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プロフィール
コメント数 1251
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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361.  うしろの正面<OV> 《ネタバレ》 監督・脚本とも女性だが、妊娠中の女性には向かない映画かも知れない。 映画宣伝でいう「レディース・ホラー」とは何かと思って見ていたが、妊婦のいわゆるマウンティングのようなものとか、寄り添ってくれているようで認識がずれている夫、歓迎されているようで本当に安心していいのかわからない義実家、という感じのものが見えた気はした。当事者にはかえって不快な場面もあるだろうが、これだけでもホラーとしては異色に思われる。 物語的には変則ながら一応の邦画ホラー形式に乗っていたようで、主人公が遭遇した呪いの発祥地がたまたま夫の実家にあり、出産前の里帰りという形で恒例の現場突撃をやる展開になっている。 ところで呪いの真相に関しては、安手の邦画ホラーでよくあることだが無駄に難解で(はっきりいって独りよがりだ)、各種の解釈をやたらに取り入れたことでわけがわからなくなっている。 ①まず歌詞について、最も普通の解釈は“悪意による堕胎”ということだろうが、これは劇中でいえば主人公が「美紀」に?石段で突き落とされた場面に当てはまる。また10年前の死産も例えば姑のせいだったかも知れない。この場合の「鬼」は堕胎させられる側になるはずだが、実際は美紀?(または姑?)の方が鬼に思われる。 ②しかしその後は、歌詞でなく遊びの解釈としての「口減らし」説が前面に出たらしい。胎児を取られた「舞衣子」が今度は「神からのお告げを受ける役目」の鬼になり、胎児を取る相手を指名する権限を行使していたようだが、実際は神の意志というよりただの八つ当たりに見える。その点、産婆だった義祖母の方が神の執行者としての鬼に近いかも知れない。 ③しかしその後にまた鬼の意味が変わり、最後は主人公の立場で“他者を排除しても自分の子を守る母親”という解釈に落ち着いたように見える。「鬼は私」という台詞もあったが、その主人公にも“何であいつに子ができるのか”といった負の感情は当然あったわけで、そのため最初のうちは主人公が元凶のように見えたが、最終的には守りの意思の方を強く出していた。 以上について感覚的にまとめると、妊娠・出産(+育児もか)にまつわる悪意(鬼)は至るところに存在するので、それをはねのけるため母親自らも鬼になれ、というメッセージだと勝手に受け取った。レディースというよりオンナのホラーという印象だったが、それにしてもこういう面倒くさいものの解釈を強いられるのは疲れる。 ほか世間ではかごめの遊びを降霊術と関連づける説もあり、劇中でも霊媒師が出る場面がある(漫才師は不要)。また鏡に映すと降りたものが見えるという説もあるようだが、スマホの自撮りと終盤の鏡は“鬼を映すもの”として機能していたように見える。そういうことを調べているうちに怖くなって来たので、ホラー映画本来の性質も備えていたといえなくはない。 なお映像面では天井から降る鋏がユニークで、また西部劇の決闘場面のようなのも悪くない。赤い食物は他者を食って自分の子を生かすということの隠喩か。主演の吉田裕美という人はそれなりのお年頃だろうが、なかなかいい感じの女優さんだった(惚れた)ので悪い点はつけられない。[DVD(邦画)] 6点(2020-01-04 09:29:39)《改行有》

362.  コープスパーティー Book of Shadows 《ネタバレ》 前回の時点で続編は見ないと宣言しておいてから結局見るのは阿呆というしかない。 内容的には前回の延長戦のようで、仲間を助けに行く話なら少しは人道的になるかと思ったが、死ぬ人間は死ぬと早々に宣告されてしまうのでは来た意味もない。新登場の猟奇殺人者は前回の用務員に相当するものとして、ほかにいわゆるピノコとか魔導書のようなのを動員して無理に話を盛ったようだが、それにしても最後の締めがありきたりで意外性も何も感じない。ちなみにエンドロールの後にも何もない。 友情とか愛情とか「強くなりたい」とか一応の人間ドラマを作ったようでもあるが、どうせ惨殺されて観客を喜ばすためのキャラクターが何をやっても茶番でしかなく、逆にそういう人の心をせせら笑って踏みにじるのが目的に見える。中学生向け映画にまともに物言うのも大人気ないが、もし騒乱や災害などで社会秩序が失われる事態になった場合、劇中の猟奇殺人者のような連中(中高生)がそこら中に湧いて出るだろうから、何より治安維持が最重要だという社会的メッセージを勝手に読み取った。 なお今回もS県A市が撮影協力しているが、この手の俗悪映画で名前を売って観光推進とは恐れ入る(※個人の感想)。「みんな!エスパーだよ!」(2015)くらいならまだしも笑って済ませられたが。 ほかキャストに関して、前田希美さんは引き続きこの人ならではの役を務めているが、その姉役で出た石森虹花(欅坂46)という人が、妹役よりも年下で童顔というのはどういうキャスティングなのか。演者の年齢では前田希美(93)>生駒里奈(95)>石森虹花(97)のはずで、今回最も変だと思ったのはここだった。[DVD(邦画)] 2点(2020-01-04 09:29:37)《改行有》

363.  コープスパーティー 《ネタバレ》 前田希美さんが出ているのでとりあえず見た。 しかし「リアル鬼ごっこ4」(2012)の頃ならまだしも、今になって女子高生役はさすがに似合わない(同じ時期の別のホラー映画では女子大生役だった)。もう少し大人の女性役で出てもらいたいものだが、ただしラストの悲劇が強く印象づけられたのはこの人あってのことかも知れないとは思う。 なお続編があるようだが次は見ない。 [2020/1/4追記] 「もてなしのまち熱海」で撮影された映画らしい。今なら「おもてなし」の方が普通だろうが。 もとのゲームの再現度としてどうなのかはわからないが、ストーリー的には特に面白味もなく単調に見える。実際の見どころはグロ場面の方ということだろうが、それも安手の作り物でしかなく、どこがアンリミテッドというほどのものかわからない。何かこの程度で喜んでみせるお約束でもあるのか。 この映画だけではないが、人が残酷に殺されるのを見せるための映画のようでいて、実際は本当の残酷さのはるか手前で止めているようなのは意味不明というしかない。しかしまともに考えると、とにかく人が残酷に殺されるのが見たくて仕方ないが、本当にやってしまったらどうなるか想像できていない低年齢層(中学生程度?)を対象に、本人が精神的な悪影響を被らないようセーブしながら適度な残酷場面を提供するのが本来の意図なのかも知れない。そんなことは常識かも知れないが今回一応考えたので書いておく。 なお、最後に帰れなかった者がいたことを一瞬でわからせた映像はよかった。また前田希美さんに女子高生役は似合わないが、なかなか曲者の役を務めているとは思った。それでも今回せっかくの機会なので1点減にしておく。[DVD(邦画)] 2点(2020-01-04 09:29:33)《改行有》

364.  成熟 《ネタバレ》 昭和の怪獣映画「ガメラ」シリーズに携わった監督と脚本家が、大映の倒産直前に完成させた最後の映画とのことである。冒頭からテロップが出る通り山形県庄内地域のPR映画で、これほどあからさまなご当地映画が当時あったのかと思ったが、監督の評伝「ガメラ創世記 映画監督・湯浅憲明」によれば、県が中心になって商業映画を作るための資金を出したので大映側の負担はなかったらしい。 内容としては、田舎のPR映画には過ぎた豪華キャストによる青春純情ラブストーリーになっている。水産高校と農業高校の対立感情(ジェット団とシャーク団?)とか、漁家と農家の利害が一致しない(モンタギュー家とキャピュレット家?)とかいう障害はあるにせよ、全体的には緩い感じで笑わせるところもある。主演女優のオッパイは見られないが、主人公の乳首が黒いのは妊娠しているからだとシャワー室で指摘される場面があり、うち妊娠については当然ながら事実無根ということになっていたが、乳首が黒いことの方は否定されないで終わっていた(見えないので不明)。また初めてのキスで鼻が邪魔だったというのは笑った。菊池俊輔氏の音楽が当時の特撮TV番組のように聞こえるところもある。 当時の世相として興味深かったのは、外来種であるアメリカシロヒトリの大発生が全国的な問題になった時期らしいことである。劇中では高校生が公園地で桜の防除作業を大々的にやっていたが、実際は行政主体で本当にこういうことをやっていたと想像される。 方言に関しては、地元民の助言がなければ出て来なかったであろう表現(「んだなしや」など)も入っており、庄内方言の特徴を捉えようとしたといえなくはない。しかしこの地方では絶対使わない助詞が残っているほか、特にアクセントが考慮されていないのでそれらしく聞こえない。この映画に限ったことではないが、どうしても東京語の話者が勝手にイメージした田舎言葉がベースになるのは残念なことで、この点では「隠し剣 鬼の爪」(2004)の田畑智子さんを見習ってもらいたいところだが(30年も後の映画だが)、地元言葉を積極的に取り入れようとしていたのは努力賞である。なお伴淳三郎氏は同じ県内でも方言の系統が違う地域の出身者なので当てにならないが、「おっかねぞ」は少しよかった。 ほかキャストに関して、ヒロインの友人役の八並映子さんは、同年の「ガメラ対深海怪獣ジグラ」にも出ていたので知らない人ではないが、2017年に亡くなられたのだそうで少しショックだ。また若手芸者の千鳥(演・深沢裕子)がなかなか可愛い人で、ヒロインと同じ豊田地区の出身ということになっていた。美人の産地という設定らしい。[DVD(邦画)] 5点(2020-01-01 09:20:45)《改行有》

365.  でんきくらげ 《ネタバレ》 昔から名前が気になっていたので興味本位で初めて見た。このシリーズは6作あるそうだが全部制覇しようという気は全くない。 内容としてはそれほど盛り上がるものでもなかったが、話はちゃんとできているので一応見られる映画にはなっている。結果的に主人公はどこまでものし上がるつもりがあるわけでもなく、母親を楽にさせて一緒に暮らすことが目標だったようで意外につつましい望みだが、これから一生それで済むのかはわからない。 主演女優はあまり馴染みがなかったが、「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」(1968)には出ていたので見たことがなくはない。不自然なまでにオッパイを隠す(一人で電話している時も隠す)割に時折乳首が見えたりして徹底しないのはどういう方針なのかと思ったが、単にチラ見せが尊いというだけのことか。昭和の女性にしては脚がきれいだと思わせるところはあった。 自分としては何を面白がればいいのかよくわからない映画だったので、とりあえず現時点での平均点をつけておく。 以下余談として、この時代には5万円というのがそれなりの金額だったと思わせる台詞があったが当時の感覚がわからない。消費者物価指数の推移からみて現在の1/3程度の物価水準だったと思えばいいか。歴史的事件としては、昭和28年の鶴田浩二襲撃事件に関連して5万円という金額が出て来るが、その頃と高度成長期でも金銭価値は違うだろうから、劇中で怖い人が5万円掴まされて納得していたのは扱いに差が出ていたと思われる。[DVD(邦画)] 5点(2020-01-01 09:17:33)《改行有》

366.  仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判 《ネタバレ》 シーズン1(2016)、シーズン2(2017)に続く総まとめの劇場版で、それぞれの再編集版の劇場公開(2018/5/5、5/12)に続き5/19に公開されている。 今回は畜産計画なるものに関わるエピソードだが、最初に出た食料事情の説明が荒唐無稽な上に、そもそも食料としての優位性がどこにあるのかわからないので現実味は薄い。山中の養護施設のようなものも浮世離れしてスケールが小さいが、ダークファンタジーというか寓話的な物語とはいえる。無垢な少女の肢体を欲する好色ハゲオヤジというのも古色蒼然たる図式だった(芸能界では普通なのか)。 内容的にはこれまで同様激しいアクションで暴力沙汰が多く、こんなに血が出てよく生きているものだと思った。 一方で、以前からのトーキョーグール路線にはここで一定の結末をつけたように見える。人間を食わなくても生きられる、という点は非常に大事なことで、これで例えば現実世界のクマのようなものかと思えるようになった。赤の方はクマとみれば全部殺す執念の男だが、緑の方は人に害をなさない限り生かすべきという立場とすればわかりやすく、それで最後に赤が敗退したのは自然ともいえる。ただしいつ豹変して人を食うかわからないのでは、本来は人を食わないクマより危険だろうが、話が通じる点ではクマよりましであり、ここはクマとの決定的な違いである。 また、食う食われるの関係を善悪の話で終わらせなかったのもまともな態度である。結果としては気色悪いジジイが言っていたように、生態系が常に変化する中で、生きるために生きる生物が生き残る、という普通の見解で終わったようで、あとは人間の立場として人間が生き残れるよう、やるべきことはやらせてもらうということになる。ただ何をどうするにしても冷徹な判断だけでなく、気持ちとか思いとか心も重要だということを言っていたような気はした。 自分としては特に面白いシリーズではなかったが、あまり観客が関心を持たなそうな面でもいろいろ考えながら作っているようではあった。 ほかキャストとしては、武田玲奈さんが最後まで良心的な役柄で、優しいお姉さんの顔を見せていたのはよかったが、ただ劇中事情に即していえば、この人物はそのうち不良少年に食い殺されて終わりと思われる。また東亜優さんはクラゲでもなく慈母のような存在で、こんなところで膝枕もいいかも知れないとは思った。[インターネット(邦画)] 5点(2019-12-27 23:25:48)《改行有》

367.  劇場版 仮面ライダーアマゾンズ Season2 輪廻 《ネタバレ》 シーズン1に続くその2である。前回と同じく2017年4~6月の13話からなるシーズン2を1/5弱に短縮した再編集版で、シーズン1の公開(2018/5/5)一週間後の5/12に劇場公開されている。 単純な続きではなくいきなり5年後になっており、冒頭に少しだけつなぎの部分があるが超ダイジェストのため、かろうじて子ができたことがわかっただけである。その後も何をやっているのか不明な場面が多く、さすがに総集編だけで見るのは厳しい気がした。例えば赤いのが人間を守る方針だった理由は、つなぎの部分でも説明があったようだが、結局Wikipediaの記事を読むまでわからなかった。 物語的には前回に続いて「東京喰種 トーキョーグール」路線に見えるが、登場人物の間で劇中世界への対応姿勢に違いがあることは明瞭になっている。対立する立場のうち、赤いのが「人間は守る」と言っていたのは人類にとっての共通認識であるから、視聴者の立場としてもモグラに死んでもらう必要があったのは間違いない。一方の緑は当事者として自分なりの判断基準を持っていたようで(よくわからなかったが)、目的に応じて赤とも人とも共闘する姿勢だったらしい。 今回少し注目したのは「楽をした分誰かにつけが回る」で終わる一連の会話だった。前回の駆除班がなぜかいつまでも5円玉の御縁にこだわるのは呆れたが、そういう情に流されてどっちつかずの態度を取るのでなく、まずは自分の立場をはっきりさせる(旗色を鮮明にする)ことが大事ということかと思った。劇中でいう「ちゃんと向き合う」というのも、その上でのことだったようである。 キャストについて、武田玲奈さんはやっと前面に出るようになったが、今回はどうもヒロイン役を別人に取られてしまった印象もある。そもそも可愛く見せようという気がないのではと思ったが、しかし劇中人物としては自分の方針をしっかり持っていたのがいい役柄に見えた。また東亜優さんはいきなりお母さんになったあげくにクラゲというのも困った展開だが、上半身裸になって(!) 胸は見せない場面もあったりした(特にエロくはない)。子が父母のそれぞれに似ているというのは泣かせどころだったかも知れない。 そのほか、この手の番組でウニが出て来たのは初めて見たと思ったが、実は昔の仮面ライダーシリーズでも結構出ていたらしい。今回は殻の中身まで見せたようなデザインが秀逸だった。[インターネット(邦画)] 5点(2019-12-27 23:25:45)《改行有》

368.  劇場版 仮面ライダーアマゾンズ Season1 覚醒 《ネタバレ》 仮面ライダーシリーズの劇場版である。今どき「アマゾン」である理由に関して、劇中でも開き直ったような説明は一応あったが、それよりこれ自体がAmazonプライム・ビデオで公開されたオリジナルコンテンツだそうなので、そのこととの関連で捉えた方が素直に納得できる。 この映画は、2016年4~6月の13話からなるシーズン1を1/5以下に短縮した再編集版とのことで、総まとめとなる劇場版の公開(2018/5/19)に先立ち5/5に劇場公開されている。総集編のため細かいところは飛ばしているのだろうが、大まかな話としてはわからなくはない。ちなみにもとの13話も追加料金なしで見られるがそこまでの熱意はない。 まずアクション部分はかなりハードな印象があり、力任せの生体破断など残酷というより豪快で、自己の存続をかけた容赦ない闘争の表現に見える。ただし自称が「ボク」の男が2人もいるのは気色悪く、そんなことで同情を買おうとするなと言いたくなったが、そういう甘ったれも最初のうちだけだったらしい。 一応は子どもを含む広い世代が見る想定のようだが、ただし製作側が意図したように「30~40代の男」にとって「見応えのあるもの」かどうかは何ともいえない。特に、ちょっと恥ずかしいほど「東京喰種 トーキョーグール」と似たようなことを言っている(2017年の映画しか見ていないが)のでまたこの話かと思わされるが、しかし最後になると赤いのがあくまで「人間を守る」と宣言する一方、駆除班までが反対側に味方したりして、それほど単純な図式でもなかったらしい。これを見た限り緑の立場は微妙なようで、そのうちどこかで無理が出るのではという気はしたが、とりあえず今後の動向を見るしかない。 キャストに関しては、個人的に最大の見どころになるはずだった武田玲奈さんが、この再編集版ではほとんど出番がないので落胆させられる。こんなことならかえって変に危ない場所に出て来ないで別のところで可愛く女子高生でもやっていればいいのではと思ったが、キャスト配列順を見るとヒロイン役(緑の方)の位置付けのようで、次回以降は活躍の場があるのかも知れない。また東亜優さんも素性不明の役だが、同じく大人のヒロイン役(赤の方)ということになるので、そういうことも含めて期待感を高めておくことにする。[インターネット(邦画)] 5点(2019-12-27 23:25:41)《改行有》

369.  オンネリとアンネリのふゆ 《ネタバレ》 「オンネリとアンネリのおうち」(2014)に続くシリーズ第2作で、前回は夏だったが今回は冬の話である。クリスマス直前なので12月ということになるが、それほど寒そうでもなく日中は明るい。前回の登場人物はレギュラー化しており(ブタに色がついている)、撮影地は引き続きロヴィーサである。 今回は主人公2人が「こびとの一族の家族」を迎える話になっている。そもそも2人の自宅からしてお人形さんハウス仕様だが、その家にある本物のお人形さんハウスに家族が入居して、2人がまたその客人になるという入れ子構造である。ユーモラスで心和む話といっても悪人を登場させなくては済まないようだが、金に目が眩んで見せ物小屋に売り飛ばすといった古風な行動なのがまたファンタジー感を出している。あくまで人の性が善であることを前提にした物語である。 劇中家族は主人公ほか多くの人々に助けられていたが、しかし弱者だからと一方的に守られるべき存在でもなかったらしい。「自立することが大事」(字幕)との言葉は、当初からの主人公2人の思いに、人としての誇りを持って生きようとする意思を重ねてみせたように思われた。 以下雑談として、映画紹介と字幕では一家の名前を「プティッチャネン」と書いているが、これはフランス語のpetitを使った日本版限りの造語と思われる。台詞で実際に言っていたのはVaaksanheimo(ヴァークサ族または一家、Vaaksanheimolainenとも)だったが、vaaksaというのはかつて使われていた長さの単位だそうで、肘から指までの長さを表すkyynäräの1/4に当たり、メートル法では約14.8cmになるらしい。日本でいえば一寸法師のようなネーミングということになる。 ほかにも日本版では、劇中家族の少年の名前がPuttiであることにからめて、この種族独自の単語を「プティ」という言葉で表現していたが、実際に原語で使われていたのはpikku(小さい)である(サンタクロースJoulupukki→サンプティクロースJoulupikku、メリークリスマス"Hyvää joulua."→メリープティクリスマス"Hyvää pikkujoulua.")。なお英語版では来訪者の家族を"McTiny family"という名前にしており、それぞれの言語で“小さい”ことを表現するよう工夫していたようだった。 この一族のクリスマスがなぜか普通より少し早いのは、主人公2人が自分らの家でクリスマスを楽しむための設定だったらしい。森にはこういう家族がほかにも住んでいたようで、見ていた子ども(主に女子?)にとっても夢のある終幕だったはずである。[インターネット(字幕)] 7点(2019-12-21 09:56:01)(良:1票) 《改行有》

370.  レア・エクスポーツ ~囚われのサンタクロース~ 《ネタバレ》 題名のカタカナ英語がよくわからない。これだけでは何の映画かわからないので日本でも副題を付けているが、Internet Movie Databaseで見ると世界各国でそれぞれ好き勝手な題名を付けていたようで、国によって映画の受け取り方が違うということかも知れない(かなり可笑しいのがある)。ちなみにRare Exportsの意味は映画の最後にならないとわからない。 クリスマスの映画といっても映像的には汚く見えるところが多いが、周囲の自然景観はさすがに見栄えがする。設定上の舞台は、フィンランドでサンタクロースの本拠地とされるラップランドのコルヴァトゥントゥリ(Korvatunturi, 486 m)という山の周辺だが、実際の撮影地はノルウェーのトロムソTromsøとのことで、本物よりも周囲の山が険しく見えていると思われる。ちなみに昼の時間が極めて短いのは北極圏の冬の表現だろうが、12月下旬なら実際はほとんど真っ暗ではないか。 物語としては大昔のサーミが封印した悪魔のようなものを、外国資本が蘇らせてしまったために破滅の危機が迫るといった体裁で、一応ホラーのように見えなくはない。サンタの使い魔?(原語でtonttuと言っている)が集団で迫るのはけっこう不気味で、真冬なのに全裸で股間にぼかしが入っているのは子どもに見せるものとも思われない。 ところで一般的には、サンタクロースといえば言葉の意味からしてもキリスト教の聖人と思うのが普通だろうが、この映画では独自の発想で“サンタクロース異説”を作ったように見える。 しかし必ずしも常識外れなものをでっち上げたわけではなく、もともと現地のサンタクロースとはこういうものだったとも考えられる。フィンランド語でサンタクロースをいうJoulupukkiは“ユールのヤギ”であるから、サンタの親玉が角を生やしていたのも変ではない。また死人が出たのは大殺戮の予兆にも見えたが、実はドイツの黒いサンタや日本のナマハゲ(アマハゲ、アマメハギなど)のように、悪い子を懲らしめればそれで終わりだった可能性もある。古書の挿絵は主人公のようなクソガキに脅しをかけるための誇張に違いない。 そのように本来は子どもに恐れられる存在だったものを、お仕置き確定のクソガキが妙な行動力を発揮して撃退した物語だとすれば、痛快かも知れないがかなりふざけている。あるいは商業主義にまみれたクリスマスへの皮肉を込めた社会派映画かも知れないが、それにしてもふざけた映画というしかない。家族でクリスマスを祝う善良なフィンランド人のイメージは破砕されてしまうが、ユニークなのは間違いないので少し好意的な点数にしておく。 余談として、劇中に出ていたようにコルヴァトゥントゥリはフィンランドとロシアの国境にあるが、妻のヘアドライヤーが何者かに盗まれたと思い込んだ住民が「ここではローテクでもロシアでは最新器機だ」(字幕)と決めつけていたのは笑った。辺境の国境管理は大変だ。[DVD(字幕)] 6点(2019-12-21 09:55:58)《改行有》

371.  サンタクロースになった少年 《ネタバレ》 原題も英題もクリスマス物語である。主人公の名前は一応聖ニコラオスから取ったようだが、話自体はキリスト教と関係ないので異教徒でも無宗教でも見られる。そもそもフィンランド語のクリスマスJouluもサンタクロースJoulupukkiもキリスト教とは関係のない言葉のようである。 時代としてははっきりしないが、豊かでもない庶民が懐中時計を持っているからにはそれほど大昔でもなく、もう19世紀に入った頃のことではないかと思った。電気はさすがに通じていなかったが、村の人口が増えたというのは前近代を脱したという表現のようでもあり、孤立的な昔話ではなく現代に直接つながる出来事と取れる。 撮影場所は、フィンランドでサンタクロースが住むとされているラップランド地方とのことで、なだらかな山容が特徴的に見える(実は見たことがなくはない)。季節の変化も印象的で、これが現地の風景だとほれぼれした。ほかに師匠と主人公が家具を売りに行った場面は南部の都会トゥルクの大聖堂で撮っている。 内容としては完全オリジナルのサンタクロース誕生秘話を極めて誠実に作っている。師匠と一緒にプレゼントを配ったとか、親友の娘が家を訪ねて来た場面は少し感動的だったが、ただ全般的に展開が駆け足すぎて、大河ドラマを一晩だけの総集編にしたようでもある。後半で突然ヒゲオヤジに化けたのも唐突な印象で、個人的には健気で賢明な少年と、親友や師匠とのやりとりをもっと見ていたかった気がした。 自分の志を世の父親連中に委ねて、本人は空から子どもを見守る存在に昇華したという結末(多分)は悪くないとしても、主人公自身が自分の家族を持つという選択はなかったかとはどうしても思ってしまう。主人公の心境は正直よくわからなかったが、家族と思った師匠も去ってしまって一人残された家で、妹代わりかと思った人物の忠告も聞かず、他人の子どもを自分の子のように思うしかない状態に自ら追い込んでいった面がなかったのか、と思うと少し寂しい結末だった。 その他の事項として、プレゼントをしておいて知らないふりをする主人公もそうだが、顔の怖さを前面に出す師匠とかツンデレ少女とかがシャイといわれる国民性の表現のようで面白かった。個人的にも以前に現地へ行った時に、不愛想で物も言わないが親切なフィンランド人というのが本当にいたのを思い出した。[DVD(字幕)] 6点(2019-12-21 09:55:55)《改行有》

372.  予兆 散歩する侵略者 劇場版 《ネタバレ》 「散歩する侵略者」(2017)のスピンオフとして、全5回で放送したTVドラマの総集編とのことである。演劇臭を感じないのはいいとしても、本編と同じSFまがいの設定自体にそれほど面白味はなく、その上に各場面が変に長いので話が前に進まない気がして、冗長な映画という印象は本編よりも強い。ちなみに劇団名に合わせて生き埋めにされた男もいたが、そういうのを面白がってみせるほど好意的な立場でもない。 物語的な面では、観客に説教しようとするような煩わしさはなく、また終盤で「愛」があっさり否定されたように見えたのも結構なことである。ただし本編と同じ話のスピンオフということは、やはり最後に愛は勝つというおめでたい世界観は共有していることになる。 「愛」より重視されていたのは「死の恐怖」のようだったが、今回はそれを知った宇宙人が死んでしまったため、侵略を止める方向には作用しなかったという結末だったのかも知れない。ただしそこで疑問に思ったのは、死の恐怖自体が根源的な存在だというよりも、まずは生物としての生存の本能というのが根底にあって、そこから死の恐怖と共存への努力の両方が派生するのではないかということである。そういう本能を持たない宇宙人が、死の恐怖からいきなり共存への努力に短絡していたのは唐突で説得力に欠けていたが、しかしホラー映画であるからにはとにかく恐怖が重要だと思ったかも知れない(同じ脚本家の「恐怖」(2009)という映画もあった)のでいいことにしておく。 なお気づいた点として、序盤の父と娘はかなり(気色悪いほど)密着度の高い関係だったようで、ここで切り離されたのがかえって幸いだったのではと思った。また侵略の開始が火球とかではなく、地球温暖化による気候変動を連想させる豪雨だったのは、本編のような安手の映像も不要でかつ今日的な意味もある表現だった。 ほかキャストに関しては、特に序盤で空を見ていて振り返った夏帆がかわいい。というか職場で髪を後にまとめた顔がかわいいということだが、そのほか全般的にこの人の見せる表情が最近好きだ(前から好きだが)。[2019/12/14追記]変な男と付き合わなければよかったが。[ブルーレイ(邦画)] 4点(2019-12-14 08:58:15)《改行有》

373.  指恋 ~君に贈るメッセージ~〈web〉 《ネタバレ》 エイベックスとソフトバンクが運営していたスマートフォン向け配信サービスのUULA(2013~2017)が製作したwebドラマである。本来は1話10分で全12話あり、全部つなぐと映画1本分の長さになる。 宣伝上は「恋に踏み出せない女の子」を応援するドラマということで、中高生向けのケータイ小説とかが原作かと思ったらオリジナルの脚本らしい。最初のうちは中高生というより中学生向けかとも思っていたが、後の方では少し対象年齢が上がったように見えるので、あまり侮ってかからないで虚心に見た方がいい。 物語としては、日本人男女になぜか外国人の男を加えた三角関係ということになっているが、実際はさらに2人を加えたW形にして一定の複雑性のある話を作っている。終盤の「おれに聞くなよ」以降、次第に明らかにされていく真実はありきたりともいえるが、それまで納得いかなかったことも最終的に全て解消され、結果としてけっこう悪くない話ができていた。 また題名に関して、映画紹介ではスマホのメールで思いを語ることだと説明されており、いかにもケータイ小説じみた軽薄なネーミングと思っていたが、実際見ればちゃんとまともな意味があることがわかって少し感動的だった(こんなドラマで感動したなどと言いたくないが)。また副題にいうメッセージは、字で書くと「웃어줘」だと思われる(これで正しいかどうか)。 キャストに関しては、主演の瀧本美織という人はよく知らないが、劇中で「普通の子」と言われていた通りの地味な容貌に見える。ただしそもそもが美形のため、これで「“非モテ”女子」といわれても現実味はない。 一方でライバル役の山谷花純さん(エイベックス所属)は、この頃まだ16歳くらいだろうが主人公と同じ女子大生役で、単純な可愛さではなく大人っぽさと個性を前面に出し、主人公が劣等感を覚えるだけの存在感を見せている。こんなwebドラマの場ではあるが、なかなかの大役を務めている印象はあった。ほか主人公の叔母役は、発声のせいで台詞が聞き取りにくかった。[DVD(邦画)] 5点(2019-12-14 08:58:11)《改行有》

374.  ロスト・メモリーズ 《ネタバレ》 日本がらみの歴史改変物語である。2009とは伊藤博文暗殺から100年後の意味らしい。 合作というだけあってそれほど激しい怒りを感じるところはないが、それは見る側の慣れもあるのと(最悪なのは他にある)、日本人との友情や日本人の家族愛も描写されるので悪印象が緩和されている面はある。 突っ込みどころはいろいろあるが最も困るのは、制作側がいったい何をもって“正しい歴史”と考えたのか理解できないことである。 まず映画の開始時点では、[A]伊藤博文が暗殺されなかったため?日本が第二次大戦の戦勝国となり、半島も満州も領土として維持したまま2009年に至った世界である。これを耐えがたいものとして主人公らが改変したあとの歴史は、[B]伊藤博文が暗殺されたため?日本が第二次大戦で敗れ、以降も現実世界と同様に推移したが、2008年に南北が統一され(どうやって?)、強大な経済力と軍事力によって「アジアの手本」となり、さらに高句麗の領土回復運動を起こした世界である(中国から見れば侵略的発想)。 このうち[B]は、2008年以降は向こうの立場として正しいのかも知れないが、しかし[A]であっても劇中の京城府は東京なみに繁栄しており、別に日本が植民地的に収奪してきた世界とも思えない。朝鮮戦争もなく、南北も分断されずに半島全土が豊かになっていたのだろうから、その状態から独立運動でも起こして[B]の2008年以降に繋げば一番都合がいいのではないか? それでも[B]が正しいと制作側が思ったとすれば、やはり日本に原爆が落ちて惨めに敗れた(自分らは戦勝国になった?)ことが不可欠であって、そのためには朝鮮戦争の惨禍も南北対立の歴史もあえて受け入れる覚悟と思うしかない。要はプライドの問題ということだろうが、他国の支配を嫌うのであれば、19世紀後半まで遡って自らその身を正すのが筋だろうと個人的には思った。日本にできたことができなかったはずはない。 ちなみに現代の感覚だと、過去に遡って歴史を改変した場合、単にそこから別の歴史が分岐するだけで、元の歴史はそのまま別世界として残ると考えるのが普通ではないか。唯一絶対の正しい歴史などはないと思わなければならない。 以下雑談として、 ○上記[A]はなぜかポカリスエットが蔓延する世界だった。 ○日本語の発音が不得意な人物はみな現地出身者という意味か。局長の金田という男は内地出身かも知れない。 ○花火の場面では、日本人の子役が日本風に可愛らしいので、他はどうでもこの子だけは無事でいてもらいたいと思った…こんな場所にいては制作側に殺されかねないので早く内地へ引き揚げろ。[DVD(字幕)] 5点(2019-12-14 08:58:08)《改行有》

375.  太平洋奇跡の作戦 キスカ 《ネタバレ》 かなり昔にTVで見たことがあり、その時点で記憶に残ったのは船を一杯二杯と数えていたことだったが、今回は伊号第七潜水艦(イ7)を「いのななせんすいかん」と呼んでいるという細かいところに気づいた。軍艦は往時の円谷特撮で映像化しており、戦艦大和のような有名どころでない地味な艦を大型の模型で細かく作ってある。個人的には海防艦国後の造形に注目した。 内容としては実際あったエピソードの組替えや一部改変で映画向けの物語を作っているが、結末はわかっているので不安要因はあまりない。司令官は臆病者かと疑うこともなく、また申し訳ないが最後の歓喜も予定通りに見える。 しかし途中で味方と衝突したとか、海岸近くをぎりぎりで航行する(少し誇張気味か)あたりは手に汗握る雰囲気を出している。そもそも司令官がこの役者であるからには、やる時はやるはずだというのもあらかじめ見えており、実際に潮流が激しい場所を恐る恐るでなく全速で一気に乗り切る場面を作っていた。だいたい水雷戦隊司令官が臆病者では務まらない。 また当然ながら現代の感覚で好感が持たれるのは、精神論より合理的判断を優先した気象班長のエピソード、及び撤退時に陸軍兵が銃を海中に捨てていた場面である。これは天皇から預かった銃が生命より重いかのように思われていた時代に、道具より人間を優先した指揮官がいたという史実をもとにしている。 太平洋戦争で日本が守勢に回って以降、ほとんど唯一完璧に成功したのが撤退作戦だったというのも情けないが、現代の感覚としてはまあそんなものだと思わなくはない。全員逃げてからも敵は気づかず、上陸作戦で大混乱だったというのは痛快ではあるが、どうせなら同志討ちの米兵も死なずに済めばもっと完璧な結末だったろうと思ったりする。 なお劇中では、なぜか犬をつないだまま逃げていたので心配させられたが、これも米軍の上陸時点でちゃんと生きていたらしい。 ほかこの作戦のために潜水艦の乗員69人が犠牲になったのが玉に瑕のように見えたが、この事件自体は映画での創作だったようである。台詞にもあったが史実としては、それ以前の段階で撤退や補給に従事していた潜水艦が何隻か失われたとのことで、それをこの映画ではイ7潜1隻で代表させた形だったらしい。映画を見ていると、艦隊参謀に続いて発射管室の人々くらいは出られるのではと思ってしまうが、そこは残念ながらもう間に合わなかったことになっていた。[DVD(邦画)] 6点(2019-12-07 11:22:22)《改行有》

376.  ハワイ・マレー沖海戦 《ネタバレ》 円谷特撮の最初期の傑作として有名なだけあって、ミニチュアやジオラマはよくできている。しかし水柱とか爆発とかの動きが出ると模型であることが一目瞭然で、これを見て実写と思ったという米軍は目が節穴だったのかと思う。 ほかに大がかりな屋外セットも作ったとのことだが、どうやらこれは本物ではないかと見える映像もある。個人的には航空母艦の飛行甲板の下で、支柱に人が取りついている映像は何だったのか知りたい。 物語としては、戦意高揚映画だからといって戦意を高揚させられる義理もないので自由な見方をすると、まず前半の清く正しい練習生のところは息がつまりそうで(皆さんご立派で辟易)、こんなのを見て飛行兵を志す少年などいたのかと思った。しかし一方で、主人公の家族を描いた部分が切なく見えたのはかなり意外だった。 主人公が序盤で見た夢は入隊直後の不安の表現だろうが、それにしても姉妹のわけのわからない言動が不穏なものを感じさせ、さらに仏壇に向かう母親の背中が寂寥感と不吉感まで出している(父親が亡くなった事情も不明)。また突然帰った息子と母親が相対した場面では、表向きではない本当の思いが抑制的ながらも明らかに見えて痛々しい。こういうものが戦意高揚映画にふさわしいのか不明だが、それを見て問題とも思わない海軍の関係者も目が節穴だったのか、あるいはわかっていても許容したのかどうか。 後半は題名通りの話になるが、開戦劈頭の勝ち戦限定なので逆にその後を意識させられてしまう。本当に主人公が真珠湾攻撃に参加したのなら、公開年の6月にあったミッドウェー海戦を生き延びられたのかがまず問題になる。また実際に、主人公役の俳優が映画公開の頃に兵隊に取られ、翌年(昭和18年)1月には戦死したと知ると寂しい気持ちにさせられてしまう。 結果として、個人的には全く戦意を高揚させられない映画だった。 ほか余談として、主人公の姉は変に洋風美人で(顔が非国民)妹も可愛らしいので、どちらかに婿を取ればいいくらいの割り切りがあっただろうとは思う。また艦内では日本海海戦のような艦名当てクイズをやっていて、この映画でもユーモラスで笑わせる場面になっていた。終盤では哨戒機の操縦席に女児向けのぬいぐるみのようなものが下がっていたが、これは例えば幼い娘が自分の一番大事なものを父親にあげたというような想定だったのか。[DVD(邦画)] 6点(2019-12-07 11:22:17)《改行有》

377.  テール しっぽのある美女 《ネタバレ》 ノルウェーの民間伝承に出る森の精霊「フルドラ」(定形単数huldra、不定形単数hulderフルデル)を扱った映画で、尻尾のある美女が男を惑わすという点を基本にして、ほかに歌とか再生といった関連要素を加えている。「トロール・ハンター」(2010)に続くノルウェー発の未確認生物映画のようだが、素っ裸の女性に男2人というのは「ジェーン・ドウの解剖」(2016)に先んじた感じもする。身長が160cm台というのはわりと小柄な方ではないか。 ちなみに原題のThaleの意味はわからなかったが、単に美女の個体名(ターレ)だったと思えばいいのか。少なくとも邦題にあるテールtailのことではないらしい。 ジャンルはホラーとのことだが特に怖くはなく、低レベルのドッキリがあるだけである。若干グロい・汚いところもあるが自分的にはそれほど大したものではない。映画紹介に書かれた通り、特殊清掃の現場で発見された謎の美女の正体が何なのかを明らかにしていく話だが、設定とか展開はわりと適当な感じなので、あまり突っ込まないようにして見た方がいい。 途中段階ではロリコンジジイの話かと思ったが、最後は一応の物悲しい雰囲気を出しており、例えばネコを愛玩しながら生きていた老人が死んで、その後にネコが外の世界に出て行った感じと思えば身につまされるものはある。ただし終盤で娘との再会場面があり、また最後に「(母方の)祖父と母に捧ぐ」という言葉が出ていたことからすれば、ロリコンでもネコでもなく父と娘の関係がテーマだったらしい。ラストのナレーションで語られたことが劇中でも表現できていれば感動的だったろうが、そうでもなかったのでもっとちゃんと作ってもらいたい。 全体的に低予算映画のようではあるが、映像面では(CGの造形を除き)悪い感じはしなかった。ノルウェーっぽい風景も少し出ており、湖?(入江?)の向こうにある羊蹄山のような山はどこなのかが気になった。「ターレ」は美女といっても野性味が出ているが(女優は20代末)、少女時代は可憐で可愛らしい。外見だけ見て野生動物を欲しがるな。[インターネット(字幕)] 4点(2019-11-30 14:30:06)《改行有》

378.  キューポラのある街 《ネタバレ》 少し前に埼玉県関係の映画を見たのでついでに見た。現在の川口市に、埼玉県が開設した映像産業の拠点「SKIPシティ」があるのはこの映画にちなんでのことと思われる(知らないが多分そうではないか)。駅前などは当時の現地の風景らしい。 冒頭のナレーションでは川一つ隔てて東京と違うと言っていたが、主人公の家族などはまるきり江戸っ子のようで、また気のいい不良少女が赤羽に遊びに行ったなど、現地感覚としても近所なのは間違いない。頻繁に映る橋や鉄道は、東京との境界が存在することと同時に、電車で東京に直結する場所であることの両面を表現しているように見えた。 物語としてはそれほど共感できるところはないが、主人公姉弟とその友人の関係性は見どころかと思った。 また序盤では、主人公の父親の境遇が「太陽のない街」(1954)の主人公の父親に似ている気がしたが、最初が似ていただけで結末は全く違っており、これが時代の違いの表現だったようでもある。劇中労働者が、今どき組合をアカ呼ばわりなど世間の物笑いだ、と言っていたのは意味不明で笑ったが、そもそも最初から革命志向などはなかったようで、戦後になって労働法制も整備され、古い体質の町工場と職人が近代的な企業と労働者になれば、労働条件も所得も向上してみんな幸せになるというつもりだったらしい(ちょっと微妙だが)。 主人公の周囲にはまだまだ貧困もあり、貧しい者が貧しい者から奪う姿のようなものも見えた。しかし一方、主人公にショートケーキを出した友人などは少し上の方としても、修学旅行の小遣いの話からすれば既に中流が大多数のようでもある。この社会を根底から変えるためにはトリと卵のどちらが先かなどと考えるのでなく、とりあえず一人ひとりがそれぞれの力でいい方へ向かっていこう、というのが最後の結論だったとすれば、それは現実の日本がたどった道筋ともいえる。結果的にはやはり先の明るい高度経済成長期の話に見えた。 なおこの頃は朝鮮特需が記憶に新しかったらしく、そのことについての後ろめたさもあったのか、在日の帰還事業を肯定的に扱っていたのが今となってはちょっと困った感じになっている。日本人妻は幸い逃れていたが、温和な顔の少女などはその後どうなったのかと案じてしまう。日本で生まれ育ったからこそこれだけ賢明で心優しい人物でいられたのだろうが。 キャストに関しては、このすぐ前に「獄門島」(1977)を見たばかりだったので、この映画で加藤武氏が少し男前の役だったのは新鮮に見えた。また吉行和子という人も20代で可愛く見えるところがある。主演女優には個人的に何の思い入れもないが、この映画では若くて生き生きして庶民的なところも見せたりして、もとはこういう人だったとわかったのが少し感動的だった。[インターネット(邦画)] 6点(2019-11-30 14:29:11)《改行有》

379.  太陽のない街 《ネタバレ》 原作にかなり忠実に見える。特に大きな改変はないようで、これは製作時点の昭和29年でも、大正末年~昭和初期の内容がそのまま通用するとの考えだと思われる。 話としては同じでも、登場人物の生の迫力が映像的な価値を加えており、また例えば「婦人部会」はこういう場所でやっていたのかといった意外感もある(座敷があるとは思わなかった)。追加要素として、玉の井に売られたとか妊婦の拷問場面(少し)といった刺激的なところもあるが、運動会での人々の表情や、独自要素としての人形劇などユーモラスな場面も加えている。ストーブの煙突が熱かったのは笑った。 撮影場所に関しては、谷間の長屋は広大な空き地(現・駒沢オリンピック公園)にオープンセットを作ったとのことだが、ほか主人公が坂を降りて来る場面で右側に見える塀は、現在の小石川植物園の敷地北西側にある塀と同じに見える(65年間も同じ塀???)ので、他にも小石川の現地周辺で撮った部分があったかも知れない。 ところで今さらながらの素朴な疑問は、労働運動と革命運動は必ずセットでなければならないのかということである。要は19世紀ドイツの著名な思想家の影響なのはわかるが、劇中の争議団員は必ずしも革命自体を目指していたようには見えず、一方で経営者側の台詞によれば真に問題なのは「赤色攻勢(??)」であって、この争議自体には妥協の余地もあったということらしかった。つまり体制側がロシア革命の波及を恐れたことが弾圧を招いたのであり、争議の敗因もこの辺にあったように取れる。 労働者が力を持ち、社会的地位の向上や労働条件の改善を目指すこと自体が否定されるものでは当然ないが、少なくとも現在の感覚でいえば、この時期に日本でも革命が起きていればよかったなどとは全く思えない(社会主義国も戦争はする)。最初の方で、「失業者がうんと出りゃそれだけ革命が早くなる」という発言に対して中心人物の男が反発していたのは、本当に大事なのは労働者の生活であること、さらにいえば、労働者が野心家(革命家)の道具にされてはならないとの主張にも感じられた。 この映画(と原作)がこれまでどう解釈されてきたのかは知らないが、とりあえず自分としては以上のように思っておく。 ほか出演者としては、幹部連中の中にいた加藤嘉氏がイメージと全く違う姿で意外だった。また「生きる」(1952)で印象深い小田切みきという女優が主人公と親しい役で目立っていた。[DVD(邦画)] 6点(2019-11-30 14:29:09)《改行有》

380.  獄門島(2016)<TVM> 《ネタバレ》 NHK BSプレミアムで放送されたドラマである。冒頭の場面で、これは今までと違う金田一耕助だといきなり宣言したように見える。 ただしその後は意外にも、復員放送とか靴の傷といった原作の要素を細かく拾いながら、ミステリー部分を中心に手際よくまとめたドラマになっている。映像面で美的に感じられる場面も多く、これはこれで悪くないのではと思っていた。 しかし終盤に至るとまた意外にも、それまでおとなしくしていた制作側が態度を一変させたかのように見える。金田一と和尚の対決場面では、原作にある要素をちゃんと使いながら、刺激を何倍にも増幅させて痛快感と説得力を出しており、ここは正直圧倒された。金田一本人が気○がいのように笑うのにつられてこっちも爆笑してしまった。 またここで見せた金田一の隠れた側面が、ラストで出た戦争についての述懐にもつながっていたように思われる。全てを掴み切れた気はしないが、人命の空しさに関わる虚無感のようなものがあったようで、戦争体験が金田一の人物像に大きく影を落としていたらしいのは前の映画にもない独自の趣向に見えた。 原作自体があまり面白い話と思っていなかったので事前の期待との差が著しい。旧作映画のファンには受け入れられない面もあるかも知れないが、何のこだわりもない立場としては、これが原作付きドラマの鑑だと断言してやる。 ちなみに早苗さんへの思いを込めた場面もちゃんとあって切ない。 以下は個別事項として、登場人物では警部が有能そうで威厳のある立派な人で、この人物との関係性が金田一の真価を際立たせている。また鵜飼という男が、最後には金田一の戦友のように見えていたのは意外で面白い。ほか完全に捨象されていたのが「勝野」の存在で、1977年版で都合よく使われたのであえて外したとも取れるが、逆にいえばいなくてもいい人物だったということである(ネコは出ていた)。 キャストについて、仲里依紗嬢は個性的過ぎるので早苗さん役としてはどうかと思ったが、実際見れば可憐で健気な姿を見せており、この人の少女時代を少し思い出した。ほか熟女系の人々は今回あまり目立っておらず、代わりに三人娘が見どころともいえるが出演時間が短い。吉田まどかさん(花子)はまだしも最初の場面でものすごく可愛い顔を見せていたが(死に顔も結構かわいい)、秋月成美さん(雪枝)などどこがこの人なのか全くわからない有様だった。 最後に撮影場所に関しては、どうも瀬戸内海にしては海が広く、また山がちな小島にしては網元屋敷など広々として平たい場所に見える。祈祷師の言った「山が割れ…」の表現ということなのか「道遊の割戸」も映っていたが、見たことのある者からすれば原作と全然違う場所なのが明白であり(佐渡市相川銀山町)、要はエンドクレジットに出ていた佐渡と柏崎で撮影していたわけである。最初と最後で島のように見えていたのは小佐渡山地の北端あたりかと想像しておく。[DVD(邦画)] 8点(2019-11-23 13:58:39)《改行有》

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