを受け入れてゆく子供達の部分がサクサク進んでゆくだけに、後半の大人達の思惑(見世物にしようとする人々と、人魚を忌避する人々と)に翻弄される部分がゴチャゴチャともつれた感じで尾を引き続け(見世物にしようとする側が必ずしも悪でないあたりが混迷を生んで)、人魚達による救出劇の盛り上がりを阻害してしまっているように思いました。  そして湯浅作品としてもつい最近の『夜は短し歩けよ乙女』に比べるとちょっとシンドくて。『夜は~』の不条理話にはしっくりくる湯浅演出も、この一見マトモな物語な『ルー』に対してはズレ、すれ違いを感じさせて。その独特な作画の気持ち良さは相変わらずなのですが、それが既視感の波に飲み込まれてゆくのは勿体ないなぁ、と。『ポニョ』と並べてしまうとね、どうしても敵わない部分が目立ってしまう訳で。その上クライマックスの展開は『君の名は。』を思い出さずにはいられませんし、ルーのお父さんと沈んだ街は『パンダコパンダ 雨ふりサーカス』のようで。  もう少し他の作品へと意識が飛んでゆくようなものではない、オリジナリティでバーン!と見せる映画であって欲しかったと思いました。[映画館(邦画)] 6点(2017-06-26 21:47:57)《改行有》

336.  キング・アーサー(2017) 《ネタバレ》  映像や構成のテンポはいいのに全体の流れで見るとタルい状態という。  アーサーが悪政に対して抵抗する決意をするまでが長くて、決意をしたはいいけれどエクスカリバーを使いこなせるように覚醒するまでが長くて、覚醒してからラスボスとの対決に至るまでが長くて。  巨象が城を破壊したり、アクションシーンで時間の流れに緩急が付いていたり、不気味なクリエイチャーが出てきたりと、色々と見せてくれるのはいいのですが、本題部分のテンポが悪いっていうのが大変シンドく。  で、子供がチョロチョロしてて「このガキが更に物語の足を引っ張るんじゃないだろうなぁ?」って思ってると案の定引っ張ってくれて「あーウザいわー」って感じで、なかなか気持ち良くなってくれないんですよね。  あと30分短かったらもっと楽しめたんでしょうけれど。  映画そのものはあまりオリジナリティを感じられません。アーサー王伝説と言うよりは『ロード・オブ・ザ・リング』の世界観、ライトセーバー然としたエクスカリバーを操り覚醒に至る流れはジェダイ風。多分数年経つと自分の中で『エクソダス:神と王』『キング・オブ・エジプト』『ポンペイ』あたりと記憶ごっちゃになっちゃうだろうなぁ、みたいな。  ガイ・リッチーっぷりだけは映像から溢れまくっているので、そこが楽しめれば。  ところで予告編時点で映像見て「これ3Dで見るべき映画」だと思ったのですが、3D上映が4D系ばかりで普通の3D上映が無い状態。仕方なくMX4Dで見ましたが、アレ、それだけのお金を払うだけの価値を感じるモノではないので(4DXならまだしも)、損した感タップリ。3D自体もアクションシーン限定で効果的でしたが、そんなにアクション満載って訳でもないんですよね・・・[映画館(字幕)] 5点(2017-06-20 22:19:52)《改行有》

337.  昼顔(2017) 《ネタバレ》  見終わった後の疲労感も含めて、ある意味、戦争映画。恋愛という名の闘争の物語。愛が敵を生み、愛によって闘い、傷つき、ぼろぼろになって、そしてじゃあ、誰が一体勝者だったのか?という。  人と人とのふれあいと摩擦、そのヒリヒリとした緊迫感と共に、様々な要素がその舞台を創造してゆきます。ホタル、星空、川の流れ、バス、自動車、自転車、電車、線路、オートロック、指輪・・・。それぞれが意味を持つものとして帰結してゆくのが面白いです。バスは繋がりを示す一方、自動車は不穏な存在、みたいに。頻繁に登場する料理が心理を映しているのもポイントで。一人暮らしであっても自分のために欠かさない料理はヒロインの生を示し、その失敗は乱れた心を示して。  上戸彩の、決してキレイではないドロドロとした感情を表す演技をカメラや演出が上手く拾ってゆきます。最初は細かいカット割や動き回るカメラが煩わしく感じられましたが、慣れてゆけばそれにも意味があるのだと。  ただ、場を盛り上げようとする音楽がやかましく、またアレンジを変えてインストで3回は流れる金井克子の『他人の関係』が自分の世代からするとふざけているようにしか思えないんですよね(振り付けのビジュアルが頭に浮かんじゃうし)。曲のタイトルが場面の意味を示しています、っていうのならば安直に過ぎると思いますし。音楽に関してはどうにもセンスが悪いとしか感じられませんでした。音楽全面差し替えしたらプラス1点、みたいな。  あと、ヒロインが身の上話をしたのはオーナーに対してのみなので、ウワサ話が広がった時点でオーナーに疑惑を持たなかった(ように思えた)のが疑問でした。  幾らかひっかかりはあるものの、役者の存在感と全編に張り巡らされた技巧によって、ドロドロとした不倫物語が見応えある愛の闘争の物語へと昇華された作品でした。[映画館(邦画)] 7点(2017-06-20 20:18:15)(良:1票) 《改行有》

338.  ちょっと今から仕事やめてくる 《ネタバレ》  妹にネタバレ食らい、中盤のミステリー展開が一切無効になるという惨事に遭いましたが、それでもまあ1つの物語としては楽しめました。  ただ「ブラック企業の闇に迫る社会派ドラマ!」みたいな側面は全く無いので、背景となる会社は単なるホラー装置としての機能を果たすばかり。  会社は鉛色のトーンで、不気味な音楽、あるいは音楽以前の不協和音が流れて、そこが命を奪おうとする空間として描かれます。この映画では部長の存在が全ての元凶であり(ああいう上司、実際に私のこれまでの人生の中で2人おりましたが)、部長さえいなければこの企業はもっとマトモに動いているんじゃないかと思わせます。その辺がこの映画の限界なのだなぁ、と。ブラック企業が生まれる背景が単純化されてしまっているようで、だから主人公の苦悩もその単純な土壌から生まれているように思えてしまって。ブラック企業が生まれる背景にはもっと複雑な事情があって、だからこそ容易には辞められないって側面もあって。  でもこの主人公は自殺直前まで追い詰められて、生きる意味も無い的な事を言いながら、一方では「正社員でないと結婚して家庭を持てない」なんて言う精神的な余裕を見せてもいて、矛盾しちゃってるんですよね。  で、タイトルになってる部分がクライマックスだと思ったのですが、その後のエピローグだと思った部分が長い長い。むしろそこが本題なのかと。あそこが大きくなる事で本題がボヤけてしまい、非現実的なファンタジーへと移行してしまった感じで。ファンタジーはファンタジーとして悪くないです。物語としてああいうオチも良いでしょう。でも、現実と戦ってる人にとって、あの海は実際にはほぼあり得ない、夢でしかない、それこそ天国みたいな世界。最後には我々から離れてアッチ側に行っちゃったんだねぇ、と思わせるばかりで、こちらでは現実世界が相変わらず広がっているばかり。映画を見に来た人に希望を抱かせるにはあまりに飛躍し過ぎちゃった感があります。  あと、セリフで色々と説明し過ぎて、映像のリピートも多くてクドい印象がありました。黒木華がちっとも魅力的に撮れてないのですが、彼女にあんな風に長々と告白のセリフを吐かせるのではなくて、もっとミステリアスな悪女にして、その中から真実が見えてくるようにしてくれたら良かったのになぁ。  でも男同士の友情物語としては楽しく見させて頂きました。『フォーゼ』から福士くんを見てきた自分からすると、彼はやっぱりこういう明るく、テンション高い、笑顔いっぱいの役がいいなぁ、と。最近よくあるカッコつけた役だとどうも薄い演技してるように見えちゃって。[映画館(邦画)] 6点(2017-06-15 22:49:55)(良:1票) 《改行有》

339.  20センチュリー・ウーマン 《ネタバレ》  1人の少年と世代の違う3人の女性と1人のおっさんが、コミュニケーションを通してアタマと肉体とのバランスを学び、折り合いを付けて生きてゆく物語。そこには沢山の対話があって、皮膚感覚があって、生の摩擦や対立があって、和解や妥協や不一致があって、生の痛みや苦しみがあって。  ユーモラスに描かれた、ここに生きている人々の、不器用ながらも自分の生をカタチにしてゆこうとする姿は魅力的で愛おしさすら覚えます。アビーが自分の身の周りの物を写真に収めてゆく姿はインスタグラムやツイッターのメディアツイートなどに通じ、自分という個を掴もうとし、他者にアピールする事で存在確認をしようとする感覚自体はカタチを変えながらも昔も今も変わらない事を示していますね。  この映画、まるでネット無き時代の人々の生き様を、ネットによってコミュニケーションのカタチがすっかり変わってしまった世界から見つめ、人のあるべき形を想うようで。単なるノスタルジーではなく、今のアタマばかりが肥大化した、極端に偏った知識や思想を持った人を憂えているようで。  最近ツイッターで女性の生理についての極端に無知なツイートが話題になり、それがこの映画の中のエピソードにピッタリと符号していて、とてもタイムリーだなぁ、と。ネットは全てなんでも判るようでありながら、知らない事はとことん知らないで済んでしまう世界な訳で。でも本当はリアルでのコミュニケーションから微妙なニュアンスと共に知る事もいっぱいある訳で。  複数の人間のモノローグがあって、死者のモノローグもあるけれど、それは創作上の禁則とはちょっと違って、時間を超越している状態で、登場人物達が自らを客観視、俯瞰してゆく構造が面白く、映像も色々な仕掛けを施して印象的。自動車が登場すると物語が動く(冒頭からして炎上する自動車で)、みたいな仕組みもあって、散りばめられた様々な要素で楽しめ、考えさせられ、感じる映画でした。[映画館(字幕)] 8点(2017-06-11 22:30:18)《改行有》

340.  22年目の告白 -私が殺人犯です- 《ネタバレ》  「藤原竜也は17年前に中学生を演じてた訳で、22年前っていったら小学生が殺人犯だったって事かいな?」なんて思いつつ映画に臨みました。  こちらが見る前から当然予測していた展開の、更に上を行く展開はなかなか良かったと思います。そう来たか!みたいな。ちょっと力技というか強引ではあるのですが、そこら辺は韓国映画が元ネタゆえに納得、みたいな。  「残虐な殺人犯があんなに簡単に人気者になるもんかいなぁ」とか、警察やマスコミの描写とか、危なっかしい感じだけれども、役者の存在感でギリギリでハリボテ化するのは防げていたと思います。こういう映画ってネットの反応だのインタビュー画面だのを映すと途端に嘘っぽくなるんですが、一方向に強引に流れを持ってゆかない事、そこを描き過ぎない事でなんとかバランスを保てていたんじゃないかと。  マスコミのあり様、正義、使命、そんなモンをあの読売新聞な、あの読売グループな、あの日本テレビ製作で語る資格があるんかいな、とツッコミ入れたくなりましたが、物語的にそれもなんか怪しくなって「ああ、自己批判か、自省か、ちゅーかそういうとこまでチェック入れずに製作任せちゃったか(笑)」みたいな。  ただ、殺人描写が直接的で、その陰惨なイメージが作品全体を支配していて(その点も韓国映画的)、重く暗い映画として頭にこびりついた感じです。入場時に渡された作品に対するアンケートには評価自体は「まあまあ良かった」にしたものの、ソフト化された際には購入したくない、もう一度見たくはない、って。謎が判った上でもう一度見れば色々と発見もあるとは思うのですけどねぇ。でも、うーん。  で、藤原竜也小学生殺人犯?の謎(つまりビジュアル的に無理ないか?)は解決したのか?っていうと、それは見れば一応判る感じ、みたいな?[映画館(邦画)] 7点(2017-06-11 20:52:28)《改行有》

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