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プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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381.  最前線物語 《ネタバレ》 好きな映画です。連合軍の侵攻に合わせて戦地を巡る小隊に起こる出来事を横に並べてゆく構成にストーリーのうねりは無い。また、局地戦での勝敗や連合軍の勝利は重要視されていない。それを散漫と感じるかどうかで評価は分かれるでしょう。私は物語の根底に押しつけの無いヒューマニズムが感じられて、劇場で観たときからお気に入りです。原題はこの小隊の名称だけど、邦題も良い視点を持っていると思う。最前線は兵士が死んでゆく場所。そこでは命の価値が暴落します。この小隊は常に最前線に身を置きながらも死を回避し、やがて終戦にたどり着く。決して彼らの命が高値を付けた訳ではなく、暴落しながらも価値を保った風情です。でも、それが生き残るということ。長く大きな戦争を生き延びた生命と兵士たちの人間味がリンクしてほのぼのとした感慨が湧いてくる。戦争映画には珍しく、あたたかな見応えを残してくれる作品です。老兵に指揮された若者たちが生き残る様は、親ガモに見守られた子ガモが巣立つようで、青春映画の趣きもありました。学生時代以来で約30年ぶりの鑑賞でしたが、アメリカもこの戦争までは戦う大義があったからか、空気が爽やかです。ベトナム以降の戦争映画と比べると、とても健康的に映ります。[映画館(字幕)] 7点(2011-04-13 21:58:47)

382.  月に囚われた男 《ネタバレ》 まず最初に月の裏側での労働環境の非人間的側面を見せる導入が上手い。孤独と闘うことがテーマなのかと思わせたうえで足元をすくわれるような展開にゾクゾクします。クローン技術がもたらす不具合を大上段に構えるのではなく、主人公が感じる違和感として見せる展開も上手い。自分と同じ顔と同じ記憶を持つ者がすぐそばにいる。今後、起動する自分がたくさんいる。その状況を想像すると、今度はクラクラする。そして個の存在があやふやに崩れていく感じがとても怖い。さらに、たぶん地球で普通に暮らしているオリジナルの「自分」がこの企てに賛同している前提であることに思い至る。これは「自分」と同じ思考を持つ人間が認めたこと、つまり「自分」が認めたことで、混乱が深まります。良い意味で裏切られるのがロボットのガーティの行動です。真相に迫る主人公を抹殺するのかと思ったら、しっかりロボット三原則に則って機動している。本編中に「自分」を除く唯一の味方が血の通わないロボットだったということが物語世界を際立たせます。贅沢を言うと、最後の結び方には少し不満が残りました。株価暴落とか言ってたので、この未来世界にはクローンの使役に不正、もしくは非倫理的という判断があるらしい。せっかくクローンの在り様を良い具合に掘り下げているのに、企業不正に落として気分を晴らすだけでは勿体ない。物語にしっかり人の感情が織り込まれているので、最後までそこにフォーカスして欲しかったです。「ブレードランナー」のレプリカント然りですが、そこまで突っ込めばさらに作品のランクがあがったと思います。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-04-04 22:27:33)(良:4票)

383.  ザ・ファイター 《ネタバレ》 主人公は世界チャンピオンにまで登りつめたボクサーだけど、家内制手工業でボクシングをやっていることに驚いた。その家族仕立てが原因で一度は挫折し、やり直して成功する。簡単に形容するとそんなお話でした。ジャンキーの兄を始めとして、息子たちを溺愛する気丈な母親、見分けがつかない7人(だったかな?)の姉妹たちがボクシングのマネジメントに口を出す。「外野がうるさい」状態です。家族の繋がりは無条件の信用の証でもあるが、同時に甘えの構造でもある。ストーリーの前半はそれが悪い方向へ転がり、チーム体制は崩壊します。出所した兄を、周囲に反対をおして受け入れる主人公。不満を募らせても家族から離れない彼のスタンスは、実はプロとして甘っちょろく見えました。リングで殴り合うような商売をやりながらも、家族に寄り添う小市民という印象です。本作はその姿勢を肯定も否定もせずに追って行く。主人公の恋人が母親たちと喧嘩するシーンがあるが、言い争っていることの内容が幼稚園レベル。結局、家族まわりの心情的なもつれなんて、とても次元の低い話なんですね。この家族は全員がお互いを大切に思っていました。兄の出所祝いは感動的でした。それは家族にとって最も基本的な、そして最も大切なことです。そこさえ揺るがなければ、多少の問題は乗り越えて行ける。振り返ってみると、ボクシング映画というよりは、ひとつの家族像を描いた作品でした。エピローグに兄が弟を称えて涙ぐむ短いシーンが挿入されます。唯一、これが狙ったシーンだけど、狙い通りに泣かされる。兄役のクリスチャン・ベールのオスカーは頷けます。ボクシング映画は役者に肉体の試練を課す作品が多い。本作もそのひとつ。主演のマーク・ウォールバーグは正統に体を作ってましたが、クリスチャン・ベールは元ボクサーにジャンキーの要素を加えていて、大丈夫かと思えるほど病的に見えました。体を作る膨大な時間を役柄に込めるので、演技も自然と迫真の力を帯びるのだと思いました。[映画館(字幕)] 7点(2011-03-29 01:02:00)

384.  逃亡者(1993) 《ネタバレ》 妻殺しの冤罪の悲憤を生き方という武器で晴らすのが「ショーシャンク」なら、ストレートに真相を暴いて晴らすのが本作ですね。総合点で後れをとっても、サスペンスとして面白いのはこちら。先が読めない展開と途切れることの無い緊張感。その中に織り込まれる逃亡者と連邦保安官の人間性が見応えのあるドラマを醸成する。本来は刑事たちがやるはずの捜査を主人公が身を隠しながら進めます。シカゴ市警の刑事たちの描写が不足気味で、冒頭であっさりと死刑判決が出るところには少し違和感がありました。刑事小説などを読んでいると、刑事の実績ってホシを挙げてナンボで、また挙げたホシが裁判で無罪になったりすると業界(警察組織)内で赤っ恥をかくと書いてある。あの刑事たちの無能ぶりって、ことの真偽に関係なく犯人を仕立てたかっただけですね。オリジナルのドラマは見た記憶が無いが、映画だけを見ている分にはドラマの映画化にありがちな駆け足感などは無く、良くまとまっている。役者の魅力が大きいですね。[ビデオ(字幕)] 7点(2011-03-26 17:08:05)(良:1票)

385.  アポロ13 この映画は大事なことを二つ教えてくれます。人のやることには間違いが起こること。そして、間違いをいかにリカバリーするかで関わった者の真価が問われること。これは普通に仕事をしている人なら誰もが感じることだと思うけど、有人月面着陸ミッションでこのセオリーを見せてくれます。膨大な時間を費やして組み立てた計画を御破算にして、限られた時間の中で降りかかる難題をクリアしてゆくストーリーは、文字通り手に汗を握ります。無事に帰還したことを知っていても、その過程がいかに危機的で綱渡り的なものだったかが良く分かる。このリカバリーは人智の勝利です。多くの知恵がひとつの目的に向かって結集すれば凄いパフォーマンスが発揮される。人類も捨てたものじゃないと、誇らしい気分まで貰える作品かも。[DVD(字幕)] 7点(2011-03-22 22:30:06)

386.  たそがれ清兵衛 この映画が心に響くのは、日本人が概念として持っている日本的な美しさが描かれてからなんだと思う。私は「名もなく貧しく美しく」という名作を思い出しました。主人公は好んで清貧をやっているのではなく、家が貧乏なことと、彼が謙虚なことは別のお話。でも、派手な部分が無い生活は身近なものが良く見渡せるのも確かです。それを慈しみ生き甲斐を見い出すには繊細な感受性が必要で、些細なことを愛でるのが日本的な美意識なんだと思う。貧乏をやってる方は堪ったものじゃないけど、観ている分には心が洗われる気分になります。私は礼節や謙虚といった言葉とは縁遠い人間ですが、この映画は美しく映る。日本的な美への憧れがあるのだと思う。江戸時代でも平成でも、ほとんどの人生はある時点からルーチンの繰り返しになります。そんな時、自分にとって大切なものが何かを正確に自覚できている暮らしは揺るがない。そんな部分にも憧れを感じました。宮沢りえの襷がけは良かった。あれって外出時は持ち歩いてるものなんですね。まさに心掛けです。[DVD(邦画)] 7点(2011-03-09 20:53:57)(良:2票)

387.  ボーン・アイデンティティー 《ネタバレ》 シリーズ化された初作だけあって、楽しめた作品でした。自分が誰か分からない主人公が、ロジャー・ムーアあたりの007なら目じゃないくらいの機転と格闘能力を見せる。最後まで面白く観られるのは、突っ込みどころが少ないからだ。記憶を失くしても工作員としての能力が維持できるのかという部分が最も不可解だけど、そこさえ許せば、記憶の喪失から起こる騒動としては筋が通っているし、巻き込まれた女性の選択や行動にも不自然なところがない。初見時にはとにかく格闘の切れ味が抜群にカッコ良くって、その印象が強く残った。そこには功罪があって、細かいカット割りとハンドカメラの臨場感は格闘シーンを特長的に演出しているけど、本作以降にやたらとブレブレ画面の作品が多くなった気がする。カメラを揺らせばいいと思っている製作者が増殖して閉口しているんだけど、起源は本作じゃなかろうか。[DVD(字幕)] 7点(2011-03-03 22:10:54)(良:2票)

388.  英国王のスピーチ 《ネタバレ》 人が何かを乗り越える物語は映画に普遍するテーマのひとつ。そこには、当人と周囲の人の真剣な闘いがあるからストーリーも熱を帯びる。本作が乗り越えるべき課題は、ただ喋るだけ。しかし主人公が国王で、相手が全国民で、しかも本人が吃音症となると、その課題はとても深刻な問題に様変わりする。吃音が精神のストレスから起こる症状との自論を持つ施療家がその治療を試みる。メインとなる処方箋は自分が国王の友人になること。この二人の人柄と距離感が楽しく映画を牽引します。二人が喧嘩した後に「王の謝罪を待つ者は、長く待つ必要がある」なんて照れ隠しの台詞を国王が口にするシーンがとても微笑ましい。その二人の演技もさることながら、王妃を演じたボナム=カーターが絶妙でした。言うべきは言うけど、それ以上の思いやりを感じさせる役どころ。王妃である前に妻であり母であり、親近感たっぷりの姐御肌も見え隠れする。最近は「ハリー・ポッター」や「アリス」でエキセントリックな役を演じてましたが、本作では彼女自身が持つ存在感が優しさという形で遺憾なく発揮されていると思います。ドイツとの開戦スピーチが上手くいった時、私はボナム=カーターに感情移入していて、一緒に涙しました。アカデミー賞に最多部門でノミネートされていますが、テーマや品格という意味では受賞に値する作品であるという意見です。発表まで24時間を切りました。さて。 〈2012/2/28追記〉作品・監督・脚本・主演男優の4部門を獲得。最も獲って欲しかったボナム=カーターの助演は残念でした。でも、今後の彼女の映画がとても楽しみになりました。[映画館(字幕)] 7点(2011-02-27 12:21:06)(良:2票)

389.  ヒア アフター 《ネタバレ》 死を身近にしたことで人生のバランスを崩した人たちが、静かに次のステップを踏むまでのストーリーでした。死後の世界はあるのか? それは誰もが一度は抱く疑問。その根底には、亡くした人や自分の死を想う時の不安がある。証明できない限りは正解も無いが、その不安が現実の生き方に影響を及ぼすのも事実。本作は、その興味でストーリーを牽引するが、死後の世界を強引に証明するという類いの作品では無かったです。マット・デイモンの霊能は、他者の苦しみに共感する能力として描かれる。センシティブな感覚の延長であって、他者の人生に割り込んだりしない。本人がその能力を嫌うことは、死後の世界をあたり前に捉えることへの懸念としても機能していると思います。私が本作から感じたものは安心感でした。子供の頃、いつかは自分も死ぬという事実を認識したとき、形容したがい恐怖を覚えた。それが、人生も半ばを過ぎた今では、ある程度は受け入れられる。人は生まれてから死ぬまでの時間を使って、死を受け入れる準備をするのだとも思う。この映画の死後概念はそんな心境への道程を、そっと照らしてくれる印象でした。さらに、死後の世界を、そこに縋るのではなく現実を生きるための認識として捉えることが本作のテーマなのでしょう。ラストシーンでマット・デイモンが手袋を外して握手した心境もそこに通じます。本人が「呪い」と呼ぶ能力でも、スタート地点を共有できる人とは分かち合える。その予感は生きることへの希望でもありました。死や死後を扱いながら、宗教色がなかったことがとても良かったと思います。イーストウッドの語り口は言うに及ばず、彼に監督を依頼したスピルバーグもいい仕事をしました。[映画館(字幕)] 7点(2011-02-19 19:06:38)

390.  あしたのジョー(2010) 《ネタバレ》 原作にある力石戦後のエッセンスのいくつかを前倒しにアレンジして、この一作だけで「あしたのジョー」にしようとした努力は買います。同時に、丈は野性味が抜けて、かなり素直なボクシング青年に見えたことが残念でもあります。ストーリーに無駄は感じない。段平との大喧嘩、鑑別所→少年院という流れ、段平のプロライセンス再取得のエピソードなどがカットされたのは惜しいけど、これが限界でしょう。丈と力石のライバル関係だけに比重を絞っても見応えを担保できる原作の懐の深さに改めて思い至る。丈、力石、段平を演じたお三方には拍手です。原作やアニメ版をよく知る人からも不満が出ない役作りが出来ていると思います。体を作り上げた二人も見事ですが、香川照之は丹下段平にしか見えなかった。現場でも段平そのものだったらしい(笑)。これは凄いことです。原作をバイブルにしていた元青年としてひと言。「あしたのジョー」は力石戦の前後でテーマが変化します。丈が持つ闘争心や反発力は抑圧からの解放を目指したときフルパワーを発揮する。最初は力石の存在も、丈にとっては抑圧のひとつでした。それはルールに縛られた社会へのアンチテーゼでもありました。力石という目標を失ったあと、自身の青春を燃焼し尽くすことを最終的なコンセプトとしたのが力石戦後の「あしたのジョー」。この丈の変化と成長が、数多ある青春漫画の中でも特異な存在であり続ける所以だと思っています。今回の映画化は原作のひとつ目の山まで。このスタッフ・キャストなら、物語後半のテーマの実写映像化にも挑戦して欲しいと思いました。本来、そこまで描いてこその「あしたのジョー」です。[映画館(邦画)] 7点(2011-02-11 16:18:57)(良:3票)

391.  白夜行 《ネタバレ》 本作を観終えたとき、原作を読み終えたときと同じように心がざわついていた。悪くないと思う。少なくとも、キャラの性格を読み違えていたとしか思えないドラマよりは原作の味わいを享受できる。しかし、どうにも納得できないことがある。映画は原作とは離れて評価されるべきではあるが、私の原作解釈との違いに言及させてください。以下、ネタバレしますのでご注意。言いたいのは、原作を読んで感じた雪穂と亮司の関係に対して本作の解釈が随分と違うこと。原作には描かれない二人のコミュニケーションをモールス信号にしたのは映画なりの工夫だったが、それによって伝えられるのは雪穂が痛めつけたい相手の名前のみ。まるで亮司を犯罪マシーンとして扱うためのアレンジである。その流れのまま亮司は自殺する。犯してきた罪への呵責であろう。とてもわかり易いのだが、少なくとも原作では雪穂が自身の野望のためだけに亮司を利用していたとは思えない。原作には、亮司が雪穂をサポートするための準備を周到に進める描写がある。殺人と強姦だけではなく複雑な内容も含まれる。コミュニケーションの方法は示されないが、二人は密に情報を交換し、二人で計画を練り、二人で実行してきたはずなのである。亮司は事故死するが、事故さえなければその関係が終わるような空気も無かった。被害者の息子と容疑者の娘として表立って接触できない二人の関係を読み解くヒントは雪穂の「私には太陽に代わるものがあった」という言葉だけであるが、それが本作のような関係だったとはどうしても思えない。解りやすい映画にはなったが、個人的にはテーマに連なる最も大切な部分に安直な回答を嵌めたように思える。「太陽に代わるもの」と捕らえていたのは亮司も同じ。明かされないコミュニケーションの中で、目の前にある障害の排除以外に二人が何を話していたのかは想像するしかない。二人はどこかへ行き着くために犯罪を重ねていたと私は思う。二人で太陽の下に出られる場所を捜していたと思いたい。原作には白夜行の行き先を想像させられたが、本作の白夜行には目的地がありません。[映画館(邦画)] 7点(2011-02-07 21:05:37)(良:2票)

392.  幸福のスイッチ 《ネタバレ》 「虹の女神」を観たときにも思ったことだけど、上野樹里は不機嫌な顔や態度が魅力的だ。電器屋の脇で電球を叩き割る姿に惚れぼれする。かと言って、シリアスな苦悩が似合うかというと全くそんなことは無い。つまらないことにぶつぶつ文句を言って不貞腐れている程度がいちばん良い。また、能力を発揮して成功するような描写より、もっと身近なことに喜ぶ彼女の方が素敵に見える。元来の愛嬌がコメディ向けのキャラだと思うけど、変態ピアニストを演じた某人気シリーズのような狙ったコメディより、ネガティブな態度から滲み出てくる可笑しさが彼女の個性だと思う。長い前置きになったけど、そういう意味で本作のストーリーと役柄はとても似合っていました。特に劇的な展開がある話ではないけれど、上野樹里が目に涙するシーンには彼女にシンクロして同じ気分になりました。本作に幸福になるためのスイッチがあるとしたら、それは他者の意見に素直に耳を傾け共感できる姿勢。言葉にすると簡単だけど、プライドが高く慢性的な不満を抱えている人には容易いことじゃない。しかし、そこから得られる充足を彼女は父親の代打で経験する。また、その姿勢は父親の営業方針そのものでもあり、父親を見る目も変わる。つまりは大人になるってことなんだけどね。「幸福のスイッチ」と言うよりは、まだ「不幸脱出のスイッチ」ってレベルだと思いますが、その大切さを伝えてくれる良作です。もはや浮気疑惑の真相なんてどうでもいいことでしょう。[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-02-06 18:58:30)

393.  市民ケーン 《ネタバレ》 スピルバーグが25歳の若さで「激突!」を撮ってデビューしたのは有名な話だけど、その30年前に同じく25歳でこの映画を撮ったオーソン・ウェルズという人は、少なくともこの映画においてはスピルバーグより偉大だったと思う。学生時代に読んだお勉強系の映像本には必ず「パンフォーカス手法を確立した映画」として本作が紹介されていた。パンフォーカス自体は今となっては見慣れた手法だが、奥行に被写体と演技を対比させる構図はもとより、シャドウとハイライトの印象的な使い分けや、時間を行き来する構成、その時間軸に照明の明暗を振り分けるアイデアなど。何本か観た同年代の映画に較べると、全てが斬新で画期的なことだったと想像できる。しかもストーリーがミステリータッチで「バラの蕾」という臨終の言葉を追いかけ、大金持ちの孤独を解き明かすことをテーマに据える。それが幼少の頃に失くした親からの愛情の象徴であったというオチまでを含めて、極めて完成度が高い作品だと思う。余談だけど、つい最近の「ソーシャル・ネットワーク」も大金持ちの孤独を描いた作品でした。ケーンとザッカーバーグは、富を得る手段も違えば、孤独のカタチも随分と違う。この2作は面白い対称を成しています。その間を流れるのは70年という時間。現代の視点から観た面白さとしては6点。映画表現に残した足跡に敬意を表して、不遜ですが1点プラスさせてください。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-01-30 23:30:04)(良:1票)

394.  チルソクの夏 《ネタバレ》 観ていて恥ずかしくなるような演出が随所にありますが、確信犯でやってますね。現代の若者の視点にはもどかしくアホらしい映画かもしれないけれど、同世代人には頷ける部分もたくさんあります。特に私の場合、自分に近い世代のお話で少しでも共感できるところがあると、途端に甘い採点になります。私は高校まで陸上をやっていて、しかも専門が走り高跳びだったので、これに関しては尚更。オリンピックなどを見ているよりもフィールドの空気感が伝わってきて、浸ってしまいました。本作は日韓両国に横たわる歴史のわだかまりを年長世代だけの現象として捉え、ことさら掘下げないことが良かったと思います。全ては過去の世代の出来事と割り切っていることに私は好感を持ちます。「なごり雪」が私的な友好の象徴に使われていましたが、現代もティーン世代がエンタメ系で交流を推進しているようで、こちらも好感を持っております。隣の国なので仲良くやりましょう。余談ですが、走り高飛びを専門にしている女子って確かに昔から美人が多かったですよ、ホント。[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-01-26 22:18:07)

395.  マッチスティック・メン 《ネタバレ》 主人公が観客もまとめて騙す映画は多々あるが、よってたかって騙される映画って少ないんじゃないかな。しかも騙されたまま終わる。新鮮でした。でも、本作の良いところは騙された後の流れです。娘と思っていたアンジェラと再会するが彼女を責めない主人公。それは、偽りの関係だったとしても、彼女との時間を大切にしたいと思ったから。彼女に騙されて失ったものより、彼女が残してくれたものの方が大きかったから。だから彼の中ではいつまでも「愛娘のアンジェラ」なのでしょう。神経症が治り、スーパーのレジ係の女性と再婚するオマケも付きました。ニコラス・ケイジの心情に暖かい灯を残すことが本作のテーマだったと思いますが、さすがにリドリー・スコット。スペクタクルだけではなく、この種の作品でも手堅い手腕を見せてくれます。計算するとアンジェラ役のアリソン・ローマンは当時24歳。ラストの見え方が本来の彼女です。女性のヘアスタイルとメークと衣装には騙されますね。ということで、ストーリー以外にしっかり観客騙しがありました。騙されて清々しい珍しい快作。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-01-25 22:01:59)

396.  ツイスター 《ネタバレ》 これは上手くまとまっている。この頃のヤン・デ・ボンには、まだ「スピード」を撮った時の勢いがありました。スペクタクルとロマンスのバランスが良い具合です。振り返ってみると、たった1日のお話だけど、ストーリーも竜巻みたいにぐるぐると目まぐるしく進む。離婚届を取りに来た男とその婚約者を前に、マイルドな態度を保とうとする彼女にキュンとしました(っていうか、その用件で婚約者と一緒に来る男がデリカシーなさ過ぎ)。でも、いざ竜巻がやってくると本性をむき出しにする彼女。周囲の男どもも含めて、まさに竜巻バカです。そのバカたちに釣られてバカを思い出す男。そして、婚約者に愛想を尽かされる。ざまあみろ。後々に思ったことだけど、あの竜巻バカたちは、計算して婚約者にバカぶりを発揮していたとも思えますね。バカに巻き込んで婚約者を翻意させる。奴ららしい後押しでした。不謹慎発言だけど、竜巻が生き物のようにのたうつ様は視覚的な見応えに溢れている。とても魅力的な自然災害で、竜巻バカの気持ちも少し分る。竜巻をナマで見たことはないけど、それを間近で見せてもらえた気分で嬉しかったです。野外劇場に映る「シャイニング」がイチバンの見せどころを選んでいたことも嬉しかったです。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-01-20 21:58:07)《改行有》

397.  隠し砦の三悪人 《ネタバレ》 キャラクターの個性がやたら際立っていることが本作の特長でしょう。随所に挟まるアクションは三船の独壇場。特に馬上で手綱を放し、刀を構えて逃げる敵を追うシーンの迫力は尋常じゃない。何気に薄着のお姫様は毅然とした猛々しさを持って描かれ、戦国という世に馴染んでいました。足を開いて屹立する姿には惚れぼれします。この二人に対照させるのが百姓の凸凹コンビ。こいつらは最後の最後まで凸凹だけどあけすけな人間性がこの作品にコミカルな味わいを与えてます。このお姫様を中心とした一行がレイア姫の一行の起源だとすると、三船は一人でルークとオビ・ワンとハン・ソロをやっていたってことですね。あっ、チューバッカも。まさに八面六臂の活躍でした。最後のオチともいえる「裏切り御免!」の便利な切れ味には痺れましたな。なにか不都合が起きたら「○○御免!」と叫んでトンズラしてみよう。ちなみにリメイクを先に観ましが、そのときは確かに「こりゃ、スター・ウォーズだ」と思ったんだけど、このオリジナルを観ている間は全くそんな感想が浮かんで来なかった。樋口版は本作のリメイクというより「スター・ウォーズ」のリメイクだったってことですね。[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-01-19 21:25:54)

398.  アンストッパブル(2010) 《ネタバレ》 列車を停めるだけの映画。構造がシンプルな作品はシンプルに楽しめるのが良い。本作はその典型です。比較的早い段階で暴走を始める列車がとてもエネルギッシュに禍々しく、休む暇もなくエンディングまで突っ走る。途中でいくつかの障害を蹴散らすシーンの迫力が長大な列車の運動エネルギーを感じさせ、大惨事への危機感を募らせる。動き続けているものがあるということが映画のテンポをスピーディに保ち、緊張感を途切れさせない。そこにバランス良く登場人物たちのキャラや事情を絡ませる演出はさすがにベテランの安定感。出演側もベテランと若手有望株の組み合わせが、そのままベテラン機関士と新米車掌という配置になっていて、映画好きには楽しい視点を提供してくれる。特に何も考えずに肩に力を入れてドキドキして、観賞後は残るのは爽快感。人間ドラマの深度を浅く保ったことが良い方向に作用しています。娯楽アクションとしてレベル高いと思います。[映画館(字幕)] 7点(2011-01-08 00:25:45)(良:2票)

399.  グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち 《ネタバレ》 まずマット・デイモンの天才描写に引き込まれた。異能者が主人公だと、何をやってくれるのかにワクワクします。それを嫌味じゃない程度に見せながら、テーマはその閉ざされた心を開くこと。セラピスト役はロビン・ウィリアムスだったけど、決定打は友人役のベン・アフレックが放ちました。「お前はいつまでもここにいちゃいけない」と諭すところは名シーンでしょう。仲間内でも別格な関係であることは感じていたけど、そんなことを言うような素振りを見せずに不意打ちで投げられる言葉には、彼らの関係を凝縮した深い説得力がありました。煮え切らない役が目に付くベン・アフレックですが、自分にとってはこれが彼の代表作になりました。[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-01-04 16:30:10)(良:3票)

400.  沈まぬ太陽 《ネタバレ》 企業トップの不正や政界との癒着を告発するような正義を描いた作品とは思わなかったです。一人のサラリーマンの生き方、その矜持とはどういうものかがテーマだと思います。恩地の海外勤務が延長された時、彼には辞める選択肢もあったはず。何故、辞めなかったのか? 負けた気がするからです。誰に? 楽な道を歩もうとするもう一人の自分に。人は基本的に弱い生き物で、すぐに楽な道に流れて行こうとします。そんな誘惑と戦う意思の総体が「矜持」です。自負・プライド・意地・自信・信念・虚栄、などで構成される。それは個をかたち作ると同時に縛るものでもある。自らの矜持と心中するような恩地の生き方は、お世辞にも上手とは言えません。一方の行天も彼なりの「矜持」は持ち合わせているが、順風を受けている時には現れず「欲」によって封じられる。この二人を較べたとき、人間の強さという概念が浮かびます。私は一概にどちらの生き方が良いとは言えません。いつか、それぞれが人生を振り返ったとき、その胸に去来するものでしか人生は測れない。私事ですが、過去に不本意な異動を命ぜられたことのある者として、本作は重い作品であると同時に興味深い作品でした。本作に描かれる矜持は、徹底して楽に生きないための戒めです。私は恩地ほど意固地じゃないけれど、職を辞さないのであれば、不本意と自らの矜持に折り合いを付ける必要が生じます。それは葛藤であり、生き方の軌道修正を余儀なくされる。生き方とは環境と矜持の接点から導かれるのだと思います。個人的に「沈まぬ太陽」とは矜持を抱き続ける姿勢と解釈します。[CS・衛星(邦画)] 7点(2011-01-01 15:19:17)

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