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プロフィール
コメント数 731
性別
自己紹介 奥さんと長男との3人家族。ただの映画好きオヤジです。

好きな映画はジョン・フォードのすべての映画です。

どうぞよろしくお願いします。


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人生いろいろ、映画もいろいろ。みんなちがって、みんないい。


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【製作年 : 1990年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  PNDC-エル・パトレイロ 赤茶けた荒野を貫くハイウェイ。石と泥土の家並み。峡谷に架かる吊り橋。そして、突発的に繰り広げられる銃撃戦…。どこまでもドライでありながら、ここには「西部劇」への愛、「メキシコ」の地への愛が満ち満ちている。若く正義感に燃えた新米パトロール警官が、またたく間に“堕落”していく姿を、アレックス・コックス監督は一見ノンシャランないつもの「軽さ」と醒めた眼差しで追う。が、そこには、これまたこの監督独特の冷笑(シニシズム)と厭世(ニヒリズム)を超えた“叙情(リリシズム)”がかすかに、しかし確かに画面から漂ってくるかのようなのだ。だからぼくたちは、この主人公に対してコックス作品としては例外的(!)に感情移入できるのだろう。彼の抱える虚無感や閉塞感は、この現代を生きる我々にとっても実にリアルかつストレートに迫ってくる。その中で、なお人間性を見失わずに「生きる」ことは可能なのか…。単純で薄っぺらな「アクション(なんて言えたもんじゃありませんが…)映画」のようで、実に様々な“思索”へと見る者を誘う、これは小さな大傑作だ。…少なくとも、小生にとって。10点(2004-03-03 12:25:50)

22.  アイアン・ジャイアント 何の予備知識もなく、「どうせアメリカのおたくが日本のアニメの影響を受けて作った、巨大ロボットものなんだろ」とタカをくくっていたものだから、作品の冒頭、人類初の人工衛星スプートニクが登場するところで思わず虚を突かれる。ああ、これって米ソの「冷戦」を背景にした、1950年代SF映画へのオマージュであり、ノスタルジーなんだ。つまり、まさに“アメリカン・オリジナル”なんだと。だから、あの執拗に巨大ロボットを追う捜査官にも、当時の狂信的な「赤狩り」的風潮を読み取れるし、主人公の父親がおそらく朝鮮戦争で戦死したことをさり気なく写真一枚で語らせるあたりの見事な演出も、1957年という時代設定だからこその巧みさ。そしてそれゆえ、宇宙から飛来した巨大ロボットに《ハート》があり、地球の少年と心通わせるという『E.T』あたりのスピルバ-グ風展開にも、よりいっそう豊かな陰影を与え得たというべきだろう。これは、真に「知的」な映画、本物の映画です。間違っても“アニメ”だからと馬鹿にしてはいけない。これだけ豊かな映画的センスと、それ以上に「歴史意識」をもった作品など、ただアドレナリン湧出の量だけを競うかのような、今の幼児化した「痴的」なほとんどのアメリカ映画において、きわめて稀れなのだから。…ウチの息子にとっても、本作のDVDはまたとない「財産」になってくれそうです。10点(2004-02-16 16:10:40)(良:5票)

23.  地獄のハイウェイ 『ミスティック・リバー』や『L.A.コンフィデンシャル』、世間的には評価イマイチなれど、小生にはこれまた見ン事な“仕事”ぶりであると確信する『ポストマン』と、小説の映画用翻案にかけては当代きっての才人ブライアン・ヘルゲランド。でも、自分で監督すれば『ペイバック』に『ロック・ユー!』と、なぜかオフビートな「怪作」を嬉々として撮る、このキテレツな男の初期シナリオ作品です。で、案の定というか、いかにもB級ホラー風の原題・邦題とは裏腹のハチャメチャなコミカル・ファンタジー! ハネムーンの途中、真夜中のハイウェイで地獄から来た警官に新妻をさらわれた男の冒険が、テレビのバラエティ番組のコントみたいな感じでゆる~く描かれるというもの。主人公は彼女を救出すべく地獄に向かうのだけど、そこはどうみてもアリゾナあたりの砂漠。そんな中に、いきなりヒットラーが登場したりする脈絡のなさはほとんどアメリカン・コミックの世界だけど、様々な「都市伝説(フォークロア)」を飽きることなく産み出すアメリカの「社会心理学」的というか、精神的土壌(!)のカリカチュアをめざそうとしたフシが、随所に窺えるあたりやっぱりヘルゲランド節(つまり、こういう“深読み”ができるってことが)であります。重要なわき役でリチャード・ファーンスワースが出演していたり、主演であるロブ・ロウの弟のチャド・ロウも、クリスティ・スワンソン(キュート!)も、本作のC調なノリにぴったりで悪くない。これでもう少し監督に、脚本のオフビートなセンスを活かす腕があれば…と惜しまれるものの、深夜放送でひょいと出会えたなら、それなりに楽しめるのではありますまいか。《追記》あ、あのヒロインは恋人で、まだ結婚してませんでしたか…。ともあれ、久しぶりに見直してみたくなりましたよ。【なにわ君】さん、感謝! です。[地上波(吹替)] 6点(2004-02-16 15:16:36)

24.  バッド・インフルエンス/悪影響 まだ、名もなく貧しく(か、どうかは分からないが…)一生懸命な新進スリラー映画作家だった頃のカ-ティス・ハンソン監督作。ネタ的にはヒッチコックの『見知らぬ乗客』の亜流だけど、ヒッチ作品じゃボカされていた“主人公ふたりの屈折した同性愛ゆえの確執”というテーマが、ロブ・ロウとジェームズ・スペイダーという美形男優の起用によってより鮮明になったところが刺激的。つかり、かの名作に対する批評的オマージュになっているんだよね。とにかく、スペイダーにとことんつきまとうサイコ野郎を演じたロブ・ロウが、なかなかの気色悪さで好演。後半はほとんどホラ-映画のノリだけど、これはハンソン監督の才能を十分に伝えている快作でしょう。途中、チラリとゴダ-ルの『アルファヴィル』を映したりといった「映画青年ぶり」もご愛嬌だし。8点(2004-02-03 14:17:04)

25.  白馬の伝説 …美しい、そしてどこか神秘的で、もの悲しい、もうひと口では言い表せない不思議な映画。ジプシーの血が流れている飲んだくれの父親とダブリンの街で暮らす幼い兄弟が、一頭の神秘的な白馬と出会う。しかし、その馬が売り渡されると知った時、兄弟は馬とともにあてのない旅へ…というような物語(だったと思う。何せ、見たのは随分と以前なもので)。このいくらでも甘くも辛くもファンタスティックにも仕立て得る内容でありながら、そのいずれでもない「過酷なポエジー(詩)」としたのは、やはり舞台が“妖精の棲む国”アイルランドであるのと、脚本が『マイ・レフトフット』のジム・シェリダンだからか。とにかくふたりの少年が健気で、様々な苦難の旅を続ける姿には、何度も目頭が熱くなること間違いなし。特にクライマックス、すっかり白馬に心を奪われてしまった弟を助けようとする兄には泣かされます。…それにしても、こんな力強い繊細さに彩られた「児童映画(!)」に続いて『フォー・ウェデイング』を撮ってしまうマイク・ニュ-ウェル監督の才能は、もっと認められてしかるべきだっ!9点(2004-02-03 12:02:39)

26.  イヤー・オブ・ザ・ガン シャロン・ストーンがまだ『氷の微笑』でブレイクする直前の出演作品だけど、文字通りカラダを張って危険地帯に飛び込む報道キャメラウーマンを熱演! たぶん、その凛々しさやタフな美しさたるや、出演作品中でもピカイチ(…というか、『クイック&デッド』に並ぶ)ではないかな。もちろん、バストもろ出しの“濡れ場”もあったりと、「戦闘的美女」好きなご同輩には必見! でありましょう。映画は、赤い旅団をモデルにしたローマのテロ組織絡みの社会派アクションなんだけど、この手の題材が得意(『ブラック・サンデー』!)なジョン・フランケンハイマ-監督にしては、いささか寂しい出来映え。なんだけど、シャロンと、もうひとりの美女バレリア・ゴリノの“意外な”役柄ゆえの魅力の前にゃ、んなこたぁ二の次三の次! …本作の教訓、「映画は女優に救われる」。8点(2004-02-03 11:36:06)

27.  ショーシャンクの空に フランク・ダラボン監督の映画は、その後の『グリーンマイル』も『マジェスティック』でもそうだけれど、あくまで「面白い物語をよりいっそう面白く物語る」という姿勢に貫かれている。そういう「ストーリーテラー」の代表が、例えばデイヴィッド・リーンなんだろうけど、リーンが用いる“神の視点”というか、はるかな高みからすべてを見下ろすような眼差しではなく、あくまで主人公や他の人物たちを「昔むかし、こういう奴がいてね…」風のパーソナルな語り口で語りかける。だからこそ、その映画には良い意味での「ホラ話(それはアメリカ文学の伝統でもある)」的な調子、さらには「寓話」的な調子を帯びるんでしょう(彼が好むナレーションも、そのへんに理由があるのでは)。さらにダラボンは、物語をあくまで視覚的に語ることができる。映像がストーリーの単なる“手段”に堕していない。このあたりも、大いに評価されていい。彼はたぶん天才的な映画監督というんじゃない、腕の確かな物語作家というあたりに位置付けられる監督さんでしょう。けれど、こういう監督こそが真の「アメリカ映画」の担い手だったし、これからもそうであってほしい。まあ、あまりに過大評価しすぎるのもどうか…と思いますが、なあに、本国アメリカじゃまだまだ毀誉褒貶の激しいダラボンに、遠く極東からエールを送るのはやっぱり“善い”行いです。がんばれ、ダラボン!8点(2004-01-14 19:24:05)

28.  ブラック・ドッグ 一応カタギのトラック運転手であるはずの主人公が走った後は、文字通り車の残骸と死体の山がゴロゴロ…。いくら悪党どもとは言え、そこまでやっていいものなのかと、見ているこちらが心配になってきます(笑)。作品は一見すると他愛ないB級アクション風だけど、それなりに丁寧な作りが1970年代的な職人芸を感じさせ、悪くないかも。パトリック・スゥエイジって、こんな映画に出ていても不思議と”格”を失わないですね。もしかしたら、ぼくたちが思っている以上に「良い」役者なのかもしれない。ミート・ローフの下品なワルぶりもごきげんです。ここしばらく、コテコテの大作映画ばかりでげっぷがでる向きには、お口直しにこういった「普通の映画」もいいもんですよ。6点(2003-12-08 18:11:11)

29.  ハドソン・ホーク ブルース・ウィリス=ルパン3世、アンディ・マクダウェル=峰不二子、ダニー・アイエロ=次元。…アメリカでも日本でも(こちらのレビューでも)評判芳しからずな作品だけど、実は小生のちょっとしたお気に入り? ハズシ気味のギャグも、スッとぼけたアクションも、このクセ者監督なら「確信犯」じゃないかしらん。4年に一度くらい、見直したくなります。8点(2003-12-03 18:09:26)

30.  パッチ・アダムス 《ネタバレ》 この映画を絶賛する方々の気持ちも分かるし、否定する方々の言い分も理解できる気がする(ロビン・ウィリアムス大っ嫌いだから映画も嫌いとか言うのは、論外。小生も別に大好きな役者ってワケじゃないけど、彼が嫌いゆえに作品ケナすんなら、初めから見なければいいだけの問題では?)。個人的にはそんなに悪い出来の作品じゃないとは思うのだけど、この映画、カラダの病いに対しては”寛大”だけど、ココロの病いにはとてつもなく「偏見」をあらわにしているのが、どうしても気になるというか、悲しく指せられる…。精神病患者を笑い者にしたり、鬱病の青年を「アブナイ奴」どころか殺人者(!)に仕立てたり、よしんばそれが「実話」であろうと、こんな安易さで彼らの事を描くことは、ただ世間に「心を病む者=怖い人」と煽るだけじゃないか。で、犠牲になった主人公の恋人(彼女は、どうやら幼い頃に性的虐待を受けたらしい…)が、蝶々になったというあたりの展開は、メロドラマチックだからこそ余計にあの鬱病の青年を「悪者」として印象づけると、ぼくには思えました。くり返すけれど、出来映えは悪くない。だからこそ、作り手たちの「無知」と「安易さ」が残念です。4点(2003-12-03 16:42:50)(良:3票)

31.  モンド どこからやってきたのか、南仏の小さな街に現れた子犬のようなジプシーの男の子が、人々の孤独な心を癒し、ふたたびどこへともなく消えていく。ただそれだけのストーリーなのに、全編を繊細で美しい詩的イメージが包み込み、一度見たらいつまでも忘れられない余韻を与えてくれる珠玉の作品です。ともすれば、この少年を「天使」的存在として描くところなのに、あくまで「子犬のようなひとりのジプシーの男の子」であるのがいいんですよね。と言うか、彼は本当に「子犬」だったんじゃないかと思わせるフシがある(何故なら、この男の子が最も恐れるのが、野犬狩りの男たちだから…)。そう考えると、その人なつこさといい、孤独な心を優しくなぐさめる姿といい、納得がいくところがあるし。ともあれ、いつしか見ているぼくたちをも癒してくれる、慎ましいけれど実に豊かな包容力にあふれたファンタジーですね。そう言えば、あのフランス文壇の大家であるル・クレジオも、この映画を心から絶賛していたっけ。だからと言うんじゃないけど、ぜひ多くの人にみていただきたい1本であります。10点(2003-11-27 15:39:16)(良:1票)

32.  ラブ&デス いやあ、これはもう絶品ものの面白さ! 徹底してスクエア(頑固者)な英国の初老の小説家が、間違って入った映画館でアメリカの超クダラナイ青春コメディを見るはめになり、だのに、そこに出演している青年スター(『ビバリーヒルズ青春白書』のジェーソン・プリーストリー! まさにハマリ役)にひと目ボレ…。何とこのセンセイ、彼を追ってロングアイランドまで引っ越しちゃうのでありました。で、自分が高名な作家であることを利用して何とかこの、頭の悪そうな青年に近づこうと悪戦苦闘する作家センセイの涙ぐましき姿とは、そう、あの『ベニスに死す』のパロディだったという次第。あら筋だけじゃあ、何か気色悪い感ありだけど、作品はこの哀れな小説家の滑稽と悲哀を描いて、実に知的なウィットてんこ盛り! 終始クスクス笑いながら、最後には爽やかな余韻すら残してくれます。いや~、この絶妙な語り口のバランス感覚は、たとえて言うなら、ビリー・ワイルダーが現代に蘇ったならきっと嫉妬したであろう素晴らしさ(…とは、ちと大袈裟か)。ついでに書き添えるなら、原作本も映画に輪をかけた面白さです。必見! 必読!10点(2003-11-25 13:22:53)

33.  ザ・ウィナー おそらく欧米以上に日本でこそ「カルト」なアレックス・コックスが、初めてハリウッドで”雇われ監督”として演出した1作。しかし案の定、プロデューサー側とモメて、編集と音楽を別物に差し換えられて公開されたそうな。まあ、コックスに何を望んで起用したのかは知らないけど、このヘンクツな奇人…もとい「奇才」が、従順に言うこときくワケないじゃん。で、日本じゃコックスが編集&音楽を入れ替えたヴァージョンが公開され、たぶんビデオもそちらの方だと思うのだけど、見てみるとこれが実に「まっとう」な出来映え。ラスベガスのカジノで延々と勝ち続ける青年をめぐる不思議な人間模様が、まるでよく出来た一幕芝居のように描かれていくんですな。それにキャストも、ビンセント・ドノフリオやレベッカ・デモーネイ、ビリー・ボブ・ソーントン、マイケル・マドセンなどの渋い顔ぶれが揃っているし。クライマックスの大銃撃戦と、それに続くラストシーンも実に「クール」かつ良い意味でセンチメンタルな寓話っぽくまとめ、コックス、やろうと思えばこんな上質なエンターテインメントだって撮れるんじゃんと、意外(!)な一面を見せられた思いです。もっとも、ハチャメチャななかにも鋭い世界観や形而上学を吐露するあたりがこの監督の真骨頂と信じる”コア”な向きには、ちょっと物足りないかもしれないけど。7点(2003-11-25 11:58:25)

34.  8mm 題材的にはショッキングだけど、ドラマの作りは意外にも正統派「探偵映画」のセオリーに忠実というか、よく勉強しているって感じで、その点は好感度大。ニコラス・ケイジの冴えない探偵役なんて、ここ最近の彼のキャラの中でもベストじゃないでしょうか。確かに後味悪すぎるってところはあるし、それを狙ったあざとさは否定できないけれど、全体的にはけっこうイケる作品だと思う…たぶん(←あんまり、自信なし。だって、もう一回見る気ないもんで…)6点(2003-11-21 13:58:19)

35.  鬼畜大宴会 スプラッターやエグいバイオレンスにはある程度へっちゃらだと自負していたものの、女の股間にライフル突っ込んでブッ放し、グチャグチャに飛び散った臓物を手でこねくり回すシーンは、さすがに胃にきました。ア~、見る前に食事とらないで良かった…。その他、撃たれた頭が半分吹っ飛んだり(それをやはり手でコネコネしたり…)、男のちんぽこ切り取ったりと、阿鼻叫喚の地獄絵図がこれでもかこれでもか状態。ただ、この映画が本当の意味で衝撃的なのは、ここで「何故、彼や彼女たちは殺し殺されねばならなかったか」という”テロルと狂気の連鎖”が、実に簡潔かつ鮮明に描かれていることに対してでしょう。閉じ込められ、追いつめられたネズミたちが”共食い”を始めるように、そこにはどんな「政治的信条」も「大義」もない、ただの生物学的な「本能」なのさと、若干23歳の学生監督がアッケラカンと解きあかしてみせるあたり、「政治の季節」の世代であるオジサンヤオバサンたちには複雑な感慨が残ることでございましょう。ラストの、誰もが死に絶えた森の風景に漂う虚無感をはじめ、ここまでニヒリスティックな作品もそうはない。ハッキリ言って絶対に好きになれない作品なんだけど、この監督の才能だけは「本物だ」と認めざるを得ないと思います。8点(2003-11-19 15:14:26)

36.  恋するシャンソン 個人的には、1950・60年代の「前衛的」かつ「純文学的」なトンガッていたアラン・レネよりも、この映画や、『メロ』なんかの通俗的なまでに分かりやすく、素直に物語や題材と戯れるかのようなレネの方が何倍も大好きだし、作品も素晴らしいと思います。シャンソンに合わせて口パクで歌い、他愛なくも微笑ましいパリジェンヌ(とパリジャン)たちのスッタモンダを描く、ただそれだけの映画なのに、ここにはホンモノの幸福な「気配」があって、見る者をほんわかと包み込んでくれる。一体、アラン・レネの映画でまったりニッコリできるなんて、誰が想像できた? …さてはこの巨匠、”脳軟化症”でボケたかとささやく向きもあるでしょうが、だったら、ボケとはひとつの”恩寵”でもあるんだな、とぼくは申しましょう。8点(2003-11-18 12:24:45)

37.  キャスパー 《ネタバレ》 初めは、いかにもスピルバーグ製作らしいナイーヴな(つまり、幼稚な)ドタバタ・ファンタジーだなあ…と、いささかヘキエキしつつ見ていたのですが、あの幽霊屋敷のヘンテコな仕掛けはいいっすよね! ガキの頃、まさにあんなイタズラっぽい工夫をはりめぐらせた家を夢見たのを、思い出したりして…。肝心の”キャスパー”は、小生にとってイーストウッドの『パーフェクトワールド』の記憶と重なってしまい、そのキャラが登場しただけで、条件反射的にナミダが(笑)。でも、イマジンさんのコメントにもあったけれど、あのCGのキャスパーが”昇天”する時、一瞬だけ「人間の少年」の姿に戻るシーンは、正真正銘ハッとさせられる美しい名場面だと思います。本作の監督は、後にヴェンダースの『ベルリン天使の詩』をリメイクする御仁だけど、要するにこのラストシーンだけが本当にしたかったんだろうな。6点(2003-11-17 16:25:21)

38.  ニュートン・ボーイズ 本作で最大の”謎”は、インディペンデントでアバンギャルドなリンクレーター監督が、何故こんな題材で、それもイケメンなスター俳優を揃えて作ったのかということか…。とにかく、純粋なエンタテインメントとしてはいささかユル~イ出来映えだし(もっとも、そのズレた調子こそが面白いと言えるのかもしれないんだけど…)、一度も殺人を犯さなかった強盗一味の「伝記(?)」自体が、そんなに映画的だとは思えないし。ただ、20世紀初頭にもこんな”まったり’と生きていた野郎たちがいたこと、そんな面々への親近感を隠さない眼差しは、常に「悲劇」へと突っ走っていった1970年代前後のアメリカン・ニューシネマへの「反歌」と受け取れなくもない。どなたかも書かれていたように、ここでのマシュー・マコノヒーは『明日に向かって撃て』のポール・ニューマンこそを意識したものだろうと、ぼくも思いましたし。そんな角度から見たなら、なかなかに興味深い作品ではありますよ。エンドタイトルの”趣向”も、ゴキゲンだし。7点(2003-11-17 14:26:20)

39.  靴をなくした天使 そう、どなたかも指摘されていたように、これはあきらかにフランク・キャプラの『群集』をはじめ、レオ・マッケリーなど1940、50年代に流行したヒューマン・コメディの今日的焼き直しですね。ケチな小悪党が我知らず善行を施すなんてあたりも、『俺たちは天使だ』っぽいし(あちらも、本作のフリアーズ監督と同じ英国人ニール・ジョーダンでリメイクされてましたが)。展開は実に寓意に富んでいて、さすが『ブレードランナー』やイーストウッドの『許されざる者』の脚本家らしい重層的な奥深さを感じさせる。でも根が真面目な英国人フリアーズ監督には、ソフィスティケーション(洗練された軽やかさ)が決定的に不足している感あり。だから必要以上に映画が重くなってしまったんだろうなあ。ダスティン・ホフマンは今回もイヤ味なくらいうまいけど、本当はもっと軽い、ダニー・デビートあたりにやらせたかった。アンディ・ガルシアとジーナ・デイビスはどんぴしゃりのハマリ役でしたが。6点(2003-11-14 17:42:37)

40.  マイアミ・ブルース 異常にキレやすいムショ帰りの男が、刑事から身分証を奪い、娼婦を拘束して犯罪をくり返す。そして繰り広げられる、サイコパスの犯人と刑事の追跡劇…と、あら筋だけならほとんど見る気もおこらんでしょうなあ。でも、ハンサムなやさ男風アレック・ボールドウィン(まだ痩せてました)がアブナイ男を快演し、彼に拉致されて死の恐怖におびえながらもこの男を理解しようとする娼婦がジェニファー・ジェーソン・リー(ぴちぴち!)、そして身分証を奪われた刑事がフレッド・ウォード(シブイねえ)と、まずこの3人のアンサンブルが素晴らしい。加えて、適度にハードで、適度にウイットに富んでいて、適度にシリアスで…と、語り口が絶妙のさじ加減。正真正銘、これは拾い物ってやつでしょう。何せ、製作にジョナサン・デミ、撮影がタク・フジモトと、あの『未たちの沈黙』チームが絡んでるだから! いいすよ、これ!8点(2003-11-14 14:28:01)

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