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プロフィール
コメント数 901
性別 男性
年齢 42歳
自己紹介 最近になってまた映画を観る習慣が出来ました。
前はほとんど観なかった邦画をたくさん観るようになり
新しい映画ライフが充実しています。

昔ほど数はこなせませんが
趣味と生活のバランスをうまく保ちながら
なるべくたくさんの映画を観て、
なるべく読み応えのあるレビューを続けていきたいと思います。

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【製作年 : 2020年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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21.  宇宙でいちばんあかるい屋根 《ネタバレ》 近所のお兄さんへの憧れ、複雑な家庭環境、学校でのSNS絡みのゴタゴタ、など題材としては昨今よく見るもので特に真新しいとは思わないんですが、つばめと星ばあのやり取りが秀逸すぎて楽し過ぎた(笑)実際会ったこともない誰かと誰かのやり取りだけで笑ったのっていつぶりだろうか。とても楽しく、心が和むやり取りだった。 特に個人的な感想として、つばめがすごく大人だなぁと感じた。あの家、つばめの態度次第では崩壊してますよね。なのに父親はつばめの側に立ってる気配がほとんどなくて自分の都合と新しい奥さんと子供のことが優先のように思えて、そこがすごく違和感でした。母親のひばりと会ったと伝えた時ももっとなんか言うことなかったのか。つばめに対しても、自分の恋愛事情を棚に上げてやたらつばめの恋愛事情をいじろうとするが、自分の立場わかってるんだろうか?娘の立場なら普通不快ないじりでしかないことがわからないのかな。つばめ側にそれを受け入れてる様子もありませんでしたし。つばめの態度が軟化したことにかこつけて距離をつめにきたように見えた。なんか、ずっこい。あの父親だけ不満です。 桃井かおりさんの星ばあはとっても良かった。ぐだぐだとくだを巻きながら時々核心をつくそのしゃべりや、なぜか不思議なことができるところ、そして謎の包容力。見ていて安心できますね。登場シーンこそ不安だらけでしたけど(笑) 「屋根を見ればどんな人が住んでるか大体わかる」 ふとそれを思い出して周りの屋根を見てみました。意外と屋根なんて見ないもんですね。こんな色してたんだ、瓦かな、スレートかな、あの材質はどっちだろう、などよく見ると色々普段見えてないことがわかりました。 映画とかだとよく屋上のシートンとかありますが、現実にはなかなか屋上に行ける建物とかないもので…少し、憧れます。[インターネット(邦画)] 8点(2022-11-11 17:55:29)《改行有》

22.  アルプススタンドのはしの方 《ネタバレ》 とてもこだわりを感じる映画です。タイトルのとおり、アルプススタンドのはしを中心に映し続け、出演するのは数名の生徒と一人の先生、その他応援の生徒のみ。野球の試合であるにもかかわらず選手やグラウンドは一切映されません。出てくるのは名前のみ。相手の4番、松永くんと、こちらのエース園田くん、そしてヘタクソな努力家、矢野くん。名前しか出てこないにもかかわらず、この三人は驚くくらいキャラクターが立っていました。一瞬たりとも顔どころか姿も見せない、声すらもない、そんなままでここまで人を描くことができるのかと、感動を覚えました。素晴らしい映画です。 私も彼らのように「アルプススタンドのはしのほう」に陣取るタイプです。賑やかに応援するエリアを避け、やや静かな空間を見つけてそこを自分の居場所にする、そんなタイプ。そんなタイプの四人が集まって、「なんで野球だけ特別扱いなんだろう?」とか「送りバントって何?」とかあまり真剣に野球を見るでもなく応援するでも無かった。しかしそんな四人のうちの一人が先生の熱意に同調し、園田くんを応援する秀才・宮下さんもそれに続き、二番手ピッチャーを運命付けられて部を辞めた藤野も続き、最終的にみんな気づいたら声を張り上げて応援していた…。 ある意味グラウンドとスタンドは別世界なのかなと思いました。選手たちはグラウンド内で自分たちの闘いをするわけですが、スタンドのほうはある意味で試合そのものとは関係なく、そこにいる人たちがそれぞれ自分と野球、それと選手たちとの関わりを見つけそれを試合や選手に投影して楽しんだり応援するものなのかな、と。 私も正直野球の応援というのがそんなに好きではない。サッカーやバスケは学校をあげて応援なんて全国レベルの強豪校でもない限り無いのに、なんで野球だけは一回戦から、しかもそれほど強くも無い無名の学校でもみんなで応援に行くのが当たり前のような雰囲気があるんだろう、と、作中のセリフそのままのことを私も思ってたので、強く同調しました。この映画を見てもそのあたりの疑念を払拭はできませんが、でも頑張る誰かや好きな誰かを一生懸命応援するというのも良いもんだなと思いました。姿も声も聞こえてきませんが、矢野くん、最高です。[インターネット(邦画)] 8点(2022-11-08 21:12:41)《改行有》

23.  泣きたい私は猫をかぶる 《ネタバレ》 頼子ちゃんすごい良い子だ。あと、きなこも。彼女たちの優しさに少し癒される、そんな映画。 個人的に、無限大謎少女と呼ばれるムゲが再婚相手の母に言い放った言葉が正直過ぎてそれでいて確信をついていて心に刺さる。いわく; 「無理して笑って何が悪い。こっちはそうしたくてやってるんだ」 「再婚とか、子供が傷つくのわかってるだろ。それを何とか受け入れて平和に暮らそうとしてるのに、今度は無理して笑うな、だあ?」 最後のセリフの前に、「無遠慮に土足でズカズカ踏み込んできて」という一言が入りそうな勢いです。 これを言ってるムゲの顔が作中最も歪んでいましたが、私はこれは心の底からくる純粋な気持ちの発露だと感じました。だから、あんな苦々しい顔に描いてあげないで欲しかったな。いや本音だからこそ、なのか。 人生が嫌になったら猫として生きるかい?という映画。犬バージョンとか鳥バージョンとかあるのかな。あったらそちらも見たかった。 好きな人に出せる顔、出したい顔がある。双方は似てるようで全然違う。そういう意味ではまだこのムゲは想い人である日之出に対してあるがままを出せているように思うが。普通は、仲良くしたいけどなかなか距離を縮められない、話しかけられない、笑顔になれない、ということになるものだが。私もそうだ、本当に気になる人には思ったように距離を測れない。ほとんど近づけなくなる。本当は近づきたいのに。猫になる=仮面を被る、という二面性を表したおはなしなのかな。それにしてはムゲがエキセントリック過ぎて、上述したように普通の感覚では少し感情移入はしにくかったかな。[インターネット(邦画)] 6点(2022-11-04 08:14:43)《改行有》

24.  マスカレード・ナイト 《ネタバレ》 「ホテルに来るお客様はみな仮面を被っている」か。そうなるとこんな高級ホテルでさえラブホテルと変わらないななんて思ってしまう。むしろそういう目的であるとわかってる分まだラブホテルのほうが仮面は少ないかもしれない。今作は本当に仮面を被るマスカレード=仮面舞踏会さながらのイベントが木村拓哉さんと長澤まさみさん演じるホテルを舞台として行われる。こうなってくると逆に、前作はどのへんが「マスカレード」だったのか、少し考えてしまう。今作も、様々な客がホテルに無理難題をふっかけてきて…という設定は同じ。それぞれのストーリーを追いかけてちょっとごちゃごちゃするのも同じ。そういう意味ではあまり代わり映えはなかったかも。やたらと有名俳優のゴリ押し感は少し減ったかな。その分と言っては何だが、ホテル側vs警察側という構図が際立った本作であったように感じた。ホテルの主義はこう、警察の主義はこう、というのが終盤までずっと続きます。それも前回で既視感ではありますが、主役の二人がお互いの役割に歩み寄りを見せているような雰囲気が今作の見どころというか、変化の片鱗が見えました。  まあでも、別にこのホテルでなくても人間はみな仮面被りながら生活してますんでね。何を今さらと言った感はあります。職場だろうが学校だろうが、それぞれの場所でそれぞれの仮面をかぶってみんな暮らしている。仮面の種類も様々で、状況・相手によって使い分けて。そういった相手の画面を覗き観察しながらそれらを暴くことなくスマートに寛いでもらう、それがホテルマンの仕事なのか。よく分からないが。ただ、この映画観てホテルで働きたいと思う人は少ないだろうな。。。仮に月給50万超えてもやだわ。精神と私生活蝕まれそう。好きでないとやってらんない仕事だな。[インターネット(邦画)] 5点(2022-11-01 01:18:28)《改行有》

25.  いのちの停車場 《ネタバレ》  命の質、quality of lifeについて見せられる映画だった。病院の規定や国の法律なんかはさておき、患者にとって大事なものは何か、最優先すべきものはなんなのか、それらを考える良いきっかけになる映画だと感じた。  しかしそれとは別に、まほろば診療所のようなやり方は賛否ありそうだなとは感じます。医者でありながら医療行為は最優先とならない現場。在宅医療ってこういうもんなんだと誤解させる危うさはあると思います。ただこういう、可能な限り患者のこと、その意思を優先して治療にあたってくれる先生がいることは純粋にありがたいと思うし貴重な存在だ。ある意味現在の医療では、死の瞬間まで病院のベッドに横たわり機械に繋がれただただいのちの時を永らえさせることのみを目的とされているように思う。そして確かに、自分はそんなふうに生かされたいとは思えない。個人的に、もう自由に動けなくなった時点で死を選びたいと思っていますしそういう意味では安楽死に賛成派であるし。冗談めいたような雰囲気の中の他人との雑談でも似たようなことを言う人はいるが、実際本気でそう思ってる人とかどれくらいいるんだろう。なぜかそんなことを考えた。  面白い映画だとは言えない。咲和子先生や野呂青年の役柄がなんというか、極端に「映画!」って感じで逆に現実味がなかったこととか、病気の女の子と海に入るとか、美談にするにしても少しやり過ぎ感を感じる。だが社会のテーマのひとつとして勉強になったり考えを深める映画だとも思える。特に、治験での治療に文字通り命を賭けその甲斐もなく亡くなったプロ棋士の女性のエピソードは言葉を失い、泣いてしまった。そういう力がある映画だと思いました。  最後にもうひとつ。この映画はコロナ後の映画であるにもかかわらず、作中に登場したIT社長のエピソードは秀逸と感じた。彼はIT畑バリバリの凄腕社長であるにもかかわらず、決してリモートでの就業を是とはしない。あくまで直接現場に立つことを熱望する。その熱量のためか正直傲慢な面もあるが、どうやら社員からの信頼は厚いようだ。治療の見通しが立ちそのことを社員と共有しながら「すぐにそっちに乗り込んでやるから待ってろ」と檄を飛ばし社員たちは喝采で応える。。。胸が熱くなったシーンでした。[インターネット(邦画)] 7点(2022-10-23 12:51:23)《改行有》

26.  太陽は動かない 《ネタバレ》  雰囲気は好きな映画なのですが、、、設定をうまく使いこなせてない映画、という印象でした。まずは最初の、「24時間以内に定時連絡をしないと体に埋め込まれた爆発物が爆発し死ぬ」という設定。それ誰にとってのメリット??AN通信の仕事の特性上、24時間以上連絡を取れなくなる状況とかわりと普通にありそうなのにその設定って…。現に、純粋に仕事に邁進しているエージェントの二人が定時連絡をしたくてもできない事態に。完全にあのルールが仕事の邪魔をしている。そんなルールならなり手も少ないだろう。なのに「試験に合格したらお前も胸に装置が埋め込まれる」なんて会話が成立してるのがあり得ないと思う。秘匿性という面でも人前であんな死なれ方したら組織としてもあまり喜ばしいことではないだろうに。考えれば考えるほどあのルールの意味がわかりませんでした。  ストーリーは一応、太陽光エネルギーの新しい技術をめぐっての情報戦、というシナリオは描かれているんですが、そんなんそっちのけで主役の鷹野くんの過去の話が結構な頻度で回想されます。ストーリーに深く関わるならまだしも、彼個人にそこまで尺をとって説明してあげる義理はあるのだろうか。比較的短めな作りの映画でしたが、全体的になんだかアニメの焼き直しのような、軽さや薄さが目立っていました。美男美女が頑張るアクションやそれっぽい背景説明、オシャレなロケーションで作り込んだ映画です。そういうのでキャーキャー言える人なら楽しいかも。私はそうではありませんが。  「明日のことなんて考えなくてもいい。ただ今日を、今日一日を生きることだけ考えろ」 何回も劇中で聞かされたので覚えてしまいました。私はいまはこれが響くメンタルではありませんがいつかこんなセリフを糧に頑張るようなことはあるかもしれませんね。私は明日への希望を糧に生きるタイプの人間ですが。[インターネット(邦画)] 5点(2022-10-21 07:38:24)《改行有》

27.  雨を告げる漂流団地 《ネタバレ》  謎が謎のまま放置される系の映画なので、きちんと説明してくれない点は少し不満が残るかも。なぜ団地は漂流するのか?以前は一晩で戻れたのになぜ今回は戻れないのか?街の過去の建物も漂流してくるのはどうしてか?最後の漂流物の終着点のような場所は何なのか?のっぽくんの正体など語る必要のないこともあるが、きちんと語ってほしいこともある中、ほぼほぼ説明してくれない物語にやや不満です。アニメですし、小さい子供にもストーリーとしてなかなか受け入れ難いかなぁ。せっかくブタメンとかスマブラとか子どもの耳目を惹きつける要素があるのにもったいない。  キャラクターも少し特徴が弱い。ただ子供のように叫ぶだけの太志と中立的に周りを取り持つ護。金持ちわがまま娘とその秘書的なメガネの女の子。ストーリーに関わる部分は主に主役の2人(とのっぽ)でこなしてしまって、そうなると余計に後の4人のキャラが見えにくくなってました。変な話、このストーリーの大筋は後の4人がいなくても成り立ってしまう。  とまあ色々書きましたが話自体としてはとても好きなやつです。突如自分のいた団地が海上を漂流し始め、時々やってくる同じ漂流物は過去に自分の街から消えていったものだった、なんてとても想像を掻き立てられる。「思い出の建造物との邂逅」なんて素敵ですね。例えばこれが大人の話で、漂流してくる建物に自分の小学校とか昔住んでた家とか、そしてそこに住むのっぽくんのような精霊との関わりとかがあったりしたらまた面白いかもしれない。そこまで思い至って、何でこの話は子ども中心なのか少し疑問に思った。過去に想いを馳せるような話なら、大人までいかなくても高校生や大学生くらいでもよかったのに。製作の人と話す機会なんかがもしあれば色々聞いてみたくなる作品でした。[インターネット(邦画)] 6点(2022-10-14 04:17:28)《改行有》

28.  マトリックス レザレクションズ 《ネタバレ》  少し前に映画館での上映情報を掴み、タイミングが合えば鑑賞に行こうと思っていた映画。結局映画館での鑑賞は叶わなかったが今回晴れてNetflixの配信で鑑賞できることに。  見てみての感想だが、予告編からして続編というよりもこれまでの三作をなぞるような映画だなぁとは思ってたんですが、改悪された焼き直し感は否めないというのが正直な感想です。まずは主演の二人、キアヌ・リーブスさんとキャリー=アン・モスさん。二人とも三部作を演じた当初より流石にお年を召してらして、その時間経過は作中でもチラッと触れられますがやはりこちらもそこを意識します。そのせいか、マトリックスの魅力のひとつであるアクションシーンはだいぶ見劣りする結果に。最悪CGでもいいからもっと派手なアクションが見たかった。焼き直しだし地味だし、これで従来のマトリックスファンを楽しませる気だったのかと逆に問いたい。  あとは何だろう。ストーリーについて、ある程度三部作を見た者ならもっとついていけるかと思ったのだがあまり付いていけなかった。悪い意味でエヴァンゲリオン化してるように感じる。まだ従来のものは複雑な言葉を使いつつもそれを包括できる世界観があったのだが、今回はそれが感じられない。言葉だけ上滑りしてるように感じた。そして、面白くなかった。それが致命的だ。  やはりキャストによる違和感が大きい。主演二人の年齢について上述したが、かと言って他の新しいキャスト達が良かったかというとそうでもなかった。みな、これまでの『マトリックス』を見た人からは違和感を感じたのではなかろうか。やはり大ヒットした作品の続編を名乗る以上、これまでの良さやキャラクターの魅力は無視できないと感じる。そのこれまでの良さが『マトリックス』シリーズの場合、派手なアクションであったり世界観なのだが。語りに終始してしまったのは、文字通り、語るに落ちた、という印象です。  こういった種の映画にはいつも同じことを思ってしまうのですが、こういうシリーズものの話題作やその続編などは、とにかく見せたもの勝ちの興行収入の世界ではたぶん勝ってるほうなんでしょうね。別に手抜きの映画だとまでは思いませんが、どこか話題性に頼った製作に思えたのは少し見方がいじわるでしょうか。個人的意見です。あしからず。[インターネット(字幕)] 4点(2022-10-13 11:25:40)(良:1票) 《改行有》

29.  ヤクザと家族 The Family 《ネタバレ》  まさに『ヤクザと家族』でした。ここまでしっかりとタイトルで内容を表している映画なんてのも最近では珍しい。直球ですね。日本におけるヤクザのここ数十年の環境の変化をわかりやすく描いている。「ヤクザ」「暴力団」「反社」。呼称もさまざまだが彼らを取り巻く環境も激変したのであろう。翼のようなヤクザでもない半グレのような存在も台頭し、少なくともかつてのように一つの大きい組織が一帯を牛耳るといった状況はほぼ無くなってきているんだろう。  どうしても主役となる山本目線で描かれるため、ヤクザの立場を美化したものに映りがちだが、それだけに終盤元ヤクザであることがバレた山本に悪徳警官の大迫が言い放つひと言、 「お前らがやってきたこと考えりゃ当然の報いだろ」が響く。  作中では山本のヤクザとしての「仕事」はほとんど描かれない。せいぜい麻薬を売らない信条があるといった程度だが、やはりヤクザである以上誰かや何かを食い物にして生計を立てているはずで。柴崎組の「シノギ」が具体的にどういうものか知らないが、「道を極めた漢達」の仕事がどういうものなのか描いて欲しかった気持ちもある。まあそれを描くと柴崎組やその組長の見方もだいぶ変わってくるとは思うが。  でも、どうしてもこの手の映画はSNSの表現が過剰な気がします。いち地方に勤める市役所職員の家に元ヤクザが出入りしてるとか、仲良くピースサインしてる程度の画像があれほど拡散されるだろうか。よっぽど他にニュースがない平和な街なんだな、しきりにヤクザ同士の抗争が起こる割には。まあ単にああいう街だからヤクザ情報に敏感だということかもしれないけど。  「真っ当に生きたい」そう言いながらも安易に入れ墨を入れたり誰かと家族の契りを交わしたり、やはり先述の大迫刑事のセリフがどこかから聞こえてくる、そんな映画でした。[インターネット(邦画)] 7点(2022-10-12 21:57:29)《改行有》

30.  哀愁しんでれら 《ネタバレ》  ジェットコースターのように感情を揺さぶってくる映画だった。まず冒頭の不幸の連続はすごい。祖父が倒れてからの、車の事故、飲酒運転、家が燃えて彼氏は職場の同僚とヤッていた、と。で、そこからの絵に描いたようなサクセスストーリー。大金持ちの医者を助けて彼と結婚。彼には父親の就職を世話してもらい、妹の勉強を見てもらい、豪華な家で幸せな生活を送る…。  ここまではゆったりと流れるだけのなんならコメディ調も入っているただの明るいドラマです。ここから少しずつ歪になっていくのですが…ヒカリは何歳の設定でしたっけ?10歳くらいかな。もっと幼いのかな。あの年齢であんな歪み方をするのか、怖いというか少し不思議な気持ちで眺めていた。筆箱は喜んだフリ?弁当を食べなかったのは何のため?実は小春が気に入らなかったのか、周りの注意を引くための演技なのか、イマイチ動機が分からなかった。  「良い親」像を求めてどうするということが中心に据えられている。母親とはこうあるべき、時には父親もこうあるべきという彼と彼の家の方針を叩き込まれる映画。後半はサイコパス的な、サスペンスのノリになってきました。どういう映画にしたいのかが分かりにくい映画でした。あと、何をもって『哀愁しんでれら』なのか。「女の子は全て、幸せになれるのかという漠然とした不安をずっと抱えている」というような決めつけじみた言い方もあまり好きではない。みんなそうだとは分からないし、その内容も様々だろう。まして女の子特有のものとも思えないし。何が言いたいのかよく分からないわりに、押し付けがましいストーリーだと感じた。他人のことをすぐクズだとかゴミだとか、聞いていて痛々しかった。ラスト、転校ではなくなぜあのような手段に落ち着くのか、映画だから派手に見せたかったという意図以外感じなかった。原作もあるんでしょうか、まあやはりあのあたりで、作り物だし派手に描こう的な意図がありありで、観てるこっちにはあまり響かなかったかな。医者の夫やヒカリがああなる背景などをもっと描いてほしかった。[インターネット(邦画)] 4点(2022-10-10 18:17:30)《改行有》

31.  桜のような僕の恋人 《ネタバレ》 桜の儚さと早老症を発症した女性という、ちょっとあからさまかなという構図で描かれていました。しかし調べてみると決して突拍子もない病気というわけではなく、実際にある病気でしかも世界での発症例報告の6割近くが日本人という、日本人に多い病気ということがわかりました。製作Netflixだからというわけでもないんですが、もう少し軽い造りかと思ったら、けっこうきちんとしたヒューマンドラマでした。 結局晴人は美咲の病気について、彼女が亡くなるまでそれが早老症とは知らなかったんですね。なんとなく病気ということは知らされていただけで、だから最後の瞬間、雪の中で会った彼女が美咲とは気づかなかった。そんなことになってるなんて知らなければ、無理からぬことだろう。死後そのことに気付かされた晴人は自らの愚かさを悔いて慟哭を上げますが、最後の瞬間に気づいてもらえなかったのは晴人だけのせいでもなく、そこまで全てを隠し通してきてしまった美咲のせいでもあるだろう。どこかで早老症と打ち明けていれば、と言うのもしかし美談めいたものを求めるいかにも第三者の言いそうなことというのもわかっています。自分ならどうしたかな…。境遇も性別も異なる自分には想像しかできませんが。でもやはり早老症の美咲に晴人がどう向き合うか知りたかった気もします。 美咲は桜に例えられていましたが、身振り手振りを交えてクルクルクルクル表情を変えながら楽しそうにはしゃぐ様子は、さながら様々な色で人を楽しませるチューリップのよう。それでいて演技っぽくなく自然で、松本穂香さんの人柄なのかなと思います。その兄役の永山絢斗さんも良かった。今どき珍しいガンコ兄!という感じででも人情に厚い見応えのある役柄でした。 早老症だけでなく、もし好きな人が、心から愛する人が、何かの病に侵されそれがどうしようもないと分かった時に自分が恋人なら、家族なら、友人なら、何が出来るだろう。大事な人達が早老症に罹ったらということをとりあえず想像してみた。そんな機会、この映画を観ないとおそらくないだろう。大事にして考えようと思う。[インターネット(邦画)] 7点(2022-09-19 22:47:51)《改行有》

32.  星の子 《ネタバレ》 結論から言うと、ちょっと何を伝えたいのかがわからない映画でした。宗教というものを内から見るか外から見るか、ちょうどその境目にいる少女ちひろにスポットを当てたストーリー。彼女の両親は彼女の命を救ってくれた(と思っている)その宗教にどっぷりで、同時にその水の力も信じ切っている。誰かにまやかしだと諭されても耳に入らないほどに。一方でちひろはその宗教には属してない親戚や学校関係の人間ともたくさん交流があるが、概して彼らはそういう宗教を煙たがっていたり批判的。自分はどちらに属するべきなのか、結局最後まで彼女の心は決まってないように思えた。自分の両側から両親に大事そうに抱き抱えられながら、でも本人はなんだか苦しそうに見えた。これから彼女はどういう結論を出すのだろう。 やたらと人を誘ったり物を勧めてきたりしなければ、個人的には特定の宗教を毛嫌いしたりはしない。それぞれの裁量で好きにしてくれれば良いと思う。が、えてして大体の宗教は人集めやひいては金集めにえらくご執心のように思える。明らかに関心ないなって人に対して、ズイズイと土足で踏み込んでくるように勧誘したりする人も見たことがある。気弱な人ほど話を聞いちゃったりして悪質なキャッチと何が違うのか、いつも不思議に思う。そもそも、「信心が大事」と言いながらお金や財産を提供することが必要とされることがもうすでにバカバカしい。心だけあればいいんでしょ?いったいどんな人たちがどの程度本気でその宗教に入ってるんだろう、なんてそんなことを考えたりする。 今はちょうど世間で統一教会の問題がクローズアップされている。別にだからというわけでは無いが、普段から宗教に対して思っている意見を再認識できた映画であった。つまり何が言いたいかというと、小さな子どもや学生などに言うことと同じで、宗教も「人に迷惑かけないのであれば何を信じていても自由」だと思っています。それが、やたらと誰かを勧誘したり、何か買うことを勧めたり、ということになってくると違うと思う。作中であった、ちひろの両親が公園で布に水を掛け合うシーンなども、やはり公の場でやることとしてはそれは異様で、他者からどう見えるかが認識できていないという点ではやはり迷惑だと思う。確かにあの公園は通りたくない。 ここに書いたのは個人的な宗教観です。あしからず。 人はそれぞれ何かを信じています。それが「宗教」と名のつくものであったり、誰か人であったりモノであったり、人によってそれは様々だと思いますが、私はそれは本当に自由なもので、だからこそ誰にも絶対的に不可侵な自分だけのものであって欲しいと思います。同じ思想の人がたくさんいるとか、誰かもやってるからやるとか、いたずらに外側に出すべきものでない。なんだか宗教が嫌いな理由が整理された映画になってしまいました。そういう意味では良い映画かも。[インターネット(邦画)] 4点(2022-09-12 19:23:10)《改行有》

33.  水曜日が消えた 《ネタバレ》 とても設定が面白い映画だった。曜日ごとに人格が変わる七重人格者。しかし実際にはその中の「火曜日」のみを中心に話は転がり始める。「火曜日」は火曜日にできることしかできない。火曜日のテレビしか見れないし火曜が定休のお店にはずっと入れない。そんな「火曜日」がある日目覚めたら水曜だった。戸惑いながらも行けなかった図書館に行き、そこで魅力的な女性と会ってウキウキな「火曜日」。そこでふと思う。 あれ、「水曜日」ってどうなった? 観客は見たこともない「水曜日」の存在が気になり、想像を働かせる。水曜は音楽好き?ロックないでたち?瑞野さんとはどんな関係?ていうか他の曜日は大丈夫なの? キャスティングもとても役柄に合っていたと思う。主演の中村倫也さんはなんだか中性的な人だし、色んな人格がそれぞれに彼の雰囲気に当てはまる。違和感なく見ていられた。 どれかの人格が一人くらいこれまで夜更かししようともしなかったのかとかそういう野暮なツッコミは置いといて、他の曜日とふせんでやりとり、家中に他の曜日からのメッセージがあふれているというのがなんだか不思議な世界観で引き込まれた。 個人的に特に良かったのはエンドロールでの曜日間でのふせんのやりとり。あれは面白い。みているだけでなんだか頬が緩みます。もともとこんなふうに成立していた7人の生活が、今回たまたま荒れちゃった部分を切り取って映画にしたんだよね、って感じ。 実際に多重人格の人がいれば日常生活は大変だろうしましてや七重人格なんて本当に苦労するだろう。そういう意味ではとてもシリアスな状況を描いた話なのだが、全体としてなんだかシュっとした、スマートな雰囲気を感じた。もちろん多重人格によって話が荒れるシーンもあるのだが、あくまで「曜日で替わる人格」というところにスポットを当ててブレないストーリー描写のおかげで観ているほうもテーマに迷うことはなかった。 これは是非エンドロールまでじっくり全て観て欲しいと思います。良作です。[インターネット(邦画)] 9点(2022-09-09 18:20:43)《改行有》

34.  明日の食卓 《ネタバレ》 同じ名前(正確には同じ読み)の息子を持つ別々の三組の親子を描いた映画。ライターの母、専業主婦の母、大阪の母。それぞれの家庭がそれぞれに問題を抱え、それを赤裸々に粛々と描いている。特徴的なのはそれぞれの子どもたちの心情がある程度描かれている点。それぞれの石橋ユウが、母親や自分の家庭に対して心の声を上げます。私達の暮らしでも、実際誰が何を考えてるかなんて正直わかりません。母子の関係でもそうだと思いますし、わかってるつもりでいたら何かあった時になおさら動揺することになるでしょう。この話の母親たちのように。母親は子どものことを最後まで信じてあげたいと思う反面、当の子どもたちはそうじゃない、自分たちはそんないい子じゃないんだということを伝えたい。でも両者ともお互いに愛されたいし愛したいと思っている。そんな切ない話でした。 個人的には大阪の母編が好きな話かな。頑張る母と優しい子どもが通じ合ってるシーンは見るだけで何だかホッとします。子どもがあり得ないくらい優しくて敏感に何でも気付くのがちょっと文字通りあり得ないかなと思うんだけど、でもそんな感覚でいるとこの母親達のように突然面食らってしまったりするんでしょうね。 あとの二組の家庭は少し壊れすぎかな。いや全然こんな家庭あり得るんだろうけど、見ていて不快感は強かった。特にサイコパス息子とリビングでプール親父はあり得ない。プール親父のキレ方ったら、演技だとしてもひどい。キツいもの見ちゃったなという感覚は拭えない。 どこの家庭も決めのワンシーンのように子どもとハグをするが、ハグが特別な場面のものみたいになっちゃってる時点で母と子の距離は遠かったんだろう。たぶん、家庭に問題のないところではハグなんて日常的なんではないだろうか。ぎゅっと抱きしめられて嬉しくなかったり安心しない子どもはいないだろう。いや大人でも多分一緒だ。愛し合えてる、求め合えてると確認し合えるし、言葉では説明できないことが伝わることもあるだろう。 自分にとって一番大切なものは何か。仕事?家庭?夫?友人?子ども?そういったものを見直すきっかけになる映画と思いました。[インターネット(邦画)] 6点(2022-08-30 01:53:44)《改行有》

35.  クワイエット・プレイス 破られた沈黙 《ネタバレ》 だいぶ前に一作目を鑑賞して今回思い出したように二作目の鑑賞に至りました。設定はよく覚えていたのでそれを基に鑑賞開始。ああそうそう、音たてたらあいつら出てくるんだった。 二作目で何か深まったかというと、別段何も深まってない、ただ続きの話を展開されただけという印象です。まあそれはそれでいいんですが、新たな設定としてやつら泳げないっていうのは、いささか稚拙かなと感じました。そんな設定なら、沖合いに大音量のラジカセ積んだ無人ボートかなんか一隻浮かせておけば、やつら次々と海に飛び込んで死んでいくのでは??それこそ絶滅するまでそれを続ければいい。なので泳げない設定は蛇足だなーと感じた。 この『クワイエットプレイス』は、「音をたてられない」というのがとても特徴的な作品。よって全編通してサイレントな展開が多いです。そういった特徴を今回も前面に出してきていたのは良かったと思います。それ以外はなんだか普通のモンスターホラー映画になっちゃったと感じました。家族から離れて一人でどっか行って、それを誰かが連れ戻しに行って、残ったほうも襲われて挙句ロックをミスって閉じ込められるとか、いずれもどっかで観たことあるようなシーンばかり。まあこれだけ色々映像作品見ていれば似たような展開のものも増えてくるのは必然なのですが、もっと独特なものが欲しかったというのはゼイタク?? あと終盤の桟橋に出てきたゾンビのような顔色の一団は何だったんでしょうか?ただの人間なんですか?あんなん説明されてましたっけ?何か見逃したかな?いろんな「?」が浮かんだシーンでした。 まだ続編も作ろうと思えば作れると思いますが、作るならやはり前作を超えるものを作って欲しいものです。期待。[インターネット(邦画)] 6点(2022-08-23 01:03:43)《改行有》

36.  サイダーのように言葉が湧き上がる 《ネタバレ》 これを書いてる時点でまだ誰かのレビューを見たわけではないですが、なんだか「作画が…」とか書かれてそうだな。個人的にはそれも含めて楽しかった。なんだか学生の文化祭を観ているような気持ちで見ていました。もちろん、良い意味で。 その上で身もふたもないことを言わせてもらえば、映画を楽しんだというよりも、そこに込められたメッセージやテーマに思案を巡らせることを楽しむようになってきてしまっている私がいます。この映画で言えば、チェリーの俳句への創作意欲とそれを誰かに認めてほしい承認欲求、さらにスマイルの出っ歯へのコンプレックス。それらが交互に混ざり合って、一つのストーリーになっていたと思いました。チェリーとスマイル以外は丁寧に描かれていたのは藤山さんくらいかな。ジャパンとかビーバーとか、なぜその名前?とか思うキャラはたくさんいたし、スマイルの家の裕福具合とか色々気になることはあったけど、あえて説明は削ったのかな。書籍もあるようだがそちらでは描かれているんだろうか。モールの物品をかっぱらったり想い出のレコードを割ってしまったりなど、割と洒落にならないことをやっているがコミカルに描けているのはアニメの特性かな。なんにせよ、単体の映画としても楽しめる作品だった。 私もスマホのカバーに小さな辞書を仕込みたくなりました。すぐに検索しましたが、あんな造りになってるカバーは無いようです(もちろん本も、泣)私もデジタル画面より、紙のほうが好きだなあ。自分のルーティンにを大事にしていたり、探し物に夢中になったり、好きな子に見られないかもと分かっていながらこっそりメッセージを発信してその行方を気にしたり。。。色々共感できるシーンがありました。 上述したように、映画を楽しんだ、と言うよりもそこに込められていたメッセージやそれに共鳴した自分の何かにひどく反応してしまった、そういう作品だったと思う。だから、私の感想は多分他の人には伝わらないかもな。そんなレビューですんません(汗) 一点だけ不満を述べさせてもらうなら、最後の俳句を詠み上げるシーンは、ちゃんと五七五のリズムで詠んで欲しかったな。[インターネット(邦画)] 8点(2022-08-16 00:58:20)《改行有》

37.  砕け散るところを見せてあげる 《ネタバレ》 「目に見えないし手も届かない。あるって言っても誰も信じてくれない、私の空のUFO」 清澄と玻璃が共有したこのUFOは、何だかとても心に残りました。ちょくちょく出てくる何だか子供騙しにも思えるCGの UFOは、普段なら失笑ものなんでしょうが、何故だかこの映画では笑えない、二人の心中を表すとても大事な心象風景となっていました。 「いつからか、玻璃のUFOはおれたちのUFOになっていた」 きっとUFO=不条理に降りかかってくる不幸、もやもやした感情、自分にまとわりつく悪環境、のようなものを指しているんだろう。そういう意味では私の頭上にもずっとUFOは浮かんでいる。 玻璃の喋りかたのせいか、話の進み方はとてもゆっくりしているのに、何故ここまで見入ってしまったんだろうか。一分数えてと言われたらきっちり一分を計り、おしるこのお餅をもらったことに素直に感動し、その優しさに素直に感謝し。。。玻璃の表現の一つひとつが微笑ましく沁み渡る。とても良い子だ。悲しいくらい。 玻璃の父、堤真一さんが出てきたあたりから話は急変する。鑑賞前に見たあらすじから、玻璃に何か後ろ暗い過去や猟奇的な一面でもあるのかと思ったら、そういう話ではなかった。 そして、父親の存在となぜか荒れきってる玻璃のクラスの雰囲気が少し唐突感はあった。父は何故あんなふうになってしまったのか、学校は全体的に落ち着いて見えたが何故あのクラスだけあんなことになっていたのか、もう少し背景を知りたい気がした。 おばあさんの件があってもまだ父を信じようとしていた玻璃も、お母さんのスーツケースとピアスを見つけた瞬間に父を信じようとしていた気持ちは嫌悪・憎しみに変わっていった。最終的にそれは殺意となるわけだが当然のことだと思えた。 事件のショックで記憶を失い一時は清澄と離れてしまったとは言え、二人がまた出会えてしかも結ばれたことは本当に嬉しかった。清澄は本当の玻璃はあの事件の日に置き去りになっていると表現していましたが、それでもなお二人が新しい二人として関係を始められたことに意味があると思う。人と人との深い心の結びつきや、人の心の醜さ・温もりなどを同時に感じる映画だった。タイトルの指すところがわかりにくいが、エンディングの歌もじっくり聴き入ることができて、じんときました。文句なく良作です。[インターネット(邦画)] 9点(2022-08-04 16:35:26)《改行有》

38.  まともじゃないのは君も一緒 《ネタバレ》 好きなシーンがふたつあります。秋本さん、君島さん、柳くんで突然恋愛話を繰り広げるシーン。もうひとつは宮本にひどい扱いを受けたのに無理矢理自分を納得させようとする秋元を本気で叱る大野さんのシーン。見てるこっちがなんだかあったかい気持ちになったり、なんだか泣きそうになったりしました。 「あんた誰?」と君島さんに言われ続けながらも人が人を好きになるメカニズムについて探り続ける秋本さんと、2人で思い出話にふける君島さんと柳くん。あんなに堂々と赤裸々に自分がその相手をどう好きになったのか語ることなんてこれからあるだろうか。語りたいなぁ。なんだか爽やかだし羨ましいとも感じた。 大野さんが秋本さんを叱るシーンも凄かった。それまではいかにも数学の人って感じの無機質な回答しかしてこなかった大野さんが「普通」というTHE・文系の概念に対して疑問を呈す。 「君の言ってる普通は何かを諦めるための口実なのか?」 「『普通はこうだから』とか『普通はそうじゃないから』とか、なんで自分で考えないんだよ!?」 効いたなぁ、、、このセリフ。 数学でも他の何かでもいいんですけど、何か一つにのめり込んだ人ってとにかくピュアで、その対象が何か他のことに及んでもそうやって育ってきた性質は変わらなくて、だからやっぱりピュアで。そういう人が何かについて意見を述べるときのパワーはすごいものがある。 だが、現実にはそんな人、、、いないんだよな。 昔大学時代に一人だけそんな人がいたけど、彼はどうしてるんだろう。なんかそんなことを思い出した映画でした。めっちゃ良い映画です。おすすめです。[インターネット(邦画)] 9点(2022-07-10 18:12:28)《改行有》

39.  記憶屋 あなたを忘れない 《ネタバレ》 都市伝説としてまことしやかに流れる噂の中の人物、記憶屋。記憶屋はどこからともなく現れ人々の記憶を消すと言う。そんな記憶屋を巡って話が流れるのですが、この映画は記憶屋を探す探偵的要素が大半を占めます。記憶屋とは誰で、どこにいったら会えるのか、手がかりを求めあっちこっちへ。記憶屋そのものがどうと言うことより足取りを追うほうにウェイトを置きすぎていた印象です。ただの人探しなら別に「記憶屋」なんて特殊なものをテーマに扱う必要はない。 記憶屋についてもっと掘り下げて欲しかった。記憶屋とは本当に記憶を消すだけなのか、取った記憶は戻せないのか、記憶屋は取った記憶を自分のものにするのか、見たくない記憶も強制的に見てしまうのか、他にも記憶屋と呼ばれる人たちはいるのか、など、見ていて気になるところはたくさんあったがほとんどそれが解消されることはなかった。 「記憶には忘れたほうがいいものもある」「いやどんな記憶でも消してしまうなんておかしい。ずっと抱えて生きていくべきだ。」 という、なんだか他の映画でも聞いたことがありそうな話をずっとしています。そもそも別に記憶屋という話でなくてもこういうことがテーマになることはよくあって、そういう意味では別段珍しい話ではない。 個人的には、別に私は理想主義というわけではないですが、どんな記憶でも持って生きていけば良いと思います。それがたとえひどい事件の被害者としての記憶だったとしても、それをどう受け止め吸収するかはその人次第。その経験をもとにその人の人生がどう変わるかは誰にも分からない。そんな可能性を第三者の誰かの判断で変えることにはやはり違和感がありました。あくまで自分なら、という話で別にそれを誰か他人に押し付けようとは思いません。結局、その当事者がそれで良いなら記憶屋でもなんでも利用すれば良いと思う。つまり、どっちでもいい。 主役の彼も、消さなくても良い記憶まで消した幼馴染に対してどういうメンタルで許すことができたんだろう。その辺りの描写が全く不十分で、結局この映画のほとんどに人に感情移入できなかったことがそのままこの映画の評価になっていると感じた。製作の人たちがやりたいようにやっただけ、という印象です。それがうまく転ぶパターンもあるんでしょうが。。。[インターネット(邦画)] 3点(2022-07-07 22:44:38)《改行有》

40.  mellow メロウ 《ネタバレ》 爽やかな恋愛、を映画にするとこんな感じでしょうか。中には少し泥臭いものもありましたが、「どんな結果になっても告白はしろ」というメッセージは強烈に持っていた。作中の告白は見事に全て×でしたけどね。 女性が女性に憧れる、というのも身近で似たようなことがあったのであーあれねと、私は結構簡単に受け入れてしまいます。特に作中のように女子の体育系クラブでは割とあるある。バスケとかハンドとか。でもやはり相手もOKという割合はだいぶ低くて、「ありがとう、でもごめんなさい」が大半の結果なのではと思う。 そう思うとなかなか難しい関係の告白が多かった。既婚者の女性が旦那を同席させての告白、女子中学生が同じ学校の女子の先輩に向けての告白、女子中学生の成人男性への告白、などなど、はなからわざと「それは無理だろ」という告白を作中に出していたのかな。 文字で書くとなんだか暗い雰囲気と思うかもしれませんが、私がこれを観た日は驚くような雲ひとつない晴天の日で、冒頭に書いたようにこの爽やかな恋愛映画にすごく爽やかな日和がこの映画の雰囲気ととても合っていたことを覚えている。今日この映画を観れて良かったとも思えた。恋愛、告白、とはまた違うかもしれませんが、この映画と良い出会いができた、そう思えました。[インターネット(邦画)] 8点(2022-06-12 21:29:41)《改行有》

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