みんなのシネマレビュー |
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361. インディア・ソング 画面の外で交わされる、女ふたりのダイアローグ。画面内で繰り広げられる、静かだが情念に満ちた男女の愛憎劇。そして何より、物憂げで官能的でもあるあの音楽…。およそ、劇的とは縁のない悲劇ならぬ非ー劇的なアート作品ではあるけれど、一方でこれほど見る者に陶酔と、エモーションを与えてくれる映画もそうはないでしょう。小説家としてのデュラスも素晴らしいけれど、映画作家としてのデュラスもそれ以上に素晴らしいとぼくは信じています。永遠のマイ・フェイバリッツ、文句なしに満点!10点(2003-10-17 18:13:39) 362. 龍の子太郎 淡い水彩画というか、むしろ山水画風の背景と、柔らかい線で描かれたキャラクターの絵柄が、なかなかに新鮮。ていねいに作られたアニメとして好感はもてるのだけど、やはりテレビの『日本昔ばなし』と大差ない感もあり。監督が浦山桐郎だから、何か期待して見にいったもんだがなあ…。ただ、太郎の母親である龍(声が吉永小百合!)が、ラストで人間の姿に戻った時、きっちり乳首(!)を描いていたのには、妙にドキンとさせられたものでした…あ、こういうコメントは削除の対象でしょうか?6点(2003-10-17 17:27:30) 363. 死の接吻(1991) 冒頭、ビルから突き落とされたショーン・ヤングがワンカットで地上に激突死するシーンに「おおっ!」と思いました。が、それだけ…。どなたかも書かれていたように、すべてに野暮ったい中途半端な出来映え。妙に人物たちの内面なんぞ描かず、サスペンス・スリラーものに徹していれば良かったんだよ。マット・ディロンの熱演、報われず。ちなみに、アイラ・レヴィンの原作は、今読んでも傑作です。5点(2003-10-17 16:14:40) 364. シド・アンド・ナンシー いろんな意味で実にキツイ映画だけど、作品的にはスプレンディド! な出来映え。ただ、コアな音楽ファンや「ノーフューチャー」なお若い方々には、オススメできかねます。だって、ここにあるのは、シド・ビシャスとパンク・ムーヴメントに対するアイロニカルな冷笑なんだもん。小生はミソジニー(女嫌い)でもなく、ドラッグもヤバそうだし、パンクにゃなれんと切実に悟りました。あの時、劇場を何とも言えない顔で出てきたパンクスたちのことも忘れられません(笑)。8点(2003-10-17 16:00:33) 365. 自転車泥棒 《ネタバレ》 こういう名作中の名作に、今さらながら満点献上することの野暮をあえて承知で…。ネオリアリズムうんぬんを言うより、あの当時のイタリアでは日常茶飯事だったろうような庶民のささやかな哀歓を、オールロケで、ここまで見事な「人情ドラマ」に仕立て上げたデ・シーカ監督の人間味溢れる眼差しがまず素晴らしい。父親と一緒に盗まれた自転車を探し回るあの男の子の使い方など、多分にチャップリンの『キッド』を意識しているんだろうけれど、本当に巧いし。特にあのラストで、自転車を盗もうとして人々に捕まり、小突き回される父親に男の子がすがりつくシーンは、今こうして書いていてもナミダが…。父と子にとってつらい1日となったけれど、きっとこの家族なら何とか生きていくだろう、といった願いとも希望ともつかない感情(感傷?)を抱かせる幕切れまで、人の子であり親なら生涯に一度は見ておきたい映画ではありますまいか。 10点(2003-10-17 15:47:29)(良:1票) 366. シェルブールの雨傘 恥ずかしながら、最近になってようやく(ビデオで…)見ました。何でもっと早くに、劇場でリバイバルしていた時に見ておかなかったんだろうと、激しく後悔させられましたです(ジャック・ドミィって、『ロシュフールの恋人たち]と『ベルサイユのばら』で敬遠していたもんで…)。いやあ、こんなにも甘くて、洒落ていて、可憐で、でも切なくて、残酷で、心にしみる映画だったなんて! 男の純情と、女の心変わりが、一度でも「恋」したことのある諸兄諸姉ならきっと、ある痛みをともなって胸に迫るはず。それを全編ミシェル・ルグランの華麗なナンバーが彩り、エモーションをかき立てるあたり、もう涙、ナミダ。間違いなく、映画史上最も美しい作品のひとつでしょう。10点(2003-10-17 15:27:21)(良:1票) 367. ジェイコブス・ラダー(1990) それまで徹底的にバカにしていたエイドリアン・アイン監督を、初めて少し見直した映画です。でもね、本作の成功の最大の功労者は、『ゴースト・ニューヨークの幻』とか”死後の世界”にこだわるブルース・ジョエル・ルービンの脚本でしょ? それにエイドリアンたら、現代美術家ベーコンの絵画をあからさまにパクッたりして、「ね、ボクってこんなホラー映画にもご高尚な趣味を持ち込めるのよ」ってなイヤミを感じたりもして…。でも、確かに面白かったです。この作品には、素直にライン監督に拍手を送りたいと思います。7点(2003-10-16 18:35:22) 368. 地獄の門 う~ん、こういうグログロな映画も決して嫌いじゃないんだけどねえ…。あの口からゲロゲロ内臓を吐き出す名高い(?)シーンとか、いかにもフルチらしい残虐描写は楽しいんだけど、いかんせん、単純なはずのストーリーが、全然ワケ分からないってのは、もはや物語なんぞグロ描写見せるための手段でしかないってことか。でもそれって本末転倒で、センセイやっぱりマズイんじゃないでしょうか? 3点(2003-10-16 12:08:53) 369. ジェロニモ(1993) 日本じゃ『スピード2』でミソをつけた恰好のジェーソン・パトリックだけど、『アフター・ダーク』という彼の主演作を偏愛する者としては、何もそこまで嫌わずとも…と。この西部劇でも、ふいを突かれて平地で襲撃された彼が、馬を横倒しにして楯にするあたりのカッコ良さなんかホレボレしちゃうけどなあ。作品そのものも、ジェロニモをはじめインディアンたちの「滅ぼされゆく民族」の悲しみを崇高に描いたものとして、なかなかに感動的。でも、ウォルター・ヒルって何でこうも枯れちゃったんだろう…。『ロング・ライダース』のクールかつ溌溂としたヒル演出を知る者にとって、やはり寂しい限りです。7点(2003-10-16 11:54:53) 370. ラスト・ボーイスカウト トニー・スコット監督が、まだレンズにフィルター処理ばりばりしまくりの頃の、「映像に凝っても中身ないのが余計に目立つぞバカヤロー」映画の典型。全編うすら寒い、空しさばかりが残る代物でありました。ブルース・ウィリスの黄昏れた中年探偵ぶりはなかなかだったので、勿体ないよなあ…。4点(2003-10-14 16:16:39) 371. ラスト・キャッスル ある種の「刑務所もの」の典型という感じもするけれど、看守側も囚人も軍人同士という”軍刑務所”というのが新味か。レッドフォード演じる将軍が服役して、ムショ内の兵士たちを感化していく展開もありがちながら、ここには「真のリーダーとしての条件」がビシッと説かれていて、好き嫌いを置けばかなり説得的。だから、クライマックスの攻防戦が俄然活きてくる。このあたり、監督の演出には一本筋が通っております。結局は「軍人賛歌」風ではあるけれど、アナクロな硬派ぶりに一票!7点(2003-10-14 16:06:32) 372. ライアー 見ている間は「おおっ」と感心したりもしたんだけど、見終わると何だかこっちがバカを見た感じ…。ご贔屓マイケル・ルーカーの刑事がティム・ロスに嘘発見機を付けて尋問する出だしは期待させたんだがねえ。よく分かりにくいのは、決して我々のアタマが悪いのではありません。作り手にセンスがないからです。なかなかの豪華キャストゆえ、退屈せずにまあ見られはするんだけどさ。5点(2003-10-14 15:50:20) 373. ライフwithマイキー あ、これは思わぬ拾い物でしたよ。マイケル・J・フォックスが自己のセルフパロディ的な、かつての人気テレビ子役スターを演じて、今はタレントのエージェントをやってる彼が、ひょんなことからスリの女の子をCMタレントとして必死に売り込むことになるてん末を描いたものなんだけど、このフォックスがどんぴしゃりのハマリ役。実は不憫な女の子と心を通いあわせるまでの過程が、実にハートフルで、丁寧で、ホロリとさせられます。『BTTF』以外のマイケルの作品じゃ、文句なしに最も愛すべき作品。8点(2003-10-14 15:36:17) 374. ターミネーター2 このシリーズでは、圧倒的にぼくは『1』派です。あのうさんくささが大好きだったので、ここまで超大作にヴァージョンアップされてしまうと、正直「重すぎるよ…」とげっぷが出てしまう。すみません、胃弱なもんで…。ただ、異論はあるだろうけど、シュワルツェネッガーの「ロボット演技」は、完璧な素晴らしさです。これでTー1000型がもっとスケール感があったなら、さらにこの映画は素晴らしいものになっていたでしょうね(確かに自在に変身する無気味さは出ていたけど、いかんせんセンが細すぎる)。キャメロン監督ならではの「戦うヒロイン」サラ・コナーは、いささか神経症的なキャラに過ぎるという気がしましたが。7点(2003-10-14 13:42:47)(良:1票) 375. 天空の城ラピュタ 次から次へと見せ場の連続! といった展開や、男の子ゴコロをくすぐる冒険物語(と、可憐な少女)は、さすが(初期の)宮崎駿作品。だけど、ちょっとしたギャグや台詞ひとつにも「一生懸命」さが感じられて、なんか鬱陶しさを感じてしまうのは、小生だけ? …特に、あの海賊ばあさんが喋り過ぎっすよ、カッコつけ過ぎっすよ! こういう、よい意味でのB級冒険活劇風なストーリーをも、超A級大作にしてしまうところが、宮崎監督の長所であると同時に、弱点でもあるんじゃないでしょうか。6点(2003-10-14 13:15:48) 376. インドへの道 もともとデビッド・リーンの映画は好きになれないんだけど、これを見た時は、あまりの衰退ぶりにやはり感慨を禁じ得なかったな。ヒロインの錯乱と、それによって窮地に立つ誠実なインド人の法廷劇をまがりなりにも成立させるためには、インドの風土の”何”が彼女を狂わせたのかをもっと丁重に描くべきじゃないのか。おそらく体力的にインドロケを割愛したせいか、何だか舞台の中継でも見ているかのような「色気」のなさに、リーンも終わったな…と思ったものだった。そして案の定、これが遺作となってしまった。いまさらながら、合掌。4点(2003-10-09 16:42:59) 377. イレイザー(1996) 港を仕切るギャングたちが、アメリカが危機に立たされると分かるやシュワちゃんの側に加勢して戦う、クライマックスが何故か好き(笑)。ジェームズ・カーンとジェームズ・コバーンを悪役にもってきて、気持ちよさそうに大見得きらせるキャスティングも、なかなか泣かせる。そんな、悪い映画じゃないよ。6点(2003-10-09 16:33:04) 378. イルカの日 皆さんおっしゃる通り、ぼくもこの映画はジョルジュ・ドルリューの音楽に惚れ込んだクチです。中坊の頃、ロードショー公開で期待しつつ見て、映画は正直失望したのだけど、あの音楽だけはサントラを買って毎日のように聴いてました。あれから再見していないんで、採点「5」は少々アンフェアなんだけど、yはりマイク・ニコルズにサスペンス映画は絶対合わんだろうと…。ジョージ・C・スコットの実生活でも奥さんだったトリッシュ・ヴァン・デバーの色香にちょっとクラッ(笑)ときたことも、今はなつかしい想い出です。5点(2003-10-09 16:22:01) 379. いちご白書 学生運動の世代からはひと時代遅れてきた小生としては、この映画の学生たちのなんとナイーブで甘っちょろいことかとあきれつつ、やはりどこかで羨望している自分に気づいたりします。ただ、原作となったとある学生活動家の手記(というか、日記)を読んだ限りでは、映画はハッキリいってそれなりに誠実に「問題意識」をもった原作者にとって”冒涜”にも近い、砂糖菓子みたいな「ハリウッド製青春映画」になっている。まあ、それが悪いってワケでもないんだけど…。それでも小生にとって本作が忘れ難いのは、ひとえにキム・ダービーの面影ゆえ。超ミニのワンピースからのぞくパンツも可愛い彼女が画面に映り、はにかんだように微笑むだけで、もうこの映画は永遠です。8点(2003-10-09 16:07:46) 380. 犬死にせしもの ハチャメチャになりそうで、一本ビシッと男の心意気が全体を締めた、なかなかの快作。真田広之と佐藤浩市のやんちゃぶりが何とも痛快だし、周囲の怪しい人物たちも、アクの強い個性派がそろって見飽きない。今井美樹ちゃんのハダカは…正直「色気ねぇー」でしたが。井筒カントクは、やはりあなどれない。7点(2003-10-09 13:34:29)
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